パソコン室の配電盤のノイズ調査

2002年11月 長嶋洋一


電源のノイズを見てみよう」で紹介した 電源ノイズ計測システムの第2次試作が完成しました。 以前に、 「パソコン電源ラインのノイズ調査」 ということで、マルチメディア室・GWS室・407情報演習室の 3部屋で、まずは室内のコンセントに差し込むタイプの計測を 行いましたが、今回は高性能の電流センサを入手できたので、 同じ3部屋で、今度は配電盤から直接に電流計測を行いました。


計測ソフトウェアとセンサ

今回の電源ノイズ計測システムでは、前回の 「パソコン電源ラインのノイズ調査」 のためにLabVIEWで開発した、電源ラインの「電圧」と「電流」の2種類、 そしてそれぞれについて「波形(時間軸)」と「スペクトル(周波数軸)」の2種類、 ということで、合計4つのグラフをリアルタイムに計測/表示/記録する、という ソフトウェアからほとんど変更はありません。

ただし、今回は新しく、電流センサとして このような 高性能なものを購入できたので、周波数帯域として100KHzまで 計測できました。その一方で、ワニグチみたいなものを 配電盤に突っ込むのもナンなので(^_^;)、電圧については 計測できませんでした。従って、意味のあるデータの表示されていない 画面左側の電圧については、以下では表示していません。 次回、フィールドワーク等の機会があれば 両方を計測したいと思っています。

2003年3月7日、ゼミ学生の鈴木未来さんに手伝ってもらって、 2時間ほどで一気に実験データを取ってしまいました。

マルチメディア室

最初に、SUACで唯一のMac室、マルチメディア室に行きました。ここは このように デュアルCPUのG4Macが39台、並んでいます。 ただし今回は、計測に行った時に学生が一人、既に作業をしていたので、 最初から「照明ON」「空調ON」「Macが1台だけON」という状況でした。

そして計測の結果ですが、 これ がその「照明ON」「空調ON」「Macが1台だけON」という状態での 配電盤のメインの電流のグラフです。50KHz付近に非常に大きな 高周波ノイズ成分があることが判ります。

そして、これは他の部屋に行ったあとで判明したのですが、このノイズ は主に照明のインバータに起因するらしく、パソコンの影響はほとんど 相対的にゼロに近いものでした。それは、以下の3つの状態のデータと 比較してみると、ほとんど違いがないことで判ります。
これは、 上記の状態から配電盤にもっとも近いコンセントの8台のMacをONした 状態の波形です。 これは、 さらに8台のMacもONした状態の波形です。 これは、 さらに、残り22台のMacと、さらに2台の大型レーザープリンタ、 そして大型プロッターもONした状態の波形です。

結局、最初に計測してみたマルチメディア室ではあまり大きな成果が 得られないまま、次に移動しました。 まぁ、こういう事もあります。(^_^;)

GWS室

次に、 このように 多数のWindowsベースのGWS(Graphic WorkStation)が並ぶGWS室に 行きました。計測の様子は という感じです。




これは、室内のサーバまで含めて全ての機器の電源を落とした状態 で、空調も照明も切ってあります。21KHz付近とその整数倍に 特徴的な高調波ノイズは、ルータ等のネットワーク機器からのもの かもしれません。




これは、上記の全ての機器の電源を落とした状態で、照明機器のうち、 「保安灯」という最小限の照明だけをONにした状態です。46KHzあたり からドドーンと出ている高周波ノイズ、そして65KHz付近にも新しい ピークが登場して、これらが照明関係の電源ノイズであることを 示しています。




GWSには保安灯以外に、3つのメイン照明スイッチがあります。 これは、上記の状態からさらに「西」側のメイン照明をONにした状態で、 一見すると波形があまり変わっていませんが、実はこの計測ツールは オートゲインで電流値を調整して波形を常にフルスケールに表示します から、電流の最大値が上の1.15からここでの2.45と、倍増以上になって いる事に注意しましょう。




