2020年8月4日(火)

土日月と サウンドデザイン の最終課題を全てチェックしてWebに上げ、一気に前期科目の成績を付けて、腑抜けのようになっていたが、最後のお仕事を思い出して朝6時過ぎから研究室に出てきた。 「Sketching日記」の名に恥じないように、 サウンドデザイン音楽情報科学 の学生課題作品Maxパッチを整理してここに並べることで、ようやく前期が終わるのだった。 これをやっつけて、今日はまたまたJoyJoyに向かう・・・というモチベーションに溢れた朝なのである。 なお、zipに入っている2つのパッチのうち「*****_org.maxpat」というのが学生提出のオリジナル、「*****_rev.maxpat」というのが僕の改訂したものである。

上は 富田さん の作品『陰陽師ちゃれんじ』であり、帝の娘を妖怪から守り、大内裏に送り届けようというものである。 drunkで3匹のお化けがウロウロするところを避けるというものだが、上下左右のカーソルキーの連続押しに対応しているのでスムースに動ける。 富田さんはこの前期、志願してMax特訓を受けつつ「サウンドデザイン」と「音楽情報科学」を学び、後期からも準ゼミで頑張るのだが、サウンドファイルを使わずにMIDI音源だけでこの作品の音響を実現している、そのセンスには光るものがある。

上は 會田くん の作品「後出しあっち向いてホイ」であるが、「顔を少しわかりづらく描いたので惑わされます」というほどのものでもなかった(^_^;)。

上は 青木さん の作品で、「じゃんけんゲーム」である。ただし、普通にじゃんけんをするのではなく、「勝ってね」「負けてね」「あいこにしてね」というランダムな3種類の指示に従って行うので、じゃんけんの結果は「勝ち」「負け」「あいこ」ではなくて、「やったね」「ざんねん」になる、というのが面白い。

上は 淺岡さん の作品で、締め切り時間の3分前あたりに何も説明がなくzipだけが送られてきたが(^_^;)、残念ながら未完成作品であり僕は手出ししていない。3つの小節ごとにスペースキーを押すことで結果として3×5×5=75種類の音楽から選べる、いうもののようであるが、MIDIチャンネル番号が60などずんずんインクリメントしていたり、結果の音楽サブパッチが空白だったりしていた。本人から質問のメイルも届いたが、果たしてリベンジ改訂版が送られてくるかどうか、注目である。

上は 伊藤さん の作品で、「寝起きの女の子の顔を作るゲーム」というものである。これは「絵心」系であり、髪・目・口・アクセサリーを替えるだけだが、いろいろな顔を楽しんでいると、どうも最初の「寝起き」の顔がいい味なので、ついオマケに[escキー]を付けてしまったが、原作に無い仕様なので、[deleteキー]も含めて押すのは厳禁である。(^_^;)

上は 今井さん の作品で、「ゆるい感じのイラストでお団子を完成させるゲーム」である。ランダム要素の無いシューティングであるが、タイミングを取れるのでまずまず簡単なのが救いとなっている。

上は 浦野さん の作品で、「うさぎが走るパラパラアニメを基本として、キーボードを使って障害物に対応するというゲーム」である。トップバッターで提出したものの、内部に色々なバグがあって改訂版を作るのにかなり時間がかかったものであるが、まぁ力作だろう。

上は 小山内さん の作品で、「文字に惑わされずに文字の色に対応する矢印キーを押してください」というゲームである。これは有名な錯覚で、人間はどうしても「文字の色」でなくて「言葉の意味」で反応してしまうというところが面白い。

上は 小澤さん の作品で、「先輩のパッチを使わせていただき、お化け屋敷風のゲームにしました」とあるが、その先輩のゲームにあったバグを回避しつつ、さらにサウンドの効果も含めて、いい感じの「お化け屋敷」が出来上がっていた。

上は 清水さん の作品で、「太鼓の達人」のように音楽に合わせて爆弾を打つという、いわゆる簡単なリズムゲームである。ただしMaxコンソールには2つほど「そんな画像が無い」というエラーが出るし、巨大なパッチ内にどこにも繋がっていないオブジェクトとか「- 0」という意味のないオブジェクトがあったり、だいぶ混乱しているようで、ちょっと改訂版ができない状態だった。狙いは分かるがちょっと残念。

上は 田中さん の作品で、自分の音感を頼りにおばけを退治する音当てゲームである。音感ゲームなのでピッチ感のあるBGMは邪魔になるが、ウッドブロック2つという構成で成功した。

上は 法月さん の作品で、「枝豆をつぶして、何が出てくるかを楽しむおみくじ的アニメーション」というものである。 シンプルなゲームであればパーカッション系のサウンドだけでも十分、という先輩のノウハウを踏襲している。

上は 橋本さん の作品で、大部分は先輩のスロットマシンのパッチに乗っかっているのだが、よく理解して「俳句」という面白い展開に発展している。スロットだとたいてい3種類だが、せっかくの俳句なのでもう少し増やして欲しかった・・・。

上は 許くん の作品で、ランダムにDRAWする線分で、当初は「線の太さによる空間感を感じさせるイメージを自動に作って保存すること」を狙ったが、手作業バージョンとなった。

