続・Max7日記 (4)

長嶋 洋一


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2017年12月22日(金)

明日から冬休み、という2017年の講義最終日というヘンな区切りで日記が新しいページになったが、この日は朝に目覚める時から何故かテンションが高かった。 というのも、昨日の「インタラクティブプロダクト演習」で、学生たちの制作プロジェクトがいよいよ動き出し、一部学生については僕がサポートしていく、という方向性が出てきたこと、そして今日も2-3限にゼミの山本さんが1106研究室に出てきて作品制作を進め、さらに午後の4-5限では「メディア数理造形演習」の冬休み前の最後の日で各チームがそれぞれ動き出していること、その際に MDW2018ワークショップ への参加と、 時間学会ロゴデザインコンペ への応募を熱く呼び掛ける、という目標があるからだろう。 そして、このテンションから思いついたアイデアを、午前中にササッとやっつけてしまった。

まずは上の画像の下にあるコントローラでサウンドをスタートさせて、さらに画像をクリックして拡大して眺めつつサウンドを聞いてみて欲しい。 これはなんと2000年頃にちらちらっと作っていたシンプルなMaxパッチ(Max2かMax3あたり)で、「random」とMIDI音源だけで自動生成(アルゴリズム作曲)しているサウンドなのである。(^_^)

そして次に、上の画像の下にあるコントローラでサウンドをスタートさせて、さらに画像をクリックして拡大して眺めつつサウンドを聞いてみて欲しい。 これも同様に2000年頃にちらちらっと作っていたシンプルなMaxパッチで、こちらも「random」とMIDI音源だけである。 これら2つのパッチには「seashore」と「forest」という名前を付けていたが、まったく手を加えていない、2000年頃に作っていたパッチが これ である。 これについて、以下にネタばらしと解説をするのだが、このサウンドを録音していたお仕事Mac miniの周囲の風景とデスクトップの様子は以下である。

2000年ころのMacと言えば、まぁMSPは出ていたもののMac自体の非力さから音質等に制限があり、もちろん2002年に発表されたjitterもなかった。 そこでComputer Musicパフォーマンスについては、外部にこの「サウンドキャンバス」のようなMIDI音源モジュールを使用することが一般的だったのである。 今回、Macの内蔵音源で鳴らしてみたが、やはりチープさの本質は変わっていなかった(^_^;)ので、この方法はいまだ現役である。

上のパッチが「seashore」である。 MIDIのプログラムチェンジの上の方(120番台)には、まさに「seashore」という音色があり、これを2トラックを使って、それぞれランダムに、音量、ピッチ、定位(パンポット)に揺らぎをもたせて鳴らしているだけの、まったくもってシンプルの極致のパッチである。 これは、教材として、なかなかイケてると思うのだがどうだろうか。

上のパッチが「forest」である。 こちらもMIDIのプログラムチェンジの上の方(120番台)にある「鳥の声」を、同様にランダムに、音量、ピッチ、定位(パンポット)に揺らぎをもたせて鳴らしているのだが、ポイントはもう1種類の謎のサウンドである。 これは僕のイメージとしては、森林に潜む謎の動物の鳴き声のつもりなのだが、実はこの音色は、「ギターのフレットノイズ」というやつなのだ。 これを通常音域の使い方とは別に、鳴き声イメージで出してみているのだが、どうだろうか。

そして、調べていなかった事を思い出してフト調べてみると、上のように来年のNIME2018は6月初旬ということで、時間学会第10回大会とぶつかるのでNG、来年のICMC2018は隣国の韓国開催であるものの、8月初旬ということで、オープンキャンパスとぶつかってNG、と判明した。 さらにVS-GAMES2018を調べてみると、ここはいつもであるがアルスエレクトロニカとほぼ同時期の9月上旬で、ドイツでの開催だという。 ドイツとオーストリアは近いところは近く、遠いところは遠いのだが、「Würzburg」という知らない都市を調べると、以下の地図のようにフランクフルトからもミュンヘンからも近く、つまりはリンツにも近い都市だと判明した。 ちなみに青いラインを引いたのは滞在した事があった都市である。 さらにCFPを見るとpaperの締め切りは4月末であり、来年度の特別研究への応募結果が出てからなので、これはもう2018年はここらにロックオン、という感じである。

そして、2限から3限まで、ゼミの山本さんが1106で制作を このように 着々と進めて、その後、4-5限の「メディア数理造形演習」に向かった。 そして このように 演習を終えて研究室に帰ってくると、もうヘトヘトである。 心地よい疲労感、というやつだ。(^_^)

2017年12月23日(土)

世間は祝日だというが、そんなの関係ねぇ(死語)。 朝イチでふと、VLCの挙動がおかしいので最新をダウンロードしたのだが、その際に「VideoLAN, a project and a non-profit organization.」という記述を見て、以下のようにPaypal経由で5ドルをdonationした。 いつもお世話になっている(QuickTime Playerで再生できない時にはVLCに投げ込めばほぼ再生できる)オールマイティVideo Playerなので、まぁクリスマスプレゼントという事である(^_^)。 ただし、「御礼」メイル(とユーザーKey)が届くということもなく、本当に匿名の寄付として5ドルが先方に行っただけのようで、つまりVLCは今後もせこいシェアウェア縛りをしない模様であり、さすが、と感心した。

そして、事務局から届いていた以下のメイルの依頼に対応するために、ここ3年ぐらいの講義風景の写真を・・・と思って調べてみると、 これ とか これ とか これ とか これ とか これ とか、けっこうあった。 そこで、ここから適当なものを選んで送ることにした。

現在企画室では、来年度発行の大学案内2019を制作しています。
各学部のページ構成内に、講義をピックアップして紹介するページがあります。
学科会議などでご連絡があったと思いますが、先生方の授業が掲載されます。
つきましては、掲載する授業の写真を提供くださいますようお願いいたします。

ザッと眺めて選んだところでは、 というあたりで、とりあえず以下を推薦してみることにした。 優先度の高い順に4枚だが、「他の講義の写真と雰囲気が似ていて面白くない場合にはより下のものを選んでいただいても結構です。ここはお任せします」とした。 果たしてどうなるか。

そして午前はアポを入れてきた立松さんと「インタラクティブプロダクト演習」の作品制作に関する意見交換と作戦会議を行って、冬休みをまたいで進めていく感じになってきた。 さらに昼休みあたりに、面白い進展があった。 今月上旬の京都での日本音楽即興学会大会で、ようやく封印されてきたT◯Y◯T◯中央研究所との共同研究(実質は受託研究)について このように 発表したが、このネタは来年2月下旬の音楽情報科学研究会、そして3月下旬の電子情報通信学会大会でも発表する予定である。 そこでフト思い付いたのが「論より証拠パッチ」で、音楽的ヒューリスティクスの重要性をシンプルな事例で納得させるために、「ちゃんとハモっていないとどれだけ気持ち悪いか」を突き付けるサンプルを、ごくちょっとしたパッチ変更で実現してみた。

上のパッチはその自動作曲システムのリアルタイム音楽生成部分「NG_Harmony_version.maxpat」で、刻々と選ばれるコード進行に対して、ベースとメロディーは間違いなく正しい音階を自動生成するものの、肝心のアルペジオで鳴っている4和音のそれぞれのノート生成直前に「NG_H」という共通のサブパッチを入れ込んだだけである。 この「NG_H」では、入力されてきたノートに「加算値」を加算して出力した直後に、ランダムで「-1, 0 ,1, 2」のいずれかを次の「加算値」として設定する。 つまりこの追加によって、自動演奏の「コード」(和音)の部分だけ、「半音低い」・「ちょうど正しい」・「半音高い」・「全音高い」のいずれかが、それぞれのコード構成音に対する刹那的なピッチシフトとして作用するので、ほぼ毎回、鳴っている和音だけが表示と異なった「ヘンな響き」がする。 これを聞いてみれば、ごく普通の音感を持つ人であってもかなり気持ち悪く不快になるのだ。 この気持ち悪さにピンと来ないのであれば、音楽情報科学のテーマで研究する者としてはまぁ失格、と断言できる。(^_^;)

そして午後になって、「NG_Harmony_version.maxpat」が和音(コードアルペジオ)の構成音だけズラしてとても気持ち悪くなったのだから、これは他パートでも同様だろう、という発想に思い至った。 そしてものの15分もかからずに、上のように「NG_Scale_version.maxpat」(擬似メロディーのスケール音を同様に刹那的にピッチシフト)、また「NG_Bass_version.maxpat」(ベースの音だけ同様に刹那的にピッチシフト)、というバージョンも完成させた。 それぞれ聞いてみると、異常にズラしていない残り2パートとドラムバートは、きちんとした調性感とビートで鳴っているのに、たまにわずかに「半音低い」・「ちょうど正しい」・「半音高い」・「全音高い」のいずれかに音高を移動させるだけで、全体としての音楽はどうしようもなく破壊されてしまい、かなり気持ち悪く不快になると確認できた。 この気持ち悪さにピンと来ないのであれば、やはり音楽情報科学のテーマで研究する者としては失格だろう。 これは筑波での合宿形式の音楽情報科学研究会でぜひ、皆んなに聞かせてみよう。

2017年12月26日(火)

12/24(日)には某オフで8時間22曲、12/25(月)には アカペラX'mas会2017 で9時間20曲、となかなか充実したクリスマスを過ごして、いよいよ本年最終週である。 2-4限にはゼミ3回生の山本さんが1106で制作を黙々と進めつつ、「インタラクティブプロダクト演習」に関して、午前に平田クン、午後に柴田クンの相談アポも入って並行して進める(木曜日には尾方クンのアポも)・・・という充実の日々が続く。

先週金曜日のラストには、参加申し込みを行った来年3月下旬の電子情報通信学会全国大会(電通大)の発表予稿(1ページ)をやっつけてアップロードまで済ませてしまったが、上の謎のシステム図がメインテーマということなのだ。 発表が前後するが、来年2月下旬の音楽情報科学研究会(筑波)では、この中の左側3ブロックについて詳細に報告するので、両者はかぶっていない、というのがポイントである。 そして、2回生の相談アポを並行して受けつつ、2限から4限近くまで、ゼミの山本さんが1106で制作を このように 進めて材料の買い出しに向かい、充実の1日が終わった。 帰省してアイデアを練る学生も含めて、それぞれ冬休みの制作などはまだまだ続くのだ。

2017年12月27日(水)

今日はゼミの山本さんの作業来訪アポがあるだけということで、某申請のために「SUACインスタレーション」の全4ページを手作業で合体してリンク項目を外して、SUAC学生が制作した作品だけを抜粋した資料として印刷するために こんなページ を作ってみたが、これだとなんと74ページにもなるという事で、さらに泣く泣くインタラクティブ性の低いものを捨てて こんなページ にしてみたが、それでも48ページになり、両面コピーしても24枚という分厚い添付資料が完成した。

そして山本さんが制作を黙々と このように 進めている横で、僕も黙々とお役所書類の作成に没頭して、夕方ようやく完成して、ままよと事務局に提出してしまい、充実の1日が終わった。 明日には1限に「インタラクティブプロダクト演習」に関して尾方クンのアポがあり(平田クンと同様にその足で帰省)、それでぼちぼち2017年は終わりそうである。 年末年始はパソコンも自宅に持ち帰らず、ネットからも完全に途絶して、「笑ってはいけない」から「おもしろ荘」へと、いつもの自堕落な年越しなのだ。

2018年1月4日(木)

2017年の年末は このように だらだらと過ごして暮れた。

1月2日には帰省していた次男(30歳違い)とフタカラ絶唱大会で歌い初めまで済ませた。 2018年、上の「ぼじゅつ」に突入したが、これは僕が年男、それも干支が一巡した戌年である、という事である。 SUACの定年は65歳らしいので、カウントに間違いがなければ2024年3月で退職という事らしい。 朝イチのNIMEコミュニティからのメイルで、Queen Mary and Georgia Techの研究者たちの以下のようなアンケート調査依頼があったので書き込んでいったが、「30分もかかりません」というアンケートは次第に冗長なものになっていき、60%ほど記入していたところで断念(シカト)する事となった。 まぁ仕方ない。

You are receiving this email because of a survey being conducted by researchers at Queen Mary and Georgia Tech regarding 
the practices of audiovisual performers. In particular, we are interested in learning more about how people approach the 
compositional and performative processes in work which involves multiple media modalities. We invite the input of practitioners 
as we work to define a conceptual framework for approaching audiovisual composition and performance, which we hope will 
in turn be useful to the community!
This survey will ask you questions about yourself and your practice, and should take less than 30 minutes to complete. Your 
responses will remain anonymous. The closing date of the survey will be January 10, 2018. We would be very grateful for 
your participation in this study, and if you have any questions please feel free to contact a member of our team.

