成安造形大学コラボレーション・プロジェクト
アーティストのための汎用センサ自作応援講座
2001年1月 長嶋洋一
第5話飛び込みで東京に行く仕事があり、ちょっと早めに行って秋葉原に寄って、 秋月電子で最新のAKI-H8キットを仕入れてきました。今回は、「初めて AKI-H8に挑戦するビギナー」のために、じっくりゆっくり解説して いきますので、AKI-H8初心者の人は、ここをよく眺めて、一緒に 進めていきましょう。いったん使えて来ればもうしめたものですので。
さて、
これ
が、そのAKI-H8キットの全貌です。まだ袋に入っています。左側の
袋は、秋月の店頭でこのキットを買ったら「おまけに付けます(^_^)」
とのことでしたが、AKI-H8ライタを作る/使う時に必要な15V2Aの
スイッチング電源キットでした。こんなのおまけにしてしまうとは、
なかなか凄いサービスですね。通販ではたぶん無理でしょう。
「AKI-H8キット」の中身それでは、袋から出しつつ解説していきましょう。 大きなキットの袋から出てきたのは、 こんな ものです。順に紹介すると、 これ はAKI-H8の心臓部の日立のH8マイコンのマニュアルです。 極限まで圧縮しても分厚いもので、凄い量のリソグラフです(^_^;)。 これ はAKI-H8マイコンボードのマニュアルです。この中にフラッシュROM ライタの事も書いてありますが、これは無視しても結構です。この マニュアルはボードキットのものと共通です。 これ はAKI-H8の回路図で、裏面はピン割り当ての表です。新しいものを 製作する場合には、この情報を参考にしていきます。これ は二つの袋に入ったパーツ類です。通常のAKI-H8ボードキットよりは スイッチなど部品が多いです。ストレートピンヘッダなども ありますが、実際に実装する時には使わないものも入っています ので、製作したあとで何か余っても動揺しないで下さい(^_^;)。 これ は、スリーエムの絶縁ゴムシート(裏面に糊付き)です。AKI-H8 マザーボードキット(ROMライタ兼用)を完成させたあとで、汎用 の開発ツールとして使う時に、基板がムキ出しでは困るので、これを ハンダ面に貼るのだそうです。そして これ が、「AKI-H8マイコン専用マザーボード」ということで、 こんな 中身になっています。 これ がそのマニュアルです。まず最初はここから着手することになります。 なお、このキットにはLCDモジュールは付属していませんでした。 液晶でAKI-H8に慣れたい人は、別途に秋月から買いましょう。 これ がマザーボードの基板とAKI-H8そのものです。AKI-H8の部分は 普通のボードキットと同等です。基板上にユニバーサル回路が あるので、MIDIの回路とかを置くこともできますね(^_^)。 これ が、マニュアル、アセンブラ、フラッシュROMライタソフト等の 入ったCDROMで、これはWindows版です。僕は仕方ないので これをWindowsノートで読み出して、中身をPowerBookに転送する ことにします。もちろん、Windowsパソコンの人はそのまま 使って下さい。この環境設定から詳しく紹介する予定です。 Macユーザのための準備ここでは基板の製作の前に、僕のようにMacユーザでAKI-H8を開発 したい人のための環境を紹介しておきます。ただし、ここでは Macがシリアルポートを持っていること、そしてWindowsマシン とイーサネット等でMacがつながっていることが条件と なります。前者の条件から、iMacやiBookでは駄目です(^_^;)。 また後者は、MacとWinのそれぞれからイーサネットを出して、 この ような「ハブ」にそれぞれつなげば簡単に実現できます。
さて、
これ
はWindowsノート(DynaBook)の画面です。秋月キットに付属してきた
CDROMをEドライブに入れて、エクスプローラでその中身を見ている
ところです。この中身はまったく圧縮されてない、素のままが
ズラッと入っています。
そして、Windowsパソコンにはこの秋月CDROMを入れた状態で、 これ は、シェアウェアのFTPdを起動したところです。このソフトは、 Windowsマシンを一時的にイーサネット上のサーバとして働かせる もので、普段はIndyをサーバとしてCyteFTPなどのクライアント ソフトを走らせるのですが、Macとやりとりするにはこれも 便利で愛用しています。もちろん、Macの側でサーバソフト を走らせてWindowsではFTPクライアントを使ってもOKです。
これ
は、Mac側でFTPクライアントのFetchを起動して、Windowsマシンの
CDROM内のファイルをMac内のフォルダに転送しているところ
です。
