Max7日記 (2)

長嶋 洋一


→ Max7日記(1)

→ Max7日記(3)

→ Max7日記(4)

→ Max7日記(5)

→ Max7日記(6)

2016年7月21日(木)

日曜日に NIME2016 から帰国して、月曜日には 甲子園の負け試合 でヘコんで、火曜日に浜松に朝帰りして「企画立案演習」の最終発表会をこなして、 水曜日には「音楽情報科学」の課題支援と ゼミ の支援とオーブンキャンパス長嶋組meetingをこなした。 しかし甲子園での罵声絶叫から声を嗄らした不調が治らず、今日・木曜日のアカペラと音楽理論特訓講座をメンバーにキャンセル連絡して、夕方には医者に行くことにした。

1限の大学院入試関連業務と3限「サウンドデザイン」の課題支援と4限の学生委員会があるだけ、となったが、せめて何か進めておこう、と欧露ツアーのチケットでシベリア鉄道とともに予約が残っていた「ボルドー→バルセロナ」の鉄道を初めて調べて、上のようにEチケット購入まで完了した。 あとは大人しくダマシオの精読で今日はおしまいである。 体調がイマイチだとプチ観光の邪念すら湧かず、プログラミングでもえてしてどつぼにハマるので着手しにくい。 今週末には大学院入試を土曜日に終えて、空いている日曜に「誰かカラオケ・・・」と悪魔の囁きメイルを送る気にもなれない。 まずは体調回復が一番のようである。(^_^;)

2016年7月23日(土)

一昨日の夕方にいつもの耳鼻科に行くと、どうやら甲子園での絶叫は声帯を痛めるだけでなく腫れが気管の深部に拡大している・・・との見立てで、コレさえあれば最強で絶対に僕は治るのだ、と確信しているジスロマックの処方を受けた。 これを3日間、飲み続けると体内に1週間は抗生物質が残り、合わせて処方された咳止めと炎症防止の薬とで1週間後には完治する、という見通しが立った。

そして昨日の7/22(金)は声嗄れは相変わらずながらも早くも回復基調を感じつつ、前日に届いたUSBゲームコントローラ各種を このように 並べて、あとは1〜4限にゼミの馬ブンさんと院生の杉浦さんのあれこれを手伝いつつ、合間に以下のように「USBゲームコントローラ制御Maxパッチ」もサクサクッと作ってしまった。

そして昨日の7/22(金)午後には、遂に日本でも「ポケモンGO」がスタートした、というニュースとともに、SUACの出会いの広場にもポケモンスポットがあるのか、学生が炎天下に屯していた。

そして今日7/23(土)は大学院入試の日である。 僕はポケモンをやった事がなくてまったく知らず(唯一、知っているといえば「ピカチュウ」という名前ぐらい)、さらにスマホもガラケーも持っていないのでまったく関係ないが、とりあえずウケ狙いで、以下のようにYAHOO.COM画像検索でゲットした壁紙をiPadの待ち受け画面にしてみた。

しかし、この壁紙をお仕事パソコンのデスクトップに置いてみたところ、以下のように騒がしくてまったくお仕事にならない、と判明したので、こちらは即刻、却下となった。(^_^;)

ネットの情報によれば、詳しいことは知らないが、ポケストップという名所が、以下のように皇居内にも多数あり、京都市内にはさらにウジャウジャあるらしい。 まぁ僕には関係のない事である。(^_^;)

・・・そして無事に大学院入試も終わり、馬ブンさんは院試のプレッシャーから解放される間もなく、あと3日後に迫った「メディア造形総合演習II」の最終合評に向けて全力投球である。 他のゼミ生も、院生も、仮/準ゼミの3回生も、「サウンドデザイン」課題の2回生も、あらえっさっさである。 以下は、今週から来週末のオープンキャンパスまでの期間の、僕が世界に公開している予定で、ここはもう、全力であらえっさっさするしかない、まさに学期末の修羅場なのである。(^_^;)

2016年7月24日(日)

昨日は上記を書いた後で、駄目モトで覗いてみたらICEC2016のregistration pageがopenしていて参加登録を済ませた。 そして、もしや・・・とシベリア横断鉄道のページに行ってみると、欧露ツアーで唯一、日程が未確定だった「エカテリンブルク→モスクワ」の列車運行ダイヤが公開されていて、仮の旅程としてエカテリンブルクの宿を予約した、その日(9/23)は運行する、と判明した。 およそ2日に1本というペースなのである。 そこでさっそく、オンラインで1等車を予約・購入した。 これで残りはモスクワのホテルだけとなった。
Dear Yoichi,

Thank you for ordering Yekaterinburg to Moscow ticket with us.
Because of the policies of the Russian National rail system, tickets are only available for purchase 
starting from 45 days before the trip.
On the sales opening day we will check the cost of the tickets and if there is a change in price 
we will return the difference to you or may require that you pay a little more. However prices 
typically remain stable.
We will issue ticket for you on the first sales opening day - on the 10th of August.
すると今朝になって、上のようなメイルが届いていた。 チケットが正式に有効となるのは旅行の45日前であり、今回購入したチケットについては、45日前の8月10日になると確定するが、それまでに価格改定(まぁ値上げ(^_^;))された場合には、追って差額を請求するカモね・・・というお話だった。 このところのロシア経済はちょっと不調なので、もしかするともしかするカモである。(^_^;)

そして、オーストラリアのNIME2016行きが終わったので、2016年版を春からアマゾンで仕入れていた、上の「地球の歩き方」を、ぼちぼち、読むというシーズンに突入である。 「フランス」と「ロシア」については、分厚いもののほとんどのページを捨てることになるが、奥さんがお土産ページを捨てるな、と言っているので、必要なページだけ持参するために分解するのはもっと後になりそうだ。

甲子園の喉(声嗄れ)はともかく、もともとNIME2016に行く時から続いている体調不良、すなわち右腕(肘・肩)の謎の痛みはまったく解決していない。 そんなイマイチな中、それでも上のように、院試に追われてピンチの馬ブンさんの総合演習IIの作品Maxパッチの支援に改良を加えた。 既に、外付けのWebカメラで撮影された体験者の顔に付随して、背景を動画としてそのまま表示しつつ、ブンちゃんの描いた衣装が顔の部分に穴を開けた状態で顔の移動に付いてくる、という、いわば「ポケモンGO」のような仮想現実的な合成は実現しているが、ここに簡単な「顔認識」機能を加える、というのが課題なのである。 とりあえず今日のところで、「認識された顔のサイズ」と「両目(瞳)の間隔(距離)」という2パラメータをリアルタイムに取得することまで出来た。 これはもっともプリミティブながら、ランダムでない衣装提示に向けた大きな一歩になるかもしれない。

2016年7月25日(月)

昨夜、帰宅してから30分ほどかけて、6冊の「地球の歩き方」の中で今回の欧露ツアーに必要な部分だけを取り出したところ、以下のように全体で3センチほどになった。 これでもまだ「ロシアの歴史」とか事前に読むだけの余分なところがあるので、行くまでにはさらに薄くなる予定である。

そしてロシアのDenisから届いたメイルで気付いたのが、「これであとは9/23から4泊のモスクワのホテルの予約だけだね」と僕がメイルしていた間違いの指摘だった。 シベリア横断鉄道でエカテリンブルクを9/23の朝に出発すると、モスクワに到着するのは25時間後、9/24の朝なので、モスクワのホテルは9/24からの3泊で良いのである。 そして、Denisがホテルサイトからサクッと4つほど、ホテルを紹介してくれたが、どれも以下のように立派なものだった。 これで価格は国内のビジネスホテル並なので、「どこでもOK」と返信した。

午前中には、総合演習IIのサウンド(+visual)作品の相談に西山さんが1106に来たり、「音楽情報科学」の課題作品を追い込むチーム「サバ缶」が1106に来たりして、それぞれ対応した。 以下は、ちょっと当初から構想が変わったものの、水槽に落とした石を画像認識して水面にプロジェクションする・・・というような「サバ缶」のMaxパッチの暫定状況である。

そして午後には馬ブンさんが1106にやってきて、さらに作業をずっと進めた。 マルチメディア室からは「サウンドデザイン」の課題と格闘している、留学生の金ヒジンさんからSOSのメイルが届いたので1106研究室に来てもらって、ほぼ講義サンプルと似たようなものだが、やりたかったグラフィックシーケンサのMaxパッチを以下のように10分ほどで修正・完成させた。 元々、留学元の韓国・ホソ大学では映画専攻でプログラミングとは無縁なので、この程度の応援はまぁOKである。

これらの合間に、日程が確定した欧露ツアーの出張に関する書類を作成して提出し、さらにここには何も書けない極秘業務についても仕事を内密裏に進めた。 そして放課後の間際になって、今年の後期の3回生・長嶋ゼミ所属はただ1人と決定した、うららが「音楽情報科学」の課題の相談にやって来た。 結論から言えば、jitterにkinectを組み合わせた画像認識ものの検討を進めたが、どうやら2年前から世間のオープンソース素材・資料はストップしていて、過去に先輩がぶち当たっていた壁を超えられない、という事実が判明した。 最終合評ではその調査について報告してもらうことにしたが、どうやらメディアアートの世界では「kinectオワタ」というのは事実らしい。 後期のゼミでは、ちょっと本格的に勉強会を進めてみたいと思う。

2016年7月26日(火)

4回生の卒業がかかった「メディア造形総合演習II」の最終合評を翌日に控えた作品提出検収日がやってきた。 この日のために予定を空けておいたので、朝の1限から午後の企画立案演習最終日(脱出予定)を含めて、終日、1106研究室は最終追込みの修羅場である。 一人だけ朝5時に途中経過のデータを送ってきた前澤さんを除いて、午前からゼミの面々が以下のように集結して作業に没頭した。 的場ゼミでは「ポケモンGO禁止令」が出たらしい。(^_^;)

ゼミの3人がサクサクと作業を進めるのと並んで、せっかくなので僕も、USBゲームコントローラ用のMaxパッチの残った方、つまり「ANALOG」スイッチのON/OFFによって、デジタルコントローラとアナログ値付きコントローラの切り替えが出来るという優れもののためのMaxパッチをプログラミングした。 残念ながら、赤いLEDでモード表示される「ANALOG」スイッチの操作自体はUSBに送られないので、自分で切り替える必要があるが、以下のように こんなふうに 完成した。

せっかくなので、「使わないモードを隠す」というのを、「fpic」オブジェクトの透過パラメータを制御してやってみた。 これはスクリーンショットだけでは分かりにくいので、YouTubeに このように 上げてみた。 これで今後、市販のUSBゲームコントローラをMaxでサクサクと使うことが出来るようになったが、しかし、僕はたぶん、使わないだろう。(^_^;)

2016年7月28日(木)

昨日は、1限に 「音楽情報科学」最終報告会 があり、その後、2限から21時まで、 「メディア造形総合演習II」 最終合評 があって、ヘロヘロに疲れた。

今日の1限には上のように、欧露ツアーに持参予定の2台のMacBookAirをLAN接続して、相互にOSCでサクサクと情報伝送できる事を確認した。 続く2限には久しぶりの「音楽理論特訓講座」で、セカンダリードミナントを伝授した。 そして3限には 「サウンドデザイン(木)」 最終合評 があり、あとは教授会、アカペラで一日が終わった。 学期末はサクサクと全てが「済まされていく」感じである。

2016年7月29日(金)

朝イチで、昨日の「サウンドデザイン」の最終合評で「預かり」とした2人の学生の課題についてチェックした。 中島英理奈さんの このパッチ は、シューティング判定の座標の設定がずれている・・・という事で引き取ったが、調べてみるといくつかの部分にまだバグがあり、しかし全体としてはしっかり出来ているので自力で完成まで持っていける、と判断して、僕が完成させる事は敢えてしない事にした。 いいトレーニングになるので、バグを発見して完成させる、というのに誰か挑戦してみて欲しい。

これに対して、清水菜々美さんの このパッチ は、描画されない、というトラブルがなかなかに謎だった。 このように 問題あるパッチの一部を抽出したパッチを作ってみたが、見た目は完全に同一なのに、悪い方では叩くとMaxコンソール(エラーメッセージを表示)に「lcdオブジェクトは"readpict"というコマンドは知りません」と出た。 見たところ問題ないが、新しく呼び出したメッセージオブジェクトにこの中身をコピペしても同じエラーとなる。 ところが、新しいメッセージオブジェクトに改めて直接入力で"readpict"と打つとエラーは出なくなり、正しく動くのである。 おそらく最初に"readpict"と手打ちした際に、何らかの原因で余計な文字コードが混入したらしい。

これはなかなかに珍しいケースで、こういう「汚染された問題オブジェクト」というのはなかなか捕獲できないので、上のように トラブル例パッチ として整理して、さらにその様子を トラブル例デモ動画 として記録して、YouTubeにも このように 上げてみた。 YouTubeに上げると画質が悪くなってよく見えないので、 こちら の方が分かりやすいだろう。

そして午前中には、前日にアポのメイルを入れてきた、2回生の畑田紗希さんが1106にやってきて、課題Maxパッチを応援した。 上のようにアニメーションのイラストはシンプルだが、実は彼女はGarageBandで打ち込んだオリジナルの曲が秀逸であり、そのmp3の再生とアニメーションの同期をカウンターで実測して手作業で修正したが、なかなかいい感じに出来上がった。 今後も楽しみな学生である。(^_^)

そして5限には、上のように 「サウンドデザイン(金)」 最終合評 があり、長かった学期末の1週間が終わった。 ちょうど昨日は以下のように、オーストラリアからの帰りの飛行機で観て感動して、さっそくAmazonに注文していたDVDがドイツから届いたので、この週末にでもじっくりと鑑賞することにしよう。 いよいよ来週はオープンキャンパスまでの仕上げの時期になる。

2016年7月30日(土)

ほとんど何も進まずダマシオを読む週末である。 メディア造形総合演習IIの最終合評の時に、開学以来、初めて入った「OA室」でブラウザを開いてたまたま見てみたら、以下のようにユトレヒトでのICMC2016のプログラム(これは研究発表の方のみで、さらにコンサートのプログラムもある)が発表されていた。 これで僕の発表は2日目の午後、と判明した。