そして午後にゼミの山本さんの作品制作アポがあるだけのこの日から、音楽情報科学研究会の予行執筆に突入した。 過去には印刷する関係で6ページと規定されていた予稿集の原稿分量の制限がなくなり、「一般発表の原稿ページ数: 2ページ〜 *電子化に伴いページ数に制限はありません*」というルールに変わったので、詰め込む心配なくいくらでも書けるのである。 今回のTOYOTAネタをどこにきっちり書こうか・・・と考えていたが、やはり古巣の音情研がベストだろう。 締め切りの今月下旬まで、時間がある限り、この与えられた「場」に全力投球の予定である。

いつもは怠惰に省略しているサーベイだが、なんせ「自動作曲」という王道中の王道ネタ、1106研究室にある上のような文献を引っ張り出して、せっかくなので全部紹介することにした。 そして夕方までかかってサーベイ部分の第1稿を執筆して、この日は終わった。 こういう感じがしばらく続くことになりそうだ。

2018年1月6日(土)

昨日は終日、音楽情報科学研究会の予行執筆。 末尾の「参考文献」には、研究報告や文献などに加えて、 このページ とか この資料 とか この本 とか このページ とか このページ とか このページ とか このページ とか このページ とか このページ とか このページ とか このページ とかのURLが加わった。 今日も終日、音楽情報科学研究会の予行執筆。 明日も終日、音楽情報科学研究会の予行執筆の予定。

そんな中、「50番目のメルセンヌ素数を発見」というニュースが飛び込んできた。 この素数は2324万9425ケタの これ であり、plain textで23.7MBもある。 上はその冒頭部分であり、横のカーソル位置からその膨大さが分かる。 コードネームは「M77232917」であり、言葉で言えば「2の77232917乗から1を引いた数」ということになる。

2018年1月8日(月/祝)

昨日は終日、音楽情報科学研究会の予行執筆に没頭した。 今日はゼミの山本さんの作業来訪アポがあるだけということで、引き続き終日、音楽情報科学研究会の予行執筆に没頭する予定である。

そして山本さんが制作を黙々と このように 進めている横で、音楽情報科学研究会の予行執筆に没頭し、原稿は既に23ページに到達した。 あと数ページはいきそうであり、これは筑波の研究会で話題になるか物議を醸す予定である。

2018年1月9日(火)

遂にたぶん過去最長の音楽情報科学研究会の発表原稿(29ページ)が完成し、まだ未公開ながら密かに 置いた。 まさに「Maxテクニックの塊」である。 山本さんはいよいよ木工作業ということで1106に出てから工房に向かったがアポ終了予定時刻になっても帰ってこない。(^_^;)

2018年1月10日(水)

昨日の夕方、完成したと勢いづいて情報処理学会のサーバに上げた発表原稿は、打ち上げ気分で自宅で一杯やりながらプリントアウトを眺めていると、軽微なものだけでなく間違いや訂正ポイントが頻発して、改めて全て修正して(;_;)再度、学会サーバに上げた。 これ も修正版に置き換えた。 執筆中は集中していたつもりでも、いやいや執筆作業というのはなかなか難しいものである。

そして上のように、昨日と今日と山本さんはツナギに着替えて木工室で作業したので1106の写真はわずかであるが、着々と作品制作は進んでいる。 今週末の土日はセンター試験でその前日の金曜日は全学休講、そこで次のアポを来週月曜からびっしり入れてきた。 僕も明日1/11(木)の午前には「インタラクティブプロダクト演習」があり、午後にはセンター試験監督者会議の2回目、さらに専門部会と会議が続く予定で、いよいよ後期の終盤の忙しさも全開となってきた。

2018年1月12日(金)

昨日は1-2限の「インタラクティブプロダクト演習」で、生き残り10人のうち僕がフォローする学生がほぼ3人となった事が判明して、個別作戦会議などで午前が潰れた。午後も会議会議で潰れたが、その合間にいつものアレがやってきた。 僕はこれまで、学会誌や雑誌などあれこれ「記事」の執筆以外に、 単行本 を執筆してきたが、またまた見知らぬ会社から、突然の「原稿執筆依頼」のメイルが舞い込んできたのだ。

上は、届いた執筆依頼と原案のうち、差し障りのありそうな部分を切り抜いた情報である。 今回は単著でなく共著、それもえらい多数の著者の中でごく一部、「筋電ネタ」に限定という話である。 「生体情報センシング」というタイトルの書籍であれば、これはもう絶対に依頼されたら執筆するテーマであるが、「デバイス設計開発の指針と最新計測技術」というとちょっとターゲットが微妙なので、そのあたりを質問するメイルを出してみた。 生体センシングのためのデバイスとなると、もはや海外メーカの高性能アナログ半導体の独壇場であり、これから日本メーカが進出する余地は、特許を含めてほとんど絶望的だからである。(^_^;)

この本は僕には1冊献本されるらしいので有難いが、原案を見ると中身は興味ある話題だが、とても自分で買えるものではない。 おそらくAmazonにも出てこない。 なんせ1冊が数万円する書籍なのだ。 この会社は基本的にセミナー会社で、企業の実務担当者が受講者となる、プロ向けのセミナー(参加料は1日で1人5万円程度)を多数、企画開催している企業であり、この書籍はその受講者(企業)に売り込む専用の超高額書籍なのである。 僕も独立してから約7年間のフリー(技術士)の時代は、何度もこの手のセミナー講師をして生計の足しにしていた。 なんせ「技術士標準報酬」というのは1日15万円程度であり、たった1日のセミナーでその報酬を得るのが技術士なのだ。 ただしこの手のセミナー開催のお呼びがいつかかるかは不定期(1ヶ月に1回とか半年に1回とか)であり、またたった1日のセミナーのために2週間ぐらい準備したり調査のために東京に出掛けたり・・・とこちらも大変なのである。

2018年1月15日(月)

先週金曜日に届いた「原稿執筆依頼」については、夕方までにメイルがさらに往復して「執筆要項」も届き、まずまずしっかりしている会社であると確認できた。 これは2月中にはサッサと片付けてしまいたいところだ。 そして土日をびっしり潰してセンター試験監督2日間が無事に終わったが、全国一斉で1秒もズレないように、というあれこれあれこれあれこれ、いやいや疲労困憊した。 全国的にほとんどトラブルもなく、会場の時計が2分遅れているのに試験開始後に気付いてその場で時計を取り替えて正規に終了して2分間だけ試験時間が短くなった愛媛大で再試験となったらしいが、会場の時計を受験生に見せているという、なんともその呑気さに呆れてしまう。 また、先週金曜日に届いた葉書(年賀状にあらず)を受けて、土曜日のセンター試験監督の合間には、心を込めて こんなページ を作って、Webに上げた。 またAmazonでデジタルフォトフレームを注文し、ここの写真を全て入れて3月の沖縄行きに持参して、「じんじん」のママさんにプレゼントする事にした。 そのために130枚ほどの写真に全て手作業でタイムスタンプを入れたりしたが、これは日曜日のセンター試験監督の合間の時間を全て投入して完了した。

今日からの新しい1月第3週で、後期の学期末も終盤戦に突入である。 ゼミの山本さんは今日も明日も明後日も1106制作アポを入れてきているが、水曜日のゼミ集合は最終回であり、来週は4回生の卒制最終合評、その翌週は3回生の総合演習の最終合評である。 そこで今日は、「過去の日記シリーズの発掘」という宿題に取りかかった。 MDWワークショップやBFセミナーに向けて、VPP-SUAC基板についてやっていた事をほぼ忘却(^_^;)しているのを復活させるのと、ちょうど舞い込んだ筋電センシングの書籍原稿執筆とは、かなりリンクしていて、「一粒で二度美味しい」と気付いたのである。 そして30分ほどかけて、まず、最初のVPP-SUAC試作が このページ の「2016年10月31日(月)」から、と判明した。 到着ボードの確認は このページ でやっていた。 その続きは、 このページ の「2016年12月6日(火)」にあったが、「まだどこかにパグが残っているものの」などと書かれていて、たぶんNucleoF401REに書き込んだファームウェアは中途半端だった。 そして翌日の「2016年12月7日(水)」のところで解決していて、NucleoF401REのソースコードもここに置いていた。 その後、「2016年12月10日(土)」で、照岡さんから届いた改訂情報でわずかに改良設計変更して「P板.com」に再発注・・・という展開になったようである。

この改訂VPP-SUAC基板は「2017年1月19日(木)」の段階で納品到着していたが、学期末でいろいろ忙しく、その後TWE-Liteにハマッていた関係もあり、届いた基板を何枚か照岡さんに発送していたものの放置していた。 そして判明したのは、直後に照岡さんから動作OKのメイルが届いて安心していた事もあるが、なんと僕の手元の改訂版のVPP-SUACはそこから何もしないままだったのである。 いま調べてみると、旧版のVPP-SUACはジャンパオプション部分が平坦なハンダメッキであるのに対して、改訂版のVPP-SUACはジャンパオプション部分のハンダが盛り上がっていたので区別できた。 そして、改訂版のVPP-SUACで部品を搭載して実験した基板が手元に1個も無かった、と今日あらためて判明するまで、なんと約1年も塩漬けになっていたことになる。 決して怠けていたわけでもなく、あれこれMax7の周辺で新しい実験も発見も積み重ねてきた2017年だったのだが、これではVPP-SUACを全て忘却するわけだ。(^_^;)

そして奈良学園大学の辻下先生とのメイルで、年度末も年度末、3月31日に奈良学園大学・美ヶ丘キャンパスでバイオフィードバックセミナーを開催、という話が決まった。 年度末の3月31日ならあまりイベントも無いだろう、という読みだが、実は2004年の3月末-4月上旬には、海外からの研究者を日本の桜で歓迎するために関西で 国際会議の連チャン があった。 僕は自分の発表以外はほとんど抜け出して、京都・奈良・大阪・吉野・琵琶湖などの桜の名所を徹底的に網羅したのだった(^_^;) 。 さらに辻下先生は、もう1人とともにMDW2018のスケッチング・ワークショップにも参加してくれるという。 これは素晴らしい情報であり、ますますVPP-SUACの確認作業に拍車がかかる事となった。 以下のマップからクルマで4時間かからないと確認し、事務局に行ってSUAC公用車の借用台帳に記入してから、いよいよ午後に「VPP-SUAC思い出し」に取りかかった。

午後にずれ込む、というメイルのあった山本さんからは「オーブンで熱して固める樹脂を使って製作したいものがあり、まだ下宿です」とのメイルがあり、明日の山本さんアポまで1106への来訪予定がなくなったので、心置き無くの作業となった。 そこで、まずいきなりハンダ付けでなく、以下のように「どこまで出来ていたか」の確認から始めてみた。 ただしXBeeモジュールのシリアル速度からして完全に忘却していて、まず最初に繋いだ状態ではウンともスンとも言わなかった。 久しぶりにWindowsXPマシンを立ち上げて資料ファイルを「秀丸エディタ」で見たり、あれこれ試行錯誤して、なんとか旧版VPP-SUACの載ったNucleoF401REの1枚が38400バージョンだったこと、もう1枚はmbedのサイトからファームウェアを再度書き換えて、 こんな感じ で115200で動くことを確認できた。 ただしNucleoF401REを「USB電源」ジャンパにした上で、USBケーブルをホストPCに繋ぐと動作するものの、「USB充電器」などの外部電源だと何故か動作しない、という現象判明まででストップした。

2018年1月16日(火)

昨日の夕方にはゼミ4回生のうららの進捗報告があり、ホラージオラマからいい感じの映像作品が出来かけている状態を確認できた。 朝イチである海外作家の有名な手描きアニメーション映像作品を紹介して、あと1点(同じ演出の2箇所)だけ改良して、というリクエストを出しておいた。 今日は2-4限にゼミの山本さんのアポがあって、放課後にアカペラという「空いてる日」であり、午前から昨日の宿題の続きに取りかかった。 これまでマイコンの外部電池は「単3×4本を低ドロップ3端子レギュレータで+5V化」というのが定番中の定番だったのだが、最近のトレンドは「モバイルUSBバッテリー」であり、2016年のオーストラリアと欧露ツアーのために僕も購入して活用していたので、これを今回のNucleoF401REでは是非、使いたいのである。 そこで NucleoF401REの解説ページ をまず覗いて、さらに 秋月電子 のページから、マニュアル をゲットして、どうやら「USB外部電源を使うにはジャンパJP1をショート」という情報に到達した。 そこで試しにJP1をショートして手元のモバイルUSBバッテリーを繋いでみると、昨日の不調が嘘のようにきちんと動き出した(^_^)。 これで第一関門はあっさりと突破である。 さっそく「価格.com」に行って、実験用に安いものを選んでSUAC取引業者に8個ほど発注した。

