コンピュータ音楽/メディアアートと歩んだ40年 :
感性/非線形/ウェルネスと共に--- Demo実演と共に世界の潮流を紹介---
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2025年6月20日 日本技術士会 情報工学部会 講演会
長嶋洋一(情報工学/電気電子)
概要
楽器メーカで研究開発する中で学会と技術士を知り、2部門取得して1993年に34歳で独立。その後はコンサルタント/研究者/作曲家として活動、コンピュータ/エレクトロニクス技術の進展と共に多くのシステム/作品/人材を生み出し、世界の先端と並走して国内/海外での講演/公演を続けてきました。生体センサを含む「新楽器」を開発し、非線形(フラクタル/カオス)を活用し、最近はウェルネス方面(バイオフィードバック・リハビリテーション)の研究も進めています。本講演では、具体的なデモ(実演)を交えつつ、新たな可能性を触発する機会となる事を目指します。キーワード
コンピュータ音楽、 非線形現象、 ウェルネス・エンタテインメント自己紹介
プロフィール / 個人ドメイン(Art & Science Laboratory)本日の講演内容
- 「技術士」になるまで 〜 これまでの技術士業務 6/20当日は時間の関係で完全にパスする予定です
- コンピュータ音楽とインタラクティブ・メディアアート
- 非線形現象 : フラクタルとカオス
- 「ウェルネス・エンタテインメント」への発展
- (速報) 万博プロジェクトに参加/出演 6/20当日は時間の関係で大幅にパスする可能性が大きいです
- 質疑応答
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この資料は2025年6月20日の技術士会情報工学部会の講演のために作成しましたが、その講演時間が75分(Q&A含む)と限定されているために、当日は多くの項目に触れることなくすっ飛ばすことになります。興味ある方々の、本資料の内容に関連したより詳しい講演/ワークショップの依頼、あるいは本資料の内容に関連した相談/開発依頼/コンサルティングの依頼は歓迎しますので、まずは長嶋(nagasm0508@gmail.com)までご連絡ください1. 「技術士」になるまで 〜 これまでの技術士業務
- 幼少期〜大学(1958〜1981)
- 茨城県勝田市出身。父親はエンジニア(日立製作所で電気機関車を設計)、母親は看護婦/助産婦(子供の幼少期は休職)
- 父親の影響 → ハンダ付けで真空管ラジオ製作、小6で電話級ハム、中1で電信級ハム。バイオリン教室(〜小5)、その後サッカー少年団(〜小6)
- 「初歩のラジオ」「電子展望」 → 中学時代に独学のハンダ付け(Tr/IC)で電子オルガンやエフェクタを製作
- 生涯ずっと音楽漬け。小5までバイオリン、中学からギター[フォーク]、高校からキーボード/ドラムス[+ロック, +バロック]、大学では[+R&B, +合唱団]。聴きまくったのはプログレ(→Computer Music)
- 数学と音楽をやりたくて京大理学部へ。数学は1ヶ月で挫折(→素粒子物理/宇宙物理へ)。卒業研究では京大構内のバンデグラフ加速器を用いた原子核物理実験にて日立マイコンボードをプログラミング
- 京大理学部の恩師から学んだのは「物理屋は相手が未知の世界。道具から作って探求するのが物理屋」という真理(工学部は既存の道具を使うだけなので面白くない) → この反映は下記の★
- 大学4年間ずっと音楽漬け。京大合唱団で指揮者、大学時代に合唱曲を100曲ほど作曲(作曲理論は「芸大和声」で独学)。京大軽音では市内ライブハウス出演。作曲した合唱曲が入選して初めての海外旅行
- 3歳年下の弟が北大に行き、同時に2人仕送りの状況に気付いて4回生の夏に突然、就職を決意。2社に落ちKAWAIのみ内定。卒業必要単位の残り半分を4回生後期に集中的に取ってギリギリ卒業
- KAWAI時代(1981〜1993)
