京都清華大学 "メディア表現特講1" 第2回 (長嶋)
「インタラクティブなシステムのデザイン」
自己紹介 (興味があれば後日、ご覧ください)
- プロフィール / 個人ドメイン
- 支援した学生インスタレーション作品集
- ジャミネータと遊ぼう
- 「靄夜」(もや)
- 電子十二影坊
- ネジマキウォール
- 宇宙人音楽と人体音楽
- 電気刺激インターフェース
- レクチャー/ワークショップなど 京都 Berlin 浜松 筑波★ ★ Paris Russia★ ★ ★ 京都★ ★ ★ 筑波 Russia★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 藝大 Poland 名古屋
- 初めてのアニメーション制作
- 「筋電センサ」関係
- 「スケッチング」(物理コンピューティング)について
- いろいろ掲載されました ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
- (左端で歌ってます) ★
- Computer Music作品の記録 (YouTube)
- 「Ars Electronica」での招待講演 (Linz, Austria)
本日の話題 (時間がくれば尻切れとなります)
- 「インタラクティブ」とは? 「インタラクティブ・デザイン」とは?
- インタラクティブな「インスタレーション」作品の事例紹介
- メディアアートをデザインする2つのアプローチ
- メディアアートの「お客さん」とは
- 工学「製品」とアート系「作品」との違い
- これらを「文系」でも制作できる理由は?
- 世界的な「オープンソース」文化
- 「IoT」(Internet of Things)と"Sketching in Hardware" Conference
- 「スケッチング」=「物理コンピューティング」=「コンピュータが自然界と対話する」
1. 「インタラクティブ」とは? 「インタラクティブ・デザイン」とは?
※ ここではスマホゲームとかゲーム専用機(Switch等)とかパソコン/タブレットのゲームアプリ等は除外します(出来合いの入出力を使うだけのもの)
- 非「インタラクティブ」
- 絵画、CD/DVD、彫刻、映画、小説、・・・
- 制作に時間をかける → あとは「鑑賞」のみ
- 映像作品(時間芸術) : 出来ることは「スタート」だけ
- 作品は完成していて、毎回必ず同じ
- 作品が「保存」できる
- カラオケ伴奏部分はこれ
- 「インタラクティブ」
- interactive : 「対話的」・「双方向」
- 相互に「働きかけ→反応」 ※有限の時間が必要なので「体験」に時間的要素が生まれる
- その場の偶然性/即興性によって毎回、変わりうる
- 全てのシステムは「入力→(関係性)→出力」で出来ている
- 入力 : センサ
- 出力 : (広義の)ディスプレイ
- 本質的な仕組みは何でも一緒
- 関係性のアルゴリズムでどのようにでも実現できる
- 作品が「保存」できないことが多い (システムが無くなったら・・・)
- 一応「インタラクティブ」風 (ごく簡単な対話性)
- おみくじ/占いGame : 結果は複数用意されていてそこからrandomに選ばれる
- マルチエンディングGame : シーンごとに2択 → 6シーンあれば64通りに分岐
- 「アンケート」方式 : 選択肢の組み合わせに対応して結果は全て用意されている
2. インタラクティブな「インスタレーション」作品の事例紹介
- インスタレーション : 「静止していて鑑賞するだけ」でない造形作品
- テーマパーク、科学館、ゲーセン・・・
- SUAC(静岡文化芸術大学)で学生のインスタレーション作品を350ほど支援
- 詳しくは → こちら (part1〜part6 : 2000年〜2024年)
- ここでは1回生後期/2回生前期の「基礎演習E」の課題作品についていくつか紹介 ★ ★
3. メディアアートをデザインする2つのアプローチ
- ニーズ指向
- 昔ながらのアーティストの姿勢
- 私はこれを表現したい
- 私はこれを伝えたい
- それには何を作ればいいか/何をすればいいか・・・を考えて創造する
- シーズ指向
- メディアアート/テクノロジーアートの新しい視点
- 最初に「種seeds」(新技術/新サービス)ありき
- これを使って何か表現できないか
- これを使って何か伝えられないか