さらにICMC2016のページには、ごくごく地味に、以下のような情報が載っていた。 すなわち、ICMCをホストするHKUの「音楽・テクノロジー」学科を見学する「Visit HKU Music and Technology」というoptionalツアーである。 「Starting in the late seventies, HKU Music and Technology has acquired an international reputation for its project-based education and research which is relevant to the creative industries and to society.」という真面目な説明、「During your visit to the institute, you will get a brief glimpse into this education and research plus a tour around the labs and the brand new music studio complex.」という興味あるその中身、そして駄目押しの「The visit ends with an informal drink with typical Dutch snacks.」という言葉に、速攻で参加申し込みのメイルを出した。

オランダには12年前の サバティカル2004 の時に、アムステルダムの研究所STEIMに1週間ほど滞在してレクチャーとコンサートを行っただけだが、今回はアムステルダム近郊のユトレヒトであり、とても楽しみである。 もし、「再び、アムステルダムのゴッホ美術館で、あの本物を間近に見たい」と思いついても、列車で30分ほどの距離らしいので、実現可能な距離なのだ。

そして、今年は事情があって開催がスキップされていた、Sketching in Hardware 2017について、主催者のMike Kuniavskyから、上のような謎のポスター画像とともに、「Sketching 2017: an alpha preview」というタイトルのメイルが届いた。 「Some facts about Sketching 2017:」・「Location: Detroit Masonic Temple + others」・「Dates: July 28-August 2, 2017 (overlapping with Detroit Maker Faire)」・「Theme inspiration (more the intent than the details):」という淡白でエキサイティングな情報に、世界中のメンバーから祝福のリプライが相次いだ。 小林茂さんがリプライした「It seems that the dates will be over-wrapped with an event of our school. I should start advertising that I'll be not in Japan in the end of July. 」というのは僕もまったく同じであり、これは頑張っていかないと。

2016年8月2日(火)

 

気象庁から上のような超誤報(^_^;)が夕方に発信された昨日は、大学院デザイン研究科の修士2回生の中間発表会があり、無事にゼミの杉浦さんも発表を済ませた。 これでようやくゼミの前期は終了で、4回生の3人は総合演習IIに合格、石井さんは就職決定、ブンちゃんは大学院合格(既に帰省帰国に旅立つ)、3回生ではうらら1人がゼミ所属確定、そして杉浦さん中間発表完了、となった。 そこでさっそくメンバーに日程を打診して、懸案だった「ゼミ打上げ」を来週の月曜日に行う事になった。 僕は代休で休みを取るが、準ゼミの井さんはインターンシップが始まるので不参加、あとは有川さんの連絡待ちである。

昨日は残りの時間を使って、いよいよ今週末となったオープキャンバスのインタラクティブ作品展示に向けて、インスタレーション作品に加えて展示するMax作品(2回生前期「サウンドデザイン」課題)の候補を選んだ。 候補は上のようになり、ここから1回生プロジェクトメンバーと相談してさらに厳選する予定である。

上の太田彩乃さん(今年の春に卒業)の作品は、1から9までの数字から2つを入力する、というシンプルな「神経衰弱」ゲームである。 ただし「外れ」を指定すると一発でゲームオーバーであり、さらに秀逸なのは、間違えた2つのコマの画像が一瞬で別の画像に切り替わってから消える、というアイデアである。 視覚的な残像が破壊されるので、単なる「神経衰弱」なのに予想以上に難しくなるのがポイントである。

上の廣田萌さん(同じく卒業)の作品は、ランダムに飛翔している「蚊」を、マウス操作の「手」で叩く、というだけのシューティングゲームである。 ただし「蚊」は「drunk」を使ってランダムウォークするし、マウス位置との衝突判定をかなり厳しくしているので、なかなかうまく叩けないところが熱中を誘う。 チューニングの微妙なところがゲームへの熱中度を高める、という好例である。 今年はこのパッチを改造しようとした作品がいくつかあったが、残念ながら座標のプログラミングにバグがあって、気持ちよくシューティング出来るものは無かった。

上の中西空良クン(4回生)の作品は、「的」がランダムに出現して、1から5までの正しいキーを正しいタイミングで叩く、という運動神経シューティングゲームである。 これも、出現バターン(等間隔なのか、ランダムなのか、等)とヒット判定の時間窓の設定によって、いくらでも難易度を上げる事が出来るが、あまり厳しくするとそれはそれでお客が逃げてしまう、というバランスが大事である。 同様のゲーム作品はとても多いが、今回はスッキリとしたこの作品を展示候補に残してみた。

上の井 紗耶佳さん(3回生)の作品は、スロットマシンである。 過去の先輩のMax作品で、スロットマシンの3画面を残像でグルグル回るように表示して、スペースキーで次々に止める、という「表示」だけの作品まではあったが、これはその後のスロット画面の完成判定まで行って完成させた、という初めての偉業である。 サウンドもそれっぽくて、失敗画面がサッと現れて消えるところなど、なかなか憎い作りとなっていて、ゲーム作家としてのセンスを感じさせる作品である。

上の大場麗央奈さん(3回生)の作品は、等間隔に高速で左右移動する「的」に対して、スペースキーで中央からミサイルを発射して撃墜する、というシンプルなシューティングゲームである。 ただし「リア充を撃ち落とせ」というテーマ、そして撃墜成功の時のアナウンス、また失敗した時の憎らしい画面と音声など、演技力ぴか一の大場さんの声優とキャラ力が抜群に発揮されていて、原型となった先輩作品を凌駕してしまった。 実は一部にバグが残っているようなのだが、これは落とすわけにはいかないのだ。

上の山内祐貴也クン(3回生)の作品は、シンプルに移動する妖怪をスペースキーでシューティングするゲームで、難易度から言えば「超簡単」である。 ところが、射撃成功だけでなく失敗を含めて、全部の結果を試したくなるのは、ひとえにキャラの可愛さとギャグの秀逸さであり、全体のバランスと完成度は群を抜いていて、去年のオープンキャンパスでも、ほぼ全員がハマッていた秀作なのだ。

上の福嶋晴香さん(3回生)の作品は、巨大な3個のしいたけから、マウスカーソル化した小人が「ひたすら逃げる」という、救いの無いシュールなゲームである。 厳しく広い衝突判定でしいたけに触れた時の爆発音と画面に出る毛筆「しいたけ」画像、そしてポイントもゴールも逃げ場もなくただただ逃げる、というこのゲームは、しかしハマるのである。 こんな破壊的なセンスは、真似しようとして出来るものではない。

ここから今年のデザイン学科・2回生の課題様品である。 上の小林見有さんの作品は、ゲームというよりは、Garagebandで打ち込んだオリジナル曲を、3人のパートごとにON/OFFして君ことが出来るジュークボックス、というような作品である。 ただし楽曲のレベル、8ビット時代を彷彿とさせるキャラデザインなど、なかなか素晴らしいセンスが光る作品なのだ。

上の小池亜美さんの作品は、いわば「お絵描きゲーム」であり、スコアも勝負も無い。 Maxの「lcd」オブジェクトにはマウスでお絵描きできるが、過去の先輩作品で、そのお絵描きした画像に額縁を付けて、中身を保存する、というものがあったのをアレンジした作品である。 ただしオムライスの上にケチャップで描く、という完成度は抜群であり、これも展示候補として外せないものとなった。

上の山田晴樹クンの作品は、実は他にも何人かが中西空良作品パッチをアレンジしたのと同様の、「1から5まで」シューティングゲームである。 パッチを開いてみると、ほとんど変わっておらず、基本的には素材を入れ替えただけのようだ(^_^;)。 ただし標的が出現する頻度を不規則ランダムになるように改良したり、という工夫が見られたのと、ちょっとだけ和風テイストを評価してみたが、まぁどちらかは展示しない事になるだろう。

上の水野早紀さんの作品は、過去に先輩の「ネコが食べられるものかどうか」という可愛いゲームがあったものを改造して、雁首並べて出て来る男子から「ヅラ」を見破って選ぶ、という完全ギャグねた作品である。 ただし講義の最終合評でも圧倒的に笑いを取っていたので残してみた。 このグラフィックのタッチは独特である。

上の福本莉加さんの作品は、ドレミファソラシの鍵盤のように並んだオタマジャクシをクリックすると音が出る、という作品である。 ただし同じ位置でも水面下と水面上ではオクターブを変えて、さらに音階ごとに全てのグラフィックを変えていて、そうと気付くと全ての位置をクリックしたくなる作品である。 パッチは階層化・構造化されていないので、スクリーンに出すのに「50%」にする必要があるほど巨大である。(^_^;)

上の遠藤冴月さんの作品は、水平移動するキャラをスペースキーで落とす、というもので、内部パッチは山内祐貴也作品とほぼ同じである。 これではあまりに簡単なので、実は僕が「counter」から「random」に変更して、次に出現する位置を予測できないようにした、という改訂版なのだが、これでようやく候補に上がった。 あとはこれらを明日のオープキャンバス「長嶋組」メンバー4人に試してもらって、セレクトしていくことにしよう。

そしてダマシオの2冊目の読書の後で夕方にマルチメディア室に行き、残った作業を1時間ほど進めた。 マルチメディア室の防音室には、オープンキャンパス等のイベントで使うために5年前に買い取りした「最後のPowerPCのiMac」が30数台あるが、この春の機器更新の際にも、3月まで使っていたiMacを20台近く、買い取りしていたのである。 ライセンスの関係で全てのアドビを消したり、SUACネットへのログインを消してスタンドアロンで立ち上がるように・・・というような、管理者権限での設定があと10台ほど残っていたのを完了した。 これで明日は、スタッフとともに準備に入っていける。

2016年8月3日(水)

前期末試験期間も終盤、オープンキャンパス前の「嵐の前の静けさ」みたいな日である。 朝イチで歯科に行ってスッキリ解決した後で、午前中には以下のように2台のMacBookAirのコンテンツの同期を整理した。 面白いことに、2台をLAN接続するために、「100.0.0.3/4」という固定IPアドレスをLANに設定しつつ、お仕事iMacに「ファイル共有」を走らせてAirMacでアクセスする方はSUACネットからDHCP接続の動的IPアドレスを設定して、LANとWiFiとを同時にそれぞれ転送しても、何も矛盾なく進んでくれた。 これはおそらく、過去のMacOSでは無かった事である。

そして午後には、 このように SUACの展示関連の施設の「探検」と下見を行ってから、1106研究室で「名作アニメーション作品・鑑賞会」などで過ごした。 オープンキャンパス設置日・当日の夕方のお楽しみ予定も確定させて、これであとは本番突入である。(^_^)

2016年8月5日(金)

昨日の木曜日は、オープンキャンパスでインタラクション系の和田先生に貸し出す「マルチメディア室・買取りiMac」にChromeをインストール出来るように、5台を立ち上げて調べて書類を書いて情報室にMACアドレスを登録する、という作業があったぐらいで、後は研究室でのダマシオ精読などで過ごした。 前期最終のアカペラでは、夏休みアカペラ有志カラオケの予定が「合宿の翌日・8/25」と決まり、この代休も出した。 1ヶ月以上の欧露ツアーの期間はカラオケは絶望なので(世界各地に「Karaoke」という看板のバーは見かけるが、まぁ歌える曲も無いだろう(^_^;))、直前の「歌い溜め」である。

上のように、アマゾンで注文していた、携帯モバイルバッテリーも届いたようである。 これは最近、ポケモンGOのために爆発的に売れているらしいが、欧露ツアーに持参する「レンタルWiFiルータ」の予備バッテリーとして購入したものである。 オプション1日200円で借りるぐらいなら、36日もあるので買った方が安いのだ。

そして、スタッフ学生が午後イチで1106研究室に集合してくるのを待っている午前中には、上のように郵便局が届けてくるブツに動きがあった。 浜松郵便局を出たということは、もうすぐ届くだろう。 この2週間、ちょっと不安だった「宅急便で送ったパスポート」が、もうじき戻ってくる。 ただし違うのは、そこにロシア大使館の発行した、ロシア入国のためのビザが貼られている、という事である(^_^)。

そして。サッカー日本代表がナイジェリア相手の初戦を「負けは負け」というような試合で落とした頃、上のように郵便局の追跡サイトの表示が「到着」に変わり、無事にパナソニックのモバイルバッテリーとともに、ビザの貼られたパスポートを受け取った。 合間に調べてみると、フライトでリコンファームの必要なのは「バルセロナ→アムステルダム」のフライトだけで、ロシアの行き来も含めて、他は電子予約/購入のためにリコンファーム不要、と確認できた。

2016年8月9日(火)

上記の日記のあと、8月5日(金)の午後には オープンキャンパス設置 をして、その後はOCスタッフ4人と「前夜祭」で軽く11曲。 翌日の8月6日(土)には オープンキャンパス初日 があり、その後はOCスタッフ4人と「中夜祭」で軽く13曲。 翌日の8月7日(日)には オープンキャンパス最終日 があり、当初は何もナシの予定で車でSUACに行ったものの、撤収を頑張ったOCスタッフ4人と「慰労の餃子」で打ち上げ。 そして昨日の8月8日(月)は代休をとりつつ大学に出てから有楽街に出かけて、中国に帰国したブンちゃんを除くゼミの石井・前澤・杉浦・うららの4人とみっちり8時間21曲。 つまり、このところ日曜以外は金土月火と毎日、バスでSUACに出かける日々となった。 無事にオープンキャンパスも終わり、オリンピック体操男子団体金メダルの盛り上がりとともに、ようやく静かな夏休みに突入である。 OC初日には疲労困憊してうたた寝している写真も学生に撮られた。(^_^;)

