成安造形大学コラボレーション・プロジェクト

アーティストのための汎用センサ自作応援講座

2001年7月 長嶋洋一


第13話

2001年2月の特別講座の話が、 第12話 のように進展しましたので、ここで写真を添えたメイルのように(^_^;)、 疋田クンに部品と準備のリクエストをすることにしました。

これは、 今日現在の僕の研究室の中央の会議机の上です。 右下で開発中のAKI-H8モノですが、これはAKI-H8の下になんと 小型のGPSモジュールがあります。アンテナ線が伸びていますが、 室内ではGPS電波は受信できないので(^_^;)、 これから手伝いの学生が来たら、この11階から屋上(13階)まで ケーブルを延長する予定です。GPS情報が届かないことには 「GPSで位置計測して自分で軌跡を決定するお掃除ロボット」 というのは、できませんので。(^_^;)

今までは、自分のPowerBook2400c/G3で開発していたの ですが、今年度から僕の講義でも学生が開発することもあり、 研究室のG3PowerBookでの開発に切り替えています。 画面は このように、 VirtualPCでWindows98を走らせています。
AKI-H8の開発キットはRS-232-Cでパソコンから送るのですが、 自分のPowerBook2400c/G3はシリアルポート(モデムポート) があるものの、研究室のG3PowerBookにはありません。 そこで、 このような USB-RS232Cのコンバータを間にかまします。 これで問題なく、バッチリと開発できますので、USBだけの Macでも平気です。(^_^)

AKI-H8の開発ツール(ライタ)ですが、 これが 秋月のマニュアルの回路に従って作ったものです。 最近のキットではライタの基板もあるので、初心者は それでも結構です。使い方は同じです。このあたりは、 第5話 第6話 で述べていますので参照して下さい。 改めて見ていて気付いたのですが、どうも以前のバージョンでは、 「見えない図」とかがあったようで、失礼しました。(^_^;)

ライタに直接にAKI-H8を挿すというよりは、 このように ライタの10ピンのCN4からケーブルで延長してAKI-H8に 伸ばした方が簡単ですので、これをお薦めします。
まだ開発途上で完成していないのですが、 このように ソレッぽい液晶表示だけ、秋月のルーチンをそのまんま 流用して走らせたところです。(^_^;)

さて、そういうことで、疋田クンへのリクエストという 形式で、「初心者がAKI-H8でセンサMIDIものを作る時に 行う準備」というのをまとめてみました。 これに従って準備して下さい。

まず、AKI-H8ですが、このキットは購入して完成させて おいて下さい。 改造点としては、基板に既に付いているRS232Cドライバの MAX232(あるいはADM232など、全て同じです)の足のうち、 11ピンと12ピンをICの根元でカットします。そしてハンダごて を当てると、切れたリードが取れる筈です。カッターで 基板のパターンをカットしては困りますので注意して下さい。 こんな 感じになります。

ライタからのケーブルは、 このように AKI-H8に取り付けます。今回は僕が持参しますが、いずれ 成安でもライタと開発環境とともに作ることになると 思います。
そこで、4つのコネクタのうち、CN4だけは、通常の基板から 下に付けるとともに、さらに このように 上にも付けてみて下さい。これは開発が完了したら切っても 構いません。これでだいぶ効率がよくなります。
AKI-H8のついた基板を横から見ると こう なります。AKI-H8の下に、超小型のGPSモジュールが あります。

さて、部品です。学生さんが日本橋に行っても迷わない ように(^_^;)、写真付きです。とりあえず、AKI-H8の 周辺でMIDIモノを作るための部品だけです。 ざっと眺めると、 こんな カンジです。(^_^)

これは、 HS-CMOS(ハイスピードシーモス)ICの「74HC05」です。 メーカは問いませんので、このICをゲットして下さい。 これはMIDI送信の回路に必須なので、センサからMIDIを MAXに送る時には必ず使います。1パッケージに ゲートが6つ入っていて、通常は1回路でそのうち2つを 使います。従って、1個で3回路あるいは4回路のMIDI 送信に使えます。