これは、上記の状態からさらに「中央」と「東」のメイン照明スイッチも 入れて、全ての照明をONにした状態です。 波形が大きく変化するとともに、スペクトルアナライザの状況も 見た目は大きな変化となっていますが、全体の電流レベルが大きく なったために縦軸の範囲が変動して、見た目として相対的にノイズ成分 が低く表示されているだけで、高周波ノイズの成分はもちろん減って いないことに注意しましょう。




これは、上記の状態からさらに、GWS室にある大型の空調機を ONにした状態です。照明機器の電源インバータに起因する高周波 ピークのちょっと右側、52KHzあたりにドカッと新しいピークが 登場したことがよく判ります。




これは、上記のように照明と空調を稼動させた状態で、配電盤に 近い東側のデスクにある、10台のPCとディスプレイとプリンタの電源を 入れた状態です。明らかに、電源波形がパソコン内蔵の電源フィルタ によって丸くなっていること、最初にあったルータ等と同じ帯域の 高周波成分が増えていること、45KHz付近に新しいピークが出て きたこと、等が判ります。




これは、GWS室の全てのPCとディスプレイ、プリンタ等の電源も 入れてみた状態です。傾向はほぼ同じであり、PC等はかなりノイズ対策 されている(消費電力が比較的小さいので、照明や空調に比べて大きな 影響ではない)ことが判ります。

407情報演習室

そして最後に、 このように 62台のWindowsパソコンが並ぶ407情報演習室に行きました。 計測の様子は という感じです。 この部屋では空調装置は室外にあるので、最初から最後まで空調は OFFのままで計測しました。




これは、空調も照明も切った状態でかなり暗い室内での状態です。 教師卓にあるサーバと、ネットワーク関係の機器については走って いますので、20KHz付近とその整数倍に特徴的な高調波ノイズは、 これら機器からのもののようです。




これは、その状態から、わずかな明かりである「保安灯」 だけをONにしたものです。48HKzあたりとその2倍成分として、 明確な高周波ノイズ成分が出て来ているのが判ります。ただし 電流の絶対値としてはかなり微弱です。




これは、「東」「西」とある照明メインスイッチを全てONとして、 照明だけを全てつけた状態です。電源電流の絶対値が増加すると ともに、照明機器のインバータによる高周波成分がより強力に なるとともに、特徴的な電流波形となっています。




これは、上の全照明ONという状態で、配電盤から遠いデスクの、教員卓を 含む23台のPCとディスプレイ、さらに2人に1台ずつある指導用LCDモニタ を全て入れた状態です。ここでも、パソコンの電源部にあるノイズフィルタの 効果なのか、電流波形がむしろ改善されていることが判ります。 このグラフではちょっと分かりにくいのですが、より低次の高調波成分が やや持ち上がっているようなカンジもあります。




これは、407の全ての62台のPC、ディスプレイ、プリンタ、スキャナ、 等の情報機器の電源を全て入れた状態です。波形の変化については、 レーザープリンタ5台や大型スキャナ3台の影響も考えられます。




これは、407の全ての62台のPC、ディスプレイ、プリンタ、スキャナ、 等の情報機器の電源を全て入れた状態で、部屋の照明を全てOFFにした 状態です。電源波形は上とほとんど同じ状態ですが、電流スペクトルを 見ると、照明関係のいインバータによるノイズ成分だけが綺麗に 消えていることがわかります。




これは、上記のように全てのPCとディスプレイがONで、照明を全て OFFにしたところで、「5台のレーザープリンターと3台の大型 スキャナだけ、さらに電源をOFFにした」という状態です。 上のグラフと比較すると、波形の変化の原因は、22KHzあたりに ピークを持っていたスイッチング電源(けっこう消費電流が大きい)の 影響である可能性が考えられます。




これは、上記の状態から念のために「保安等だけまたONにしてみた」 という状態です。照明のインバータ電源に由来する高周波成分はまた 出て来ましたが、電流波形はほとんど変化がありません。つまり、 電源電流波形を歪ませていた原因のうち大きなものとして、プリンタや スキャナなど、モータを持って大電流を消費する機器、という可能性が また確認できた模様です。(^_^)