京都精華大学 2026 "生成音楽論" (長嶋) 第3週
Opening Remarks
シラバスにある「生成音楽論」のサブタイトルは、『音楽生成AIの理解と活用を目指す。音楽とは何かという根源的な考察を多様な視点で進める』です。
シラバス「授業の概要」では、『音楽生成AIについて、その原理や限界について理解するとともに、実際に活用していくための視点を考察する。共通ツールとして音楽生成AI「suno」を使用して、実例や課題を通して具体的に音楽生成(作曲)すると共に、「生成AIそのもの」・「音楽そのもの」についての深い考察を目指す。既に現実のコンテンツ作成の領域で実用レベルに到達している音楽生成AIなので、この科目においては「ボーカル(歌)と歌詞」については敢えて対象から除外して、テキスト(文字)文化およびストーリーテリング文化と切り離した「サウンド」コンテンツとしての音楽に焦点を絞る』と述べています。
全7週のオンライン授業では、実際にsunoで音楽を生成する演習的内容と共に、毎週テーマを設定した「解説」「資料リンク」等に基づいて、興味のある関連情報を調べて考察することで、「音楽とは何か」という根源的な考察も並行するように心掛けて下さい。また、対象から除外した「ボーカル(歌)と歌詞」を含む楽曲の生成については、授業を離れて独自に実験・発展させることも推奨します。音楽心理学の奥深さ
- 「音楽心理学」(Music psychology)とは
- 心理学および音楽学の派生学問。「心理学and音楽学」というよりは「心理学or音楽学」の方が近いです
- sunoと向き合うためにじっくり調べるとすれば、 Wikipediaの解説 は大きな助けになります
- YAHOOの「AI回答」によれば、音楽心理学とは、「心理学の理論と実験法を用いて音楽体験を分析する学問」・「音楽の知覚・記憶・感情・動機づけなどを扱う」・「音楽教育、音楽療法、マーケティングなど応用範囲が広い」とあります
- 主な研究テーマとしては、「音楽の知覚・認知」・「音楽と感情・気分」・「音楽と社会・行動」とされていて、応用分野として「音楽療法:医療・福祉現場での感情調整やリハビリ支援」・「音楽教育:練習法、モチベーション維持、ステージ不安の軽減」・「ビジネス:BGMを用いたブランディングや顧客体験の設計」とありました
- 音楽知覚認知ハンドブック
- たぶん京都精華大の図書館にもあると思うので、興味のある人は 音楽知覚認知ハンドブック - 音楽の不思議の解明に挑む科学 をチェックしてみて下さい
![]()
- この本は、日本で音楽心理学の分野の研究者が集う「日本音楽知覚認知学会」が30周年を記念して刊行した本です。ごく一部には学会員の長嶋が執筆した記事「コンピュータミュージック未来予想図」も入っています。・・・が、執筆したのはもう数年前なので、まさか「suno出現」のように世界が展開するとは予想外でした
- 目次の全ては ここ をチェックして欲しいのですが、とりあえず以下が「章」のリストです
- プロローグ
- 第1章 音楽のための音響学
- 第2章 聴覚の心理学
- 第3章 音楽の知覚
- 第4章 音楽の認知
- 第5章 音楽学習と教育
- 第6章 音楽と感情
- 第7章 音楽と情報
- 第8章 音楽と脳
- 第9章 音楽の演奏
- 第10章 音楽と映像メディア
- 第11章 音楽と健康・音楽療法
- 第12章 音楽と社会・産業
- 文献・人名索引・事項索引
- エピローグ
- ちなみに、この本は30周年というトピックに合わせて学会メンバーを中心に大勢で急いで執筆した関係で、「ある事項が重複してあちこちに登場する」などの突っ込みどころが結構ありますが、「大事なことなので二度述べた」と暖かく看過して下さい
- 音楽の知覚と認知
- 上の「音楽知覚認知ハンドブック」の第3章・第4章が「音楽の知覚と認知」ですが、この領域だけでさらに分厚い文献が居並ぶほどの奥行きがあります
- 音楽の聴取プロセスには、ヒトの認知科学的特性が大きく影響しています。以下の図は長嶋がかつて担当した講義「サウンドデザイン」の教材ページの冒頭に置いたものです
![]()
- ここではこの領域の詳細については解説する余裕がありませんので、興味のある人は是非、 音楽知覚認知ハンドブック の第3章・第4章をチェックしてみて下さい
- 結局、人間は耳に入った音響を、鼓膜の振動から内耳の蝸牛、コルチ器を経て聴覚神経から脳に伝えて「知覚」し、脳内処理として「音響心理」・「音楽心理」的な「認知」を行うことで「情動」が生まれます。このあたりに興味のある人は Wikipediaの「聴覚」 に詳しく解説があるので、是非、チェックしてみて下さい