今日は海外旅行保険も契約して、欧露ツアーのおよその手続きはほぼ終了した。 temporaの方はその後の続報がほとんど無いが、まぁ現地での即興が勝負なので心配していない。 ICMC2016は発表のセッションが「Poster & Demo」というカテゴリのようなので(もう忘れていた(^_^;))、とりあえず持参するポスターを作る必要があり、午後にはいつものように、 発表予稿 を単に「A3横で11枚」にリサイズしてみた。 印刷はインクが褪せてくるので、出発の1週間ぐらい前に行う予定である。 欧露ツアーではいろいろ持参するので、大判でポスターを印刷してポスターケースを背負って行く、という正しいスタイルはパスである。(^_^;)

2016年8月10日(水)

昨日の帰りにスーパーに寄って買い物は・・・という電話を自宅にかけると、なんと向こうの声はこちらに届いているのにこちらの声が向こうに届かない、という通話に遭遇して、10年ぐらい使ってきたPHSが故障したと判明した。 そこで このように 近所のAUショップに駆け込んでMNP乗り換えで、遂にガラケーのユーザになってしまった。(^_^;)

そして今日はあれこれ設定に時間をかけて、最終的に電話帳データが回収できたので、 このように 長らく活躍してくれたPHSの供養に、と分解して捨てた。 机の上には、欧露ツアーに持参するブツをこれから検討するためにあれこれ散乱しているが、まぁ明日以降である。

2016年8月12日(金)

昨日は「UD-Music」の最終(8/27の本番に出ない僕にとっては)ワークショップがあり、2チームのうち片方の制作のためにAmazonから速攻で「木琴」と「鉄琴」を購入する、というお手伝いをして、ほぼ僕の出番は終了した。 さらにロシアのシベリア横断鉄道のチケットが確定して、以下(左と真ん中)のようにになんだか読めないEチケットが届いたので、これをDenisに送っておいた。

   

すると今朝になって、Denisから「同じコンパートメントの隣のシートを予約した(^_^)」というメイルと、上の右のような読めないチケット情報が届いた。 これで、エカテリンブルクからモスクワまでの25時間のシベリア横断鉄道の寝台列車での旅は安心である。 そして、同じメイルで以下のように、いよいよDenisから、ロシアでの僕のレクチャー/ワークショップについての企画検討の打診かがあった。

Today I had meeting with head of Modern Art Academy.
We are ready to detalize the schedule:
1) How many lectures/workshops are comfortable to have for you in Ekaterinburg?
2) It is better to do several lections in one day, or it is better to work only at morning, for example,
 and have free time after that?
3) Excluding weekends, we had 4 days in Ekaterinburg: 19,20,21,22.
It's seems better to work at 19th and 20th September, because it's Monday and Tuesday - and 
some of our museums are closed in this days.

"Maximum" program is the following:
- one practical workshop for some "Applied Informatics" students (how many students are possible - 5-10-more?)
    they are programmers, and currently I teach them.

- one practical workshop for some "Visual communications" students   (how many students are possible - 5-10-more?)
    thay are designers, and today their head of chair told me that now they had added new competence 
in learning program: "Creating art objects". Also, they ask me to teach them the technologies and media 
in current year:) So, this is students for creating interactive installation.

- one or two lections for all Academy students, who want to know your ideas / technologies / projects.
   Also, such lection will be very valuable for other students/designers/programmers outside Academy, 
so I think about making this lections public.

Also, additionally I ask my friend Igor Sodazot to go to from Moscow on couple of days in Ekaterinburg, and 
make some lection on mediaart/videomapping. (Later we will join him again in Moscow).

I will appreciate any of your decisions on lections.
なんとも素晴らしいリクエストである。 僕は 2010年の渡露 の際には、国際コンペティションの審査員、ガラコンサートでの新作初演とともに、3日間それぞれ1本ずつ、計3本のレクチャーを行った。 そして今回は、Denisが教えている学生たち、さらに新しい「Creating art objects」というテーマでDenisが教えることになる話題でも、というリクエストである。 そこで気合いを入れて、3時間ほどかけて以下のように返信してみた。 これが最終的にどうなるか、なかなか楽しみである。
  > Today I had meeting with head of Modern Art Academy.
  > We are ready to detalize the schedule:
  > 1) How many lectures/workshops are comfortable to
  > have for you in Ekaterinburg?

As you hope (maximum).
In December 2010, I had three sessions of 90-minutes
lectures in 3 days. However, I want to trigger your
students in touching new possibilities in this field,
so one lecture (small Workshop) will be needed about
3-4 hours - with you as an interpreter. I hope about
30-40 minutes setup time before my lectures,

  > 2) It is better to do several lections in one day,
  > or it is better to work only at morning, for example,
  >  and have free time after that?

For example, I will go to the room on 09:00, and then
setup. The lecture will be set as "10 am - 12 am and
13 pm - 15 pm". Is this confortable ?

  > 3) Excluding weekends, we had 4 days in Ekaterinburg:
  > 19,20,21,22.
  > It's seems better to work at 19th and 20th September,
  > because it's Monday and Tuesday - and some of our
  > museums are closed in this days.

I can have lectures all 19,20,21,22.

  > "Maximum" program is the following:

OK, I follow your "Maximum" program.
The order is - from "easy/wide" to "deep/special".
Topics will not overlapped fully, so advanced students
can attend lower lectures.
I had many lectures/workshops like them in many countries
and in many Universities in Japan.
This plan is only tentative at the first step, please
comment. Within our discussion, I will choose items
to take in my baggage.

=======

  > - one or two lections for all Academy students, who want
  > to know your ideas / technologies / projects.
  >    Also, such lection will be very valuable for other
  > students/designers/programmers outside Academy, so I think
  > about making this lections public.

I will introduce my ideas / technologies / projects.
Some demonstrations(performances) are included.
("Hall" is not nessesary.)
You can divide this lecture to two days - for your
students and for open public.

(1) General Lecture (open public) 90min-120min
title
"Interactive Media Arts - New Ideas and New Technologies"
menu
	Media Arts
	Interaction and Algorithm
	BioSensor and BioFeedback
	Examples - Projects snd Works
	Demonstration Performance

=======

  > - one practical workshop for some "Visual communications"
  > students (how many students are possible - 5-10-more?)
  >  thay are designers, and today their head of chair told
  > me that now they had added new competence in learning
  > program: "Creating art objects". Also, they ask me
  >  to teach them the technologies and media in current year:)
  > So, this is students for creating interactive installation.

It is very important for visual designers to know the concept
"programming". It expands from "fixed media" (constrained
in time flow) into "interactive contents" - with dramatic
possibilities.
This lecture is "introduction for programming" with many
interesting examples of my students.
If possible, PC(Windows/Mac) running "Max7" will be needed
(1 PC - some students). Max7 can be used freely within 30
days from download/install, - so staff should download
just before the lecture.
I will bring "pre-programmed" Arduino and sensors.

(2) Practical Workshop (4 hours) (20 students OK)
title
"Introduction of Programming - Creating Art Objects"
menu
	Fixed Media (movie) vs Interactive Media
	Algorithm and Programming
	Simple Animation
	Sound - expand emotion
	Interaction with Interfaces

=======

  > - one practical workshop for some "Applied Informatics"
  > students (how many students are possible - 5-10-more?)
  >   they are programmers, and currently I teach them.

This lecture will expand students' world from inside
PC to real world.
If possible, PC(Windows/Mac) running "Max7" will be needed
(1 PC - some students).
This lecture contains not only programming of Arduino
(standalone) but also interfacing using Maxuino
(Arduino --> Interface).

(3) Practical Workshop (4 hours) (10 students OK)
title
"Introduction of Programming - Creating Art Objects"
menu
	Mathematical Design
	Needs-oriented Desugn and Seeds-oriented Design
	Physical Computing - connect real world
	Sensors, Interfaces and Displays
	Programming "Original Interfaces"

=======

  > Also, additionally I ask my friend Igor Sodazot to go to from
  > Moscow on couple of days in Ekaterinburg, and make some lection on
  > mediaart/videomapping. (Later we will join him again in Moscow).

I want to attend one of the lectures of this. I cannot understand
Russian, however I want to feel the lecture. I hope to attend the
"intruduction" part. (no need interpreter)

  > Good news on Ekaterinburg Museums:
  > Head of Academy ask me to give a list of museums in Ekaterinburg
  > which you want to participate - she will try to organize free
  > enter (without pay) for you there.
  > So, I will prepare the list of museums and send it to you.

Oh, thanks.

  > Also, they plan organize a special guided tour for you in
  > Uralmash Architecture.

This is good.

However, I will not hope to be tourist busy here and there in
tight schedule.
In the winter 2010, I enjoyed "Snow Ekaterinburg" with "powder
snow" and "chilled vodka in a warm room". And you told that
"Summer Ekaterinburg" is much better. So I hope to enjoy the
wonderful nature and beer slowly.
そして明日からの土日月は「お盆休み」である。 ちょうどオリンピックは日本勢が大活躍しているので、時差ぼけしながら観戦応援といこう。 かつては、海外出張中のホテルで観戦した、 ベルリン(ICMC2000)のシドニーオリンピックパリ(サバティカル2004)のアテネオリンピックプロビデンス(Sketching2008)の北京オリンピックリンツ/ウイーン(Ars Electronica2012)のロンドンオリンピック、 などを、日本と違って「時差ナシ」で堪能したが、リオは日本と12時間の時差という「真裏」なので、なかなかにキツい観戦応援なのだ。

2016年8月18日(木)

お盆を過ぎても地球の真裏で熱戦が続くため、日本にいながら時差ボケしているうたちに数日が過ぎた。 「シンSMAP vs 1人SMAP」は、まったくもって、どーでもいい(^_^;)。 女子卓球団体のメダルをライヴで見届けたら午前2時・・・などという日々から復帰するために、昨夜は11時間睡眠を貪り、女子レスリング金メダル3連発のライヴ確認とともにスッキリと研究室に出てきた。 今日は午後に4回生の三宅さんの卒制相談アポ以外に予定はなく、終日、欧露ツアーの直前準備(仕込み)に没頭する予定である。

 

欧露ツアーで唯一、プログラムの詳細が公開されていなかったVS-Games2016からも、ようやく上の 暫定プログラム  が届いて、僕の口頭発表は最終日のトリ、と判明した。 プレゼンはPDFで、とのことなので、これは欧露ツアーの前半、ボルドーのtemporaの合間とか、ボルドーからバルセロナへの数時間の列車の中ででも作っていくことにしよう。 プレゼンを発表の現場に行く途中で作成する、というのはテンションが上がる作業であり、国内の学会でもよくある事である。(^_^;)

     

男子卓球団体の敗北は別ウインドウのネット文字ニュースでチラ見するだけで、まずは、先月カンボジア社員旅行に行くというのでNIME2016の後で次男に貸し出していたスーツケースが戻ってきたので、上のように持参機材を小箱に分けて並べておよその分量と箱を確定させた。 実際に現場で使うためのMaxパッチの改訂(作曲)は、前夜にホテルの部屋で集中して完成させるのが海外ツアーの醍醐味なので、ここではハードウェアのチェックを含めた動作確認と、対応するMaxパッチの発掘と整理という作業である。 備忘録として、ここに簡単にまとめておく事にした。

 

 

上のようにLittleBitsSynthの箱に入れたのは、村尾先生との共同研究のために作った、3チャンネル呼吸(伸縮ベルト)センサとArduinoのセットであり、Webカメラもセットになっている。 これで、センサデータをテキストデータに書き出しつつ、その様子を動画で記録しつつ、そのサウンドをサウンドファイルに記録する、というデータロガーのサンプルとして持参することにした。

 

 

 

 

 

上のようにもう一つのLittleBitsSynthの箱に入れたのは、照岡さんの最新の筋電センサを試作してXBeeからWiFiで送ってリサジュー解析してサウンドを鳴らした、という実験システムと、あと2枚のArduino基板である。 大きなシャープの赤外線距離センサを使ったデモとして、RAKASUさんからBGMをいただいた「Ave Maria」テルミン演奏を実現するサンプルも改訂完成させた。 さらに、小型ジョイスティックにパイプを増設して、かつて制作した「クラクラ錯覚」インスタレーションも改訂完成させた。

   
上のMacBookAir用ACアダプタの箱に6セット入れたのは、「ジョイスティック」・「赤外線距離センサ2個」の着いた、Gainer Nano Proの6セットである。 人間環境大学看護学部の大学院で「バイオフィードバックセミナー」を行った時にスケッチを書き換えていたので、改めて「LEDを1秒ごとに点滅」とスケッチを書き換えて準備完了となった。

     

そして、上のようにあれこれ詰め込んだ箱に取り組んだところで時間切れとなった。 午後に三宅さんの卒制に関してアドバイスをしたのは1時間ほどだが、ここでMax7ならでは?というバグに遭遇して、「筋肉体操」ゲームが正しく動かない(Max6では正常に動いていた)トラブルを格闘したが、1時間ほどでストップである。 ここからは、明日に持ち越しとなったが、久しぶりにMaxを楽しむ事が出来た。(^_^)

2016年8月19日(金)

長期出張のため、常備薬を補充するために昨日の夕方に1件、今朝イチで1件、と医者に行って処方してもらってきた。 12年前の サバティカル2004 の時には、58日間といっても市販薬だけしか持参しなかったのに比べて、歳をとって持病もちになった差が歴然である。

昨日の夕方に行き詰まっていた、上の「筋肉体操」については、夜中にアイデアが浮かんでいたのを試すとあっさりと解決して、Max7のjitterのバグである、と確認できた。 要するに、MacBookAir4にはインストールせずに置いてあるMax6のMax6 Runtimeで走らせると、問題が起きないのだった。 過去に人間環境大学看護学部での「バイオフィードバックセミナー」でもちゃんとこれが走っていたのは、当時はMax7でなくMax6をインストールしてあるMacBookAir3で、Max6で走らせていたからなのだ。 バグの現象としては、「jit.matrix」に入れたカメラ画像を「exportimage」で静止画ファイルに書き出すところが正しく動かない、というもので、とりあえずこのパッチをデモる時にはMax6 Runtimeで、ないしはMacBookAir3で行う、という対症療法を決定した。