AKI-H8マザーボードを作ろうさて、それでは同時中継で、AKI-H8マザーボードを製作しましょう。まず、 これ は作業開始、という机の風景です。このように綺麗に片づいた状態で スタートします。どうせスグにちらかってきますので(^_^;)。最低限、必要な工具類としては、 ハンダごて (愛用の20W)、 ハンダ (愛用の「すず60%」「1.2mm径」「ヤニ入り」はんだ)、 ニッパー などがあります。あとは、机を焦がしたり傷をつけないための 工作マット、 そしてコテを叩いて余分なハンダを取ったりリード屑を入れる このような もの(木製)も便利です。これは親友の結婚式の引出物の升なのですが、 まさか自分たちの引出物がこうやって10数年間も叩かれ焦がされ つつ活用されて続けているとは、当の本人たちも知らないでしょう [しげの夫妻、ごめんなさいね(^_^;)]。
まず最初に、マニュアルの
部品表
で、部品を確認します。抵抗のカラーコードも載っていますので、
数値を間違えないように、あと取り付けの時に電解コンデンサとか
ダイオードの向きにも注意します。ここではマニュアルの記述に
従っていきましょう。
次はコンデンサです。このキットでのコンデンサには、極性のない
パスコン
(積層セラミックコンデンサ)と、極性のある
ケミコン
(電解コンデンサ)とがあります。
ケミコンはパッケージには「マイナス(-)」の記号がありますが、
基板のシルクスクリーンはこれと反対の「プラス(+)」で
記されていますので注意しましょう。
次は
この
LED(発光ダイオード)です。LEDには向きがあります。
一般にリードの長いのがプラス側(アノード)ですので、
これをダイオード記号の上流側にします。逆向きに付けると
壊れませんが点灯しません(^_^;)。
次はコネクタです。CN1-CN4はAKI-H8のためのもので
こういう
感じになるのですが、ハンダ付けするためには、いきなり全部のピンを
付けないようにしましょう。少しでも基板から浮いたり傾いたりすると
AKI-H8がうまく入らなくなるので、まずは1ピンだけ付けて確認して、
次に対角線上のピンを付けてまたまた確認して、ピシッと付いていたら
残りのピンをハンダ付けします。
次はスイッチです。このあたりになると、どうもキットのロット
ごとに入っている部品がマニュアルと一致しなくなってきます(^_^;)が、
まぁスイッチなら同等ということで、行間を読みながら進めて
いきます。
僕のキットにはLCDが入っていないので、マニュアルによると
動作確認で使えるのはS3とS4だけのようなので、それだけを
付けようかと思ったのですが、引き出しから、以前に秋月で
仕入れたLCDモジュールが出てきたので、やはり付ける
ことにしました。ストックというのはしておくもんですね。
そして次には、
この
トランジスタとICです。いずれもマニュアルをよく読んで、
向きに注意しましょう。逆向きで電源を入れるとほぼ即死です。
そして、残るはジャンパです。LCDを使わない場合には関係ないものも 多いのですが、付けることにしたので全部つけました。切ったリード線でも スズメッキ線でもいいのですが、正しい位置であればレジスト(ハンダの 付かない緑色の印刷)に穴があいて銅箔が出ていますので、確実に 正しいところに付けます。 全部の部品が取り付くと、 こう なりました。また、ハンダ面は こんな 感じです。(^_^) あとは電源です。秋月で「おまけに」とくれたのは、 こういう ゴッツイもので(^_^;)、なんかかさばるのですが、せっかくなので 使うことにしました。基板上のYOKOGAWAというシルク印刷が 消された(^_^;)ジャンクで、1本だけ付いている抵抗を付けて改造 すると、15V2A(実測値)になるそうです。 改造マニュアルに従ってR38に9.1Kを並列に このように 付けました。基板スペーサを「足」にして、ハンダ面は安全のために ガムテープを全面に貼って、 こんなふうに 出来上がり(^_^)。 AKI-H8マザーボードへの電源供給は、 このような 場所になるのですが、リード線をハンダ付けするだけでは引っ張ったり して断線・ショートが恐いので、DSUBコネクタのネジ穴を利用して 束線バンドで このように ガッチリと縛ってみました。このあたり、実験に使うツールとしては しっかりやっておきたいところです。
秋月電子のLCDパネルキットは
こういうもの
で、手持ちのストックはバックライト付きでした。マニュアルに
従ってバックライトの配線、電源のジャンパを配線して、
こんな
ふうになりました。なかなかソレッぽいですね。(^_^)
ただし、Macユーザはあと一つ、作業が残っています。それは、
Macのシリアルポートから、このRS-232Cに接続するための
ケーブル作りです。必要なのは、
この回路図
の左上の部分、シリアルケーブルからのたった3本の配線です。
電源と、AKI-H8とLCDパネルの載ったAKI-H8マザーボードの
外見は
こう
なりました。ここまで、約半日です。なんせデジカメを撮りつつ、
この原稿を書きつつ、さらに隣のIndyで信号処理しつつ、です。
...ということで、まだ「初めてのAKI-H8製作」はここで前半というところ ですが、ここでいったん切って、続きは次にします。デジカメ画像も多数に なったので、ここで整理してWebにアップしてからにしましょう。 焦ることは何もないのですから。(^_^)
|