- sunoによる音楽生成との関係
- 第1週・第2週の提出課題の中で、「心情的」「感覚的」なpromptがとても有効だ・・・という感想を書いてくれた人が何人かいました
- 第2週のテーマ「音楽理論」の提出課題の中では、promptに音楽用語(Keyとかコードネーム)を入れてもsunoに無視されるケースも多くありました。sunoは音楽理論的に音楽を生成していないので当然です。たまたま音楽用語promptにヒットした場合、それは過去に学習した膨大な音楽(→傾向のベクトル空間)を蓄積する中で、「音楽音響の傾向」ベクトルと、「その音楽用語が頻出する付帯情報と共に学習した音楽」との類似関係が役立ったためと考えられます
- その意味では、上述の「音楽心理学」で登場する概念・用語は、ある音楽を形容する用語としてさらに一般的なために、sunoが学習した音楽により多く付帯しているので、上手く生成される音楽に効いてくると思われます
- その意味で、音楽心理学に関する色々な文献(わかりやすい入門書とかもたくさんあります)で知識を広げると、sunoに生成させる音楽を自分の意向に合致させる確率が高まります
音楽の構造
- 起承転結
- 「起承転結」とは構造をあらわす概念の一つで、古くは4行から成る漢詩の絶句の構成とされましたが、「文章の構成」でも推奨され、音楽の構造においても同様に適用される場合があります
- 俗に言われる説だと、「起」がイントロ、「承」がメロディー、「転」がサビ、「結」がエンディング、などと言われるものの、音楽ではこの1通りでなく大抵「繰り返し」があるので、あくまでイメージ的に起承転結に擬えることも多いようです
- POPSとかのように1曲の中での「起承転結」ではなく、クラシックでは複数の楽章から構成されるところに起承転結をイメージすることもあるようです
- sunoに与えるPromptの場合には、後述する[Verse]・[Pre-Chorus]・[Chorus]などの用語で起承転結に相当するメリハリを指定できるかもしれません
- 序破急
- 「序破急」とは元々は雅楽の演奏に関する概念でしたが、転じて「能楽、連歌、蹴鞠、香道、剣術、抜刀術、居合道、茶道」などの芸道論でも使用されています
- 「序破急」は予定調和な「起承転結」に対するアンチテーゼとして語られることもあります
- 意味としては読んで字の如く、元来の雅楽では、「序」で静かに始まり、「破」でリズム(ビート)が定まって、「急」で加速する、というものです
- 音楽を「序破急」で構成すると、エンディングがなく盛り上がった頂点で突然に消える(止まる)ことになるので、実際には序破急の音楽でもエンディングがあって、なんとなく起承転結の印象となるものも多いです
- ソナタ形式
- 「ソナタ形式」とは、クラシック音楽の「楽式」(楽曲の形式)の一つです
- 「楽式」には、二部形式・三部形式・ロンド形式・ソナタ形式 ・変奏曲形式・リトルネロ形式・フーガ形式・リフレイン形式など色々とありますので興味のある人は調べてみましょう
- 「ソナタ形式」は、基本的には「序奏」・「提示部」・「展開部」・「再現部」・「終奏(coda)」という構成です。再現部が無い場合には一種の「起承転結」と見做すこともできそうです
- 「提示部」には第一主題と第二主題の二つがあるのがソナタ形式の基本形で、この流れがPOPSでの「Aメロ・Bメロ」に継承されているのかもしれません。あるいは「提示部」がAメロで「展開部」がBメロ、という場合もありそうです
- イントロ
- 今週の「生成音楽論」のキーワードはこの「イントロ」です。今回のテーマは音楽の構造なのですが、sunoは学習のために世界中・古今東西の厖大な音楽(数千万曲とも言われる)から音楽の構成も生成するので、非常に多くのPOPS系音楽の様式として「イントロ」・「Aメロ・Bメロ」・「サビ」・「エンディング」という構成になります
- 今回の課題テーマの一つとして、この「イントロ」について体験してもらうために、 「イントロ」の考察 という資料ページを作りましたので、このページの色々な曲(単に長嶋の趣味なのでかなり偏ってます)をクリックしてまずイントロを聞いて、その後の展開を予想してから、その右の(original)という曲全体も聞いてみて下さい
- sunoは「メロディーを作りたがる」音楽生成AIですが、曲全体の構成も考慮しているので、けっこう長めのイントロを作る傾向にあります