そして午前から午後まで数時間かけて、 このように 黙々と「VPP-SUAC」の量産を進めた。 旧版のVPP-SUACを「CQ用開発」という保存箱に引退させて、昨日の段階で115200で動作確認したNucleoF401REに加えて、過去に38400でやっていた、単3×4本ケースの付いたNucleoF401REも115200にファームウェアを書き換えて、新版では「VPP-SUACは115200」というルールを徹底した。 そして、昨日の1セットに加えて、手元のXBeeで115200に書き込んだペアが全部で計8セットある事を確認して、最終的に合計8セット(うち7セットはモバイルUSBバッテリ、1セットは単3×4本)の量産を完了させてしまった。 まだ手元にたくさんNucleoF401REはあるのだが、当面、バイオフィードバックセミナーでも8セットあれば十分である。 残りの「VPP-SUAC」基板については、筋電電極ケーブルのステレオミニジャックが不足しているので、10枚ほどは「1列ピンフレーム」を並べてみた。 近接した箇所の筋電センシングであれば、基準電極を共有できるので、こちらの方がケーブルがジャングルにならないメリットもある。 NucleoF401REのArduinoシールド用ピンフレームに差し込むピンヘッダは、いつでも付けられるので取り付けはパス、とした。 1日にしてはなかなか進んだものだ。(^_^)

その後、放課後のアカペラに向けて1106研究室のあれこれ移動など準備して待っていたが、間際になってドカドカと欠席連絡メイルが届き、一念発起して、「アカペラ終了」をメンバーに一斉メイルした。 あと4回しかないが、この調子では学期末はもっと酷くなるのは明白だった。 バイトや課題という理由で簡単に休むメンバーというのは元々メンバーではない、という僕の持論は今の時代には伝わらないのだが、まぁ仕方ない。 これ を思い出した。 新学期にアカペラを始めるかどうかはまったく未定だが、何人かのメンバーとのメイルが行き来したところで本日終了となった。 後悔するとすればしばらくしてからだろう。

2018年1月17日(水)

水曜日、ゼミの日である。 来週から最終合評週間になるので、新年が明けて初めてのゼミだが、本年度最終回のゼミでもある。 朝イチで届いたニュースは「エアバス、A380生産中止を示唆」というものだった。 A380とは「前から後ろまで全部2階建て」という機材で、2010年に NIME2010 に行った時に、シンガポールからシドニーまでのフライトで乗ったことがあった。 もはや世界的に大型機の時代ではないのだろう。

そして2限のゼミでメンバー4人の進捗報告と議論、昼休みにはブンちゃんアポ、午後にはゼミの山本さんアポに並行してインタラの尾方くんアポ、その合間に51回目の献血に行き、 このように 山本さんの制作の一部(木工は駄目だが接着剤の技は得意)を手伝ったりして、「ほぼ」1日が終わった。

「ほぼ」というのは、先週Amazonに注文して届いていた、筒井康隆の「残像に口紅を」を、昨日の午後しばし、帰宅してしばし、そして今日の午後しばし、で一気に読了したからである。 僕は高校時代から「筒研」で筒井はほぼ全て読んできたが、いやー歳を取ってもさすがの筒井、素晴らしい長編を一気に読ませてくれた。 この本を卒論にした大学生と卒論にさせた指導教員も凄いが、巻末のこの論文を眺めると、まだまだ甘くて浅いところがご愛嬌だった。 そんな程度の日本語力では、筒井康隆は済まないのである。

2018年1月18日(木)

午前の「インタラクティブプロダクト演習」は1106研究室で待機対応、ということで学生それぞれの進展に任せる時間となり、あとは昼休みから3限にゼミ山本さんアポ、4限は学生委員会、5限はデザイン学科会議、と埋まっている1日である。 そして今朝、届いていたのは、毎年この時期に届く、9月のアルスエレクトロニカのエントリー募集であった。 ただしチラッと見てみると、なんと部門がたった4つに、それも「u19」はオーストリア国内の若者限定なので一般open公募はたった3部門、メディアアートの世界最大のコンペの筈であったアルスエレクトロニカも、賞金のスポンサー減少によるリストラに追われているのがよくわかる。

「u19」以外の一般open公募の3部門の一つは、かつては「Visual Effect」だった「Computer Animation」カテゴリであるが、ここはシーグラフともろかぶりしている。 そして既に"Computer Sound"や"Digital Music"などのサウンド/音楽部門はとっくに消滅していたが、「バイオアート」も「ハイブリッドアート」も消えて、あと残った2部門とは、「Interactive Art +」という部門と、あと「Digital Communities」という部門である。

「Interactive Art +」という部門で「エントリーできるものの例」としてあるのは上の6項目で、要するに最後の「+」によって、なんでもあり、という形にしているようだ。 問題なのは「Digital Communities」の方で、「エントリーできるものの例」としてあるのが以下の多数の項目である。 昔の「.net」などから発展して、21世紀はインターネットの時代なので、そこらに絡むもの、さらに政治的・社会的・文明的なものは全てここなのだが、なんとさりげに最後に「AI, Machine Learning」まで加えているところが実にズルい(^_^;)。 ちょっとアルスに行っていない間に、だいぶ変わってきているようである。 いっそのこと、「Interactive Art +」部門の「innovative interfaces, robotics, software, apps」部門に、VPP-SUACで何か作ってBFネタで出してみようかな・・・という気になった。 エントリー締め切りは3月2日である。

2018年1月19日(金)

昨日は日記に書く余裕もなく過ぎ去ったが、「インタラクティブプロダクト演習」で僕が担当している3人はそれぞれ着実に作品制作を進め、山本さんも制作作業を進めていた。 そして今日は4-5限で、ようやく1ヶ月のインターバルをまたいで「メディア数理造形演習」が再開する。 そこで午前中に、「思い出し」と「8台量産」まで済ませた、改訂新版のVPP-SUACシステムのMax7側プログラムについて、「Arduino2Max」で手慣れてきたシリアルポート周辺を改訂した「VPP-SUAC_03」というバージョンに改訂させて、以下のように記録をYouTubeにも上げた。 昨日はモバイルUSBバッテリー8個の納品もあったので、これで MDW2018ワークショップ への題材提供の環境も整った。

                 

YouTube

そして4-5限の「メディア数理造形演習」では、各チームの制作と電子工作キットの課題を このように それぞれ進めて、充実の1日となった。 あれこれ進みつつ、さらに来週に向かっていく。

2018年1月20日(土)

朝、大学に出てきて驚いたのは、SUACの西ギャラリーの向かい側、ファミマと結婚式場の間のところで去年から建物の建築工事をしていたのだが、その壁面に「SANARU」の文字が現れたことである。 大学の真ん前に佐鳴予備校が来たのだが、ネットで調べてみると小・中学生を対象としているようで、SUACのお隣の東小学校がメインターゲットらしい。 SUACが開学してから、真正面になにやら「お城」のような建築物が建ち始めた時にはラブホかいな・・・と心配したら、建ったのは結婚式場のチャペルで安堵したものだが、今度は学習塾である。 いやいや驚いた。

 

2018年1月22日(月)

1週間後にサンカラ(謎)を控えて、昨日は練習がてらイワカラ(謎)への初参加に東海道線に乗って遠征した。 アカペラが終了して歌う機会が減った(学生は多忙期で誘っても誰も反応しない(;_;))が、19曲でかなり突っ込んだので声帯の一部に一時欠損領域が出るほど頑張った。 4人部屋で僕がたまたまDo As Infinityの「柊」を入れて、次にスピッツ「楓」、さらに星野源「恋」が入ったところで突然に「漢字1文字縛り」の意地張り部屋へと変貌して、なんと以下のように14曲も漢字1文字の曲が続いた。 その後ギブアップして縛りが解けたものの、入れ替えで部屋に入った人がさらに数曲、カブらずに漢字1文字の曲を歌い続けた。 日本語というのは素晴らしいもので、タイトルが字1文字の曲というだけで何百曲にもなるのだ。 そして僕は最後に、タイトルだけでなく歌い手も1文字の「雪」「猫」というのを入れた。これはレアだろう。 バーボンのワイルドターキー(50.5度)を持参してコークに垂らしながら6時間を堪能できた。

 

そしていよいよ後期も大詰めの月曜日である。 この日は学生4人のアポがかなり重複しつつ埋まっているが、以下のように準備して、先週に作ったVPP-SUACについて「きっちりとまとめる」ことを思いついて、ほぼ1日かけて このページ を全面改訂・大幅拡充した。 特に、これまでまとめていなかった「VPP-SUAC」について、「この情報で誰でも再現追試できる」ための情報を全て盛り込んでみた。 MDWワークショップやバイオフィードバックセミナーではメインで紹介するとしても、これはまた、どこか学会とかで宣伝しないといけないなぁ。

2018年1月23日(火)

昨日の昼前から夕方までのゼミ・山本さんの制作の模様と、夕方にやってきた「インタラクティブプロダクト演習」の立松さんのインスタレーション作品のためのセンサ(ネオジム磁石を高感度磁気センサでセンシングしてArduino2Maxでホストへ)システムの開発の模様は、 このページ にずらりとある圧巻の写真を参照されたい(^_^)。 ちなみに写真はないものの、5限には「メディア数理造形演習」のチーム「インタラ映え」の福地さんが1106に来て、jitterで背景画像の手前で透過PNG画像をアニメーションさせる・・・というMaxプログラミングのtemplateを完成して引き渡す、というのもやっているのである。 なかなか頑張った。

そして昨夜、またまたヤフオクで500円でゲットしたジャミネータを1106研究室に持ってきた。 今回のジャンクには、ヤマハのマニュアルなどの貴重な資料も付いていたので、 このように 写真を記録として残してみた。 ジャミネータを開発した、米国デザインスタジオIDEOのデザイナーの顔写真も印刷された箱だった。 そして午前から山本さんが1106に来て制作を このように 進める横で、さらに このページ の「Arduino2Max」と「Arduino-USBMIDI」のところなどを大幅拡充した。

2018年1月26日(金)

水曜日は終日、 メディア造形学科「卒業制作」 最終合評 だった。 「メディア造形学科」としての最後の学年にふさわしく、力作が並んだ。 中でも圧巻だったのは、 八代晴花さんの作品 である。 これぞメディア、これぞSUACの底力である(^_^)。 本人がプレゼンの際に見せてくれた「メイキング動画」も圧巻であり、依頼しているので、届いたら追加する予定である。

そして昨日の木曜日は、1-2限の「インタラクティブプロダクト演習」でサポートしている3人のうち、特に尾方クンの支援を このように 進めた。 もちろんゼミの山本さんも午前から午後までアポを入れていて、ひたすら1106で制作を進めた。 午後のデザイン学部教授会・大学院教授会で僕が留守にする間も留守番しながら制作を進めた。 さらにゼミの西村クンから進捗とデータを受け取り、1106にあったハレパネを提供して、1106のプリンタでEPSON「クリスピア」という高級な写真用紙に作品紹介画像の印刷を進めた。

これと並行して、 このページ から「VPP-SUAC」に関する部分だけをコピペ切り出したHTMLを作って、 こんなページ も作ってみた。 これは今後、3月の仙台でのHCS研究会での発表に繋がるという布石である。 また、2月3日に東京に日帰りで行く、OGの見崎央佳さんの結婚式で、主賓でスピーチを依頼されているので、そのプレゼンのために過去の写真などを発掘してKeynoteにまとめる・・・という作業も開始した。 やってみるとあれこれ思い出して懐かしいが、昨日だけで終わらず、今日まで持ち越しとなった。

・・・そして午前中かかって、上のように修了制作を追い込む勇姿までの「見崎央佳・紹介プレゼン」データがなんとか完成した。 時間オーバーは必須なので(^_^;)、どんどんはしょって見せることにしよう。 さらに昼休みには八代さんからの メイキング動画 も届いて、YouTubeに上げて このページ に追加した。 昼休みには西村クンがハレパネとプリントアウトを取りにきて、こちらも来週水曜の発表に向けて大詰めである。

