NIME06 - 三度目の巴里

2006年6月 長嶋洋一

欧州ツアー(2001)、 短期サバティカル(2004)、 に続いて、 NIME06 の発表参加のために、三度目のパリに行きました。国際会議NIMEには NIME03(モントリオール)、 NIME04(浜松)、 NIME05(バンクーバー) に続いて4年連続の発表参加、ヨーロッパへは リンツ/バルセロナ に続いて9ヶ月ぶりです。 これまで国際会議参加で学生が海外に同行したのは、上記 欧州ツアーの他には、 モントリオール(NIME03)、 シンガポール(ICMC2003) がありました。 今回は頑張って旅費をバイトで稼いだ22虎の2人(岡元さん/西沢さん)が、初めての海外旅行として同行しました。 僕はNIME06漬けでしたが、学生は別行動、多くの美術館で「本物」を満喫しました。

6月3日(土)

岡元さんは実家からセントレアに直行するということで、 e-wingに乗るため、西沢さんと朝6時に浜松駅に行きました。

バスはきっちり2時間でセントレアに着きました。 普通ならスターアライアンスを使うのですが、セントレアからパリに直行するANA系がないので、 仕方なくJALにしました。

出国審査を経てしばし搭乗を待ち いよいよ搭乗です。

機内ではまず、腕時計の時刻を現地パリに合わせて「そのつもり」になり、 ニンテンドーDSの「数独」をやったり ゲームをしたり

その後、機内食 では、ワインに 食後酒 。 これは時差ぼけ対策に必須で、この後、爆睡しました。

約10時間後、巴里のシャルルドゴール空港に着きました。

インターネットで予約したホテルは、パリ市内のど真ん中、メトロの出口から徒歩1分、 ルーブルへもポンビドーへもノートルダムへも徒歩10分以内という絶好の場所の二つ星ホテルでした。

フランスは夏時間で、18時といってもまだまだ明るいので、とりあえず近所を散策しました。 まずはごく近くにあるルーブル美術館に向かってみました。

僕は今回はルーブルに行く予定はないのですが、これで学生は場所が分かりました。 セーヌ川のほとりを歩いていると、橋がある作家の展覧会になっていました。

ここでパリ最初の夕食となりました。21時というのに夕陽がまぶしい。 僕は本場のワインを楽しみ、学生はちゃんとデザート。

6月4日(日)

この日はNIME06のレジストレーション、そしてポスター発表の準備と ワークショップをちらっと覗くだけで、学生とのプチ観光も計画しました。 まずはホテルでの朝食です。 朝9時といえば日本では16時、まだ身体は朝食モードにはなっていません。 フランスパンとクロワッサンにカフェオレ、毎日これでした。

どこに行くにもメトロの1日乗車券は必要なのでまず駅に行きましたが、 ホテルに最寄りの入口は自動改札だけで入れないので、地上から有人窓口に向かいました。 日曜日の朝10時の街には人影がありません。

まず最初に向かったのは、コンコルド広場のオランジュリー美術館。 2年前のパリでは、 工事中で閉鎖されていて、入れなかったのです。 ところが開館は12:30と掲示されていたので、再びメトロでポンピドーセンターに行きました。

NIME06の開催されるIRCAMはポンピドーの隣ですが、ここも開館時刻は12時から。 パリの朝は遅い(夜は長い)のでした。

そこで、とりあえずIRCAMに行き、レジストレーションその他を済ませました。

インスタレーションは設置されていましたが、NIME06会場は翌日からということで、 人は来ていませんでした。その後、NIMEの懐かしい顔ぶれと再会しつつ、 Workshopの冒頭部分をチェックしました。

その後、いったんホテルにProceedings等を置くために戻り、 つまりパリ中心部を散歩することにしました。

公園の横にある立派な教会(Saint-Eustache)を通りかかると、ちょうど今からミサだ、 ということで、そのまま入っていき、なんと日曜のミサにフル参加してしまいました。 以下はそのプログラムです。

以下はミサの中で、市民と一緒に歌った楽譜です。GloriaとCredoは初見で楽勝でしたが、 ネウマ譜のグレゴリオ聖歌はなかなかでした。バッハのオルガン曲、 圧倒的な荘厳さのメシアンのオルガン曲、そしてオルガン奏者の即興による作品も圧巻でした。

心洗われるミサを満喫して、帰り際に撮ったこの教会の様子です。素晴らしい。

メトロに乗って再びコンコルド広場に行ってみると、オランジェリー美術館は長蛇の列でした。

これは入館にはカルトミュゼ(美術館フリーパス : 入場待ち不要)が必要だ、 ということで、メトロの駅で仕入れることにして、 ついでに日曜だけ開催の「蚤の市」を覗いてみることにしました。