- 商業音楽の世界では、「タイパ」の風潮もあって、次々に頭出しして選曲するリスナーのために、最近どんどんイントロが短くなっています。あるいはイントロ無しで、いきなりサビから入る曲が(昔からあったものの)大幅に増加しています
- このような視点を検討するために、今週のmp3提出課題パターン(1)として、「sunoに作らせた、かっこいいイントロ(30秒以内)」というテーマを掲げます。詳しくはこのページの下部の「今週の課題」を参照して下さい
- イントロに困った場合のアレンジ手法として、「サビ/リフの繰り返しをゼロから次第にフェードインする」という禁断の技も稀にあります
![]()
- Aメロ・Bメロ
- sunoは「メロディーを作りたがる」ので、余程Promptで上手に禁止しないと「Aメロ・Bメロ」が作られます
- 「Instruments」指定(ボーカル無し)であっても、sunoはビアノとかサックスとかギターの音色でメロディーを作りたがります
- AメロとBメロの関係は色々で、部分的に変える(変奏)もの、リズムを変えるもの、和声的に近親調に転調するもの、まったく別モノという場合もあります
- 転調していない場合には、前週で紹介した「スケール」上の音からメロディーが構成されるので、Aメロの「3度上」とか「4度上」(ハモりの関係)というBメロもあります
- サビ
- サビについては、 Wikipediaの解説 がとても参考になります
- 「寂(さび)」と言うと、邦楽の「謡曲」・「語りもの」などで声帯を強く震わせて発する調子の低い声(低く渋みのある声)・・・などとなってしまうので、ここでは対象外です
- 「サビとは、日本風の歌謡曲、ポップ・ミュージック(J-POP)などの大衆音楽における楽曲の聞かせどころのこと」(Wikipedia)です
- ただし「サビ」の定義には諸説あるようなので、 Wikipedia を参照して下さい
- ここでは、産業技術総合研究所情報技術研究部門首席研究員の後藤真孝氏(長嶋のお友達)の定義「楽曲全体の構成において一番代表的な盛り上がる主題の部分」を採用します。後藤さんの「サビ」の説明「最も多く繰り返され印象に残り、訓練されていない者が楽曲を聴いた場合でもサビは容易に判断できる」は誰でも納得できるでしょう。後藤さん自身による解説: サビやビートを自動解析!コンピュータが作る「音楽地図」ってなんだ? を是非、チェックしてみて下さい
- ただし、後藤さんのSongleシステムの音楽情報処理はDTMの発展系であり、sunoのように具体的な楽典情報を持たないシステムとは異なります
- 楽曲の構成としては、「サビから入る」というイントロ/メロディー省略形が非常に増えていて、これは次々にザッピングして選曲する最近のリスナーの傾向(タイパ)に迎合したものと言えます
![]()
- エンディング
- 音楽には必ず「始まり」と「終わり」があり、始まってしまった音楽には必ずエンディングがあります
(John Cageの有名な曲「ASAP」(As Slow As Possible)はドイツで自動演奏オルガンによる演奏が始まって25年以上が経過していますがまだまだ終わりません。それでも楽譜によれば、数百年後には終わる筈です)- ズルい手として究極の技は「フェードアウト」です
- 序破急の発想で「とつぜんプツッと切れてオシマイ」というのもよくあります
- エンディングとして「終止」和音(トニック)を長く延ばす、というのはクラシックの定番です
- トニックの代わりに、「まだ次に続く筈」和音(ドミナント)を延ばして終わる、というのもよくあります
- 不条理感や不幸感/不安感の演出のために、「終止の和音が不協和音」というテクニックはクラシックでもPOPSでも散見します。劇的要素ということで演劇・ミュージカル・オペラ等でも定番です
![]()
和声理論と音響心理学
- メジャーとマイナー
- よく「メジャー」(長調)とか「マイナー」(短調)とか言いますが、この理屈を理解するには、まずは「音響物理学」的な基礎が必要です。興味があれば、長嶋が全部書き下ろした 音楽理論特訓集中講座 を眺めてみて下さい。この冒頭付近に、「音高と周波数」とか「12等分平均律」とか「音程」(interval。一般に音の高さと間違われる用語)の詳しい解説があります
- Major Triad(長3和音)とは、「root - [長3度] - 3rd - [短3度] - 5th」という音程構造をしているメジャー和音のことです