午後には「メディア数理造形演習」でマルチメディア室に行ったもののスグに1106に戻り、山本さんが作品制作を進める横で、電子工作キットの製作チェック検収、ケース穴あけや改造USBキーボードの手伝い、そしてデータが届いた 高田花波・卒制作品 のWebマンガを上げたり(17本のHTMLファイルを全て手作業でUnicodeからEUCに変換)して、さらにチーム「インタラ映え」のスイッチボックスを このように 作っていると、あっという間に時間が過ぎさった。 充実の1106研究室である。(^_^)

2018年1月27日(土)

今週は昨日まで、まさに怒涛の1週間で各プロジェクトが進んだが、まずトップパッターとして、ゼミのうららの卒業制作が無事に完成したのは収穫だった。 朝イチでうららから、映像作品とプレゼン等をアップローダに上げた・・・というメイルが届いたが、2GBを落としてzipを解凍しようと叩くとエラーが出た(;_;)ので、再チェックを依頼した。 そしてこれ以外に、今月中の発表に向けて僕がサポートする案件として抱えているのは以下の9プロジェクトである。 そして昨日は大詰めでチーム「インタラ映え」のスイッチボックスなどを このように 作ったが、同じ時間帯にチーム「メディアなんたら」とチーム「shy」のメンバーが1106にやってきて、それぞれ作りかけのMaxパッチのトラブルの相談を持ちかけたので、「パッチを受け取って相談(改良)内容をメイルでもらって、この週末に解決して提供します」と宣言していた。 そこで、午後に立松さんの追い込みアポを入れた上で、それまでの時間に、この2件に取り組むこととなった。 せっかくなので、「Max7日記」らしく、その経過をここにメモしていくことにした。 まずはチーム「メディアなんたら」である。

先ほどお渡ししたmaxパッチについてです。
前に作っていただいたパッチの映像を1種類から4種類(最終的には6種類程度の予定です)に増やそうと
思っていじったのですが、スイッチを切り替えたときの記述をどうすればいいのかわからなくなってしまいました。
スイッチにも反応しなくなっています

スイッチを踏む→ランダムで選ばれた映像1が出る→途中で足を離す→その映像の2が流れる
という風にしたいです。また、映像1が最後まで再生された場合も映像2が続くようにしたいです。

それから、最初に指定するスイッチの名前の確認の仕方がわからないので教えていただきたいです。

上が、渡された「うまく動かないMaxパッチ」と、リクエストのメイルである。 中身としては簡単であるが、やはり学生は細かい「コツ」の部分で壁に当たっているのがよくわかる。 あと少しでその壁を越えていくと、素晴らしい「なんでも作れる」世界が拡がっているのだ。 「スイッチに反応しない」というのと「最初に指定するスイッチの名前の確認の仕方がわからない」というのは同じ事実なので、まずはこれをスッキリさせることにした。 「arduinoSerialreader」というサブパッチの中で、「Arduino2Max」のスケッチを書き込んだArduinoとシリアル通信しているのだが、「接続されている周辺シリアルの一覧」をMaxコンソールウインドウに表示させるための「print」を外に出した。 これにより、上の2つの疑問は、「arduinoSerialreader」を改訂した上で、以下のような手順で解決する。

    1. パッチを開く
    2. Maxの「Maxコンソールウインドウ」も開いておく
    3. 「arduinoSerialreader」というサブパッチの右端入力の「print」を叩く
    4. Maxコンソールウインドウに「serial = ******」というのがズラズラと出てくるが、そのうち「usbserial***」または「usbmodem***」と書かれているのが、スイッチをセンシングするArduinoである
    5. 「arduinoSerialreader」の中央入力にあるメニューウインドウから、そのArduinoの指定を選ぶ
    6. 以上でスイッチ入力のためのArduino指定は完了
    7. 「arduinoSerialreader」の左端入力のトグルを叩いてON(□の中に×が出る)にする
    8. これで動作開始(^_^)
    9. スイッチの状態は「arduinoSerialreader」の出力のトグルに表示される(スイッチ無しの場合にはここを叩いて実験できる)
あとのバグは、「arduinoSerialreader」の出力のトグルを受ける「change」にあった。 「change」の左端出力は、入力に変化が起きた時に、その数値(int:整数)を出力する。 これを「random」の入力に入れると、「random」は数値でなくbangを受けるのでエラーとなるのである。 そこで「select 1」を入れると、これは入力が変化して1になった時にbangを出すので、無事に「random」を叩けるのだ。 そして動画の制御のバグに取りかかったところで、「仕様不足」が判明した。 そこで以下のようにメイルを出して、とりあえずチーム「メディアなんたら」の作業を棚上げした。

長嶋です。一つ、質問です。

> スイッチを踏む→ランダムで選ばれた映像1が出る→途中で足を離す→その映像の2が流れるという風にしたいです。
> また、映像1が最後まで再生された場合も映像2が続くようにしたいです。

条件が2つ、不足しています。

(1)
スイッチを踏んで、映像1が最後まで再生されてそのまま映像2が続いた時に、そこから足を離したら、どうなって欲しいでしょうか。

(2)
スイッチを踏んで、映像1が最後まで再生されてそのまま映像2が続いて、映像2の最後まで行った時には、どうなって欲しい
でしょうか。(さらにその後に足を離したら、どうなって欲しいでしょうか。)

この仕様が不明なので止まっています。
回答よろしくです。

そして、チーム「shy」の方に取りかかったが、こちらは以下のように、まず手元にreacTivisionが無い状態で、さらにあれこれ欲張ってエラいことになっていた。 普通の「lcd」オブジェクトとjitterとの共存というのは有り得ないので、こちらはトラブルの部分だけというより、基本的なシステムの仕様を問い合わせる必要があるのかもしれない。

チームshyです。先ほど渡したデータで、わからない点が二つあります。

1.動画がreacTIVisionを反応するたび再生してしまう
	→1回反応したら最後まで動画が流れるようにしたい

2.reacTIVisionが2つ反応すると、動画が2つ重なって表示してしまう、動画が切り替えされない
	→動画切り替えできるようにしたい、パッチをクリア(?)してから再生したい

今現在このような問題点があり、方法がわからず困ってます。教えていただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

そしてパッチを開いて眺めてみたところで、やはり、より重大な「仕様不足」が判明した。 そこで以下のようにメイルを出して、とりあえずチーム「shy」の作業も棚上げした。

長嶋です。Maxパッチを見ていますが、質問です。

> 1.動画がreacTIVisionを反応するたび再生してしまう→1回反応したら最後まで動画が流れるようにしたい
> 2.reacTIVisionが2つ反応すると、動画が2つ重なって表示してしまう、動画が切り替えされない 
>→動画切り替えできるようにしたい、パッチをクリア(?)してから再生したい

よくわからないのですが、reacTIVisionをセンシングした時に、lcdの画面に何かを描画したり消したりという処理と、
reacTIVisionによって動画を切り替えようとしているように見えます。この動画をどこに出すのでしょうか。

最後まで動画が流れるとか、動画切り替えというのは簡単なのですが、全体としてゴッチャになっていて何をしようと
しているのか、という基本的なところが不明なので着手困難です。(^_^;)

そして午後に立松さんがやってきて、ちょっとアレコレあったものの、以下のように2時間ほどで、無事に企画していたような作品に向けてフィニッシュワークに突入できるところまで進展した。 これで西村クンと合わせて、9件のうち2件だけはとりあえず「見えた」ことになる。 明日はサンカラで終日不在であるが、いよいよ来週のフィナーレに向けて、がんがん進めていくことになる。

そして夕方になって、チーム「メディアなんたら」から以下のように問い合わせの返信が届いた。 これで仕様はスッキリしたので、あとはサクッと作るだけとなった。

どちらの場合も足の離れたタイミングに関係なく映像2を最後まで流して終わりで良いです。
次に踏んだらまた次の映像がランダムで始まってほしいです。

そしてここから1時間以上、苦闘したが、なんとか仕様を実現することが出来た。 以下のようにスッキリとまとまり、動作もYouTubeに上げて、あとはチーム「メディアなんたら」に任せるだけである。 今日もまたまたMax三昧で過ぎていき、明日は久しぶりのお楽しみ日を心から堪能できそうだ。(^_^)

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2018年1月29日(月)

前日のサンカラオフでは、直前ウォームアップ2時間ヒトカラで24曲、そして本編で16曲と堪能できたが、かなりの疲労感とともに新しい週がスタートした。 朝イチの1限から柴田クンのアポが入っていて、明和電機の「オタマトーン」をバラしてスライドセンサを取り出してArduinoに取り付け、貸し出しのフットスイッチと合わせて「ダブルArduino」のシステムが完成した。 まだ造形が途中で、さらにMaxパッチの仕様が決まっていないので、5限にまた来るということでとりあえず完了した。

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そして2限にはゼミの山本さんが1106に来て制作の追い込みをしている傍らで、チーム「shy」から届いていた確認返信を受けて、上のようにreacTIVisionでアメーバごとに異なる動画を出すことに成功した。 頻繁にjit.qt.movieを切り替えるとMaxがクラッシュするので、不応期を設定しているところが苦肉の策である。 そして、さらに過去のreacTIVisionパッチを発掘して、登場したアメーバと消え去ったアメーバの個数を比較することで、「アメーバが無い時には黒くする」という仕様も追加したのが以下である。 ただし、おそらくreacTIVisionとjitterとの相性によるバグのため、以下のようにしばしばMaxがクラッシュする(^_^;)。 これはreacTIVisionの問題なので、ちょっと解決困難であるのが悩ましい。 どうするか、チーム「shy」と相談である。

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そしてあれこれあれこれ朝から晩まで、 このように 頑張って進めて、1日が終わった。

2018年1月30日(火)

今日も1限からアポが入ってギッシリのところ、バイトで徹夜したブンちゃんからメイルが届き、1106は朝8時からスタートした。 プンちゃんが描いた、認知症リハビリゲームのための画像を受け取ってみたが、Googleマップの風景画像を2値化したものは、jitterでキャラと重ねるには困難がある・・・と判明して、キャラの部分だけを可愛いものに差し替えてみた。 その後、昨日にほぼシステムが完成した尾方クンがYMOのサウンドデータを持参してやってきて、こちらも午前中でほぼ「自力追い込み」できるところまでサポートした。

ゼミのうららの卒業制作作品も今回は無事にアップローダ経由で届き(計2GB!)、上のような映像作品を このように 、そしてプレゼンも このように 上げた。 「おまけ」ということで、 こんなデータ も届いたのだが、これは需要があるのだろうか。 とりあえず研究室ページに小さく置いてみた。 そして、午後のゼミ山本さんアポに重ねてメイルでチーム「インタラ映え」の緊急アポが入ったので、まずは以下のようにブンちゃんに経過のYouTubeを知らせてみた。 「生体情報センシング本」の原稿執筆もあるのだが、ちょうど半分、前半を書き終えたところでストップしている。

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そして、いくつものアポを受けつつ解決しつつ、「生体情報センシング本」の原稿執筆もそこそこ進めて、 このように 頑張って進めて、1日が終わった。 いやいや、これで明日は「総合演習I」の最終合評、明後日は「インタラクティブプロダクト演習」の最終合評、その翌日は「メディア数理造形演習」最終合評からMDW展示設置・・・と雪崩のようにタイトなスケジュールが続く。

2018年1月31日(水)

今日は終日 このように デザイン学科「総合演習I」最終合評が進んだ。 ゼミの西村クンも山本さんも無事に発表できて、山本さんのロボットもこんな感じ でなんとか動いた。

そして夕方には、「メディア数理造形演習」のチーム「メディアなんたら」から、以下のようにマルチメディア室での発表の目処が立った、という嬉しいメイルが届いた。 MDWの西側ギャラリーにはこのような棚はないが、とりあえずおおいなる進展である。 明日の「インタラクティブプロダクト演習」と明後日の「メディア数理造形演習」と、あと2日はまだまだプレゼン大会が続くが、まず今夜は軽く乾杯モードである。

2018年2月1日(木)

午前中は このように 「インタラクティブプロダクト演習」最終合評があった。 僕がフォローした3人も、 立松さん柴田クン尾方クン、 と無事にアピールできた。

   

午後には「メディア数理造形演習」の2チームをマルチメディア室で応援して方向性が出て、あっという間に終わった。 明日は最後となった「メディア数理造形演習」の最終合評があり、その後半の5限にはギャラリーに設置のため、10数台のiMacを移動することになる。

2018年2月2日(金)

長かった学期末の週も金曜日になった。 既に忘却の彼方にあった、日本音楽知覚認知学会が30周年として出す「音楽知覚認知ハンドブック」に寄稿していた件では、僕が執筆した第6章の責任者である岡山大の小川先生から、以下のようなメイルが届いた。 しかしこの本の場合には、おそらくかなり高価な書籍であり、ボランティアの執筆者には現物が届くこともなく、僕が実際に自分の担当記事を見ることがあるのかどうかは不明である。(^_^;)