駅に戻って聞いてみるとこの駅のカルトミュゼは売り切れ、「北駅」にある、というので、 今度はNord駅に移動しました。 ヨーロッパ各地への鉄道の起点ということで、大きな駅です。

ところがこの駅のチケットカウンターは17時を過ぎてclosedとなってしまいました。 そういえばポンピドーセンターは20時まで開いている、と気付いて、 再びポンピドーに向かいました。 この時間になると賑わって、いろいろな大道芸が出ていました。

ようやくここで、6日間有効、パリ市内のほとんどの美術館に何度でも入れて、 凱旋門やノートルダム大聖堂にも登れて、チケット売場の行列を全てパスできる、 というカルトミュゼを買えました。 この日(6/4)は第一日曜日で市内の美術館が全て無料だったので、 日付けを入れるのは翌日にして、ポンピドーセンター内のパリ近代美術館に行きました。 学生はその後、映像関係の特別企画展を鑑賞、 僕はIRCAMでWorkshopの最後の部分をチェックしました。

長かった一日の最後は、ホテルの近くのカフェレストランでの夕食です。 僕はドイツビールにフランクフルトソーセージでした。

6月5日(月)

この日は学生たちは終日、7時間ほど「ルーブル漬け」になる、ということで別行動。 僕はいよいよNIME04初日に向かいました。 ホテルからIRCAMの会場までの、徒歩10分にもならない距離の風景です。

会場に着くと、レジストレートョンの行列が出来ていました。 僕は前日に済ませているので速攻で会場に向かいました。

NIME06のメイン会場は地下4階のホールで、ここで研究発表セッションとコンサートが行われました。 会場は無線LANが完備で、内職体制は完璧でした。

いよいよスタートです。ここからはProceedingsとメモが忙しく、 写真は興味のある面白そうなスクリーンだけ撮っていきました。

セッションが終わり、廊下とかにあるインスタを体験しました。

インプロビゼーションの大御所、ジョージ・ルイスの基調講演です。 この人のインプロは、ICMC Workshopを受講して以来、大ファンです。

この日は午後の最後のセッションを抜け出して、速攻でChineseの遅い昼食 をかっこむと、メトロで再びコンコルド広場に向かいました。 推定およそ2時間の行列を尻目に、カルトミュゼで3分ほど待って入館したのは、 2年前からの懸案、モネの「睡蓮」のある、新装開店のオランジェリー美術館でした。 写真で恐縮ですが、どうぞその雰囲気を御堪能ください。

「睡蓮」をとことん堪能して出てくると、まだまだ長蛇の列は続いていました。 この行列を3分ほどでパスできるのですから、カルトミュゼは最強です。

速攻のオランジェリー美術館を終えて再びポンピドーに戻り、 NIME06のインスタレーション展示を見て回りました。

ここでコンサート会場の地下4階に移動して、それまで別行動だった学生と合流しました。 ここから、NIME06のもう一つのセッションである、コンサートの第一夜です。 ステージには怪しいものが並んでいました(^_^;)。

オープニングトークは音楽委員長のタナカアタウ氏(Sony CSL Paris)です。

ここからはコンサート風景です。 かぶりつきで僕は動画を撮ったので、ここからの写真は学生に撮ってもらいました。 このパフォーマンスでどんなサウンドがしていたかは、想像にお任せします。

これでこの日のIRCAMでのNIMEコンサートは終わりましたが、まだまだ続きます。 今度はパリ市内のクラブに場所を移して、22時から26時まで、 というCLUB NIMEライブに向かいました。 開演前の様子です。 IAMASの赤松さんたちのブレッドボードバンドの多数の怪しい電子機材が並んでいました。

最初の出演バンドです。

2番目はDJパフォーマンスでした。

そしていよいよIAMAS御一行、赤松御大率いるBreadBoard Bandのライブです。・・・怪しい(^_^;)。

ここでもう日付が変わって深夜となり、まだライブは続いていましたが、 我々はギブアップしてタクシーでホテルに帰りました。

6月6日(火)

この日も学生は別行動、オルセー美術館、ノートルダム大聖堂、などに行くということでした。 僕は朝イチのセッションの座長chairmanを頼まれていたので、 ちょっと早めに会場に行ったのですが、誰もいませんでした。 壁には、応募して落選した論文が貼られていました。

ようやく午前のセッションの前半が始まりました。 座長は司会とともに、講演者に「残り3分」などのカードを見せるために 最前列に座るので、そのアングルから撮りました。