上のように同じ箱に入れたのは、2010年の ロシアツアー で初演するために作曲した新曲"Ural Power" の「8チャンネル・テルミン」のシステムである。 使う予定は今のところ無いが(もしかするとtemporaで使うカモ)、当時に持参したオリジナル筋電センサ "MiniBioMuse-III" の代わりに、せっかく持参する「ダブルMyo」版に差し替えた改訂版Maxパッチを作る(作曲)、という作業はなかなか面白そうなので、途中で余裕があればやってみたいと思う。

上のように同じ箱に入れたのは、もっとも最近のブツであり、8個のリニア振動モータを取り付けた手袋で「音楽の振動を体感する(聞く)」というものである。 マイケルジャクソンの曲を3曲、選んで楽しめるようになっているので、これはロシアでのレクチャーでデモったら受ける気がする。 このシステムのねたでICEC2016に応募してリジェクトされた(;_;)「幻の論文」は これ であるが、どうやら日本の研究者の「振動ネタ」の発表があるようなので、どのくらい「届かなかった」のか、発表を聞いて見届けるつもりである。

これで上のように、LittleBitsSynthの箱が2つとMKacBookAirのACアダプタの箱、そしてちょっと大きめの箱(3種類のシステムを詰め込んだ)、というところまで、単なるパッキングでなくて「動作確認・パッチ改訂」が完了した状態で整った。 残る2つの箱には、「Myoが4個」と「うにうにセンサ系が2種」と「MUSE」が詰め込んであり、このそれぞれの最終チェックは今回の欧露ツアーでの学会発表とも直結するし、ボルドーのtemporaの即興セッションでも、ロシアでのレクチャー/ワークショップ/パフォーマンスでも主役となる「トリ」である。(^_^)

しかしその前に、センサ等の外部インターフェースを使わずに、ロシアでのMaxレクチャーなどで使えそう(話題としてウケそう)なMaxパッチをいくつか発掘して、動作確認とともに整理した。 上のパッチは、「音楽情報科学」の課題のためにサンプルとして作ってあげた「ドライブゲーム」のサンプルである。 ランダムに8種類のキャラクタがおりてくるのを、スライダーをハンドルとして左右によけるというもので、いろいろなセンサの情報をこのスライダーに与えるだけでゲームが完成する。

上のパッチは、1回目のバイオフィードバックセミナーの時に、甲南女子大の辻下先生のところで触れた「インタラクティブ・メトロノーム」を浜松までの帰途の新幹線の中で実現した、というものである。 ゼミの石井さんがサクサクと美少女キャラを描いてくれて完成したものだが、商標の関係で(^_^;)、名前を「インタラクティブ・リズムゲーム」と改訂した。

上のパッチは、この前期の「メディア造形総合温習II」で、ゼミの馬ブンさんが制作した作品「誰でも美人」というインスタレーションである。 カメラで体験者の顔に追従して、背景を通過させた画像にいろいろな「美人」の衣装を着せる、というもので、体験者が動いても追いかけてくるところがポイントである。 このパッチでは、体験者の「顔のサイズ」と「目の間隔」という2つのパラメータを抽出したところまでで終わっていて、そのパラメータから「あなたは○○○(時代・地域)の美人です」とお薦め衣装を抽出するまでには至らなかったのは、まぁ、仕方ない。

上のパッチは、まだどこにも発表していないが、いずれ何らかの作品にまとめるための試作である。 多数の風景写真に対して、いろいろな方法で小さなタイルを開けていって、何の写真かを当てる・・・というためのものである。 スライダーの値によって「開けるタイルの数」を増減できるので、インターフェースと結べばすぐにゲームは完成するが、実はここにバイオフィードバック・センサの出力を入れたい、という作戦があるので、まだ完成はだいぶ先である。

上のパッチは、「音楽情報科学」の課題のためにサンプルとして整理した、「Max(jitter)でいろいろな動画から選んで表示する」というシンプルなものである。 たまたま当時、ロシアに巨大隕石が落ちた・・・という話題で多数のYouTube動画が出回って、それらを選ぶようにしてあったので、ロシアでのウケ狙いのために入れた。 動画の中のロシア語は僕には分からないが、ロシアに行ったらお客さんには受けるのでは。

上のパッチは、いつだったか忘れたが、海外出張の乗り継ぎの空港ラウンジで、暇つぶしに作った「ライブカメラ万華鏡」である。 ラウンジの隣の席で、暇を持て余してぐずっている女の子がいたのでこれを作って渡したらウケて、両親に「Thank You」と感謝されたような遠い記憶がある。 元々は、新潟だったか仙台だったか、学会の帰りに新幹線の中でチラッと作りかけていたものを完成させたものだ。

上のパッチは、今年でなく去年の「知覚コロキウム」に参加した時に、チュートリアル講演で紹介されていた「マルチメディア錯覚」のデモ動画を見て、その場でサクッと作ったものである。 動画と違って、2つの●が移動して、「交差」「衝突」する瞬間からどれだけ遅れて衝突音を出すか、を調整できる。 まったくグラフィック(アニメーション)は同じものなのに、サウンドが同時だと「衝突」と感じて、サウンドが遅れると「交差」と感じてしまうのが面白い。

上のパッチは、テレビ番組とかでもよくある、「どこかが少しずつ変化しているのを探す」というゲームである。 素材となったイスタンブールの写真は、研究費から1万5千円ぐらい支出して、素材提供会社から正規購入して加工した。 人間の視覚は、時間的に素早く変化するものへの感度は鋭いが、このように変化するものには相当に鈍感なので、やってみると面白い。 jitterとしては、高精度の多数のマスク動画を全て重ねつつそれぞれを刻々と色彩モーフィングさせているので、Maxパッチとして走らせるとかなり重くなるので、このパッチだけはアプリケーションとして書き出して実行させるようにしてある。

そして昼休みには、上のようにICMC2016で発表するために持参するポスター(A3普通紙)を印刷した。 いつもは豪華に厚い光沢紙の「クリスピア」を使うのだが、今回はスーツケースの重量を最低限にしたいので、質素に普通紙である。 今回は"poster session"ではなくて、"poster & demo" sessionということなので、おそらく多めに貼れるスペースがある、と見込んで、計11枚にもなってしまったが、そのまま 論文集の原稿 (Referencesだけ省略)を「A3・横」に拡大整理してみた。 あとは現場の設置の段階で考える、ということになる。

そして、上のように残った2箱から、今日は4個のMyoとMUSEに久しぶりにチャージする、という事にして、残りはダマシオ(もうすぐ2冊目が再読完了)に取り組んだ。 他にもleap motionとか、2台のMacをOSCで通信させるためのクロスLANとか、いろいろと小道具もあるが、これも含めて、作業の続きは明日に持ち越した。 あまり一気にやってしまうより、噛み締めつつMaxと遊びたいのである。(^_^)

2016年8月20日(土)

朝イチで届いていたのは、「静岡銀行本人認証サービス」というタイトルの、僕は契約した記憶のない、下のような、どう見ても「怪しい」メイルであった。 「貴様」とは日本語ではもともと「あなた様」というものだったが、現代に「システムセキュリティのアップグレードのため、貴様のアカウントの利用中止を避けるために、検証する必要があります」という文章を、日本人が書くはずがない(^_^;)。 最近よく届く「添付のzipを開いて」系のスパムよりはレベルが低いが、文中に表示されるURLは「https://www.direct.shizuokabank.co.jp/・・・」なのに、実際にはまったく別のドメイン「http://www.direct.shizuokabank.co.jp.irnrr.cc/・・・」に飛ばされる、定番の詐称スパムである。

そしてここから一日がかりで、昨日の作業で最後に残っていた2つの箱の中身を確認しつつ、Maxパッチのバグを改訂したり整理する、という作業に没頭した。 過去の「日記シリーズ」に登場したことのあるようなスクリーンショットも多いが、かなりの部分を改訂して、全て今回、撮ったものであり、欧露ツアーの途中ではマニュアルとしてこのページから検索していくことになる。

以下は「うにうにセンサ」の最初の実験モジュールで、RT社の「PAWセンサ」をNucleoF401REで250μsecごとに時分割センシングして、MIDIプロトコルに準じた115200のシリアルで送るものである。 Maxパッチには2種類あり、最初の実験パッチとして擬似的フォルマントを変えるものと、「音楽情報科学」の課題として宮本さんが作った「いやらしく触るといやらしく声がする」作品(実際には可愛くなった)のパッチであり、最終発表の宮本さんのmovieもデモ用に置いてある。

 

以下はついでに持参するleap motionである。 スクリーンショットを撮るために左手が「shift」「command」「3」に行くので画面から消えてしまうが(^_^;)、いずれもリアルタイムに両手をセンシングしている。 最初はleap motionコントローラのVisualizerのデモ、そして3種類のデモアプリケーションの画面が続く。 オープンキャンパスではデモ用MacのOSバージョンが届かなくて見せられなかったが、これを見せれば初めての人にはウケる筈である。 さらに、赤松さんの「aka.leapmotion」オブジェクトによって、両手の指先その他の3次元空間座標を取得するデモパッチも確認した。 さらにこれを使って、昨日か一昨日に仕込んだ、Arduino+大型赤外線距離センサを使った「Ave Maria」テルミン演奏パッチは、掌の反射の誤差でかなり音痴な演奏になるので、leap motionに置換したパッチを作ってみた。

以下は、この箱(LittleBits実験ボード用)に詰め込んだ最後のブツ、MUSEである。 しばらくぶりで忘れていたが(^_^;)、まずは「MUSEからBluetooth経由でOSCプロトコルでセンサデータを送る」というオリジナルのスクリプトコマンドを起動してMUSEのボタンを長押しすると、通信が成立するところから思い出した。 ここでネットで確認してみると、今回の欧露ツアーで行く国は全て、電源は50Hzである(電圧は220-230V)と確認できた。 そしてMaxパッチは3種類あり、「AGC付きで首方向+脳波センサを検出」・「脳波+首振りでサウンド生成」・「表情筋・外眼筋を色々な表情でセンシング記録」というデモまでを確認した。

そして最後の箱(買ったもののほとんど使っていないSonyのアンプの箱)である。 4個のMyoを後回しにして、まずは新楽器MRTI2015、つまり、RT社の「PAWセンサ」を10個使ってさらに内部に8個のブルーLEDを持ち、NucleoF401REでMIDIプロトコルに準じた115200のシリアルによってホストMaxと双方向通信するものである。 当面は去年のアリゾナのSketching2015、シンガポールのSI2015、そして今年のブリズベンのNIME2016に持参したMaxパッチそのもののままにしてあるが、temporaとかロシアで新たに「作曲」するとすれば、これを改訂するのが第一候補となる。

そしていよいよ最後は、4個のMyoである。 まずは以下のように4個を両腕に装着して、駄目モトで「ArmBand Manager」でのBluetooth接続を試してみたが、どうやっても最大3個のMyoしか接続できない、という制限(バグ?)が直っていないのを確認した。 これで、準備していた「QuadMyo」は幻の企画となった。

     

以下は最初に去年の知覚コロキウムでデモったMaxパッチ(当時はProcessingを経由したOSC)を、Xcodeで作ったオリジナルインターフェースに置換したパッチと、その後に開発した「ダブルMyo」によって2個のMyoの両腕の筋電を表示したパッチ、さらにjitterのOpen-GLのリアルタイム3D-CGとともにダブルMyoを鳴らす、というパッチである。

以下は再び「シングルMyo」に戻って(左右どちらでもOK)、Myoからの8チャンネル筋電情報を新開発の「リサジュー解析」アルゴリズムによってジェスチャー認識する、というシステムである。 提示される29種類の「手首から先」のジェスチャー写真を真似て被験者のデータをとり、次に29種類のジェスチャー写真を再現するデータをリアルタイム比較して「よく再現できている」5種類を抽出すると、最後はその5種類のジェスチャによって写真が1ピクセルずつ上昇するのが、とても気持ちいい「バイオフィードバック」の体験になっている、というものである。

最後は、ここまで撮った写真とスクリーンショットを以下のように「お仕事Mac」に送って、スリープさせたMyoを外してみると、両腕にしっかりと跡がついていた(^_^;)。 これをなんとか箱に押し込んで、機材関係のチェックとパッキングはほぼ終了である。

明日は某オフ会のカラオケ、月曜日だけ準備日があるが火・水はアカペラ合宿、そして木曜日は眼科の定期検診(散孔)に続いてアカペラ有志カラオケ、さらに金曜日は残り1件の医者で常備薬を処方してもらってトコヤに行って、もう翌日の土曜日には出発となる。 以下のように突然に台風が同時に3個もやってきているが、そんなの関係ねぇ。(^_^;)。

2016年8月22日(月)

昨日は無事に豊田町で31曲を歌い溜めして、これから関東に台風9号が上陸するという今日も、以下のように浜松はギリギリ脳天気に「晴れ」が続いている。 多少は雨が降るかもしれないが、なんとか明日からのアカペラ合宿も、残り2つの台風をうまく避けていて大丈夫そうである。

ロシアのDenisからのメイルでは、このところやりとりしている「立体視カメラ」とか錯覚の話題、そして僕が歌うのが好きだという話題に対しては、Denisの奥さんがプロ歌手を目指して音楽院で頑張っている(→彼が参画するマルチメディア・パフォーマンス作品のパフォーマーとして生きる)という話題がドカッと届いた。 まずは、ロシアで彼が使っているという 3Dカメラ をレポートしていたロシア語のブログを、わざわざ速攻で 英語版レポート にしてくれた。 これはPDF保存しつつプリントアウトを機内で眺めてみることにしたが、残念ながらplatformにMacが無い(:_;)ので、そこで終わりそうである。

3Dカメラの話題として、2年ぐらい前から日本で話題になっていたリコーのTHETA(羽田先生とか和田先生が遊んでいた)について紹介すると、なんとロシアではここ最近になって話題となったらしく、上のように、彼らは先月にこれを購入して遊んでいるらしい。 ただし僕はスマホを持たないので、これも軽くバスしているのだった。(^_^;)

Denisの奥さんのクラシック演奏と、彼の作品のパフォーマンス(ライヴ映像と組み合わせる)の模様が、上の2本のYouTubeである。 こんな本格的な歌手に比べたら僕は単なる「熱心なアマチュアコーラス」程度であるが、ロシアで引き合わせてくれるのだという。(^_^;)