日本音楽知覚認知学会創立30周年記念出版 「音楽知覚認知ハンドブック」第6章執筆者各位

お忙しいところ失礼いたします。おかげさまで,私たちの章(=第6章)のすべての修正原稿が集まりました。
締め切り日にご協力くださり,本当に有難うございました。
第6章担当者でチェックをさせていただき,さきほど,監修の先生がたにお渡しいたしました。
このあと,監修の先生方,あるいは北王子書房からの何らかの指摘があがってくるかもしれません。
そのときには,改めてご連絡いたします。
あともうひといき・・です!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
「御礼メール」でした。

そして午前中には SUACインスタレーション(4) のページに昨日までの4作品(山本・立松・柴田・尾方)を追記した。 あと「メディア数理造形演習」で2チームほど追記できる予定である。 午後には「生体情報センシング本」の原稿をさらに書き進めてみた。 そして4限から このように 「メディア数理造形演習」最終合評、さらにMDW展示のためのギャラリー設置があった。 もうヘトヘトである。(^_^;)

2018年2月6日(火)

先週土曜日は東京・恵比寿に日帰りでOG見崎さんの結婚式に行き、日曜は休養日、そしてもう新しい週も火曜日である。 昨日は、先週末に提出した「生体情報センシング本」の原稿のOK連絡も届き、こちらは一件落着となった。 そして終日、3月の電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーション基礎研究会(東北大学電気通信研究所)での発表の予稿の執筆に取り掛かり、これは今週中に完了したいと没頭モードなのである。 そんな朝、「藤井聡太五段が昇段後初対局で南九段に大逆転勝利」というニュースに遭遇したが、230手という長さとともに、そのスッカスカな投了の盤面に驚いた。 画面で頭を下げているものの勝ったのは藤井5段であり、南9段の駒台からは載りきらなくて駒が落ちている(^_^;)。 いい時代で、 棋譜 でその死闘を簡単に追いかけられたが、何が何だか分からなかった。

そして朝から呼吸もせずに(嘘)集中して、遂に午後2時頃に予稿は完成した。 電子情報通信学会のサーバは、今どき信じられないが原稿PDFになんと2MBというショボい容量制限があり、画質を落としたもの(1.8MB)をようやくアップしたが、 こちらの方 は9.7MBと高画質である(^_^;)。 いつもの事だが、まだプリントアウトを読み返すとバグが見つかるものの、いったん学会に原稿を出すともう気抜けして今日は仕事にならないので、夕方には暇潰しに医者に行くことにした。 高脂血症治療薬クレストールの副作用のため自主的に服用停止して半年経過したところで、「副作用のない別な高脂血症治療薬ください」という無理難題の相談のためである。

2018年2月8日(木)

昨日の午後にはビジュアル・サウンド領域の「映像コース」の3回生「総合演習I」の最終合評があり、予定を1時間半も超過する20時過ぎまで寒い講堂で20人の作品を鑑賞した。 色々と思うところもあったが(林クンにはぜひ このDVD を買って勉強して欲しい)、新生・デザイン学科の1期生のパワーは健在だった。

 

さらに昨日、3月の仙台での電子情報通信学会研究会のついでに、チラッと半日ほど抜けて、またいつもの「松島観光船」に乗ろうかな・・・と調べていて、ショッキングなニュースに遭遇した。 なんと、糞害防止のため、松島湾観光船の最大の楽しみ、船の周りを飛ぶカモメにかっぱえびせんを差し出して空中で掻っ攫っていく・・・というアレが禁止になったというのである。 アレが無ければ牡蠣はあるもののなんの松島かわからず、一気に萎えてしまって、松島行きは幻となった。

そしてあれこれ予定の詰まった今日は、朝にニュースをチェックしていると、「細胞が音を聴く? -音により細胞に遺伝子応答が起こる可能性を示す」という京大の面白い研究の話題があった。 これ がその論文、 これ がそのニュースリリースであるが、「可聴域音波が細胞レベルでの応答を引き起こすかどうかを、細胞の遺伝子応答に着目して追究した。様々な種類の細胞に様々な音波を当て遺伝子解析を行ったところ、細胞によっては特定の遺伝子群のはたらきが抑制されることや、その応答レベルには音の大きさや波形などの特徴が大きく影響することを明らかにした。中には抑制応答が見られない種類の細胞もあることから、分化など細胞の状態によって、音に対する応答の仕方が異なると考えられる」とのことで、アフォーダンス生物学から「お母さんの声が胎児に伝わる」まで、色々と発展しそうな話題で、要注目である。

2018年2月9日(金)

明日のMDWワークショップの準備をしつつ、手元の3台のMacで次第にバージョンがずれてくるのを整備したり、「Arduino2Max」を本格的にライブラリ化していたところ、午後にフラッとやってきたのは、かつてゼミ→大学院まで指導した、リュジュンヒー(柳俊煕)君だった。

彼は交換留学で韓国・ホソ大学から3回生後期・4回生前期にSUACメディア造形学科に来て、4回生前期の総合演習IIでは、もう一人のイーギョンフン君(改造三味線でパフォーマンス)とともに僕のゼミで頑張り、「カラーオーケストラ」という力作のインスタレーション作品を制作発表した。 そして韓国に帰ってホソ大学を卒業後、僕のところに弟子入り志願してSUAC大学院に来て、2年間、みっちりとエレクトロニクスやプログラミングを学んで、院生として「Sand Art」や「パラパランプ」や「POMPOM」といった作品を制作して卒業(修了)した。 その後、日本国内での就職を目指して頑張り、岡山のインスタレーションなどを手掛ける会社に就職した・・・という情報まであったが、なんと今回、3月に韓国で結婚式をする、という事で浜松に来たのだという。 学生時代から付き合っていた、国際文化学科の彼女と成就した結婚なので、出会ったSUACのある浜松に婚姻届を出しに来たのである。 彼のいろいろな仕事はここでは書けないものの、おいおい届いたら講義の中で学生(彼の後輩たち)に紹介していこう。

そして4限には、アポを入れていた野田クンと柴田クンが1106に来た。 野田クンの映像作品を観て、参考となる先輩の映像作品を資料として2点ほど渡して、次の飛躍を期待した。 柴田クンは、「インタラクティブプロダクト演習」の最終合評の段階では素材が丸裸だったところをきちんと怪獣の表皮を制作してきて、 このように カッコイイ作品に進化していた。 さっそく SUACインスタレーション(4) のページにも加筆して、これは明日のワークショップでも生きた実例として紹介することにした。 やはりフィニッシュワークへの拘りというのは重要である。

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その後、卒制で圧倒的な力作を発表した八代さんが1106にやってきて、卒展での展示に関する機材準備を全面的に応援する・・・というあれこれを進めた。 なんせ 圧倒的な力作 である。 おねだりして メイキング動画 ももらったし、なにがなんでも協力したい大好きな作品なのだ。(^_^)

2018年2月12日(月)

一昨日と昨日は、MDW2018スケッチング・ワークショップということで、精鋭9人が 1日目2日目 とにわたって、充実の2日間を過ごした。 それぞれの内容は(1日目のレクチャーは冒頭に、2日目の各チームの作品発表YouTube動画は末尾に)、これらの記録の中にあるので参照されたい。 長谷部さんと照岡さんと学生3人が製作した力作「 4人が足で行う鬼ごっこ 」は、TouchMIDI32を活用した面白い作品となった。

上は、Bチームの作品「 極める気功道 」を構成した3台のMacによるシステム図、さらに2台のMacの2画面のスクリーンショットとサウンド用のMacのパッチである。 動画用のプロジェクタは台の上で横倒しに固定し、作った画像は上下さかさまだったのでjitterで反転させている。 3台のMacを同時使用するためにOSCを活用し、一昨年の「インタラクティブプロダクト演習」の際に作った、「導電ゴムによる両手12点(指10本+掌2点)静電タッチArduinoセンサ」を活用することも出来て、たった数時間でここまで完成したのはなかなかの手応えとなった。

その後、今回は講師でなく一参加者としてSUACに来てくれたRAKASU PROJECT.さんから、撮った写真と動画がGoogleドライブ経由で送られてきた。 とりあえず写真は上のようなものである。 そして、受け取った動画としては以下の11本ということになった。

2018年2月13日(火)

昨日の竜王戦初戦、渡辺明vs永瀬拓矢は189手とはいっても グダグダな将棋 で、なんともイマイチだった。 その一方で、今週の土曜日は「朝日杯オープン」があり、いよいよ羽生善治vs藤井聡太の初めての公式戦となる。 以下のように両者は準決勝で当たるが、順位戦C級2組を無敗で抜け出して4段から一気に5段となった藤井聡太はここで優勝すればあっという間に6段になってしまうという、「超短い5段期間」という現在の日々なのである。

そして、これまで両者は非公式戦で1勝1敗だった・・・という事だけしか知らなかったので、改めてネットでその2局を鑑賞してみて驚いたが、いやいや凄いことになっていたのだ。 特に、王者の羽生がいずれも居玉でスタートするあたり、内なる意地を垣間見た気がした。

羽生善治が先勝

上の将棋は両者の非公式戦初戦。 先手の羽生が分厚く攻めるものの、藤井の受けが尋常ではない。 これは凄い、と感じさせる圧巻の将棋だった。

藤井聡太がリベンジ

上の将棋は両者の非公式戦2戦目。 先手の藤井の別世界のような攻めに羽生は完敗である。 いやいや藤井聡太とは恐ろしい中学生なのだ。

■2月20日(火)■
◇一般講演: 音声生成・合成 [12:30-13:45]
(1) Distilling Knowledge from a Multi-scale Deep CNN Ensemble for Robust and Light-weight Acoustic Modeling
   Michael Heck,Masayuki Suzuki,Takashi Fukuda,Gakuto Kurata,Satoshi Nakamura

(2) Positive Emotion Elicitation in an Example-Based Dialogue System
   Nurul Lubis,Sakriani Sakti,Koichiro Yoshino,Satoshi Nakamura

(3) Application of the Velvet noise and its variant for synthetic speech and singing
   Hideki Kawahara

◇招待講演 [13:55-15:55]
(4) Recent Advances in our Neural Parametric Singing Synthesizer
   Jordi Bonada,Merlijn Blaauw

(5) Tacotron: End-to-end high quality speech synthesis
   Yuxuan Wang

◇一般講演:音声合成・認識・対話 [16:05-17:20]
(6) Investigation of WaveNet for Text-to-Speech Synthesis
   Xin Wang,Shinji Takaki,Junichi Yamagishi

(7) Stealing your vocal identity from the internet: cloning Obama's voice from found data using GAN and Wavenet
   Jaime Lorenzo-Trueba,Xin Wang,Junichi Yamagishi

(8) Generating Segment-Level Foreign-Accented Synthetic Speech with Natural Speech Prosody
   Henter Gustav Eje,Jaime Lorenzo-Trueba,Xin Wang,Mariko Kondo,Junichi Yamagishi

◇一般講演: [MUS 生成・認識] [17:30-19:10]
(9) Songle Sync: 音楽に連動させて多様なデバイスを大規模に制御できるプラットフォーム
   尾形 正泰,井上 隆広,加藤 淳,後藤 真孝

(10)MIDI2Pose: 鍵盤演奏情報を用いたオンライン演奏動作生成
   Bochen Li,前澤 陽

(11)自動運転車のためのリアルタイム作曲システムに向けて
   長嶋 洋一

(12)全層ゲート付き2次元畳み込みネットワークによる多重音信号の音高認識
   生田目 敬弘,亀岡 弘和,篠田 浩一

◇デモンストレーション [21:00-22:30]
(13)デモンストレーション:音声・音楽情報処理の研究紹介I
   中村 栄太,虫鹿 弘二,田中 翔平,Junichi Yamagishi,佃 洸摂,加藤 淳,尾形 正泰,和田 雄介,橋田 光代,濱崎 雅弘,吉久 怜子,錦見 亮

■2月21日(水)■
◇企画・一般講演:音声認識・対話 [09:00-10:50]
(14)国際会議Interspeech2017報告
   高木 信二,倉田 岳人,郡山 知樹,塩田 さやか,鈴木 雅之,玉森 聡,俵 直弘,中鹿 亘,福田 隆,増村 亮,森勢 将雅,山岸 順一,山本 克彦