- 入社から10ヶ月「実習生」の腕章を付けてピアノ全工程の6工場を巡る実習でピアノの隅々まで理解、翌年3月の辞令で研究開発センター(電子楽器の開発本部)へ
- 見習いで実験/試作の下働きから電子工学をOJT。チームの「マイコン勉強会」では先輩より早く理解
- 結婚するまでの4年間、最大5つの合唱団で活動(指揮者3、パートリーダー2)、さらに社会人バンド[Rock, Jazz]でライヴも
- 電子回路設計(アナログ/ディジタル)、マイコンプログラミング(アセンブラ/C)、LSI設計(ゲートアレイ、スタンダードセル)、パソコンソフト開発(アセンブラ/C)など担当してプロに成長、チームリーダーに
- 日常的にアイデアを特許出願、後半では弁理士をスキップして特許庁に出願(計20数件)。CQ出版「インターフェース」誌に寄稿/連載、150号では「マイコンシステム構築技術セミナー」(110ページ)
- [趣味で] MS-DOSを勉強/解析して、コピープロテクトのかかったゲームのプロテクトを外した「親」と、その親を複製できる「子」を開発。ただしこれが成功すると肝心のそのゲームは一度もやらず★
- [趣味で] アセンブラ/コンパイラに興味を持ち、マクロ機能のあるアセンブラをカスタマイズして「6502CPUのニーモニックでZ80を開発」などクロス開発環境を実現、実際に走るシステムを開発★
- [趣味で] 多種のCPU(8bit〜32bit)で実験した末にOSに興味を持ち、「OS勉強会」に参加し、オリジナルOSの開発に挑戦。ただし未完★
- 関連調査/勉強のために「学会」(情報処理学会・人工知能学会)に参加するようになり、多くの研究者/専門家/作曲家と知り合い、最終的には「木乃伊取りが木乃伊になった」
- カスタムハイブリッドIC開発(デンソー)、タッチ検出LSI開発(富士通)。→ これによりKAWAI初代の電子ピアノ開発
- 学会で知り合い技術サポートした作曲家の作品が入選して、出張でMontrealでのICMC(International Computer Music Conference)1991に参加
- 音源(信号処理DSP)開発(リコー)、さらに「CPU内蔵DSP音源」開発(リコー)。→ このチップは多種の電子楽器に採用されて売上げ50億ほどに貢献
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- そのご褒美の出張でSan JoseでのICMC1992に参加、業務とは別の研究ネタにて国際会議発表
- 入社10年で技術士[情報工学部門](32歳)、翌年に技術士[電気電子部門](33歳)。社内に前例が無いので「オフタイム技術士」を認められて週末などに技術士会に参加、その翌年の1993年1月にKAWAIを退社、独立
- CQ出版「インターフェース」誌に、このあたりの経緯を紹介した 「技術士試験に合格しました」 という記事を寄稿
- 技術士業務(1993〜2000)
ASL(Art & Science Laboratory)長嶋技術士事務所 代表として以下の技術士業務を行うと共に、京都造形芸術大学/神戸山手女子短大/静岡大学 非常勤講師、(財)イメージ情報科学研究所 非常勤研究員として、研究/教育活動を継続。1993年より情報処理学会音楽情報科学研究会運営委員、またICMC1993Tokyoの実行委員も担当
- 技術セミナー/講演(54回)
- 書籍出版(10数冊)★
- 経営相談/技術指導(中小企業など 約10社)
- 研究用音楽音響情報処理システム開発(京都市立芸術大学)
- 船舶操縦シミュレータ用音響システム開発(三井造船研究所)
- 技術相談/技術指導(シャープ中央研究所)
- 技術相談/技術指導(島津製作所)
- 技術相談/技術指導(積水樹脂)
- 韓国・ソウルにて技術セミナー(韓国能率協会、2回。↓依頼されて)
- 技術相談/技術指導(韓国・Tiger Cmputer) (←翌週に急遽、再び訪韓)
- 新規インターネット事業展開指導(中部/サーラ)