上は 松場さん の作品「下駄占い」である。

上は 松本さん の作品で、3種類の占いそれぞれにアニメーションもやや変えているというものだが、スタート時の画像が実は占い結果と対応しているというのが裏情報である。

上は 水島さん の作品で、女の子が夜に走っているアニメーションに加えて、音楽に合わせて花火を打ち上げるという作品である。質問を受けてちょっと応援したのだが、音楽やアニメーションと同期しないタイミングで押されるスペースキーの花火アニメーションをコマ送りでなく拡大縮小の数値演算によって、全体として矛盾なく実装するための良いサンプルとなった。

上は 元村さん の作品で、飛んで来る蝶を捕まえるというゲームをである。蝶が画面のちょうど真ん中に来たら白と黄色それぞれ“1”、“2”キーを押して捕まえる。drunkを使って蝶を生き生きと動かしたい・・・という質問を受けたので応援したが、全体としてよくまとまってくれた。

上は研究生の 王さん の作品で、「音感トレーニングゲームのMaxパッチ」である。スタートページでマウスをクリックして、難易度を選択することができる。音名とサウンドのヒントによって、キーボードの鍵をクリックするのだが、スクリーンのウインドウ内にメッセージを置いて、それをクリックした出力を「そこが押された」というボタンとして活用する、というテクニックは色々に応用がありそうである。

そしてここからはいよいよ、 音楽情報科学 の中で登場してきたMaxパッチ群の整理である。 こちらはまず、全員で「いろいろな錯覚」の調査発掘をしつつ、その中からお気に入りを「インタラクティブ錯覚」にら仕上げていく・・・というような展開となったので、まさに玉石混交である。 とりあえず僕が改訂して、今後に向けてMaxの作品ライブラリの「基礎心理学」カテゴリに加えたものを紹介することにしよう。 このパッチ は「運動の対比の錯視」というもので、元々はアニメGIFかループ動画、という動的なものであるが、Maxによってパラメータを自在に変化させることで「錯覚の度合い」を検討することが出来る。

このパッチ は、新聞広告にあったもので、遠くから眺めると「離れていても心はひとつ」と読めてくる錯視ネタを、「抜く形状」を変化させるというものである。 マルと四角はなんとか読めたが、三角形と矢印はちょっと無理っぽかった(^_^;)。

このパッチ は「ラバーペンシル錯視」であり、単純に鉛筆の絵がぱらぱらアニメになっているのに、ゴムのように柔らかく見えてくる、というものである。

このパッチ は広瀬クンの制作した「渦巻き錯覚パッチ」であり、点の数、点のサイズ、回転速度、回転方向など基本的なコントロールを可能にしている。Maxプログラミングにあちこち無駄があったので改訂したが、このテクニックを広瀬クンは完全に理解して、最後には素晴らしい最終課題作品として結実した。

このパッチ は池田クンの挑戦した「ライラックチェイサー錯視」という運動錯視であり、中央を凝視していると、周囲で色付きの縁が順番に消滅していく、その「何もない」場所が光って見えてくるというものである。

このパッチ は池田クンが「PAWでホラー」ねたとして制作した「ホラー音響生成」パッチであり、YouTube動画の記録は このように なった。 素材がシンプルなDrumLoopなのに、groove~で低速再生してFMをかけてリバーブをかけるだけで、いい感じに出来上がった。

このパッチ は富田さんが、視聴覚融合ではなく独自に「隙間の錯覚」として視覚の錯覚と聴覚の錯覚を合体させた・・・という素晴らしい作品である。 YouTube動画の記録としては このように なった。

このパッチ は富田さんが「PAWでホラー」ねたとして制作した「ホラー音響生成」パッチであり、YouTube動画の記録は このように なった。 リバーブも使わず、BGMはシンプルにMIDI音源のみであり、PAWセンサでは低周波のサインのビートを唸らせているだけである。 サンプリングした自分の声もgroove~で低速再生させると、見事にホラーとなった。

このパッチ は永井さんが制作した2つの錯覚ネタである。 一つ目は「音階の錯覚」であり、さらに僕のアイデアで別バージョンとしてパンポットを分離したものも作ってみた。 二つ目はムンカー錯視である。 ムンカー錯視は去年の田口さん、今年の王さん、と皆んなに人気の錯覚なのだ。

上のパッチは永井さんが「PAWセンサで癒し」ねたとして制作したもので、去年の課題にも登場した猫の画像が秀逸である。

このパッチ は広瀬クンが制作した「赤い巻物、サクラソウの苗の錯視パッチ」であり、完成度が高いので、これだけは僕はまったくノータッチのままのオリジナルである。 過去の制作で課題となっていたプログラミング部分が素晴らしく改善されていて、またプリセットだけで十分にその能力が確認できる逸品である。

このProcessingスケッチ は、王さんがPythonを元に作った動的なムンカー錯視のアニメーションと、僕がやや改良したもののセットである。 YouTube動画の記録は このように なった。 なんかこの動画を記録する・・・という行動はデジャヴのような気もするが(たぶん「音楽情報科学」のページに上げたのかな??)、まぁ再度アップしておこう。 王さんは研究生として、Risset Rhythmも紹介してくれたし、さらにProcessingやSuperColliderまで手を広げて勉強中なのだ(^_^)。