(15)広帯域用ニューラルネットワーク音響モデル群から狭帯域用音響モデルへの知識蒸留
   福田 隆,鈴木 雅之,倉田 岳人,Samuel Thomas,Bhuvana Ramabhadran

(16)CTCによる文字単位のモデルを併用したAttentionによる単語単位のEnd-to-End音声認識
   上乃 聖,稲熊 寛文,三村 正人,河原 達也

◇一般講演:構造解析 [11:00-12:40]
(17)カバーソング同定法を応用したメドレー楽曲における楽曲断片検出法の提案
   佐藤 僚太,竹川 佳成,平田 圭二

(18)暗意実現モデルに基づき作曲家識別を行うHMMについて
   能登 楓,竹川 佳成,平田 圭二

(19)進化言語学に基づいた楽譜解析手法の提案
   須藤 洸基,東条 敏

(20)記号と信号処理の相互作用フレームワークの構築に向けたGTTMの大域的構造を考慮した音響信号の分節の調整
   澤田 隼,竹川 佳成,平田 圭二

◇一般講演:声質変換・対話適応・対話 [13:40-15:20]
(21)リカレント構造を持つ複素制限ボルツマンマシンによる複素スペクトル系列モデリング
   中鹿 亘,高木 信二,山岸 順一

(22)劣化音声を用いたDNN音声合成のための話者類似度に基づく教師なし話者適応
   高木 信二,西村 祥一,山岸 順一

(23)CycleGANを用いたクロスリンガル声質変換
   房 福明,Jaime Lorenzo-Trueba,山岸 順一,越前 功

(24)システム・ユーザ発話に着目した対話破綻検出
   阿部 元樹,栂井 良太,綱川 隆司,西田 昌史,西村 雅史

◇一般講演:分析 [15:40-17:20]
(25)伴奏システムのテンポ制御モデルの検討
   堀内 靖雄,足立 亜里紗,黒岩 眞吾

(26)歌声の習熟度に関連する音響特徴量の母音別分布
   山下 泰樹,香山 瑞恵,池田 京子,吉田 祥,平林 花菜,伊東 一典,浅沼 和志

(27)ポピュラー音楽における人間のサビ認識に関する研究
   宮澤 響,平賀 譲

(28)音楽と音声に共通するリズム要素の単音列音声における検証
   吉田 友敬,原 史恵,梅原 綾花,棚橋 紀幸,田添 詩奈,行村 涼,武田 昌一

そして来週の音楽情報科学研究会の1週間前となって、情報処理学会のサーバに予稿集のデータが置かれていたのでダウンロードした。 全部で64MBほどだが、その1/3は僕のpaperだけの容量である(^_^;)。 今回は筑波山の中腹にある旅館に合宿形式で、音声研究会と合同ということもあり120人ぐらいが集まるという。 上はそのプログラムであり、都合で一部は聞けないものの、まぁ充実の内容というところだ。

Jordi Bonada博士による招待講演に加え、もう1件追加で招待講演が行えることになりましたので、併せてお知らせいたします。

2017年12月末にASRUが沖縄で開催されている最中に「Tacotron 2」というend-to-end深層学習による音声合成システムが
Googleから発表されました。テキスト解析も、発音辞書も、信号処理も全く不要な音声合成システムにも関わらず、自然音声と
有意差なしという衝撃的な結果で現在大変話題になっております。このTacotronの講演をGoogleのSenior Research Scientistの
Yuxuan Wang博士により行っていただけることになりました。おそらく、他の国際会議ではまだ発表していない内容だと思いますので、
皆さまぜひこの機会をお見逃しなく。

また現在、声質変換の性能を共通のコーパスで競う「2nd Voice Conversion Challenge」が進行中で、国際会議Speaker Odyssey 2018
にて特別セッションが開かれる予定ですが、今回この2nd Voice Conversion Challengeの結果も特別にご紹介致します。この声質変換の
性能評価でもなんとMOS値4.1が出ておりまして、音声合成システムTacotron 2に負けないほど大変興味深い結果になっております。

幹事の委員からは、上のような涙ぐましいアナウンスもあったようだが、まぁ音声の専門家でないとこれはあまり響かないかもしれない。 僕の予稿は1年前の音楽情報科学研究会で予告していたものをようやく発表なので、ウケてもらえたら嬉しい、というところだ。 そして、午後一杯かけて、だいぶ前に提出していて忘れかけていた 予稿 を久しぶりに読み直してみた。

2018年2月14日(水)

午後に卒展の準備でうららと八代さんのアポがあるだけ、というこの日、まずは学会出張に持参するために年度末の研究費消化で購入した256GBのUSBメモリに、お仕事Mac miniのドキュメント全部(ネットに上げている[nagasm.org]のコンテンツ全部39GBを含む)計93GBと、過去のアーカイブドキュメント計113GBをバックアップしようとすると、何故かファイルシステムが異常に重く、以下のように半日かかると告げられた。(^_^;)

そこでこれを走らせておいて、柴田クンの首長竜インスタ作品のために貸し出していたフットスイッチの代わりに、きちんと専用のArduinoマシンを作ろう・・・と思い立った。 しかし、調べても調べてもArduinoスケッチが発見できず、ようやく研究室ページの記録から、 このページ を発見して作ったのが去年の10月26日であったと発見した。 そこで、その期間を含む Max7日記part2 の「2017年10月26日(木)」のところに、無事にArduinoスケッチがあった、と発見した。 ここまで約15分かかったが、そこから実際に新しいフットスイッチArduinoマシンを作るのにかかった時間も約15分だった。

そして午後には、藤井5段が新人王戦で年上の古森四段を圧巻の指導対局で投了させるのをBGVに、 こんな感じ で製作とUSBメモリの整理を進めた。 フラッシュメモリの寿命から認識されなくなって破壊したUSBメモリは、SONYとImationの2本だけだった。

2018年2月15日(木)

この日は卒展openingがあったが、一般公開は明日からである。 午前には、2年前に満期で運営委員を卒業した 音楽情報科学研究会 の吉井さんから「また運営委員に復帰を」というリクエストのメイルが届いたが、時間学会の理事をしていること、他学会とのバッティングで年4回の研究会(ここで運営委員会を行う)にいいところ2-3回しか出られない、と返信して様子を見ることにした。 そして、3月末のバイオフィードバックセミナーを来週の音情研で宣伝するために、 このページ から、「短縮URL」サービスを実験してみた結果、上のようになった(順番を変更している)。 これだと優先度としては「Bit.do」、次いで「is.gd」、次いで「Tiny.cc」という感じである。 最後のGoogleは個人情報との紐付けが気持ち悪いし、その前の2つはサービスサイトと発行ドメインが変わるのがちょっと嫌だ、というのが個人的ランキングの理由である。

2018年2月17日(土)

遂にえらい日がやってきた。 元々、この日は羽生vs藤井という朝日杯だったのだが、そこに昨日のオリンピック・フィギュア男子SPで羽生選手がトップになり、同じこの日の午後にフリーの滑走、という「ダブル羽生(はぶ/はにゅう)」の日となったのである。

研究室ではアベマTVでの将棋生中継、さらにスケートも某ネットの生中継、という完全ネット視聴2元体制となった。 朝イチで音情研の吉井さんからの熱いメイルを受けて運営委再就任OKをメイルすると、あとはぼーーーーっとダブル画面の中継、さらに5ちゃんねるなどのガヤを眺める幸せな休日の時間がスタートした。 朝日杯はもう一つの貧相な別室での準決勝(久保vs広瀬)も同時に並行しているのでなかなか凄いライヴ感がある。 当然のことながら、今日はお仕事はほぼほぼ進まないだろう。

解説と聞き手も充実、そしてアベマTVの画面分割も色々と工夫されていたが、なんせ持ち時間が40分という早指しなので、なかなか目を離せない。 そしてここに、奈良学園大の辻下先生にお願いしていた、3月末のバイオフィードバックセミナーのWebが出来た、というメイルが届いた。 ここ である。 そこでさっそく、これを「短縮URL」の「bit.do」に行って、「http://bit.do/nagasm」と設定してみた。 QRコードにも変換したので、これを来週の音情研のプレゼンシートの合間に頻繁に入れ込んで、宣伝しまくる事にしよう。

 

そして12時半、昼食の弁当の準備がなかなか出来ずに見守っていたところで、遂に羽生竜王/永世7冠が投了して、藤井5段が決勝に進んだ。 「羽生、9手詰めの筋を見逃して頓死」となったが、藤井5段は最近ますます強くなっていたが、本当に強く、これを勝ったらもう6段である(^_^;)。 さらに10数分後、ホールでなくショボい別室では広瀬8段が勝ち、決勝(スケートの後の午後)は広瀬vs藤井となった。

そして、ちょうど将棋が決勝前の昼食休憩となった時間帯に、まさにオリンピックのフィギュア男子決勝がネット生中継という、なんとも濃い時間になった。 はぶ羽生は藤井に負けたものの、はにゅう羽生は集中力と貫禄で、以下のように無事に念願の連続金メダルとなった。 宇野昌磨も銀メダルという「1・2フィニッシュ」である(;_;)(;_;)(;_;)。

そして今回初めての金メダルの余韻も束の間、アベマTVの方はいよいよ藤井5段が藤井6段になるかという決勝戦に進んで、14時半から対局開始した。 もちろん、お仕事はまったく進んでいない。 まったく、こんなにネット視聴に集中したことはなかったが、いい時代である。 途中でタブレットによる残り時間表示用の時計が故障(バグ?)して、昔ながらのアナログのチェスクロックに交代した、というのがいい感じの演出となった。

そして16時半過ぎ、多くの「友達を無くす手」を頻発した藤井5段が圧倒的に押し切って勝利した。 ものすごい短期間の「5段」を無敗で走り抜けて(在位16日間)、もう6段である。 なんとも凄い将棋を堪能した。 5ちゃんでは「藤井五段はたいしたことなかった。羽生竜王や佐藤名人に勝つ程度だ。これからは藤井六段の時代だ」という名言が飛び出した。

今日は将棋とフィギュアとで、これでもかこれでもかと圧倒的な感動をいただいた。 明日のニュースは「藤井が羽生を破り、羽生が金メダル獲得!」という混乱したことになりそうだ。 仕事はまったく進まなかったが、こういう日もあっていいのだ。

これで今日はオシマイ・・・と思っていたところに、上のように去年の卒業生で僕のゼミでアカペラもやっていた、前澤さんと石井さんが研究室にやってきた。 二人とも社会人としてバリバリ頑張っているらしい。 卒展に合わせた同窓会で、同じ学年のあと3人と一緒にこれから焼肉ということだった。

2018年2月20日(火)

ここは筑波山の中腹、ホテル江戸屋の大広間会議室、情報処理学会音楽情報科学研究会の会場である。 音声研究会と合同の合宿ということもあり、まさに満員御礼でギュウギュウの熱気だ。 浜松からやって来た関係で(平日は筑波山に行くバスが少ない)、冒頭の「一般講演: 音声生成・合成 [12:30-13:45]」(3件)が終わったところで会場に到着して、以下の、目玉である招待講演(1)から合流した。 山道を10分ほど歩いて(登って)ヒイヒイだったが、一気に中身に引き込まれた。

■2月20日(火)■
◇招待講演 [13:55-15:55]
(4) Recent Advances in our Neural Parametric Singing Synthesizer
   Jordi Bonada,Merlijn Blaauw

招待講演前半の「Recent Advances in our Neural Parametric Singing Synthesizer」は、ヤマハと組んで最新のボーカロイドの性能向上を実現している、スペインの研究者の先端報告である。 まっとうにボコーダのリアルタイム処理のためにニューラルネットを活用している。 どうやら、ボカロは剣持さんがやっている時から海外の研究者と一緒だった・・・と聞いていたが、実際のアカデミックな部分はこの海外の研究グループなどが開拓していて、ヤマハはスタンフォードのCwning博士の特許を買ってFM音源を出したように、ボカロもこのグループの研究成果を買い取っているような感じであった。 以下はそのシステムブロック図であるが、ちゃんとしているのは立派である。

これまでの手法と比べてその性能をごく短い合成歌声デモで紹介していたが、やはりダントツで良いのはReference、つまり生身の声楽家の歌声であった。 要するにBGMとアレンジで音楽の中に埋没させれば、さらには日本発のミクなどのビジュアルを伴えばそれなりにイケてるような気にさせることが出来るが、「素」ではまぁ、肉体が無いのだから仕方ないか(^_^;)。 ビアノ伴奏版の「ハナミズキ」が一番よく出来た、という文脈のデモだったが、まぁ歌声の部分はマシになったものの、発音/言葉の部分はどうしようもないので、これはまだまだ人間の置換には程遠いという気がした。 ただし、スペイン語のポップな楽曲の女性ボーカルを色々なニュアンスで合成したデモは立派に聞こえたので、つまりネイティブな言語でなければ不自然さは気づかないという事もありそうである。