- Minor Triad(短3和音)とは、「root - [短3度] - 3rd - [長3度] - 5th」という音程構造をしているマイナー和音のことです
- 両者の root-5th の「枠組み」の音程は「完全5度」(半音7つ分)で同じです
- Major Triadの振動数比は 4:5:6、Minor Triadの振動数比は 10:12:15 です。通分して root:5th = 20:30 としてみると、Major Triadの振動数比は 20:25:30、Minor Triadの振動数比は 20:24:30 です。この真ん中の音が25か24かで全く印象が変わります
- 古典的な音楽心理学(Triad)では、「メジャーは明るい・楽しい」、「マイナーは暗い・悲しい」という印象とされました
- 現代の音楽では3和音よりも4和音が中心なので、この図式は薄れつつあります。Cmaj7(4和音)の下3音はMajorなのに上3音はMinorです。またCm7(4和音)の下3音はMinorなのに上3音はMajorです。つまり1つの和音の中にMajorとminorが同居しています
- 昔は「マイナー音楽を聞くと悲しくなる/落ち込む」・「メジャー音楽を聞くと楽しくなる/元気になる」と言われてきました。そこで「陰鬱な気分の人にマイナー音楽を聞かせると、より悲しくなる/落ち込む」・「陽気な気分の人にメジャー音楽を聞かせると、より楽しくなる/元気になる」と思われていました
- しかし最近(と言ってもここ40年ほど)の研究では、これは逆であり、「陰鬱な気分の人にマイナー音楽を聞かせると、どん底に落とされてむしろ立ち直ろうと前向きになる」・「陽気な気分人のにメジャー音楽を聞かせると、阿呆らしく白けてむむしろ冷める」という報告もありました
- sunoにはMajorとかMinorという音楽用語でなく、人間の情緒的Promptで指示した方が良さそうです
- 平均律と純正律の聞き比べ
- ここで実際に、現在は世界中の音楽で一般的な「12等分平均律」と、「純正律」の2つについて、「ドミソ」の長3和音でその響きを体験してみましょう
- ここでは「ピッチ」(音の高さ)に全集中して下さい。興味のある人は、長嶋が全部書き下ろした 音律について も眺めてみて下さい
- 全ては この動画 にありますので、これを走らせて以下の解説を参照して下さい
- 画面には長嶋の作った「Maxパッチ」があります。Maxについては第7週で紹介します
![]()
- 画面の左右には、平均律(左側)と純正律(右側)のブロックがあり、上のスライダーで実際に聞こえてくるサウンドを切り替えます。最初はスライダーが「純正律」の方になっていて、下段のボリュームを上げるとドミソのうち繋がっている「ド」の音が聞こえてきます
- 次に上のスライダーを左にすると「平均律」になりますが、聞こえる音のピッチは変わりません。つまり、平均律と純正律のドミソのうち、「ド」を基準として共通に固定しています
- 24秒あたりで、上のスライダーが「平均律」(左)の状態で、ドミソのうち「ソ」も繋いで「ドソ」の響きを作ります。これは音楽的には「完全5度」(半音7つ分)の音程です。2つの音はまとまって1つの音のようにも聞こえてきます
- 34秒あたりで、右の純正律のドミソのうち「ソ」も繋いで「ドソ」の響きを作り、上のスライダーが右の「純正律」になりますが、ドソの2音の響きはほとんど変わりません。これが「平均律の完全5度と純正律の完全5度の違いは非常に小さい」という事実です 「半音」を100セントで表すと、平均律の完全5度は700セント、純正律の完全5度は701.955セントで、違いは約2セントです。この違いは音感の優れたプロの音楽家の識別限界より狭いです。平均律はピッタリ700セントで綺麗だと誤解しないで下さい
- 46秒あたりで、右側の純正律のドソが鳴っているところに、ドミソの「ミ」も繋いで、純正律の「ドミソ」長3和音(major)が鳴ります。ここで注目して欲しいのは、1つの音のようにまとまっていたドソにミが加わったドミソもまた、1つの音のようにまとまっている事です
- 49秒あたりで、まだ上のスライダーは右の「純正律」を鳴らしたまま、左の平均律の「ミ」も繋いで、55秒あたりで上のスライダーを「平均律」(左)に動かすと、聞こえてくるのが平均律の「ドミソ」です。途端に「コーラス効果」のように、音が周期的にワウワウと揺らいできます
- ここから1分10秒あたりまでの期間、上のスライダーを左右に動かして、左「平均律」と右「純正律」のドミソの響きを交互に聴き比べています。どちらが好きでしょうか?