- アクトシティ・パイプオルガン冠水事故 鑑定人(浜松市)
- 汎用センサインタフェースシステム開発/輸出(フランス国立音響音楽研究機関IRCAM)
- 技術指導/計測サイト調査(Environmental Potentials)
- ICCのためのリアルタイム位置計測センサシステム開発(NTT研究所)
- ICCのための常設展示作品システム開発(NTT研究所)
- 新たに登場した"Java"に注目し、Java.sun.comで全公開されている情報からJavaを独学し、CQ出版から「Java & AKI-80」を刊行★。最初の「日本語によるJava本」のうちの1冊となり、書泉グランデで平積みになったとCQ編集長も喜んだ。「Javaバイトコードを元のJavaソースに戻す」という「Java逆コンパイラ」(rejeva.exe)をC言語で開発して掲載し、「OS/2研究会」など多くの人々から利用許諾を求められて[→全てOK]、その後は ★ 数多くの「Javaセミナー」の講師を依頼された
- 1998年から静岡県新大学設立準備財団の依頼で新学部のカリキュラム設計(静岡県) ↓
- 技術士業務(2000〜2025)
2000年4月に開学した静岡文化芸術大学(SUAC)の助教授(→教授)を兼職。学会発表論文などを見た企業からの打診を[技術士の守秘義務と共に]受け、SUAC「受託研究」(産学共同活動の枠組み)の形態として担当2024年3月(65歳で迎える年度末)で規定により静岡文化芸術大学(SUAC)を定年退官、名誉教授へ。フリーに戻った
- 受託研究「ネット音楽システム」(ヤマハ) → 米国特許登録[筆頭発明者]
- 受託研究「Power Qualityと電磁環境の調査」(Environmental Potentials)
- 「未踏」プロジェクト採択(情報処理推進機構)
- 受託研究「Wiiリモコン用の新インターフェース」(メガチップス[任天堂系])
- 受託研究「音響機器の人体に与える影響」(パイオニア)
- 受託研究「自動運転車のための自動作曲システム」(トヨタ中央研究所)
- 受託研究「EMSを用いた触覚と音楽の融合」(Xenoma[東大発ベンチャー])
- 奈良学園大学 保健医療学部 リハビリテーション学科/大学院の非常勤講師(2021〜)を継続
- ヒューマンアカデミー系列「ロボット教室」の講師を担当 sample
- 日本技術士会の会誌「特集・知られざる技術分野特集」に 「アート」「感性」を支える技術 を寄稿(↓に発展)
- 情報工学部会講演会にて講演「コンピュータ音楽/メディアアートと歩んだ40年 :感性/非線形/ウェルネスと共に --- Demo実演と共に世界の潮流を紹介---」
- テクノロジースタッフを依頼されて、大阪万博2025の「伝統文化未来共創Project」に参加(公演)
2. コンピュータ音楽とインタラクティブ・メディアアート
- Computer Music(音楽情報科学)とは
- ここでは「打ち込み音楽」(DTM)や商業音楽は対象外。むしろカテゴリは現代芸術/現代音楽、コンピュータ科学
- コンピュータの歴史とComputer Musicの歴史はほぼ同じ長さがある
- ICMC(International Computer Music Conference)は1978年から世界をリードして続いている (ICMCには"論文発表セッション"と"作品発表セッション"[いずれも国際審査あり]の両方がある。長嶋は過去に15回、参加)
- 音楽に関する領域でコンピュータを活用した世界全般。具体的には、作曲(自動作曲/作曲支援/リアルタイム作曲)・演奏(自動/支援/即興)・分析(採譜/感性)・音響信号処理(生成/解析)・アンサンブル(伴奏/協奏/即興)・楽音/歌声合成・ライヴマルチメディア(DJ/VJ)・音楽音響の可視化・新音楽理論・音楽探索嗜好提案・ヒューマンインターフェース(センサ/新楽器/演奏者の認識)・コンピュータ新トレンド(ファジイ/ニューロ/AI/カオス/遺伝アルゴリズム/ベイズ推定/深層学習/リザバーcomp/量子comp・・・など)の音楽応用