平賀さんの質問でスッキリと判明したが、コーラスのデモが秀逸だったのは、コーラスの1パートを学習する際に「12人のコーラス」のデータを使ったからで、1人のデータを後でコーラスかけるのでなく、最初から12人のミックスされたパートを1パートの声としているからだった。 これは素晴らしいアイデアで脱帽である。 そういう意味では、山下達郎のように一人多重録音をする、というアプローチはやはり重要なのだ。

■2月20日(火)■
◇招待講演 [13:55-15:55]
(5) Tacotron: End-to-end high quality speech synthesis
   Yuxuan Wang

今度はGoogleのDeep Learningネタという、まさに世界先端の招待講演である。 「Tacotron」とはどうやら、Text-to Speechを音節とか単語とかに分けずに、end-to-end、つまり全文まとめて一気に深層学習によって音声合成してしまう、という事らしい。 分割しているので繋がり部分が常に不自然、というのが音声合成の宿業だったが、分割しなければこのデメリットは消滅する。 そこまで来ると、これは音楽のリアルタイム生成にかなり近くなってくる。 僕のTOYOTAのものはMIDIベースでのリアルタイム作曲だが、これはサウンドベースでのリアルタイム作曲に繋がる可能性があるのかもしれない。

時系列として音素を取り込んで、それをシーケンシャル接続されたリカレントニューラルネットに食わせていくのだが、"detecting"という、いわば「予測」というような要素が先回りしてRNNに入っていたのがポイントなのかもしれない。 これは前の発表のボーカロイドでも、最大の欠点である「声の出る直前」(そこを僕は質問した)という様子をあらかじめ取り込む、という方向で何か出来るかもしれない。 post-processingがあると有効、と言っていたので、この解釈はあながち間違っていないのかな。 最後に「?」を付けただけでちゃんと違って発音してくれるとしたら凄いことだ。 デモとして長い文章の自動音声合成を聞かせてくれたが、日本人の僕にはもう完璧な英語、それも聞きやすい素晴らしい英語の長文だった。

その発展系の「Tacotron 2」というのが今回初めての報告らしいが、音声の世界で標準らしいMOSというベンチマークがよくわからないので、その凄さは数字ではピンとこなかった。 やはり、情報処理学会の中でも音楽情報科学研究会と音声研究会はもっとも近い(両方を掛け持ちの専門家も多い)ものの、音声の世界の標準用語は僕には遠いものだった。 これなら、まだ基礎心理学の方がマシである。 「Tacotron 2」のデモでは、英語版の早口言葉みたいなものもキチンと自動音声合成していた。 もう凄いとしか言いようがない。

音声合成では任意のスタイルでの発音が求められるが、当然ながらこれも素晴らしかった。 かつて1990年代の前半、Macの超ショボいText-to Speechを使って複数の声色で"Mycoplazma"という作品を作曲・公演したがこれは現代版だとほぼ「多数の声優をフル活用」のような事が出来そうである。 音声合成スタイルのモーフィング、さらにstyle transferも素晴らしい自由度と表現力だった。

■2月20日(火)■
◇一般講演:音声合成・認識・対話 [16:05-17:20]
(6) Investigation of WaveNet for Text-to-Speech Synthesis
   Xin Wang,Shinji Takaki,Junichi Yamagishi
(7) Stealing your vocal identity from the internet: cloning Obama's voice from found data using GAN and Wavenet
   Jaime Lorenzo-Trueba,Xin Wang,Junichi Yamagishi
(8) Generating Segment-Level Foreign-Accented Synthetic Speech with Natural Speech Prosody
   Henter Gustav Eje,Jaime Lorenzo-Trueba,Xin Wang,Mariko Kondo,Junichi Yamagishi

圧巻の招待公演2件に続いて、まだまだ音声研究会は上のように英語で3件の発表が続いたが、その次のセッションで自分の発表があること、英語連続2時間で疲弊した脳味噌に休憩を与えるために、ごくごく軽く「流した」(^_^;)。 WaveNetとは、伝統的なボコーダと違って、時間的に推移するノードからのリンクを持つニューラルネットのようだが、こんなので音声合成できるというのも不思議だが、googleの発表の「Tacotron 2」もコレなので、どうもまさにトレンドであるらしい。

■2月20日(火)■
◇一般講演: [MUS 生成・認識] [17:30-19:10]
(9) Songle Sync: 音楽に連動させて多様なデバイスを大規模に制御できるプラットフォーム
   尾形 正泰,井上 隆広,加藤 淳,後藤 真孝
(10)MIDI2Pose: 鍵盤演奏情報を用いたオンライン演奏動作生成
   Bochen Li,前澤 陽
(11)自動運転車のためのリアルタイム作曲システムに向けて
   長嶋 洋一
(12)全層ゲート付き2次元畳み込みネットワークによる多重音信号の音高認識
   生田目 敬弘,亀岡 弘和,篠田 浩一

そして、ようやく日本語のセッションになり、僕は上の4件の3件目で発表した。 各セッションは少しずつ時間超過して、このセッションが始まった時で既に「10分押し」であり、午後7時を過ぎて会場は皆んな、空腹と飲みたいオーラが充満していた。 そこに、僕の直前のヤマハの前澤さんが流暢な英語で発表したが、僕の下手英語では追従せず、それほどテンションを上げずに淡々と発表してみた。 ただし予稿の膨大な分量は平賀さんにウケたし、プレゼンの合間にサブリミナルのように3/31のバイオフィードバックセミナーのPRのURL紹介のQRコードをクドいほど入れたので、当初の目的はまずまず達成できた。

■2月20日(火)■
◇デモンストレーション [21:00-22:30]
(13)デモンストレーション:音声・音楽情報処理の研究紹介I
   中村 栄太,虫鹿 弘二,田中 翔平,Junichi Yamagishi,佃 洸摂,加藤 淳,尾形 正泰,和田 雄介,橋田 光代,濱崎 雅弘,吉久 怜子,錦見 亮

夕食後、上のようなデモセッション(→飲み会)があったが、流れでそこそこ参加してしまった。 このところ数年、学会の懇親会は全て欠席することにしていたが(大声で喋って喉に悪い)、さすがに合宿では無理だった。 産総研の「TextAlive」(http://textalive.jp)はなかなか立派なもので、デザインの学生はこれを超えるものを手作業で作らなければならない時代となってきたのだ。

2018年2月21日(水)

■2月21日(水)■
◇企画・一般講演:音声認識・対話 [09:00-10:50]
(14)国際会議Interspeech2017報告
   高木 信二,倉田 岳人,郡山 知樹,塩田 さやか,鈴木 雅之,玉森 聡,俵 直弘,中鹿 亘,福田 隆,増村 亮,森勢 将雅,山岸 順一,山本 克彦
(15)広帯域用ニューラルネットワーク音響モデル群から狭帯域用音響モデルへの知識蒸留
   福田 隆,鈴木 雅之,倉田 岳人,Samuel Thomas,Bhuvana Ramabhadran
(16)CTCによる文字単位のモデルを併用したAttentionによる単語単位のEnd-to-End音声認識
   上乃 聖,稲熊 寛文,三村 正人,河原 達也
◇一般講演:構造解析 [11:00-12:40]
(17)カバーソング同定法を応用したメドレー楽曲における楽曲断片検出法の提案
   佐藤 僚太,竹川 佳成,平田 圭二
(18)暗意実現モデルに基づき作曲家識別を行うHMMについて
   能登 楓,竹川 佳成,平田 圭二

2日目は午後に母親に会いに行く予定があり、上記の発表までで会場を抜けるということになった。 1件目は音声に関する国際会議の報告、という音声研究会ではいつもの事らしいが、さすがにMUSではほんの一部しか理解できなかった。 音声の世界でも、もっぱら深層学習がトレンドのようで、話題としてあれこれニューラルネットワークが登場し。「人間の認識能力に並んだ」などというショッキングな報告もあった。 全体としては、認識はまぁDeep Learningで性能は上がるのだろうが、基本的にあまりソソラレない世界である。

Speech analysisに関する報告では、「音声処理において、もはやDeep neural network(DNN)は主流なツールといえる。従来のテキスト音声合成では、STRAIGHTやWORLDなどのツールを用いて音声からパラメータを取り出して学習し、テキストからパラメータを出力して上記のツールで合成する仕組みを採用してきた。2016年には、パラメータを使わずに波形を直接生成するWaveNetの発表があり、テキスト音声合成において音声パラメータは必須とは言い難い存在となった。また、パラメータ推定においてもDNNベースのものが提案されるようになりつつあることから、今後は音声分析技術そのものが不要になるかもしれない」という驚くべき話があった。これまでやってきた研究が無意味になる研究者の立場は複雑だろう。

昨日の招待講演にもあったが、どうやら時代は「WaveNet」に向かっているようである。 報告でも「WaveNetとは、波形を直接的に予測・生成するための、強力な自己回帰型畳み込みニューラルネットの一つである。テキスト音声合成(Text-to-Speech; TTS)の波形生成器として用いられ、非常に高品質な音声の生成が可能であることが定量的に示されたことにより、近年多くの研究者の注目を集めている。今回の会議では“WaveNet and Novel Paradigms”というオーラルセッションが企画され、WaveNetの注目度の高さが伺える」と書かれていた。 しかし考えてみると、これは長野高専の大矢さんが「男は黙って楽音合成」と言いつつ1992年のサンノゼICMCの頃にやっていた事のような気もする。

音声の国際会議の報告はまだ何となく雰囲気が伝わったが、さすがに音声研究の発表になるとお手上げとなったので、残りの時間はMUS関係の予稿のチェックに費やした。 前夜のダメージと戦いながらも、なんとか居眠りすることなくあれこれ勉強できた。 やはり学会出張というのは最大の勉強の場なのだ。

2018年2月25日(日)

先週木曜日には午前にSUACに帰って午後に教授会、金曜日は午後に奈良学園大の辻下先生が研究室を来訪してくれて3/31のBFセミナーその他の打ち合わせ(奈良学園大の新学科での「先端リハビリ」という科目の非常勤を担当することになりそう)、そして昨日の土曜日は棋王戦での渡辺棋王の負けっぷりとオリンピック最後の金メダルと銅メダルの獲得の瞬間をライヴで超堪能して過ぎ去った。
そして今日と明日はSUACのメイン入試「前期入試」である。 いつものように今日の鉛筆デッサン実技の試験監督3時間+明日の発想表現(色彩構成その他)実技の試験監督3時間、僕は椅子に座らず立ち続ける予定である。 心の中で受験生を応援しつつ立つ苦行が続かなくなったら引退、と決めている。
さらに明後日には終日、1年間でもっとも神経を使う某入試業務(最近は出題ミス、採点ミス、模範解答情報公開・・・などと胃が痛くなる入試関連ニュースも多い)があるが、それが終わって今週末になれば、一転して「沖縄行き」(*^o^*)となるという、波乱万丈の週なのだ。

2018年2月26日(月)

SUACのメイン「前期入試」2日目・発想表現実技試験監督3時間を無事に立ち続けて終了、くたくたになって研究室に戻り、ぼちぼち過去のMaxデータなどを整理していて、今月末に予定しているBFセミナーで紹介するパッチの仕掛かり具合を確認した。 まずは、フト発見した「緑内障チェック」用のMaxパッチ、つまり Max6日記(4) の「2014年9月4日(木)」にあるように、海外出張中のリンツで作った glaucoma_test を久しぶりにやってみた。 以下の上段は2014年9月4日の夜にリンツのホテルの部屋でMacBookAirの画面でやったもの(左右は左眼と右眼)、下段は2018年2月26日の昼に研究室でお仕事Mac miniの27インチモニタでやったもの(左右は左眼と右眼)である。

 

 

パッチの中身を見てみたところ、表示されて700msec以内にスペースキーを叩いたらOK、と判定しているが、画面に顔を密着させてのスペースキー叩きはたまにミスが出ていて、一部はそういうノイズである。 これを考慮すると、前回の実験からマル3年半が経過しているが、きちんと眼圧降下の「トラバタンズ点眼液」を毎朝差しているので、ほとんど成績は変わっていない。 緑内障というのは治ることはなくて進行を食い止めるのが最善の対策なので、これはまずまず良好と言える。 ただし、視力も悪くて緑内障も片目だけひどい右眼は、さらに白内障もあるので、次回の検診通院の際には、いよいよ白内障手術をするかどうか、相談する予定である。