- その後、確認の意味で平均律のドミソを入れたり切ったりして、1分29秒からは純正律のドミソを入れたり切ったりしています。見たままんまの音が出ているので理解できると思います
- 純正律はドミソの音の振動数比が厳密に整数比(ド : ミ : ソ = 4 : 5 : 6)なので、数学的には「三角関数の和積の公式」によって、振幅変化の項が一定のため、ピッタリ止まった和音となります
- 平均律は「12乗根2」(12回かけるとになる数)をαとすると、ドミソの音の振動数比が(ド : ミ : ソ = 1 : α4 : α7)となって比が割り切れないことから、数学的には「三角関数の和積の公式」によって、振幅変化の項の周期が非常に大きな「トレモロ効果」のようになり、ドミソ和音は止まらず揺れ動く響きを持ちます
![]()
(長嶋が作成した某大学入試問題より)
- 楽器が工業生産される時代となったこの200年間ほど(現在)、人類は生まれた時からずっと平均律の音楽を聞き慣れて育ってきたので、突然に純正和音の「揺れ動かない」響きを聞くと、不安になったり物足りなく感じたりします
- 一方で、コーラスでノンビブラートで純正に響く和音を聞いてみると(機会があれば是非とも聞いてみて欲しいです)、信じられないほど豊かで美しい響きに魅了されます。長嶋は1985年世界合唱祭に参加して、北欧の少年少女合唱団の「純正な響き」に初めて触れて圧倒されて以来、この深淵な音律に魅了されています
- 不協和音の歴史
- 音楽がユニゾンだった時代(中世、グレゴリオ聖歌)は、完全一度(ユニゾン)と完全八度(オクターブユニゾン)だけが「協和」で、他は邪悪な「不協和」でした
- 中世ロマネスク時代にはグレゴリオ聖歌を拡張した「オルガヌム」では、メロディーの完全5度/完全4度で並行する2声が登場して、ここまでが「協和」で、これは中世アルス・ノヴァの時代まで続きました
- 14-15世紀のイングランドで「3度和声」が生まれ、それまで不協和だったMajor/Minorの3和音までが「協和」となりました。これが15世紀のルネサンス時代に、それまでのピタゴラス音律(pure 5th重視)に代わって純正律(pure 3rd重視)が登場した事に繋がります。このあたりに興味のある人は、長嶋が全部書き下ろした 音律について を眺めてみて下さい
- その後、古典派・ロマン派の時代になって3和音から4和音まで「協和」の概念が拡張されて、それまで「不協和音」だった音も「和音の一部」・「テンションノート」などと許容されるようになり、現代に至ります
- 20世紀のPOPS・ジャズ・ロックなどの世界では、音程として「全音」(半音2つ分)のぶつかりを「協和」と感じるセンスが一般的になり、さらにMaj7thコードの「長7度」音程(半音11個分)までも許容するようになりました
- ただし現代でも、古典的な不協和音として「増4度」=「減5度」(半音6つ分、所謂トライトーン)は健在です
- 4和音の中に完全5度(協和)とトライトーン(不協和)が同居するのが「ドミナント7th」コード(C7 = C・E・G・Bb)で、これはトニックに対してrootが完全5度下行しつつトライトーンが解決するという「ドミナントモーション」(後述)の基本原理となっています
- また「短9度」音程(半音13個分)も不協和音程として健在です
- 「協和」と「解決」
- 古典的な「和声理論」では、音響物理学的に「協和」を論じて、音楽は基本的にこの「協和」の状態に「解決」することを指向する、という方向性を堅持しています
- 古典的には、音楽の「終止」というのは「協和」、つまりその音楽の「調的中心(Tonal Center)」(←第2週で解説しました)のメジャー和音で終わる(解決する)ことを理想とします
- その終止和音(Tonic)に向かって進行するDominant和音が必須であり、この「D→T」進行は曲の途中のブロック単位でも現れて、音楽の流れを支配する「ドミナントモーション」と呼ばれます。このあたりに興味があれば、長嶋が全部書き下ろした 音楽理論特訓集中講座 を眺めてみて下さい
- 音楽は常に協和しているだけでも面白くないので、時には敢えて「不協和」なところに移行して(聞いている方は「おや?」と気付く)、その後に「協和」な状態に進行することで納得感を得たりします
- Tonicに対してSubdominantに進行(「T→S」進行)すると、これから何か起きるか?というテンションの上昇を知覚させ、その後に「S→T」あるいは「S→D」などと進行することで納得感を得たりします
- 「ブルース進行」として有名なのは、12小節ループの終盤の9小節目からの「D→S」進行があってからのドミナントモーションにあり、この独特の強い「解決」感がブルースの一つの本質です
- 「解決」を逆手に取れば、「不協和音で終止」しての「不条理感」なども演出できます
- このような視点を検討するために、今週のmp3提出課題パターン(2)として、「sunoに作らせた「不協和音」の音楽(30秒)」というテーマを掲げます。詳しくはこのページの下部の「今週の課題」を参照して下さい
音楽と情動
- 予定調和と意外性
- 音楽心理学や認知心理学や脳科学の領域では、人間の脳活動について研究が進められています。ここでその詳細を解説する余裕はありませんので、興味のある人は、例えばWikipediaで 意識 ・ 注意 ・ 意思決定 ・ 感情 ・ 情動 などのページを調べてみましょう
- 「音楽と情動」との関係は、音楽を聴取する人間の振る舞いやその音楽的特性と原因など、多くの興味深いテーマを提供します
- 人間は意識的にも無意識下でも、常に「次に起きること」を予測しています
- 「次に起きること」が予測通りである(予定調和)ことを人間は好みます
- その一方で、人間は「次に起きること」が予測から外れたこと(意外性)も好みます
- 「D→T」進行は予定調和として嬉しい一方で、そればっかりだと(冗長性)、人間は飽きてきます