- ↑詳しくは
をご覧ください
- 「自動運転車のための自動作曲システム」(トヨタ中央研究所からの受託研究)★は、自動運転車の多数のセンサ情報を受けて状況に対応したBGMをリアルタイム生成するというもので、IFIP TC14 ICEC(Poland, 2018)での発表から6-7年たってもTOYOTAの名前からか「掲載してくれ」「講演してくれ」という海外からの(怪しい)offerが舞い込み続けている。この研究がComputer Musicの応用として王道である証拠
- スタジオワークで納得いくまで電子音響音楽を制作する(→outputはCDやmp3やDVD)というタイプもある(が、個人的にこの分野はあまり深入りせず → ★)
- もっぱら、センサや数理造形を活用して、音楽公演のライヴの状況によって毎回異なる音楽を生成する"Interactive Live Computer Music"が中心 → ★
- コンピュータ音楽作品の紹介 VIDEO / DEMO (作品紹介ビデオは時間の関係でごく一部のダイジェストですので、公演全体はこちらをご覧下さい)
- "CIS(Chaotic Interaction Show)" (Osaka,1993) Percussion奏者の演奏情報からグラフィクスをライヴにトリガ、BGMサウンドはカオスのアルゴリズムで生成 ★
- "Asian Edge" (Kobe,1996) 身体動作(6関節の曲げセンサ)によってサウンドとグラフィクスとカメラ/スクリーン切り替えをライヴ駆動(必要な装置[miburiセンサ、8×8ビデオswitcher等]は全て自作) ★
- "Atom Hard Mothers" (Kobe,1997) 16本の赤外線ビームによる「光の絃」奏者とmiburiセンサ奏者が即興で絡んでサウンドとグラフィクスを駆動する ★
- "Bio-Cosmic Storm" (Kyoto,1999) 筋電楽器[第2世代]を装着してピアノ鍵盤の上空5cmでエア演奏したりピアノの蓋を開閉するピアニストの両腕の筋電信号から、全てのサウンドとCGをライヴ生成 ★
- "tegoto" (Hamburg,2001) まず17弦箏で即興演奏したサウンドをシステムが記憶、後に13弦箏に移動して即興演奏する合の手として変奏しつつ絡んで「手事物」一人セッションを実現 ★
- "Visional Legend" (Kassel,2001) 笙ブレスセンサによってシーンが進み、ライヴ笙サウンドに音響信号処理を加えつつグラフィクスもライブ駆動/切替する ★
- "Wriggle Screamer" (Vancouver,2005) 筋電楽器[第3世代]と「光の絃」を即興演奏し16チャンネルの筋電情報をスクリーンにライブ表示 ★
- "Cyber Kendang" (NewYork,2007) インドネシアの民族楽器Kendangを「叩くと光る楽器」に改造し、演奏をライヴカメラでリアルタイムにエフェクトさせて投射 ★
- "Ural Power" (Yekaterinburg/Russia, 2010) 8チャンネルThereminと筋電楽器[第3世代]を即興演奏しリアルタイム3D-CGをライヴ制御 ★
- "Bordeaux Power" (Bordeaux,2016) Demo 筋電センサ"MYO"を解析/ハックして両腕に装着 → 筋電信号による音響生成/ライヴグラフィクスを駆動
- これまでの「コンピュータ音楽」関連の研究業績(論文/学会発表論文/紀要など)はここを参照のこと。以下はその一部 (時間の関係で解説はパスします)
- センサを利用したメディア・アートとインスタレーションの創作 ★
- 生体センサによる音楽表現の拡大と演奏表現の支援について ★
- 宇宙人音楽と人体音楽の作曲事例報告 ★
- 音楽的ビートが映像的ビートの知覚に及ぼす引き込み効果 ★
- コンテンツクリエイターのための著作権フリー音楽クリップ生成システム"FMC3" ★ ★