そしてさらに発掘を続けて、認知症予防を目指した馬ブンさんの作ったMaxパッチを改訂した"BothHandsControl"と、院生になって試作を進めていてまだ未完成のMaxパッチを"JumpingGirl"と改名した上の2件を、「BFセミナーで紹介するために改良すべきパッチ」とピックアップした。 今日のところは疲労でヘロヘロ、さらに明日は終日の某入試業務があるが、水曜と木曜はちょっとした学生アポがあるだけなので、沖縄行きの前にこれをやっつける、というのはちょうどいい目標と決まった。

2018年2月28日(水)

昨日は終日、某入試業務に没頭して、なかなか数学漬けの有意義な1日となった。 もちろんその詳細はここには書けないが、ちょっと刺激されたためか、今朝は一番でネットで「グラフ描画ソフト Mac」で検索した Mjograph というフリーのソフトを落として、以下のようなグラフを描画させてみた。 眺めているだけであれこれ妄想と構想が膨らんでくるが、これが実を結ぶかどうかは、あと1年以上経たないと不明である。

ネットニュースでは、「平昌五輪カーリング女子で銅メダルを獲得したLS北見が27日夜、地元・北見市に凱旋した。女満別空港の到着ロビーには関係者や空港利用客など1000人が集まり、日本カーリング史上初のメダル獲得という快挙を達成した選手たちを大歓声で出迎えた」というのがあったが、油断してニュース動画を見ていたら泣けてきた。 女満別空港といえば、2010年12月にマイナス15℃の ロシア・エカテリンブルク に行って、ヒートテックや本格的なダウンコートを仕入れたところで、 網走の流氷 のために、札幌での学会前に自費で網走に行くためにセントレアから飛んだ、懐かしい空港である。

そして昨日の宿題から、まずは「"BothHandsControl"の改訂」についてはアッサリと完了して、続いて「"JumpingGirl"の改訂」に取り掛かった。 既に過去に、以下のように「trim_tool_kuguru」などの位置設定ツールを作っていたので、まぁ現物合わせでも、これを2種類の障害物ごとに10ステップの位置指定を手作業で合わせられる・・・というつもりだった。 しかし、いざ、このツールを使って、電卓を叩きつつ初期値と最終値を等分に分割した座標で試したところ、まったく「駄目」であると判明した。 遠くから近づいてくる遠近法の加速感からして、線形補間で等間隔に分割しては駄目なのだった。

そしてここから3時間弱、以下のようにまるで大学入試の数学に取り組む高校生のように「等比数列の和の公式」を導出することから始まって、指数関数的に近づくに連れて加速するグラフィックを設計して、そのままMaxのパッチとして以下のように実装してみた。 ポイントは、公比「r」を浮動小数点値の「変数」として設定することで、「加速する感じ」を実際の動画と合わせて感覚的に調整できるところである。

片方の「くぐる」まで作ったところで疲れてしまったので、根っこを「飛び越す」のは明日にとっておく事にしたが、これでまさに「数理造形」としてアニメーションを実現できる見通しが立ったので、まずまず進展した、と言える1日となった。 今日と明日はこれから「春の嵐」らしいが、週末の沖縄の天気は「曇りときどき雨」らしい。 まぁ、船が欠航するような嵐でなければ御の字である。

2018年3月1日(木)

明日には、「入試判定・卒業認定」学部教授会と「修了認定」大学院教授会に出た後で浜松駅からセントレアに向かう、という「沖縄前」のテンションのこの日、まずはフト思いついて、この日記の「2018年1月15日(月)」のところに書いていた、「じんじん」のママさんへのプレゼントのデジタルフォトフレームに入れていた このページ の全写真の最後に、このURLをQRコードにした以下の画像を追加してみた。 これで、例えばお店に来てこのデジタルフォトフレームを見た人が、そのループの最後のQRコードからこのWebページに飛ぶことも出来る。 先日の音情研で初めて使った「技」だが、自分ではガラケー(ネット接続ナシ)なので無縁なものの、だいぶ使えてきた。

そして昼前には昨日のMaxパッチの改訂(根っこを「飛び越す」)を完了させて、午後一杯かけてサウンド素材の選択を進めた。 総計で約800本のサウンド素材を聞いてトリミングして選び、最終的に「hit」系と「jump」系とでそれぞれ18本のサウンドファイルを作った。 あとは明日の作業となる。

2018年3月2日(金)

朝イチであれこれ事務局から届いていた些事をばったばったと処理してから、ふとアベマTVを眺めてみると、以下のようにいつもと違う画面、なんと5画面の将棋ライヴ画面が並んでいた。 そう、今日は「将棋界の一番長い日」、A級の最後の対戦がある日であり、ここから降級者が出たり、さらには今日は対局の無い羽生さんがプレーオフに出るかどうかも決まる(決まるのは今日の深夜か明日の早朝)・・・というハラハラドキドキの1日なのだ。 午後の教授会が終わるとセントレアに向かうのだが、セントレアの東横インでも引き続きアベマTVをチェックしそうだ。

同時に5つのシビアな対局で訳がわからなくなっていたが、以下のように整理されているアベマTVの解説ページで、ようやく状況が見えてきた。 なかなか凄い、例年にない「将棋界の一番長い日」なのだった。

順位戦の持ち時間は全棋戦最長の各6時間。午前9時に始まり、昼食・夕食休憩を挟んで計12時間に及ぶ戦いになる。
しかも、A級とB級1組は1分未満の考慮時間を切り捨てるストップウォッチ形式を採用しているため、とりわけ終局が遅く
なる。日付をまたいだ未明の夜戦の果てにこそ、ドラマはある。ファンにとっては、見逃すと年度を締めくくれない祭典だが、
今年はさらに例年より熱い視線を集めている。理由は、順位表を見れば一目瞭然だ。

		久保利明王将(9)		6勝3敗 		深浦康市九段
		豊島将之八段(10)		6勝3敗 		広瀬章人八段
		羽生善治竜王(2)		6勝4敗		―
		稲葉陽八段(1)		5勝4敗		行方尚史八段
		広瀬章人八段(4)		5勝4敗		豊島将之八段
		佐藤康光九段(8)		5勝4敗		屋敷伸之九段
		渡辺明棋王(3)		4勝5敗		三浦弘行九段
		深浦康市九段(7)		4勝5敗		久保利明王将
		三浦弘行九段(11)		4勝5敗		渡辺明棋王
		行方尚史八段(5)		3勝6敗		稲葉陽八段
		屋敷伸之九段(6)		2勝7敗		佐藤康光九段

端的に分類すると、現時点で5勝以上を挙げている棋士には佐藤天彦名人への挑戦権を得る可能性があり、4勝以下には
降級の可能性がある。2勝の屋敷九段は既に降級が決まっている。わずか1勝差で最終局の目標が天地に分かれることは
極めて異例と言っていい。

第一に注目したいのは、久保王将、豊島八段の勝敗である。どちらかのみが勝って7勝目を挙げた場合、イコール名人挑戦者
となる。両方ともに勝った場合は、2人によるプレーオフ(1局)が行われ、勝者が初めて名人戦の大舞台を踏むことになる。
恐るべき混沌が発生するのは両者がともに負けた場合だ。豊島八段に勝った広瀬章人八段は6勝で並び、さらに抜け番と
なっている(通常のA級順位戦は10人によって構成されるが、今年は例外で11人が在籍するため)羽生竜王による最低4者
によるプレーオフの実施が確定する。
そして、稲葉八段、または佐藤九段、あるいは両者ともに勝った場合、事態はさらに混迷を極める。6勝者が最大6人も生まれ、
全体の半数を超える人数でパラマス方式のプレーオフが行われることになる。「パラマス」の単語に馴染みがない方に説明
すると、要するに「持ち順位の低い順から対戦する勝ち抜きトーナメント」形式である。
順位の低い順に、まず豊島八段と久保王将が対戦し、勝った方が佐藤九段と対戦し、さらに勝った方が広瀬八段と対戦し、
さらにさらに勝った方が羽生竜王と対戦し、さらにさらにさらに勝った方が稲葉八段との挑戦者決定戦を戦う。
名人戦第1局は4月11日に東京・椿山荘で開幕することが決まっているため、最大5局を約1カ月の間に行わなくてはならない。
過去に将棋界が出会ったことのないようなスペクタクルな展開になる。

一方で、挑戦権争いと同様に、時としてそれ以上に注目を集めるのが残留争いである。今期の降級枠は例年の2ではなく3に
増えているため、さらに激化している。
現時点で屋敷九段の降級は決まっており、残る2枠を4勝の渡辺棋王(3位)、深浦九段(7位)、三浦九段(11位)、3勝の
行方八段(5位)の4人で争うことになる。同星で並んだ場合は「残留決定プレーオフ」などはなく、持ち順位の高い順から残留が
確定する。
4勝を挙げている渡辺棋王(三浦九段との直接対決になる)、深浦九段、三浦九段(渡辺棋王との直接対決になる)は勝てば
残留が決まる。行方八段は自らが勝ち、深浦九段が敗れた場合に残留が決まる。三浦九段は敗れると降級が決まる。深浦九段
は自らが敗れても、行方八段と三浦九段がともに敗れれば残留が決まる。渡辺棋王は自らが敗れても、深浦九段が敗れれば
残留が決まる。

静岡市は名人制度の創設に深く関わった徳川家康が将軍職を秀忠に譲位した後に移り住み、将棋に心酔した土地だ。頂点に
君臨する者たちは、発祥の地でどのような勝負を繰り広げるのか。対局のない羽生竜王も現地に赴く。
役者は揃い、舞台は整った。

そしてここから約30分、昨日の最後に作っていた18+18=36個のサウンドファイルを、いちいち明示的にファイル名を書くのでなく、あくまでrandomで生成された番号を添えて「sfplay~」のために刻々とopenする、という、以下のようなパッチが出来て、今回のBFセミナーに持参するMaxパッチは一応の完成となった。 過去に馬ブンさんの課題のために作っていたパッチのテクニックの再利用であり、このようなメリットがプログラミングの醍醐味なのである。

午前中には、沖縄に出発する前に片付けておこう、と計画していたMaxプログラミングが無事に完了して、教授会までの3限の時間は、天気レーダーとか空港のフライト情報などを調べることで過ごした。 順位戦の昼休みには、なんと一人だけ抜け番の羽生さんがレポーターとして出てきたのはご愛嬌である。

2018年3月9日(金)

上の日記が先週の金曜日、そして今日はもう金曜日である。 上記の「将棋界の一番長い日」の結果が、ちょっと有り得ない 6人プレーオフ という展開になったのは、金曜日から土曜日に日付が変わった25時半ぐらいだった。 教授会が終わったところで浜松駅に行って新幹線で名古屋に行って・・・ということで出発して、 セントレアの東横インで この結果 を確認して、引き続き3月3日(土)の朝のフライトから 22回目の沖縄 に行ってきて、浜松に帰ってきたのが一昨日の水曜日の夜。 今回のホエールウォッチングでは、遂に鯨のジャンプにも遭遇できた。

そして昨日の木曜日は午後の学生委員会の他の時間をかけて このページ を夕方に完成してWebに上げて終了。 今日はあれこれ学内事務などに対応してから午前に眼科定期検診に行ったりして、ようやくこの日記までたどり着いたのである。 昨日は藤井聡太6段と師匠の杉本昌隆7段との初めての公式戦対局があったが、千日手指し直しの末に藤井勝利となったのは夜だったので、今日のニュースはこの話題で持ちきりなのだ。

明日からの土日に予定は無いが、研究室で将棋観戦しながら東北大での発表内容を思い出しつつプレゼンの準備となる予定。 来週の月曜日には「後期入試」で鉛筆デッサン実技試験監督3時間を済ませてから浜松駅に行き、そのまま新幹線を乗り継いで仙台に行って、火・水と電子情報通信学会ヒューマンインターフェース研究会→浜松に帰還。 その翌日の木曜日は SUAC卒業式 で、1次会・2次会・3次会が終わるとほぼ金曜日になっている筈である。

 

そしてその翌週には東京電機大での電子情報通信学会大会での発表、さらにその翌週末には奈良学園大での バイオフィードバックセミナー となる。 短縮URLは「http://bit.do/nagasm」である。 そこで新システムを発表紹介するためになんとか開発していきたいところで、そんなこんなで2018年の3月は終わっていくことになる。 新学期には新たに part5 を始めていくという構想で、この日記はここまでを区切りとしたい。

→ 続・Max7日記(5)

「日記」シリーズ の記録