- 一方で「T→S」進行や不協和などの意外性があると人間は嬉しいのですが、例えば こんな曲や こんな曲 (←長嶋がsunoで作りました)のように、予測できない意外性ばっかり続くと不安・不快になってきます (実は長嶋はこういうのは嫌いじゃないです)
- 優れた作曲家はこの「予定調和と意外性」を上手く操って構成しますが、sunoはLLM(次々と起きることの連続)の特性からか、大局的な情動の揺れ動きは苦手なようで、いいところイントロ→メロディー→サビ→(繰り返し)→エンディング、というお決まりの構成を実現するに留まっている印象です
- ドミナントモーション
- 長嶋は2015-2017年に、トヨタ中央研究所との共同研究として「自動運転車におけるBGM自動作曲システム」を開発しました。その最終報告書は契約により公開できないのですが、理論的報告として 情報処理学会 と 電子情報通信学会 で、そしてポーランド・POZNANでの 国際会議ICEC で発表しました
![]()
POZNANへの道 ★
- 情報処理学会 の中では「音楽を駆動するダイナミクス」として、カデンツァ、循環コード、ドミナントモーション、II-V進行、セカンダリードミナント、裏5度、拡張ドミナント、等について解説していますので、興味があれば参照してみて下さい
- ちなみに「自動運転車におけるBGM自動作曲システム」の基本原理は「AIによる自動作曲」とは真逆の、「音楽的ヒューリスティクス(経験則)の総まとめ」によるアルゴリズミック・リアルタイム作曲というものです。これは第7週に解説する予定です
- ドミナントモーションの基本は、「rootが完全5度下行する関係」・「トライトーンが解決(rootへの半音上行、3rdへの半音下行)」の2点です
- 「循環コード」や「小室進行」などの「繰り返し続いていて、聞いていて快適」なコード進行の秘訣は、ドミナントモーションによって駆動される音楽、というところが大きな要因です
- sunoのpromptに「ドミナントモーション」と書いても、おそらく何も影響ないと思われますので注意して下さい。sunoの学習してきた膨大な既存の音楽は、ほぼ全てと言えるぐらいドミナントモーションに満ち満ちているので、改めて何かする用語ではありません
今週の課題
- 今週の課題は、以下の2パターンのいずれか一方です
- パターン(1) : [1]「sunoに作らせた、かっこいいイントロ(30秒以内)」mp3、[2]suno生成条件と100文字以内の感想/質問[テキスト]。この場合、かっこいいイントロを生成させるために考察・検討して与えた「suno生成条件」を明記して下さい
- パターン(2) : [1]「sunoに作らせた"不協和音"の音楽(30秒)」[mp3]、[2]suno生成条件と100文字以内の感想/質問[テキスト]。この場合、"不協和音"を出現させるために考察・検討して与えた「suno生成条件」を明記して下さい
- 課題のsuno生成曲には「ボーカル(歌)と歌詞が入っていない」という条件がありますが、今回だけパターン(1)の場合には、 このページ のように、イントロに続くメロディーに一瞬だけボーカル冒頭の切れ端(2秒以内厳守)が入ってもOKとします(例外的に[Instruments]指定ナシでもOK)。メロディーは別にボーカルでなく楽器音でもOKです
- またパターン(1)のmp3についてはsunoに生成させた「先頭」から(途中の部分を切り出すのはNG)という条件を付け、さらに長さdurationについては今回だけの例外条件として「10秒以上30秒以内」とします。これより短くても長くても形式不備となりますので注意して下さい
- パターン(2)のmp3については、sunoで生成された楽曲を第1週テキストの「イントロダクション」に書かれているように「30秒以内」(あまりに短いのは不可。25秒以上)に切り取ったmp3ファイルとして下さい。シラバスでは「課題提出mp3のduration」を1分間(60sec)と書いていましたが、受講者数がかなり多いため「30秒」に改訂します。このトリミングをしないでsuno出力そのままの長い楽曲の場合には「形式不備」として大幅減点になります
- 添付提出mp3ファイル名は適当な名前で結構です。SEIKA PORTALが学籍番号などをファイル冒頭に自動付与するシステムと判明したので、なるべく短めでOKです。例 : 「1.mp3」
- 課題提出は「クラスプロファイル」から行い、「ウェブ提出」でなく「ファイル提出」として行います
- 「ファイル提出」の「添付ファイル」としてmp3ファイルを提出すると共に、「コメント」欄に課題回答(「suno生成条件」と100文字以内の感想/質問)をテキスト入力して提出します。「suno生成条件」(3つ)については第1週教材ページをよく確認して下さい
- 長嶋は「ファイル提出」の「フィードバック」欄には個別回答しません。長嶋が「共有するに値する」と思ったごく少数のmp3と、長嶋が「共有するに値する」と思った「コメント」欄の内容/質問に対する共通なフィードバックは、提出期限以降に、この公開ページの最下段に追記します(←mp3作成者および内容/質問の発言者は全て匿名となります)
- 「クラスプロファイル」の「掲示板」機能については、「学生(同士)の意見交換の機会」(←教務課の説明)として開設します。ただし中身については長嶋は基本的に関与しません。「学生の自主性に任せる運用」(←教務課の説明)です。掲示板(全体で1つのチーム)開設のためには、形式的に誰かをチームリーダーとして登録する必要がある(システム設定上チームリーダーは1つのチームに必ず1人設定しなければなりません)とのことなので、まったく形式的に誰かをリーダーとして毎回設定しますので了解して下さい。ディスカッションは「第◯回授業内容についての意見交換」という形になるようなので、基本的にディスカッション期間は1週間ほどと設定します
提出された課題に対するコメント