- 新鮮な発想/切り口が勝負
- (例)軍事用から世界に普及した「GPS技術」 → ポケモンGO
4. メディアアートの「お客さん」とは
- メディアアートのMuseumで作品が「展示」されている風景を想像してみよう
- 第一のお客さん : その作品をまさに体験している人
- 第二のお客さん : 次に体験しようと行列に並ぶ人
- 第三のお客さん : その風景全体に気付く通行人
- 作品において「見せ方」が重要になる
- 体験者自身に見せるだけならHMDを被れば十分
- その画像をスクリーンで見せる意味
- テーマパークの行列のデザインにも通じること
- 「体験者と待機行列」の全体を敢えて見せる意義
5. 工学「製品」とアート系「作品」との違い
- 「工学」と「デザイン/アート」の違い
- いずれも「新規性」は重要
- 工学では新規性は「必須」、同じ技術での後追い/真似事では駄目 → 特許/意匠/著作権
- デザイン/アートはちょっと違う
- 発想は同じでも新しい技術/手法を使うことで新規性を主張できる
- 昔は無かった技術をシーズとして活用する可能性
- ただし過去作品のサーベイ(調査/分析)は必須
- 「発想ほぼ同じ。でもこちらの作品の方が、美しい/楽しい/新しい/スマート・・・」という主張はOK
6. これらを「文系」でも制作できる理由は?
- 20世紀のコンピュータ/エレクトロニクス技術の発展
- 微細化、高速化、コスパの向上 : ムーアの法則
- 一人の人間(デザイナ)で出来る規模を遥かに超越してきた
- 階層化/構造化による「ブラックボックス」化
- 「ディジタル」の本質とは「割り切り」(システムの頑健性、論理的に明確)にあり
- 高度な工学的専門性がなくても論理性があればシステムが構築できる
(例)文学部出身の優秀なプログラマ- 「ブラックボックスを繋ぐだけ」の開発
- 「ライブラリを組み合わせるだけ」の開発
7. 世界的な「オープンソース」文化
- 「皆んなで知的財産を共有して皆んなでハッピーになろう」文化
- 日本のエレクトロニクス産業が衰退したのはこの文化に乗り遅れたため
- 以下の用語についてWikipediaなどで調べてみよう
- オープンソース
- フリーウェア / シェアウェア
- PDS(Public Domain Software)
- コピーレフト / コピーライト
- CC(Creative Commons) : 2004年にオーストリアは国全体の指針と発表
- オープンソース・ソフトウェア / オープンソース・ハードウェア
8. 「IoT」(Internet of Things)と"Sketching in Hardware" Conference
- 「IoT」(Internet of Things)の創始者 : Mike Kuniavsky ★ ★
- Mike Kuniavskyが世界中の専門家を招待して開催する国際会議が"Sketching in Hardware"
- MIT、インテル、Google、Microsoft、などのエンジニアも個人として参加
- 研究者/技術者/批評家などの参加者全員がプレゼンする
- 長嶋が参加したのは過去に6回 2008 2009 2012 2013 2015 2019
- IAMASの小林茂さん("GAINER"の生みの親)を経由して招待を受けた
- 最後には全員で「デモ大会」をして交流 2015 2019
9. 「スケッチング」=「物理コンピューティング」=「コンピュータが自然界と対話する」
- 「スケッチング」community : オープンソースを活用しよう
- プログラミング(ソフトウェア)を誰でもできる時代
- ハードウェアのデザインを誰でもできる時代
- Rapid Prototypingによって「発想」をスグに現実化する
- 現実世界とのインターフェースを「試作」する
- 文系でもデザインしよう
- アイデアを具現化しよう
- なんなら「アート」してしまおう
- ボードマイコンでシステムを実現する
- AKI-H8
- Arduino
- Gainer
- mbed
- Raspberry Pi
- Propeller
- コンピュータと「出張所」(ボードマイコン)とでシステムを実現する
- Max
- Propeller
- Unity
- PureData
- Xcode
- openFrameworks
- 「Maker」ムーブメントの魅力