- GHIプロジェクト - 楽器が光ってもいいじゃないか ★
- サウンドの空間的予告による映像酔いの抑止について ★
- 改造による新楽器の創造 ★
- Computer Musicパフォーマンスはこの20年間で進歩したのか ★
- GHI2014 - 楽器が光ってもいいじゃないか ★
- お触り楽器 ★
- 新楽器へのアプローチ ★
- グロッケン音色の利用に関する考察 ★
- 聴覚的クロノスタシスに関する研究 ★
- 「Risset Rhythm」 温故知新 ★
- 「カオス」ねた ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
- 「ネットワーク音楽セッション」ねた ★ ★ ★ ★
- 「Computer Music作品メイキング」ねた ★ ★ ★ ★
- 「生体センサ」ねた ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
- 「脳波センサ」ねた ★ ★ ★ ★
- 「ピリピリ」(EMS)ねた ★ ★ ★ ★ ★
- 「バイオフィードバック」ねた ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
- インタラクティブ・メディアアート DEMO
3. 非線形現象 : フラクタルとカオス
- ロジスティック写像とフラクタル DEMO
- シンプルな漸化式 : X(n+1) = μ ・ X(n) ・ {1 - X(n)}
- 3 < μ < 4 , 0 < X(n) < 1 の範囲で発散しない
- μが3.6あたりから面白い現象が始まる
- 「倍周期分岐」 → 拡大しても同じ状態が出てくる (フラクタル)
- 「カオス」ゾーンの存在 --- 初期値に敏感、決定的なのに結果が分からない
- ロジスティック関数で音を鳴らす : 「カオス音楽」へ DEMO
- 一定間隔でX(n)を音高にマッピングして連打する → トレモロ演奏
- 倍周期分岐で2音フレーズ、4音フレーズ、3音フレーズ、5音フレーズ・・・
- 「カオスの淵」の振る舞い
- 内観ではランダムのようでμの値の変化に対して「押し返す」ような生き物的な振る舞いを感じた → 「どこがカオスか分からない」という聴衆の反応
- カオスのグラフィック
- 再帰的演算によって簡単に生成できる
- 有名な「マンデルブロー集合」や「ジュリア集合」
- Processingによる"Mandelbrot" (※ノンリアルタイム描画) DEMO
- PCのパワーアップによってリアルタイムなカオス描画が可能に : CPUとGPUを総動員 DEMO
- ライヴのカオス生成をライヴComputer Musicと組み合わせる
4. 「ウェルネス・エンタテインメント」への発展
- 1990年代 : 「技術士」としての福祉工学との出会い
- 東三河技術士会(「二足の草鞋」時代から参加)での福祉施設見学会
- 大阪・十三の高齢者施設の院長先生からの依頼で試作
(ベッド上に赤外線ビームを走らせて痴呆症患者の発作的起床を検出してナースコール)- イメージ情報科学での福祉工学テーマに参加(視覚障害者支援、筋電センシング)
- Nifty-Serveで知り合ったアナログ/生体の専門家、照岡正樹氏との付き合い(1988〜2025〜)
- 照岡さんと共に「筋電センサ」(初代/2代目)・「呼吸センサ」・「心拍センサ」・「脳波センサ」・「皮膚電気抵抗」・「接触センサ」等を開発・実験
- 2000年以降 : 生体情報センシング、生体情報処理の拡張
- 照岡さんと進めた「筋電センサ」関係の2015年までのまとめ → 筋電センサ関係情報
- 3代目筋電センサ「MiniBioMuse-III」では世界10カ国での公演にて活躍した
- 4代目筋電センサ「MegaChips」は学会論文を見た企業(任天堂系)からの問い合わせから受託研究に発展し、Wiiリモコンストラップの手首4チャンネル筋電電極によって「手首から先のジェスチャー」認識の研究を行った