- ★ 不協和音を意識してプロンプトを工夫しましたが、30秒という短い時間では展開をつけることが難しく、聴き手に意外性や不安感をより強く与えるにはもっと工夫が必要だなと感じました → prompt「Unexpected harmony, unstable, unpredictable melody, constant tension, dissonant chords, psychological unease, strange atmosphere」はよく工夫されていると思います。14秒までは「unpredictable melody」が効いていましたが、その後はsunoお得意の「余計なビート/リズム/ドラム」が入ってきて(これを出させないためのpromptには苦労します)、「イントロ」でも通用する感じになりました
- ★ 私の音楽観における「かっこいいイントロ」の要素には、メリハリがついていたり、無音の部分がある印象があります。今回の課題では、その要素を的確に生成できたと思います → このサウンドにはあまり「無音」は無かったかと思います。sunoはサービス過剰で音を埋めてくるので、意図的に「無音」(「間」の時間)を作るためにはpromptにコツが必要となります
- ★ 不協和音という言葉を聞くと、聴いていられないような耳鳴りのような音を思い浮かべていましたが、他の楽器を重ねたり曲のジャンルを定めることによって音楽として成立することが分かりました → prompt「不協和音な音楽、歌声無しでメロディーのみ、30秒程度、メジャーとマイナーを混ぜる、ロックとピアノを重ねて、シンセサイザーも入れて」で出来たこの音楽は面白いですね。「ロックとピアノを重ねて」が効いているかもですが、最後の数秒で普通のロックになってしまった感がちょっと残念。sunoは不協和音を「同時に鳴る音」としてでなく、この音楽のように「半音階的アルペジオで調性感の乏しいメロディー」を作る傾向があると思っています
- ★ 「イントロの考察」ページで印象的だったのが演歌のイントロでした。なので今回の課題はギターリフの映える演歌調でやってみました。タイトルの意味がよく分からないものになりましたが、イントロは結構かっこいいのではと思います → いやいや参った、立派な昭和演歌イントロですね。prompt「Enka, Guitar riff, Japanese-style, Japanese musical instruments」でこれが出来る、というのは僕にも収穫でした
- ★ J-POPらしさと、サッカーW杯のような高揚感を両立できるよう意識した。イントロだけで期待感が伝わる構成を目指して制作した → テレビの「サッカー番組」に入るところのBGMとして使えそうないい感じになりました。promptに「Catchy and memorable J-pop melody with a cinematic sports-event atmosphere. A gradual build-up that creates excitement before the match begins. Powerful drums, bold brass, energetic electric guitar, and an uplifting stadium-scale intro. Emotional, inspiring, dynamic, clean production. Strong hook within the first 10 seconds」と色々なイメージ/指定を詰め込んだことが成功していると思います
- ★ 不協和音がよく使われるであろうホラー系統のプロンプトを多めに取り入れました。音楽理論的な単語は入れずに、感情や状況などを多めに取り入れています。不協和音というよりは不安定な印象を感じ取れる気がします → 「不協和音というよりは不安定」ですが、いい感じだと思います。和楽器(来週以降に触れます)というのは基本的に不協和音や雑音を出すような特性があるので、効果的ですね。「Extreme Atonal, Dissonant, Cluster Chords, Tritones, instrumental only, duration is 30 seconds, Unresolved Harmony, Microtonal, Experimental, Avant-Garde, Horror, Chaotic, Unstable Tempo, Irregular Rhythm, Anxiety, Oppressive, Claustrophobic, Psychological Horror, Harsh Strings, Metallic Percussion, Industrial Noise, Constant Tension, No Resolution, Uncomfortable, Disturbing, maximum dissonance, relentless chaos, complete lack of tonal center, no consonance whatsoever, emotionally exhausting, panic-inducing, unbearable psychological tension」というpromptは頑張りました
- ★ 「恐怖を感じる曲調、サスペンス風、不協和音であること」というプロンプトを定めました。sunoは多くのポップスを学習しているため、プロンプトを明確に定めないとイントロからサビという構成をやってしまうことが理解できました。BGMやインストを生成する場合には気をつけたいです → シンプルなpromptなのに、簡単にいい感じのサウンドが出来ましたね。つまりsunoは、あなたのようなpromptでこういう恐怖/サスペンスの音響をたくさん作っているのだと思います。ドラマの効果音などにも既にsuno版が含まれているかもしれません
