長嶋洋一・電子音響音楽作品サンプル
Computer Music作品の形態には、「打ち込み(DTM)」、「切り貼り(電子音響音楽)(Electroacoustic Music)」、「ライヴComputer Music」というようなスタイルがあります。前者2つは最終形態としてCDやmp3になり、最後のものはコンサートホールやクラブでのライブ・パフォーマンスとなります。僕のComputer Music作品はLive Performanceが中心なので、「テープ作品」というのはあまり無い(打ち込みについては完全に皆無(^_^;))のですが、「サウンドデザイン」の講義のサンプルとして、以下のElectroacoustic Music 3作品を紹介しますので、タイトルをクリックして、できればヘッドホンで聴いてみて下さい。
なお、僕のLive PerformanceのComputer Music作品については ここ にYouTubeの記録とともにリストがあります。
Bit Extra Issue
- 4分59秒
- 作曲 1998年
- bit別冊「コンピュータと音楽の世界」付録CDROM収録 (共立出版)
- 相愛大学での公開講座で電子音響音楽を紹介するために、「何か音響の素材をください」と依頼したところ、辻井英世先生が遊び心で現代奏法が満載のフルート独奏曲「 epsia 」 (B4で1ページ)を作曲、研究科の太田里子さんがこれを見事に演奏した録音テープが届いた。これを元に、全てのサウンド素材はこのテープからサンプリングした音響素材だけ、という制約で作曲した作品。
Ogress2
- 10分52秒
- 作曲 1998年
- 「作るサウンドエレクトロニクス」付録CDROM収録 (ASL出版)
- 学生時代から100曲以上の合唱曲を作曲してきたが(こちらは楽譜手書きの古典的作曲)、何度トライしても納得できる作曲とならなかった、草野心平の詩 「鬼女」 をテキストとして、この詩と出会ってから20年かかってようやく電子音響音楽として完成した作品。 サウンドの素材は、この詩を朗読するソプラノの声、東野珠実さんの「笙」のサウンドを慶應SFCのスタジオで録音した音響、素材としていくつかの「水」のサウンド、そして若干の電子音響からなる。
- この作品に学生が 静止画 を合わせたマルチメディア作品はMAF2002で上映発表したが、いまだに「この作品をサウンドトラックとした映像作品」という夢を叶えてくれる学生は出現していない。 誰か、作って欲しい。(^_^;)
Coin's Journey
- 6分42秒
- 作曲 2004年(パリにて)
- 初演 2004年8月23日 『MOTUS Final Concert』 (コンセルバトワール・フレデリック・ショパン、Paris)
- パリに2ヶ月滞在(途中、アムステルダムとリンツにそれぞれ1週間)した際に参加した、アクースマティック/アクースモニュームのワークショップで作曲した作品。最終形態はステレオのCDであるが、これを40チャンネルのスピーカ系統に送出してライプ空間音響を生成する「アクースモニューム」作品として初演した。サウンドの素材は、ホテルの部屋のベッドの上で、ガラス製のコップに1ユーロコインと2ユーロコインをそれぞれ落としたサウンドを録音して、それだけしか音響素材として使わない、という制約で作曲した。
- 帰国後、2005年2月19日 『ACOUSMATIC MUSIC FESTIVAL』 (東京日仏会館エスパス・イマージュ)で再演(日本初演)した。
- この作品をBGMとして利用しつつ筋電センサでライプパフォーマンスする、という改訂版の作品「Coin's Journey-2」は、2004年9月17日 『La Kitchen 公開レクチャーコンサート』(La Temple、パリ、パフォーマンス : 長嶋洋一)として初演した。(ここにYouTubeの記録あり)