- ↑この時に発見した「脱力してジェスチャーがヒットした感覚」が後の「ウェルネス・エンタテインメント」の伏線となった
- 5代目筋電センサ「CQ_mbed_EMG」は、CQ出版「インターフェース」誌の「生体情報センシング」特集記事の執筆を依頼されて開発した
- ↑この特集記事を見た、バイオフィードバック・リハビリテーションの専門家(甲南女子大・辻下教授[現・奈良学園大])からメイルを受けて、それ以降、現在まで続くコラボレーションが始まった ★ ★ ★
- 照岡さんと進めた筋電センサの最終形 → VPP-SUAC として全ての設計情報/ソースコードをWebで公開
- 学会参加で情報を得て、「映像酔い」センシングのために「末端二酸化炭素濃度センサ」を開発・実験
- ↑この学会論文を見たパイオニアの問い合わせから受託研究に発展し、「自動車の運転状況に対応して変化する音楽を聴取する被験者を生体情報計測して、車酔いを低減するシステム」(可能性)の研究を行った
- IAMASからの依頼で「経皮電気刺激システム」等を開発 → 電気刺激フィードバック装置の開発と音楽パフォーマンスへの応用
- ↑この学会論文を見た、東大発ベンチャー企業の問い合わせから受託研究に発展し、EMSフィットネス開発を試作した
- ↑この国際会議論文を見た、海外からの問い合わせ(聴覚障害者)については残念ながら対応しきれなかったが、後の「ウェルネス・エンタテインメント」の伏線となった
- 2010年以降 : 「ウェルネス・エンタテインメント」への発展
- それまでの音楽心理学/実験心理学の領域から、さらに脳科学や基礎心理学の領域に調査対象を拡張
- 錯覚、AHA感覚、などの実験システムを開発
- 触覚/触感センサ"PAWセンサ"と出会い、いくつもの応用システムを開発。国際会議などの場でこれを体験/操作する人々の「微笑み」から、触覚を介する 「ウェルネス・エンタテインメント」の可能性を確信 → PAW-double として全ての設計情報/ソースコードをWebで公開
- 56歳で[修士をスキップして] 京都市立芸術大学 大学院美術研究科 博士後期課程(メディアアート)に社会人入学し、初めての哲学/美学/表象文化論から猛勉強して3年間[半年は浜松〜京都を週1日新幹線通学]で単位取得満期退学。規定内の3年目に博士論文を提出 → 審査合格、6年がかりで「博士」になった
- 世界最大のメディアアートのFestivalである "Ars Electronica" の "Expanded Animation 2022" Symposium: "Synaesthetic Syntax: Gestures of Resistance" での招待公演 Interactive Multimedia Generated by Rubbing/Tactile Interfaces - Biofeedback Effects for Wellness Entertainment
- 全てに「感謝」 - 三恩(知恩/感恩/報恩) - 知足 - ポジティブ心理学
5. (速報) 万博プロジェクトに参加/出演
- 「万博プロジェクト」の概要
- 大阪万博2025のプロジェクト企画の一つ 伝統文化未来共創Prject (2025年6月2-8日)
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- その中の 東野珠実さん のパフォーマンスへの技術的サポートを依頼される
- 東野さんとの関係は万博事務局に提出した以下のドキュメントを参照のこと