そしてここから上のように、今回の欧露ツアーの「裏のお仕事」の仕込みに入った。 T○Y○T○との共同研究(2年目の今年は実質的には受託研究)に関して、大きな宿題を抱えているので、これを欧露の空気とともに一気に仕上げる、というMaxプログラミング作業である。 元々は2005-2006年の「未踏」でやった、 コンテンツクリエイターのための著作権フリー音楽クリップ生成システムFMC3(Free Music Clip for Creative Common) であるが、これを機内でも参照できるように、ローカルに 簡易版ドキュメント を置くとともに、コード進行の可能性がまだ拡大できた・・・というのを反映させた 音楽理論特訓講座 も置いた。 そして以下のように、「FMC3」のMaxパッチの内部から発掘した、52種類のコード進行パターンを記載したサブパッチも単独に用意した。

今回のテーマはFMC3の「オフライン自動作曲」とはちょっと違っていて、「リアルタイム自動作曲」アルゴリズム、という新しい世界である。 単にコンピューティングパワーが上がっただけで復権してきた人工知能の領域で世界的にトレンドとなっている「機械学習」に対抗して、あくまでヒューリスティクスの整理統合実装を目指すのは、単に「機械学習(コンピュータ)に音楽が分かってたまるか」という古い音楽愛好家の意地なのだ。(^_^;)

そしてその後、忘却の彼方にあった「FMC3」の開発ノート( リンツとバルセロナ を巡りながらFMC3のMaxパッチを作っていった)を発掘して、その基本的な部分に大きなバグがあった事を発見してしまったが、まぁ時効であり、今回のプロジェクトではこれを改善することにした。 静岡県の暴風警報が解除されて、上のようにちょうど台風9号は首都圏を直撃しているようだが、結局、浜松は脳天気に「晴れ」のままで雨は一滴も降らなかった。 明日は台風一過で気持ちよくアカペラ合宿に行けそうである。

2016年8月26日(金)

火曜日・水曜日は アカペラ合宿 で、メンバー同士の交流を深めつつ自然を満喫した。 昨日の木曜日には午後からのアカペラ有志カラオケ(19曲)に行くために3日連続で休み(代休+有休)をとったが、その午前に緑内障の経過観察定期検診に眼科に行ったところで、以下のように突然の発症を通告された。 いつものように悪い方の右目で、網膜に小さな穴が開いたのだという。 放置しているとこの穴から網膜の裏側に水が入っていったりして、最悪は網膜剥離(失明)の可能性がある、ということで、急遽、翌日、つまり今日の午前にレーザー手術を行う、と決まった。(^_^;)

そして今日は朝6時半に研究室に出てメイルチェックをした後で8時過ぎにまず耳鼻科に行ってハムスターアレルギー喘息の常備薬などの処方を受けていったん大学に戻ってクルマを置き、浜松駅経由のバスで眼科に向った。 「散瞳」という、瞳孔を開く診察/手術なので、眩しくて数時間は運転できないからである。 そして実際の手術は数分間で無事に終わって、午後に研究室に戻ってきたところである。 「鈍痛」というのは、初めて体験した。 たしかにズシンとした「鈍痛」だった。 とりあえず出張前にこの手術を終えた、というのは安心なのだろう。 もう明日は出発である。(^_^;)

2016年8月28日(日)

ここは成田→ブリュッセルのANA機内、ちょうど11時間50分のフライトの中間ぐらいのロシア上空、日本ではフライト出発から6時間後の午後5時、目的地ブリュッセルでは午前10時で、フライトはあと6時間ほどである。 欧露ツアー出発日の昨日は予定通りにSUAC→浜松駅→e-wingでセントレア前泊と進んだが、東横インをほぼ占領している中国人観光客のいろいろなマナーには圧倒された(^_^;)。
写真はこちらの日記でなく、 前回のSabbatical 2004 にならって こちらのページ に置くことにしたが、向こうは敬体こちらは常体、と同時に書き進めるのはちょっと難しいかもしれない。

今日は朝イチでセントレアに行ってみると、なんとフライト直前に中部→成田の飛行機をなにやら整備していて。遂には「機材変更しますのでゲートも変更します」というアナウンスとともに50分遅れのフライトになった。 まぁ、元々が成田での乗り継ぎに2時間ちょっとの余裕があったので慌てなかったが、なかなか前途多難を予想させた。
出発前に研究室で旅程を眺めていて、アムステルダム→プラハ→エカテリンブルクのフライトが翌日の朝5時に到着する、と気づいて、ホテルに「チェックインはとっっっても遅くなるケド・・・」とメイルしてみたが、「なんなら空港で出迎えしホテルにtransferするクルマを手配するけど」との返信があり、高いのか安いのか、この800ルーブルのタクシー手配を依頼した。 そしてDenisに「早朝にホテルに着くので10時頃に来て」と連絡して、ようやく全旅程が出発当日に確定した。

この連絡メイルへのDenisの返信に以下のようなリクエストがあったので、この行きのフライト機内でのお仕事は「モスクワでの講演のタイトルとメニュー作り」と決まった。 可能であれば、過去に英語で行ったレクチャー/ワークショップのHTMLをアレンジして、オンライン・レジュメを作ってしまいたいところだ。 そして4時間ほどの爆睡の後のいつものオレンジジュース+コーヒー+ストレッチで目覚めて、お仕事を開始したのである。 なんと座席にはACコンセントがあるので、バッテリ切れを機にすることなくバックライトを点灯させてお仕事できるのでとても助かるのだ。

Question on Moscow:
As I understand, Mars gallery is engaged in your experimental music instruments and experiments,
so it would be great to make lection/workshop about it (with small demo /performance).
So, we originally planned two evening events in Mars, can you propose titles for them? 
(this question is not very hot, I know that you are in the road)
ここでこの日記とか過去のDenisとのやりとりのメイルを発掘してみると、なるほど、Yekaterinburgの方では以下のようにタイトルとメニューをとりあえず出していたが、Moscowの方はまだだった。 おそらくは以下のYekaterinburgの3本のレクチャーのうち、一般に公開する(1)のような内容を2日間に分けて・・・という形がよさそうである。
(1) General Lecture (open public) 90min-120min
title
"Interactive Media Arts - New Ideas and New Technologies"
menu
	Media Arts
	Interaction and Algorithm
	BioSensor and BioFeedback
	Examples - Projects snd Works
	Demonstration Performance

(2) Practical Workshop (4 hours) (20 students OK)
title
"Introduction of Programming - Creating Art Objects"
menu
	Fixed Media (movie) vs Interactive Media
	Algorithm and Programming
	Simple Animation
	Sound - expand emotion
	Interaction with Interfaces

(3) Practical Workshop (4 hours) (10 students OK)
title
"Introduction of Programming - Creating Art Objects"
menu
	Mathematical Design
	Needs-oriented Desugn and Seeds-oriented Design
	Physical Computing - connect real world
	Sensors, Interfaces and Displays
	Programming "Original Interfaces"
さらに過去のメイルを発掘して、以下の記述を発掘した。 こちらは晩(仕事のある一般の人が参加できるように)に、2日間それぞれ、18:30-20:00という90分のレクチャーを行う、というのが大きな枠組みとなるので、ここにミニライヴ的なパフォーマンスを仕込むことになりそうだ。 90分といっても、おそらくDenisが逐次通訳を入れてくれるとなると、実質は国内なら60分程度のレクチャーになるので、冒頭に何かガツンと学生作品とかの映像を見せたりパフォーマンスをすればもう十分に勝算はある。(^_^)
- MARS Gallery (Moscow) - workshop and small performance.

They denote this as cultural exchange program "Art for Peace". 

Exact schedule:
Currently MARS wait for your event at two days: 24,25 September, 18:30-20:00
飛行機内はオンラインでインターネットに繋がっていないが、今回は60GBのUSBメモリ2本に、僕のWebに上げている全コンテンツのバックアップと、お仕事iMacのHDにあるほぼ全てのデータのバックアップを持参してきたので、普段であればオンラインで探すものをオフラインでも可能である。 そして僕のサイト(コンテンツ相互のリンクを全て相対リンクになるように数年かけて整理してきたつもり)から、英語の講演ドキュメントとして、さすがにベルリンのICMC2000のワークショップは古いので避けて、 台湾での国際会議の基調講演 と、 筑波大・大学院での講演 と、 パリのICEC2009チュートリアル (考えてみればここに受講者として参加したDenisと知り合ったのだ(^_^))と、 2010年のロシアツアーで3日連続で行った講演の 1日目2日目3日目 の資料を発掘した。 そしてザッと眺めたところ、やはり時系列的にいちばん最新である(といっても数年前(^_^;))、2010年のロシアでのレクチャーから適当に抜粋してアレンジすればOK、という結論に達した。

・・・そしてここから約1時間ほど、余計なページを捨てて3-4ミリの厚さにまで薄くなった「地球の歩き方・ベルギー」を初めて開いて、Booking.comで予約したホテルの場所を確認したり、夕方到着・朝出発の乗り継ぎのたった1泊でどこを歩こうか、と検討した。 駅付近にさんざんスリ多発の情報が載っているので、欧州到着初日は列車でなくタクシーでホテル直行、と決めた。 世界遺産になっているという市内最大のなんとか広場までは徒歩圏内であり、そこには「ビール博物館」というのもあったが、フライトの到着が16:10なのに博物館は17時まで、ということで、ちょっと無理そうだ、と判明した。 しかしこの広場からちょっと歩いたところの「小便小僧」、さらになんと「小便少女」(^_^;)というのもあるらしいので、そのあたりを散歩して、あとは夕食にベルギービールをいただいてオシマイ、という作戦が出来上がった。

Lecture Workshop at MARS Gallery (Moscow)
"Human-Computer Interaction and Media Arts"
Yoichi Nagashima (Japan) - Researcher,Composer,Professor
24,25 September, 18:30-20:00 (2 days)

(Day 1)
title
"Media Design and Sensor Technology"
menu
	Media Arts
	Fixed Media (movie) vs Interactive Media
	Interaction with Interfaces
	Demonstration Performance

(Day 2)
title
"Human Expression and Wellness/Entertainment"
menu
	Live Computer Music Performance
	Interaction and Algorithm
	BioSensor and BioFeedback
	Demonstration Performance
その後、約30分ほどで、上のようにモスクワでの2 daysのメニュー案をまとめてみた。 「Demonstration Performance」については、まだ何が起きるかわかっていない、ボルドーでのtempora meetingの中でおそらく即興的に仕上げていくであろう「何か」を想定している(^_^;)。 今回の欧露ツアーの中で、VS-Games2016とICMC2016は採択された研究発表というレールが敷かれているし、ICEC2016は基本的にお勉強の聴講参加であるが、temporaとロシアについては、その場のアドリブで切り拓いていく、というものなので、ここはあまりきちんと準備しないことが重要なのだ。 禁断のleap motionデモ、という最後の手もある。 ベルギーに着いたら、成田空港で受け取ったモバイルWiFiルータの動作確認とともに、この案をDenisにメイルしてみることにした。 まだフライトはサンクトベテルブルク付近であと2時間ほどあるので、残りはぼちぼち「数独」タイムである。

その後Brusselsに到着してホテルに行ってシャワーを浴び、夕方(サマータイムなのでずっと明るい)の2時間半ほどで、上の小便小僧など徒歩圏内の名所をざっと巡って、さらにベルギービールを4種類も堪能しつつ分厚いステーキをいただいた、というあたりは、 こちらのページ の「2016年8月28日(日)」を参照されたい。 ホテルのWiFiは何故か繋がらなかったが、モバイルWiFiルータは低速ではあるがアップロードまで完璧で助かった。

日本では、先週、揃い踏みしていた3個の台風の最後の1個、台風10号がUターンしてきて本州上陸と大変なようだが、いつものようにYAHOO.COMのWheatherで調べてみると、上のように、明日からのボルドーの天気もまずまずのようである。

2016年8月29日(月)

時差ぼけによって夜の11時頃に目覚めると、そこから午前4時頃まで、ほとんどウトウトすることもなく寝付けない欧州初日の晩となった。 世界的な観光地・ブリュッセルのド真ん中の安いホテルを予約したので、予想通りにホテルの前の通りは深夜2時になっても3時になっても馬鹿騒ぎする若者で騒々しかったが、まぁそんなものだろう。 今日は午前にはブリュッセルからボルドーにフライトして、いよいよtempora international meetingの宿舎に移動して晩には参加者の顔合わせがある予定である。

どうせ眠れないなら、と朝の5時頃には起き出して、上のように、今回の欧露ツアー中に進めたいプロジェクトの「最初の一歩」のMaxプログラミングに着手した。 これだけ見ると「サウンドデザイン」で初めてMaxに触れた学生の進めるようなものだが、実は2005-2006年にIPA「未踏」に採択されて開発した FMC3 という巨大なシステム構築(遠い記憶)の全てのノウハウが頭の中にあった上でのボトムアップ・プログラミングなのである。 同時進行で「仕様メモ」というplain textファイルを執筆しつつの作業となる。

その後は、 こちらのページ にあるように、ブリュッセルからボルドーに飛んで、バス→トラム→バス、と参加者の宿泊施設(ボルドー郊外のCenon)に到達して、晩にはボルドー市内に出かけて「ボルドーでボルドーワインを堪能した」というところである。 主催者がメイルで呼びかけた「有志の前夜祭」は眠くてパスした(^_^;)ので、いよいよ明日の午前から、temporaのスタートとなる。

2016年8月30日(火)