コーヒーブレークの後の後半のセッションは座長をバトンタッチしたので客席に戻りました。 ヤマハの西堀さんと岩井俊雄さんの「テノリオン」のデモが大好評でした。 質問に「企業秘密でお答えできません」という西堀さんの言葉もウケました。

午前のセッションが終わり、午後イチのポスター、デモ、インスタ等の風景です。

午後のセッションの風景です。

いつも海外でしか会えない(リンツのアルスエレクトロニカだったり、NIMEだったり)松村さんの インスタ発表を見せていただきました。

午後のセッションの後には、IRCAMがホストとなってのレセプションがありました。 ワインが飛ぶように飲まれていきました。

昼食休憩を挟んで、夕方にはNIME06スペシャルコンサートがありました。 学生はこのコンサートからIRCAMに来て合流したのですが、前日にチケットを買っておいて正解でした。 チケットは完全にsold out、NIME06参加者でも友達は連れて入れません、とアナウンスがありました。

最初は木村まりさんの演奏です。まりさんはNIME04にも来日してくれました。 僕はビデオを撮ったので、学生の撮影です。

次は、ジョージ・ルイス氏の演奏です。 最初に2台のパソコンによるアルゴリズム(リアルタイム)作曲のプログラムで2台のDisklavierが演奏開始、 ここにピアニストが3台目のピアノで加わり、最後にルイス氏のトロンボーンが加わっての即興です。

その次は、センサとグラフィクスを駆使した3人組のバンドで、 久しぶりにタナカアタウのBioMuseの熱演を見ました。 センサーバンドではないのですが、やはりアタウのBioMuseはよかったです。

トリはSTEIMで活躍するMichel Waisvisz氏のパフォーマンス。 たしかNIME03(モントリオール)でもKeynote Performanceをしていたのですが、 まぁ既に路線として確立されているというか、同じような公演でした。 センサグローブでサンプラーを鳴らす、と言えばそれまでですが、 身体の一部にまでなった、手慣れた演奏でした。

この日だけは深夜のライブが無いので、学生とChineseの夕食をとってホテルに帰りました。

6月7日(水)

この日も学生は別行動、オランジェリー美術館、凱旋門などに行くということでした。 僕はこの日にポスターセッションでの発表があるので、また早めに出かけました。 会場に着くと、GAINERの小林さん(IAMAS)が準備していました。

サッサとポスターの貼り出しを完了して、午前のセッション会場に向かいました。

午前のセッションが終わり、速攻でパリの「楽器街」に出かけてCDを5枚ほど仕入れて戻りました。 午後イチはポスター/デモセッションで、自分の場所にいたので、写真は多くありません。

無事にポスター発表も終えたので、夕方のセッションを抜け出して学生と待ち合わせして、 セーヌ川のボートでエッフェル塔に向かいました。 イギリス発信の携帯電話を2台レンタルして、お互いの番号を登録してパリに国際電話するようにしたので、 緊急時や待ち合わせに便利なトランシーバーのように使えました。

BATO BUSというボートは、セーヌ川畔の主だった場所に船着き場があり、 1日何度でも自由に乗り降りできる便利なボートで、セーヌ川から見上げるパリ観光ができます。 まずはノートルダム大聖堂。

シテ島を左回りにぐるっと回っていくとパリ市庁からルーブル、コンコルド広場です。

そして遂に、エッフェル塔の下に到着しました。 まだまだ明るいのですが、もう20時に近い時間です。日没は21時頃。さすがサマータイム。

エッフェル塔の下にあるレストランで夕食をとりつつ日没を待つ(パリの夜景を見る)、 という予定でしたが、予約が必要ということで諦めて、ちょっとだけ行列してエッフェル塔に上りました。

エレベーターは2階だてで、途中の展望階までまず行きます。

展望階はエッフェル塔のかなり下にありますが、それでも絶景。

階段で1フロア上がったところで、頂上展望台までのエレベーターに行列しながら、 また絶景を楽しみます。

こちらのエレベーターで一気に頂上へ。

これがエッフェル塔からのパリです。世界各地の方角も表示されています。

再び展望階までエレベーターで下りてくると、21時半過ぎ、ちょうど夕陽が沈むタイミングでした。

地上に下りてくると、まずはスポットライトで普通にライティングされていました。

僕の記憶ではたしか時報とともに始まる・・・というのでしばし待っていると、 22時ジャストから、塔全体に仕込んだストロボが点滅してのライトアップが始まりました。

夕食をとりそこねていたので、メトロの駅の近くのカフェレストランに入っての遅い夕食です。

ぼちぼち時差ぼけも限度に来ていたので、 この晩のNIMEクラブコンサート(23-26時)はパスしてホテルに帰りました。

6月8日(木)