長嶋 洋一 (ながしま よういち) Art & Science Laboratory 代表。作曲家 / 研究者 / 技術士[情報工学・電気電子] / Ph.D(メディアアート)。 京都大学理学部(素粒子物理学)卒。京都市立芸術大学美術研究科後期博士課程修了。静岡文化芸術大学 名誉教授。 http://nagasm.org 音楽を中心としたメディア・アートの領域において、コンピュータ・エレクトロニクス技術を活用したヒューマンインターフェース、 マルチメディア/ネットワーク/インタラクション等の研究・創作・教育などの活動を行っている。 コンピュータ音楽では、作曲の一部として新楽器/新インターフェースを制作するという姿勢で、筋電センサなど生体情報センサ 楽器を含む多くの作品を、国内・世界各地で公演してきた。 1997年ギリシャThessalonikiのICMCで知り合った東野珠実氏のためにオリジナル笙ブレスセンサを開発提供し、1998年 神戸国際現代音楽祭、2001年ドイツKassel/Hamburg公演ではそれぞれ、東野氏に演奏してもらう作品を作曲/初演した。 友人である東野氏のテクニカルサポートとしては、1999年北京のICMC、2001年欧州ツアー、2002年NewYorkツアー、 大会委員長として2004年NIME04(ここには木村まり氏も招聘)などの機会に協力し、今回の万博プロジェクトにおいても この文脈から技術的なサポート、システムエンジニアリング、プログラミングなどの領域で協力している。- 万博・東野プロジェクトへのテクニカルサポート
- 長嶋は1998年に東野さんのために笙ブレスセンサ"IBUKI"を開発、提供 ★ ★ ★ ★ ★ ★
- 東野プロジェクトは「6/3(火) Breathing Media Projects ~Body as Traditional Media~」・「6/6(金) Breathing Media Projects ~呼吸する伝統~」の2回
- "Breathing Media Projects ~Body as Traditional Media~"には、友人の作曲家・木村まり(Juilliard音楽院教授)さん、研究者・Gerard Assayag(フランス国立音楽音響研究所IRCAM)さんも参加
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- パフォーマンスは : "dinergy3"の公演
- デモは、新作"IBUKI"即興、舞楽+呼吸センサ、の2件
- "dinergy2"は20年前(2005)の復刻再演 ("IBUKI"を活用) → 長嶋がライブ・グラフィクスを追加した"dinergy3"へ
- 東野さんと相談して、長嶋は裏方としてシステムデザイン/プログラミングなどを担当 → ライヴ演奏ではステージ袖に乗って即興的共演することに
- 実際の顛末
- 6/3当日、会場で来場者にのみ配布された プログラム
- 前日6/2に大阪入りしたものの、会場は当日6/3の朝のみのセッティングで機材に色々と問題あり
- 結果として、準備したパートは3件のうち1件は全滅、もう1件は半分程度、そして1件がまずまず(100%満足ではない)
- 6/3はこの期間で唯一の強い雨降りの日となり、隣の野外ステージが雨で、その企画までこちらの会場でやるという事態に
- システムは演奏中にcrashしたりしたが、東野氏の即興と卓越した演奏で公演としては好評
- 6/6の「Lecture+Demonstration」の内容が決まったのは前日の朝 → そこから半日でプログラミング → ホテルの部屋でテスト → 動作確認 → USB延長ケーブルが必要 → 日本橋電気街に買い出しに行って調達 → 本番では何とか成功
- 笙のデモについては、呼吸センサでのライヴ・グラフィクスは成功したものの、現場で超小型マイクが断線?して笙のサウンドが途絶えてライヴ・サウンド変容の部分は不発に
- 会場は臨時に現地で組み立てたものであり(当日朝にも塗装していた)、会場での録音・録画の記録は出来なかった
- IRCAMのGerard Assayag氏の音楽生成AIシステムは世界先端の研究だが、その生成する音楽は「どこがAIかわからない」ものだった。これは1990年代前半のChaos音楽システムの「どこがカオスか分からない」という感想と同類であり、Computer Musicの永遠の課題である
6. 質疑応答