時差ぼけによって夜中に目覚めてしまうのが、昨日の23時から今日は25時半過ぎまでずれ込んできた。 これが朝5時ぐらいにまでさらにずれ込んでいけば、日頃と変わらなくなり、時差ぼけ消滅となる。
実は昨日はtemporaメンバーの宿舎である「Campus Atlantica (former Maison de la Promotion Sociale)」に着いた直後に、これまで10年間以上何度となく海外出張に持参していて何も問題なかったSEIKOのひげ剃り機の充電用ACアダプタを、持参した小型トランス(220-240Vから100Vに下げる)を経由せずに繋いでしまって、たった10秒ほどで昇天故障するとともに部屋のブレーカーの1系統(コンセントのある方)が落ちたりしてドタバタしていたのだが、まぁ時差ぼけの余韻と言える。(^_^;)
ひげ剃り機が無いと困るのでボルドー市内の「i」に行って尋ねて、市内最大の「なんでもあるショッピングセンター」に買い出しに行き、ジレットなど普通のものが40-50ユーロするところ、1機種だけ「9.99ユーロ」というmade in chinaのものを買ってきた。 果たしてあと1ヶ月、動いてくれるか甚だ不安だが、240V専用で帰国したら使えないので、なんとかこれで凌いでいこう。

そして再び少し眠って午前3時頃に目覚めて、上のようにちょっとだけMaxパッチを進展させた。 同時に全体のあれこれを考えながら、の作業で、こういうモヤモヤした構想設計もまた楽しい(^_^)。 シャワーを浴びて、朝7時になって少し明るくなってきて、ぼちぼち朝食。 部屋にはポットも無いので、とにかくコーヒーが恋しい朝が続きそうだ。 made in chinaのひげ剃り機は驚くほど静穏で、つまりは最低限の非力なモーターでとりあえず動く、という代物だったが、なんとか毎日、腫れ物に触るように使っていこう。

2016年8月31日(水)

昨日は こちらのページ の「2016年8月30日(火)」にあるように、temporaの初日であり(上にあるのがその初日のメニュー)、さらに僕は プレゼンテーション をしたり、 TV取材 を受けたりして、tempora参加者と一日中、しゃべっていた事もあり、もちろんペラペラではないが「英語モード」に一気に突入した。 日頃も英語を読んだり書いたりはほぼ毎日だが、とにかく海外出張で困るのが、まずは「聞き取れない」ことであり、また「会話する」ために、脳内で日本語で考えて翻訳するのでなく英語で考えるまでに何日かかかる。 それが、temporaに来てみればたった1人の日本人、ナマの英会話の「英語漬け」で鍛えられたわけだ。

そして今日、つまり翌日の午前1時半ごろに目覚めると、temporaの主催者のMarc GARIN氏からのメイルで、初日冒頭のミーティングで決まった、最新の 全体プログラム が送られてきて、既に終えた僕の名前もあった(^_^)。 さらに、TV制作ブロジェクトチームは既にショートムービーをYouTubeに上げている、という以下の情報も届いた。

Links to videos taken by Armand Florea to present the meeting.

Patrick DUVAL : https://www.youtube.com/watch?v=tpCWY8oT-Ic
Etienne ROLIN : https://www.youtube.com/watch?v=LBSukOJIBos
Armand FLOREA : https://www.youtube.com/watch?v=4hbcQ0C3_VA
Mathilde SASIAS : https://www.youtube.com/watch?v=hsp1pZqJpbY
今日も午前にはいくつかのカンファレンス(プレゼンテーション)があり、午後は即興的に形成されたいくつかのグループは相談とかリハーサルに入る予定である。 行ってみないとわからないが、まだ僕には小グループを編成してセッションしよう・・・という声がかかっていないので(どうも事前にお馴染み同士で根回ししているようなので、初めての参加である僕にはまだまだアウェイなのだ)、最終日の金曜日の夕方と夜にある、2つの大きな即興セッションコンサートに向けて、いろいろ素材を準備してきたのを整理して、Maxプログラミングを細々と進めることになるかもしれない。

上記までは深夜01:30から朝4時頃までかかって前日の写真などを整理して書いていたが、ここからはtempora会場、午前のカンファレンス会場である。 昨日は初日、それもいきなりプレゼンする、という準備などでまったく現場で記録できなかったが、今日はようやくいつもの国際会議のように、内職モードでメモを残せる余裕が出てきた。

1件目の「10.30-11.00 / Lecture: Hans VAN ECK, Gosling PUTTO and Igor URRUCHI」は、作曲家による電子音響音楽(生楽器の演奏家と協奏する)作品のための「図形楽譜」の話題であった。 聞きながら久しぶりに このページ の、以下のような自分の作品の図形楽譜を思い出した。 だいぶ昔のものもあり、もっとも古い楽譜は電子化データを再生できるコンピュータがもはや存在しないので、「紙」をスキャンした21年前の1995年の作品である。(^_^;)

2件目の「11.00-11.30 / Lecture: “Towards a Respiratory center for voice and woodwinds (Bansuri / Basset horn)” by Janice JACKSON, Étienne ROLIN and Dick STROMBERG」は、いきなり3人(尺八+ボーカル+オリジナル楽器)の「ドローン即興」演奏から始まって、声や吹奏楽器/ドローン楽器を中心とした音楽即興に関して、それぞれの音楽的な歴史や考え方を紹介するパネルディスカッションのようなものだった。 声は息を吐く時にしか演奏できないかというとそうでもなく、ノイズとして発音している場合には息を吸う時にも「発声」できる(明石家さんまの「引き声」)ので、ボーカルは「無限に持続するサウンド」を演奏できるのだ、というのは「目から鱗」だった。 さらにホーミーとかディストーションとか多種の凄い発声法を紹介してくれたのも収穫だった。

3件目の「11.30-12.00 / Lecture Robert CASTEELS, Dirk STROMBERG and Isaiah KOH, time:space: project 12.00-13.00 / Rehearsal for the time:space: project」は、2件目でもセッションに参加した人がオリジナル楽器に関して熱く語った。 この新楽器はインターフェースとして演奏情報をホストPCに送るタイプでなく、ちゃんとマイコンを内蔵してスタンドアロンでアナログサウンドを生成するタイプのもので、どうやらドローン楽器(単音)として、その音色表現に重点を置いたものである。 どうりで彼は、昨日の僕の「うにうにセンサ」に興味を持ってくれたわけで、あのニュアンス(センサ1個あたり4系統の連続値)を単音のドローン音響生成に作用させる・・・という新しい可能性に気づいた。 彼の即興演奏で魅力的なのは、単純な圧力センサでも「気合いの身振り」を込めるところで、実際にそのニュアンスが生成されるサウンドの音色の緊張度に直結しているので、見ていても気持ちいいのだ。
これは僕もおおいに刺激されたので、次の楽器では挑戦していきたい。 単音シンセの基本は昔から2系統のビートであり、ドローンの基本なのだった。 人間の身体はそこそこの大きさがあるので、このぐらい図体が大きくなった方が「楽器」として自然であり、特に単音楽器であれば、かなりのシステムを仕込むことが出来るのだと再確認できた。 元々、彼はギタリストだったとのことで、演奏技法はギター(ジミヘンみたいなもの(^_^))をベースとしてデザインされているのが長所となっていた。 電源はスマホ用のモバイルバッテリー、そしてボードはRaspberry Piで、ちゃんとディジタル楽音合成しているとは素晴らしい。(^_^)

4件目の「12.00-13.00 / Rehearsal for the time:space: project」には、参加者のうち相当数がやってきて、事実上の最大プロジェクトとなった。 たいていの参加者は自分の楽器を持参したり自分の声が楽器なので、いきなり最初から即興的にセッションが成立したが、なんせ僕はMyoだけ持参したものの、サウンドを出すにはPAミキサーにMacBookAirを繋がなければ無力だし、ACラインをもらわないと、眠っているMyoを起こすことも、MRTI2015を使うことも出来ない。 そこでプロジェクト初日の今日は、 こちらのページ の写真のように、ひたすら全体を聞いて雰囲気を掴むのと、ビデオの記録に終始した。

そして午後は2時間半ほど、静かなカンファレンスルームに引きこもって、これまで20年間、あれこれMaxで作曲してきたリアルタイム・サウンド生成のあらゆるテクニックの中から要素を寄せ集めて、明日のリハーサルでは実際にセンサとともに参加するためのMaxプログラミングに没頭した。 はるばるボルドーまでやってきて、遂に訪れた幸せな「Maxに没頭集中する時間」である。 今日はとりあえずダブルMyoしか持ってこなかったので、上のようにダブルMyoの部分を改良して、左右の腕で別々のFMデンシティを設定できるようにした。 ドローン的な効果のためにロングディレイを使うとして、delay=0にすればpercussiveなパートにも対応できそうだ。 9軸センサの値は表示しているものの何もしていないので、まだまだ改良の余地はあるが、会場での作業はここまでとして、宿舎に帰って続きを進めることにした。 今日は街に出ることもなく近場で夕食として、晩から夜中に、MUSEとMRTIのパートを作ることにした。

・・・そしてここはまだ31日、夕食から帰ってきたところである。 こちらのページ の「2016年8月31日(水)」にあるように、いったん宿舎に帰って、持参していなかったMUSEとMRTI2015に対応させたMaxパッチのプログラミング(作曲)を終えて、敷地内のレストランに夕食に行ってみると「お休み」だった(^_^;)。 仕方なく再びバス→トラムで街を目指して、たまたま降りたStalingradの駅前のBarに行ってみると、なんとそこにtemporaの「濃い」人たちがいた。 特に、temporaの中心的なROLIN Etienne氏から、「tempora世界展開」に向けての熱い議論があり、どうやら僕はアジア(日本)担当で、temporaの広報をする、ということになりそうである。 明日はカンファレンスに続いて、センサ3種を持参してのリハーサルである。 以下のように天気はずっと良好、いよいよtemporaも盛り上がってきた。(^_^)

2016年9月1日(木)

いつも海外出張の3日目あたりまでは、時差ぼけがあって基本的に睡眠不足が続くがテンション上昇でそれを補って日々が過ぎる。 そして遂に睡眠不足が溜まって爆睡する日があり、だいたいそれを境に身体は「現地時間」に適応していく。 昨夜は23時あたりに就寝して、いつもの「夜中の目覚め」が前日の深夜1時半から午前3時半になり、ここまで撮ったmovieをYouTubeに上げよう・・・と1時間ほどトライしたが、なんと研究室のパソコンの方でGoogleログインのパスワードを変更していたので、この出張中にYouTubeに上げることは出来ない、と判明した(^_^;)。 そして少しヘコみつつまた寝ると、ちゃんと眠れて次に目覚めたのは朝の8時前だった。 メイルをチェックしてみるとさすがに9月に入ったことで後期に向けてあれこれスタートしている模様で、デザイン学科の領域選択面接(僕は不在なので欠席)、前期末の会計処理に関する連絡、などが届いてそれぞれ返信を出した。

ついに欧州身体になったが上のようにtemporaの午前のセッションは10時から、ということで、今日は珍しく速攻で5分間ほどで朝食を済ませて、機材を背負って「バス→バス」の最短経路で会場に着いた。 しかしこの日のカンファレンス(レクチャー/ブレゼンテーション)は2件ともフランス人が滔々としゃべっているので(^_^;)、ほとんど内職推奨時間(^_^;)と化して、いまこのように執筆できる余裕ができている。
1件目の「10.00-10.30 / Lecture:Armand FLOREA on cognitive arts (TMBASS project)」は、生体情報などのセンシング出力をsonification、つまり可聴化する、というものだったが、残念なことにdiatonic scaleにquantizeしてクラシカルな楽器とのセッションのためのメロディー生成としているもので、もはやバリバリとなってきた英語でそこを突っ込んだ質問をして、会場の何人もの作曲家から大きな同意を得た。
2件目の「10.30-11.00 / Lecture: Damien CHARRON “Intertextuality”」は完全にフランス語でお手上げだったが、古典的な現代音楽のサンブルを音だけで提示してくれたので、心おきなくこの日記を執筆できた。(^_^;)

そんな中、大垣のIAMASから届いたのが「OMMF2016参加募集」というニュースである。 SUACからは以下のように過去3回、大垣のIAMASが開催しているこのイベントに参加しているが、東京でやっているMakerフェアとは別であるとすれば、過去に全参加である。

2010年と2012年はそれぞれ、学生を引率して参加したが、2014年は前後に学会出張と連なった期日となったので、学生を誘うことが出来ずに僕が一人で参加した。 これがまた2年後の今年、今度は12月に開催ということで、これはなんとしても参加したいところである。 参加応募期間が「9月中」ということで、学生への募集案内その他の全ての作業を、この出張中の欧州で進めなければならない。 とりあえずSUAC総務室に宛てて、まずは学生を引率する公用車の借用予約の台帳への記入を依頼した。 宿泊費を自己負担したとしても、浜松〜大垣の交通費がナシになるのはとても大きいからである。

3件目の「11.00-11.30 / Lecture: Philippe LAVAL, association “question de tempéraments”」は英語だったが、「私はパソコンも電気も何もない」とひたすら語るプレゼンであり、これはなかなかの苦行となった。 ただしバンブーとかバスクラリネットをばりばり演奏するROLIN Etienne氏が加わって、後半は実演があったので助かった。 この即興ライブ(一応の楽譜はある)のmovieは、帰国後にYouTubeに上げよう、と確信した名演だった。
4件目の「 11.30-12.00 / Lecture Virgine DUBOIS」は、作曲とインスタレーション制作などをする作家の報告で、彼女の重要なテーマは「spatialization」であるという。 音像の空間移動などのテーマは、サウンドスケープやインスタレーションに発展する事が多く、実際に彼女のインスタレーション作品は「造形」というよりも「空間演出」や「建築」というスケールのものが多かった。 SUACの「瞑想空間」どころか、もっともっと巨大な工場跡地の巨大煙突の内部とか、古代遺跡の洞窟の内部にスピーカを仕込んだ作品は圧巻だった。 こういうあたりをぜひ、SUACのデザインの学生にも志向してほしいものである。 図面を引いて模型を作るだけが「空間造形」ではないのだ。(^_^;)