この日も前半は学生と別行動、僕はバイオリンに特化したテーマのNIMEワークショップに行きました。 会場はIRCAMの1階にある、ストラビンスキーホール。ここは2004年に僕も、 IRCAMの研究者を対象としたレクチャーを行った懐かしい会場です。

タップリ内容の濃いワークショップを堪能して、午後にはポンピドーで学生と待ち合わせをしました。

この日の昼食は、IRCAMの向かいにあるクレープ屋です。 クレープといってもサラダと一緒の甘くない美味しいもので、 これも評判のサイダーと楽しみます。 僕のデザートはワインですが、学生のデザートはこれも評判の甘いクレープです。

この後、学生はショッピング、僕はNIME06に戻り、夕方にホテルで待ち合わせをしました。

この日の夕方は、モンマルトルの丘へのピクニックです。 街なかの両替所で軍資金を補充して、メトロで出発。

サン・クレール大聖堂を経て、広場には多数の画家がいて観光客の似顔絵を描いています。 既に18時を過ぎてダリ美術館が閉まっていたので、学生はお土産ショッピング、 僕はワインとともに広場の真ん中のカフェでまったりとした時間を楽しみました。

この日の最終日のNIMEライブもとても駆け付ける体力はなくてパス。 メトロで帰る風景です。

昼食のクレープでお腹が一杯の学生はそのままホテルに帰り、 僕は途中のカフェでちらっとビールの晩酌をして帰りました。

6月9日(金)

この日はNIME公式行事はありませんが、NIME国際組織委員会のミーティングが予定されていました。 学生はショッピングなどの別行動なので、僕は散歩がてらシテ島に向かいました。

行き先は文句なく、セント・シャペル。ここのステンドグラスにまた会いたくなりました。 カルトミュゼで行列をパスして入り、1時間ほどのんびり堪能しました。

その後の混雑するノートルダム大聖堂に行きましたが、喧噪が嫌で草々に退散しました。

ここでフト思い立ち、ルーブルに行って、ミロのビーナスだけ速攻で見てきました。 並ばずに入ってみると、展示場所が臨時に変更になっていました。

ここでIRCAMに向かい、NIME国際組織委員会ミーティング昼食会に参加しました。 来年2007年のNIME07はニューヨークですが、その次などについて議論しました。 メンバーはとても情熱的で熱心、このメンバーの一員であるとは幸せなことです。

お仕事が終わったのでバスチーユに向かいました。 日曜日にホテルで予約していた、人気のボートツアーに乗るため、 ここで学生と待ち合わせしました。

この観光ボート「カノラマ」は、バスチーユからラ・ヴィレットまで、 まずはパリ市内の地下水路を走り、さらに何段もの水門によって上流へ上昇していく、 というなんとものどかなツアーです。 写真で雰囲気が判るかどうか、パリにおいでの際にはどうぞ体験して下さい。

この後、学生たちはオペラ座のあたりでショッピングという事でまた別行動、 僕はホテルに戻って荷造りなどしていました。 パリ最後となるこの晩には、これまた日曜日から予約していたキャバレーのショーに出かけました。 これぞ世界のエンタティメント、大人のショーを楽しめました。

6月10日(土)

いよいよパリを発つ最終日となりました。 ところがフライトが夕方なので、ホテルをチェックアウトしつつも荷物を置いておき、 ほぼ半日以上の観光タイムがある事が判明しました。 学生は別行動で最後のショッピングに出かけたのですが、 僕は再びセントシャペルに散歩に出かけ、荘厳な空間で1時間半ほど、 ぼーーーーーっと座って至福の時を楽しみました。

シテ島から市庁舎前の広場に戻り、カフェで一杯、のんびり休憩。

空港の免税店で最後の買い物をしたい、 という学生と早めにホテルで合流してシャトルタクシーに乗りました。 結果から言えばこれが幸いしました。

パリ市内から空港に向かう高速の前方で黒煙が上がっているな・・・と思っていると大渋滞。 クルマが2台、炎上する事故のため、路上で40分ほど停まっていました。 以下は通り過ぎる事故現場です。

余裕を持って空港に向かっていたので、慌てずチェックインできました。

学生は山のようなお土産をゲット、無事に搭乗となりました。 このお土産代もちゃんと頑張ってバイトしてためたのですから、偉いもんです。

機内では帰途もワイン3本で爆睡体制。

6月11日(日)

爆睡数時間、機内は日付けも変わってもう朝食で、セントレアに無事、到着しました。

外貨を日本円に替えて 無事にe-wingで浜松に帰りました。

・・・お疲れさまでした。(^_^)