これは、 「フォトカプラ」の「TLP552」です。これは東芝製で、 MIDI受信に使います。センサからMIDIを送るだけ、と いう場合には不要です。
ただし今回は、いずれ多数のセンサを同時に使うことを 視野に入れて、各センサ回路は単にMIDIを出すだけでなく、 「入力したMIDIと自分のセンサ情報をマージして出力する」 という機能にしたいと思っています。これにより、例えば 光ビームセンサを単体でしか使えないのではなくて、極端には 廊下に次々とセンサビームを走らせてどこにいるか、という のも検出できるようになります。 そのためには、MIDI入力も必須となり、つまりこの部品も 必須となります。
フォトカプラについては、ズバリが無かった場合には、 同等品を薦められても買わないで下さい。ピン配置とか 特性が違う場合があります。東芝のTLP552です。 なかったら、トランジスタ技術の通信販売で、藤商電子 あたりで買うか、取り寄せてもらって下さい。

これは、 オペアンプの「LM324」です。同等品は多く、ロームの 「BA10324」とか、NECなどでもあります。324という のは、「単一電源・4回路入り・汎用OPアンプ」ということ です。 これは、センサからのアナログ電圧とかを増幅したりするのに なにかと便利です。AKI-H8周辺回路として必須というのでは ありませんが、ついでに揃えておいて下さい。

これは、 ダイオードです。型式は不明です。(^_^;)(^_^;)
MIDI受信のフォトカプラのところに使います。また、 センサからのアナログ電圧を整流してその大きさを 検出する回路にも使います。要するに「小型シリコンダイオード」 というものです。電源用の大容量のものではありません。

これは、 220Ωの抵抗です。カラーコードは「赤赤茶金」です。 MIDIの送信回路、受信回路には電流制限抵抗として 必ず220Ωを使います。また、+5VからLEDを点灯させる 時には、だいたい220Ωが最小限界で、これ以上小さいと 壊れるというギリギリの一番明るい回路としても使います。

これは、 1kΩの抵抗です。カラーコードは「茶黒赤金」です。 これは、なんとなく使うことも多いので、一例として 置きました(^_^;)。
同様によく使う抵抗としては、 1k、10k、4.7k、33k、100kなどもあります。 このあたりは、100本入りの袋として常備しておいて下さい。

これは、 いわゆる「パスコン」、バイパスコンデンサに使うものです。 お店では、「積層セラミックコンデンサ」ということで、 105か104を多数、入手して下さい。105はそこそこ高い ですが、これをパスコンとして使うと、誤動作とかに 強くなります。103、104、105は全てアナログ回路では 使います。僕は105の1000本袋入りを常備しています。

これは、 電源のところにパスコンとともに入れる、ケミコンです。 「電解コンデンサ」のことです。この写真では、左のは 6.3V330μFとなっていますが、まぁ電圧は10Vか16Vの 方がいいでしょう。 これも、回路を3つ作れば3個は必ず必要、というものです ので、袋入りがあれば多数、仕入れて下さい。容量は大きい ほどいいのですが、図体も大きくなるので適当なところで。 耐圧が50Vとか220Vなどというのは不要です。

これは、 ICソケットです。初心者はICにハンダごてを当てすぎて 壊すこともあるので、必ずソケットを使いましょう。 電源を逆につないでICを壊しても、壊れたICを抜けば いいので、その点からもちょっとだけ有効です。(^_^;)
フォトカプラにも、 こんな 8ピンのソケットが使えます。

これは、 MIDIケーブルをつなぐための5ピンのDINコネクタです。 これをケースに付けて、そこにMIDIケーブルを挿す、という ものです。
ケースの穴あけが面倒であれば、 こんな ものもあり、僕も携帯型のセンサに活用しています。 これはバラすと この よう なり、ちょっとだけハンダ付けの空間が狭いですが、 きちんと使えます。