 5件目の「12.00-13.00 / Rehearsal for the time:space: project」は昨日に続くリハーサルであり、僕も満を持して参加した。 昼食を挟んで14-15時にもリハがあり、まぁなんとか本番は大丈夫・・・という感触を得た。 写真は こちらのページ にたくさんある。 ところが昼食の時に、主催者のMarc GARIN氏から「明日のコンサートでは、全体で合わせるtime spaceの他に、何かやる?」と聞かれて、チャンスがあれば全て食いつく僕としては、「"Bordeaux Power"というタイトルの新作を明日までに即興で作曲して公演します」と宣言してしまった(^_^;)。 こうなれば、なんとしても明日の朝までに完成させることになる。 欧露ツアーの冒頭から、なかなかにスリリングで熱いことになってきた。

そしていったん仮眠した後に起き出して3時間ほどかかって24時頃に出来上がったのが、上の2つのMaxパッチである。 基本的にはこのところの「ダブルMyo」・「MUSE」・「MRTI2015」のデモパッチから組み合わせたものだが、コンサートの本番で取り返しがつかない状況(演奏がストッブしてしまって謝って再開するなど)を避けるための色々なノウハウ(安全装置)が加味されているのだ。
上の方はソロ作品"Bordueax Power"のパッチで、MUSEとダブルMyoを装着してプログラミングしていると、内部的にjitterのリアルタイム3次元CG・高速Open-GLのレンダリングでGPUの温度がどんどん上昇して(CPUはそれほどでもない)、MacBookAirのファンが回り出して必死に発熱を排出しているほど厳しいものである(ずっと続けているとパソコンが死ぬ(^_^;))。 この作品はステージ後方のスクリーンに出すので、画面サイズを小さくしてパッチが見切れないようにしている。
下の方はグルーブ即興作品"time space"に参加するパッチで、スクリーンに出さないので画面は最大であり、こちらはMUSEでなくダブルMyoを装着しつつMRTI2015を楽器として交互に演奏する。 メインコンソールにMacBookAirのオーディオが直結されているので、静かなところでヘタにサウンドが出ないように、安全弁をあちこちに配置している。 これは今日のリハーサルでは同時にMUSEも使っていたのをカットした(自分の作品でMUSEを使うので)というもので、最終確認は明日のコンサート前のリハ勝負だけとなる。

2016年9月2日(金)

前夜は作曲を終えてほぼ24時頃に就寝して、深夜に若干の悪寒がして葛根湯を飲んで再び寝て、体調回復して起床は朝5時半、と完全に普段の生活のリズムになった。 時差ぼけとはぼちぼちサヨナラだろう。 その寝ている日本はちょうど朝イチからお昼あたりということで、来年に一部執筆して出版される「音楽知覚認知ハンドブック」に関する情報とか、来週にバルセロナに行って参加する国際会議「VS-Games」の プログラム最終版 が届いたり、昨夜、第1陣の一部学生にお知らせした 「OMMF2016」参加者募集 に対する質問メイルなどが届いていた。

上にあるように、いよいよ今日はtempora最終日、午前には参加者全員による「総会」(これからどうしていく?)があり、その後は午前・午後とも、晩のコンサート(一般に公開)のリハーサルである。 僕は前半に新作の公演、そして後半の"time space"には即興演奏家の一人として参加するが、寝起きの瞬間に新作Maxパッチに関する新しいアイデアがいくつも思いついたので(いつものパターン)、シャワーを浴びてから朝食を挟んで出発するまでの2時間半は、またまた幸せな「作曲没頭の時間」である(^_^)。

・・・そしてここは最終日のカンファレンス開始前の会場である。 上のように、宿舎の部屋で1時間みっちり集中して、jitterのリアルタイム3D-CG生成のパラメータを整理したところで時間となっていて、まだまだこれから本番までの間に、最後のチューンアップが必要である。 センサを繋がずにずっとjitterプログラミングしていたが、MacBookAirは過熱してこなかったところをみると、ダブルMyoとの4ポートOSC通信、さらにMUSEとのBluetooth経由のOSC通信が、それなりに負荷となっている模様である。 さらにバスに乗っていて気付いたのが、「イントロとエンディング」であった。 デモであれば適当に始めて適当に終わればいいが、たった5分間(という要請があった(^_^;))とはいえ、ステージでの「公演」となれば、ここが肝心なところなのである。

そして最終日の「General Meeting」が始まった。 これはいつの国際会議でも、滔々たる英語が飛び交ってなかなか辛い時間なのだが、ここ数日の頑張りで、けっこう内容に付いていけている(中には英語が出来ないフランス人もいるので、途中で適宜、英→仏の翻訳タイムが加わった)。 ICMCやNIMEやICECのように、組織としてきちんとしてる(IEEEとかACMとかIFACなど国際的巨大学会の下部組織としてスタートしてきた)場合には、参加者を世界的に公募して国際会議なり定期的イベントとして開催できるが、temporaはSketching in Hardwareと似ていて、まだ一部の「知り合い」関係者によるprivateな活動、ということで、これを「ちゃんとしたもの」にして行きたい・・・というテーマのようである。 つまるところは「お金」(アートマネジメント)の話になってしまうので、僕が苦手な世界なのだ。(^_^;)

既に2日前にROLIN Etienne氏と話していたが、僕は個人的に当面はこのコミュニティのアジア窓口になる、というつもりはないのだが、風向きはそんな感じに行きそうで、かなり微妙である。 議論の中で「temporaはcommunityでなくnetworkだ」とMarc GARIN氏は言った。 いちいち寄付を集めて開催するのはしんどいので、メンバーのネットワークを活用してそれぞれの地で開催したい、ということなのだろうか。 そういう時には藪蛇を避けて黙るのが王道であり、じっとリスニングに徹した。 だいたい、フランス人がフランス語で滔々と語っている時間は、いかに雰囲気的に盛り上がっていても、孤立感が半端ないのだ。

temporaは不思議な活動で、まずとりあえず個人として50ユーロを支払うことで、(冷やかしでなく)終生のtemporaメンバーとなり、定期的な情報(翌年の開催案内)が届く。 そしていざtemporaに参加するとなると、その都度、さらに50ユーロを支払うことで、その年のメンバーとしてブメジェクトに参加していく。 この50ユーロは実際に会場に来ると現金で返される、というのが面白いところだが、僕は宿舎で1人部屋としたので、その費用と相殺して何も受け取っていない。 そして、この立派な会場の利用料と宿舎(日本で言えばセミナーハウスみたいな安価で田舎にある施設)の滞在費用は、主催者であるMarc GARIN氏がフランスとかEUから文化的補助金として獲得しているようだ。

日本国内に限定しても、このようなミーティング・ブロジェクト(現代音楽やフリージャズの高度な専門家が集い、3-4日間ずっと一緒に滞在[いわば合宿]し、ほぼ全員が講演や公演しつつ、期間中にゲリラ的に即興グループを結成して、最終日に一般に公開するレベルで即興演奏のコンサートに至る)というのは、いろいろな意味でほぼ不可能だろう。 そういう企画があればメンバーとしては参加してみたいが、とてもじゃないが企画者にはなりたくないのだ(^_^;)。 それを、世界各地からtemporaに集ってきた専門家ネットワークを活用して、世界的なイベントとして世界のどこかで開催していこうじゃないか・・・というのは、端から見ていてもかなりの無理がある気がする。 特に、地球規模で経済がシュリンクしていきそうな時代にあっては、である。

そして議論を聞いているうちにうっすらと感じてきたのは、この人たちは純粋な音楽家なのだ、という事だった。 何より音楽を、即興を、セッションを愛しているのでtemporaに参加してきたが、ICMCやNIMEやICECのように政治的に立派な人たちが進める「国際会議」のような方向性は志向していないのかもしれない。 それは母体となっているフランスの文化的風土(昔から芸術的活動や前衛的活動を許容して財政的に支援する)も関係しているのかもしれない。 街でごく普通の市民が昼間からカフェでぼーっとしている、酒場だけでなく普通の食事でも延々とトークを楽しむ、というのは、真面目にあくせく仕事している日本では信じられない風景なのだ。

今回、初めて参加してみたこのtempora international meetingをもし日本で開催できたら、参加する国内の音楽家/専門家にとんでもない刺激と収穫を提供できるだろうし、最終日のコンサートでたった数日でここまで凄い音楽が即興的に出現する、となれば一般聴衆にとっても強烈なイベントとなるのは確実である。 ・・・しかし、このようなプロジェクトを行う場所/スタジオやコンサートホールの確保、ここにいる専門家を日本に呼ぶこと(渡航費の補助)、等の費用をどうするか、と思い至った瞬間、夢はストップしてしまう。 アルジェリアチームにポンと2000万円を支援した高須クリニック院長とか、リオ五輪閉幕式で安倍マリオの演出に12億円かけた電通とか、という予算規模まではいらないのだが、おそらく数百万円が必要となる。 僕に出来ることと言えば、帰国後に、これまで買ったことの無い宝くじを毎月買ってみること、ぐらいである。(;_;)

実はここからは、翌日9/3の朝6時過ぎから書いているが、temporaコンサートの日付が9/2なので、ここに書いておくことにする。 上が、当日になって決定した、今回のtemora international meeting2016の最終日の コンサート・プログラム である。 僕は宣言通りに、新曲「Bordeaux Power」の世界初演(実際にはステージ転換の関係で前半の3曲目)と、後半の大曲「time space」(シンガポールから参加の3人の共同作品)に即興演奏家として参加した13人のうちの1人として演奏した。 午後から、合間の作曲追い込みとリハーサル、そして本番の様子は こちらのページ の「2016年9月2日(金)」を参照されたい。

本番に誰かに頼んで写真や動画を撮ってもらうのは(フランス語だけの聴衆がほとんど)無理だったが、リハーサルでは他のtempora参加者に頼んで、上のように4枚だけ撮ってもらった。 10月に帰国するまで記録動画はYouTubeに上げられないので、大きいものの一応、 リハーサルの記録動画 をmp4で置いた。96.6MBあったが、宿舎のWiFiは1時間ほどかけてちゃんとFTPしてくれた。

その後、打ち上げに参加して、さらに予定されていた深夜のイベント参加はしんどいのでパスして宿舎に戻ったら23時頃だったが、そこでバタンキューしないのである。 上のように、とりあえずデジカメ2台とビデオカメラのデータを全て持参USBメモリと持参HDDにバックアップして、さらに こちらのページ だけはとりあえず寝る前に手作業で仕上げてWebに上げて、それで24時過ぎに寝たのである。 この作業は今回の欧露ツアー中、毎日、朝に晩に繰り返していく、いわば「修行」なのだ。

2016年9月4日(日)

日本では上のように台風12号で大変なようだが、申し訳ない、南仏ボルドーは以下のように、今日と明日こそ「曇り」になりそうだが、昨日まではほぼ毎日、ギラギラ太陽を満喫して日焼けしていて、曇りぐらいの方が有難い日々である。 写真は こちらのページ にあるが、昨日の朝にはtempora関連でうろうろしたCenon(ガロンヌ川の東側)を引き払って、ガロンヌ川の西側のボルドー市街、つまり世界遺産の地域に移動した。 あらかじめネットで予約したホテル(世界各地にあるibis)はボルドー駅前にあり、明日のバルセロナまでの列車旅のスタートとなる駅舎には徒歩3分で行け、さらにトラムで市内どこにでも10分程度で行ける。

今回の欧露ツアーに向けてMax環境で準備したのは、主としてロシアでの数回のレクチャー/ワークショップ/パフォーマンスに向けての、これまでのMax関係コンテンツを整理したものだけだったが、今回のtemporaで新作1曲と即興参加1曲のために、以下のように新しい作品パッチがMaxのライブラリに加わった。 これは久しぶりの進展であり、当面はロシアのレクチャーでの「Demo Performance」に使えそうだし、さらには12月のOMMF2016のコンサートに発表応募するための材料候補となる。(^_^)

昨日はこの「Max7日記」の記載はパスしたが、 こちらのページ にあるように、昨日の午後にはボルドーのワインシャトーへのガイドツアーに行っただけで終わったからである。 まぁ土日の週末になって、日本からはSUAC関係も学会関係もメイルがぱったりと届かなくなったので、こちらもしばしの休養モードである。 以下のように、日々の日記などが刻々と蓄積されていく日々なのだ。

そして今日も午後には、4日前からチケットをゲットしていた(前日あたりに「i」に行ってもsold outで買えない)、ワインシャトーへのガイドツアーに行く。 昨日はカベルネ・ソービニヨンを中心とした重厚なシャトーの多い(これは水捌けの良い土壌のため)メドック地方に行ったが、今日はガロンヌ川の東側の南方、サンテミリオン地方のシャトーに行く。 なんとサンテミリオン自体がボルドーとはまた別の世界遺産になっているという。 この地域のワインはむしろメルローが良質で、フルーティ(しかし日本のワインのように甘ったるくも軽薄でもなく、しっかりしている)ということで楽しみである。 この違いはやはり土壌にあり、小石が多いメドックに比べてサンテミリオンは「乾いた土」が主体である。
このあたりの知識は、たまたま昨日の午前に行った「ワイン博物館」で、ちょうど他にお客がいなかったので、スタッフのお姉さんにみっちりレクチャー(英語)してもらえた。 さらに助かったのは、これまでした事が無かった「ワインのテイスティング」も教わった事である。 「ワイン博物館」の入場料10ユーロには「2種類のワインのテイスティング」も含まれていて、僕は以下のような手順をマスターしたその足で昨日のメドックへのシャトーツアーに行ったので、2箇所のシャトーでそれぞれ2種類ずつテイスティングするのに役立ち、2件目では「グラス内のワインの香りを嗅ぐ」だけで、ブレンドされている葡萄原酒のカベルネ・ソービニヨンの比率の違いを言い当てて、一緒に参加しているおっさんに「お前は日本から来たソムリエなのか?」とジョークで突っ込まれてしまった。

ボルドー市内には、世界遺産になるだけあって、たくさんの歴史的遺産や、多くの美術館・博物館などがあって、いずれもトラムと徒歩で簡単に回れる。 世界中からバカンスに来ている観光客で街はごった返している。 しかし僕は今回は、狙いすました2日間のボルドー・ワインシャトー・ガイドツアーの他にはまだどこにも行っていないし、明日にバルセロナに向かってボルドーを発つまでに、わざわざ出かけて行くつもりもない。 ホテルの部屋でMaxプログラミングを進めていかないといけないプロジェクトもあるし、あとは街中のカフェとかバーに座って、ぼーっと世界遺産の街の空気に浸りながら、コーヒーとかビールとかワインをいただいていれば、もう十分・最高なのだ。

2016年9月5日(月)

ここは9月5日の朝、ボルドー駅構内の待合室で書いている。 これからほぼ1日かけてスペインのバルセロナに向かう列車旅の1本目、マルセイユ行きの特急の発車まであと30分だが、どのホームに来るかの表示は20分前にならないと出ないので待っている。 すぐ隣では、おばさんと青年がともに並んで自転車みたいなペダルを漕いでいるが、これは「自分のスマホを充電するためにはこのバイクを漕いでね」スポットだった(^_^;)。

昨日は こちらのページ にあるようにボルドー最終日の休日、「i」で予約していたワイントシャトー行きのガイドツアーの2本目、サンテミリオンに行ったが、その前日のメドック行きのツアーとは全く違っていて、予想外のラッキーなツアーだった。 メドックでは計2箇所のワインシャトーを訪れて、解説を聞いて、それぞれ2種(長期寝かせるものと作りたてをすぐ飲むもの)のテイスティングをしてボルドーに帰ってくる、という5時間だった。 要するにブドウ畑の中のど田舎に行って帰ってきた。

ところがサンテミリオンは、「地球の歩き方」によれば、世界遺産になっているボルドー市街とはまた別に世界遺産なのだというのがピンとこなかったのだが、いやいや凄いところだった。 8世紀にエミリオンという修道士が作ったという物凄い地下大聖堂を中心とした、古代遺跡と現代まで続くその町並みが世界遺産になっていて、そんじょそこらの世界遺産より凄かった。 年間100万人が訪れるのだという。 肝心の古代遺跡・地下大聖堂は こちらのページ にも まったく写真が無いが、これは「写真撮影禁止」だからであり、行った者しか分からない。 「ぜひ行ってみて」としか、言いようがない(^_^;)。 そして昨日のガイトツアーは、このサンテミリオンの遺跡ツアー(この「i」ツアーでだけガイドが鍵を開けて地下に入れてくれる。個人観光では入れない)がハイライトで、最後に1つだけ、大きなワインシャトーに行ってテイスティングをして帰ってくる、というものだった。 2日連続で同じようなものかな・・・という予想はおおいに外れて、猛烈にコストパフォーマンスの良いツアーに参加できたのは、temporaを成功させたことへのボルドーからのご褒美のように感じた。(^_^)

・・・そしてここは、BordauxからNarbonneまで3時間半のMarseille行き特急列車(車内放送はフランス語とイタリア語だけの完全アウェー)のファーストクラス(新幹線で言えばグリーン車)で、車内販売のコーヒーとともにゆったりとした座席でMacBookAirを広げたところである。 乗り鉄の僕としては、いつもであれば車窓の写真をどんどん撮るところなのだが、このコーチの前半分の席は進行方向に対して逆向きなので、今回は車窓写真はほぼナシ、と決まった。 座席ごとにコンセントはあるし(さすがにWiFiは無い)、エアコンは快適だし、ここはお仕事モードに徹するしかない。 まずは、この日記を「2016年8月28日(日)」から読み返してバグを取りつつ、 こちらのページ にある日々の写真のからいくつかを取り出して縮小してサムネイルをこの日記の中に並べる、という作業とともに、特に毎日あらえっさっさと忙しかったボルドーtemporaの様子を拡充することにした。

・・・そしてここは、Barcelonaに乗り継ぐNarbonne駅のカフェである。 ボルドーからの列車はよくあるように10分ほど遅れて到着したが、こちらはそれを想定して、バルセロナ行きの乗り継ぎ列車は1時間半ほど後のチケットを取っていて、約1時間、美味しいビールとサラダの昼食でまったりタイムである。 モバイルWiFiルータの活躍で、デバッグ改定に約3時間ほどかかったこの日記も、ここまでをアップロードできる。

・・・と書きつつ快適に過ごしていたら、カフェ内の運行案内表示で「バルセロナ行き」に15minの遅れ、と出てきた(その場のフランス人が解読してくれた)。 表示に並んでいる他の列車はなんとバルセロナ行き以外は4本とも全て遅れが1hourで、僕の乗るやつはかなりマシなのだ。 さすが欧州、これだから列車の旅はスリリングなのである。 フト気付いてみれば、持参してきた「地球の歩き方」のスペイン編(バルセロナのところだけ残したもの)を、まったく眺めていなかった。 バルセロナに到着して、どうやってホテルに行くかも考えていなかったが、Googleマップで調べてみると、おそらくそのつもりでホテルを予約したので、バルセロナ駅からメトロ数駅で直行、さらに徒歩で200メートル程度、と判明した。 こうなると時差ぼけのあるフライト後のタクシーでなく、気合いでメトロ+徒歩でホテルに辿り着きたくなってきた。 そのために、旅程もまだまだ明るい時間帯としたのだ。 ただしボルドーよりもかなり暑そうなのが、ちょっと気になる。(^_^;)

・・・と書いていたら、なんとNarbonne駅の電光掲示板の各列車の遅延予想時間がどんどん刻々と増えてきて(^_^;)、僕の乗る予定の、バルセロナまであとたった所要2時間の特急もまた、「30分」→「1時間」→「1時間半」→「2時間」→「2時間半」→「3時間」→「3時間半」と増えていき(^_^;)、1本前の別のところ行きの列車とともに最長の「4時間」の遅れとなり、さらに後から来る筈の2本の列車は「SUPPRIME」、つまり「運休」となってしまった。 ネットで調べたらNarbonneからBarcelonaに行く長距離バス(5時間)があるのでバスターミナルの場所を駅の案内所に聞きにいったら「いずれ来るのでここで待て」とのことだったが、うーーーむ、なかなかである。

Narbonne駅に着いてから4時間半が経過して、まだまだ明るいのが救いだが、ようやく英語の出来る車掌をつかまえて聞いたところ、「fire」とのことで、どこかで火災があり、全ての列車がそれぞれの駅で止まっているらしい。 ものすごく余裕をもってバルセロナに着く予定だったが、こりゃどうなるかわからなくなってきた。 ほぼ全ての列車は始発からきちんと運行(出発)して途中で止まっているので、駅員が言うようにとにかく待つしかないらしい。 とりあえずバルセロナのホテルに「いつ到着するか不明だがキャンセルではないのでlate check-inします」とメイルしてみた。(^_^;)

・・・そしてここは、遂に4時間半ほど遅れて到着して乗り込んだ、バルセロナ行きの新幹線の2階席である。 後続の列車もばんばん遅れたので指定券を持たずに乗った人で満員状態だったが、僕の席に座っていたおっさんを立ち退かせて、売店で買っておいたチキンサンドをオレンジーナでいただいて、ちょっと一息ついた。 結局、本来であれば午後4時半に到着する予定だったバルセロナに着くのは午後9時半あたりになりそうで、「地球の歩き方」を予習して明日にはちょっと郊外(ダリの故郷)に遠征しようと思っていた気勢を完全に削がれてしまった感じである。 なんせNarbonne駅では、状況がどうなっているかも分からないまま、合計で3時間以上、ただ立っていたのだから。 まぁ、明日はVS-Gamesの初日の1日前ということで、会議そのものには全く影響が無かっただけ、良かったと思うしかなさそうだ。

・・・そして遂にバルセロナのホテルに到着してここまでアップして、ちょうど24時になるところである。 まずまず街中で便利そうなので、明日はゆっくりして、VS-Games2016に備えることにしよう。

2016年9月6日(火)

前日の疲れから朝8時ころ起きて、バルセロナの5日が始まった。 バルセロナといえば、2005年の「未踏」で、 リンツとバルセロナ というツアーで滞在してICMC2005に聴講参加しつつ、市内のあちこちを網羅して行き倒し、近郊モンセラットにまで行き、晩にはフラメンコを堪能しつつ、ホテルの部屋に籠って FMC3 のMaxプログラミングに勤しんだ街だ。 久しぶりのバルセロナの印象のいくつかを列記すると、以下である。 当初は「地球の歩き方」の「バルセロナ近郊」というので、ダリの故郷までの電車旅を考えていたが、昨日のダメージがあるので今回は断念して、午前中にガウディが生み出した「コロニー・グエル」に行き、 こちらのページ にあるようにガウディの建築に圧倒されてきたところで市内に戻り、不足していた野菜一杯の昼食の後で、午後はずっとホテルの部屋(クーラーがちゃんと効くので快適)で、T○Y○T○中央研究所との共同研究に関したMaxプログラミングに着手した。 ただし同時進行で、テレビではスペインとリヒテンシュタインのサッカー中継、さらにYAHOOではW杯日本のタイ戦のライブ中継があるので、以下のようにちょっとずつ後ろ髪を引かれつつの作業となった。

そして、ライブのスポーツ観戦は「ながら作業」にはもっとも良くない(^_^;)、という事実を確認するようにMaxプログラミングがあまり進展しないまま夕方になったので、散歩に出かけた。 ネットでこのホテル(「パラレル」駅から徒歩)を予約したのには理由があり、VS-Games2016の会場にメトロL3の1本で行けて、さらに市内各地へのアクセスが良好(サグラダファミリアもL7で1本)、そして市内で最大に賑わう「ランブラス通り」にも徒歩圏内、という立地にある。
そこでまず、 2005年のバルセロナ の時には、同じ「パラレル」駅から出ているフニクラ(登山電車)でモンジュイックの丘まで登ったものの、ちょうど営業していなくて登れなかったその先のゴンドラに乗ってモンジュイック城まで行って帰ってきた。 そして今度は「パラレル」駅前からランブラス通りを散歩して、 こちらのページ にあるように、あいかわらずの賑わいに圧倒された。 日本はまたまた以下のように沖縄付近で新しく台風が生まれて、進路予想はSUACに向かってまっしぐらのようだ。 こちら欧州は毎日の好天で本当に申し訳ないが(^_^;)、明日の晩にはいよいよVS-Games2016が始まるので、昼間はまたサグラダファミリアにでも行ってみようかな。

2016年9月7日(水)

こちらのページ の「9月6日」はその日のうちに整理・アップロードして寝たのだが、上の「9月6日」の日記部分のHTMLは、実は今日、9月7日の早朝(午前3時ころ)に目覚めたときに書いていて、今ここを書いているのは、それから数時間さらに寝て自然に目覚めた、同じ9月7日の朝8時過ぎである。 身体の深部にはまだまだ日本時間の体内時計の残滓があり、さらにメイルやニュースをチェックするこのMacBookAirの時刻表示は日本時間そのままにしていて視界に入る(腕時計だけ、現地時間に合わせてずらしている)こともあり、なんともややこしい「時間」とともに生きている。 から、いずれ時間学会で発表できるネタが生まれてくるような可能性もなんとなく予感している。(^_^)
そして目覚めると同時に思い出した(気付いた)ことがある。 おそらくこの日記のどこかに書いていた(自分への確認用)のだが、「VS-Games2016の発表プレゼンの準備をまだ、していない」という事実である(^_^;)。 確かに、この日記内で「プレゼン」という単語で検索してみると、VS-Gamesの暫定プログラムが届いた「2016年8月18日(木)」のところだった。
Dear attendee, 
It is now possible to download a pdf version of the complete VS-Games 2016 programme 
here: 
	http://vsgames2016.com/#schedule 
It contains full details and maps for the main conference venue, and the two satellite venues 
(for the Welcome Cocktail, and Gala Dinner). 
A reminder that full paper presentations have 30 minutes, short papers have 20 minutes. 
In each case, 5 minutes are allotted for questions. A laptop will be available for use in each 
presentation room, although presenters are welcome to use their own machines, if desired. 
Posters should be printed in A1 format. We will provide material for you to attach your poster 
to the boards. 
Best regards, 
Alun Evans
そして、この日記の「2016年9月2日(金)」あるように、ボルドーでtemporaでの新曲の作曲などで佳境を迎えていた時に、上のようにVS-Gamesの最終プログラムとともに届いたメイルの中で、僕が発表するカテゴリでは「A reminder that short papers have 20 minutes. 5 minutes are allotted for questions. Presenters are welcome to use their own machines, if desired.」と再度の連絡があり、普段であればこれを受け取った時にトリガがかかってプレゼンを作り始めるのだが、今回は忙しくて看過してしまっていたのである。 しかしまぁ、慌てることはなく、これからシャワーを浴びて朝食、そして午前中(まだあまり日差しがギラギラ暑くない)にサグラダファミリアにでも散歩に行って、午後に部屋に戻って(快適空調)、夕方スタートのVS-Gamesに出かけるまで、みっちり作業すればいいのだ。

・・・そしてここは午後4時、ホテルに戻ってきたところで書いている。 上記のように朝10時前にホテルを出て、メトロで11年ぶりにサグラダファミリアに行ってみると、ずいぶん外見が変わっていて、さらに世界中の観光客がバルセロナでは必ずここに殺到する、という強烈な人だかりだった。 しかしさすがガウディ、サグラダファミリアはやっばり、良かった(^_^)。 写真とかは今夜遅くになってから こちらのページ に上げることになるが、当日券(数時間後に入門可)を得るために1時間ほど並び、立ち続けた疲れを座って癒してから、いざ教会内に入って、さらにエレベータ(上り専用)で展望フロアに行って螺旋階段を下りて・・・と数時間のいわば「修行」を終えてパラレルに戻り、遅い昼食をとってきたところなのである。 これから1時間半勝負でプレゼンを作って、17:30あたりに出発して、18-20時に予定されているVS-Games2016のオープニング(レジストレーション、カクテルパーティ、現地大学生の制作したゲームの体験鑑賞会)に顔を出すことになるので、これでたぶん今日の記述はオシマイである。 バルセロナ滞在中で中途半端だが、HTMLが200KB近くになってきたので、続きは → Max7日記(3) に進めることにしよう。

→ Max7日記(3)

「日記」シリーズ の記録