- ★ 今回はかっこいいイントロを目標に生成し、プロンプトの生成の難しさを改めて感じました。自分の想像している楽曲をまんま生成しようと思うとどのようなプロンプトにしたらいいかが今後の課題になりました → いい感じに出来たと思います。prompt「8小節のイントロで映画のような壮大さリバースシンバルを用いる。またドラマチックな盛り上がりで最後に大きなインパクトでバンド演奏へ入る」という記述はまだまだ淡白で、要するにどんどんイメージの言葉を列記して詰め込んで実験してみましょう
- ★ 映画のオープニングのようにドキドキするイントロを目指しました。楽器が少しずつ増えるようにしました → ハリウッド映画のような雰囲気でいいですね。prompt「Epic adventure intro, cinematic orchestra, powerful drums, bold brass, dramatic strings, mysterious beginning, gradual build-up, instrumental only, no vocals」は、なかなか的確な品揃えだと思います。実際にハリウッド映画のSEにsunoは既に使われているという噂もあります
- ★ サイバーパンク風の重低音シンセとギターを組み合わせ、近未来的な疾走感のあるイントロを目指しました。狙い通り、曲の幕開けにふさわしい勢いと締まりのあるカッコいいサウンドに仕上げることができました → 出来たサウンドは良いのですが、あなたは第1週を欠席、そして第2週と今週はいずれも「suno生成条件(prompt)を書いていない」という形式不備で、連続して大幅減点となっています。第1週のテキストに書かれていることをきちんとチェックして条件を確認しましょう
- チャットGPTにアドバイスをもらいながら考えてみたのですが僕の思っていた刺してくるようなキラキラ感ではなく広がるキラキラ感に出力されてしまったのと、かなり膨大なプロンプトになってしまったので改善の余地がある → それほど面白い音楽でもなく良くある曲でした。prompt「Genre: Bright Cinematic Electronic, Melodic Future Bass, Energetic Dance Pop, Uplifting Hybrid Electronic. Mood: Bright, emotional, uplifting, sparkling, nostalgic, youthful, hopeful, dreamy, exhilarating, cinematic, powerful. Tempo: 165 BPM. Structure: 0:00-0:12 ― Soft ambient pads, distant piano, shimmering bell plucks, airy textures, subtle reverse swells, gentle atmosphere. 0:12-0:24 ― Introduce rhythmic percussion, driving toms, evolving synth arpeggios, light bass pulses, gradually increasing energy. 0:24-0:38 ― Add emotional chord progression, bright supersaw layers, uplifting strings, fast hi-hats, risers, impacts, continuous build with no full release. 0:38+ ― Huge euphoric drop with massive supersaws, punchy drums, warm bass, energetic synth lead, sparkling plucks, wide stereo image, explosive energy. Instrumentation: Crystal-clear supersaws, shimmering bell plucks, emotional piano, airy vocal textures (non-lyrical), uplifting strings, driving percussion, deep clean bass, sparkling FX, risers, impacts, reverse cymbals. Production: Modern, polished, wide stereo, clean mix, powerful punch, huge dynamics, crystal-clear high end, rich atmosphere. Important: The intro must last at least 35-40 seconds before the full drop. Introduce new layers every few bars to keep building excitement. Do not reveal the main melody immediately. Focus on creating anticipation, emotional uplift, sparkling textures, and an overwhelming sense of forward momentum. The drop should feel explosive, euphoric, and unforgettable, like sprinting toward a bright sunrise after overcoming darkness」はChatGPTから出てきたものをコピペしたのかもしれませんが、一つ一つにsunoが反応しているわけでもなさそうなので、「promptは多いほど良い」わけでもない、という反面教師が得られたと思います
- ★ 不気味な感じの不協和音を作りたかったができなくて悔しかった。もう少し適したキーワードを頑張って探したい → 今回の「不協和音」というお題はちょっと無理ゲーだったのですが、出来た音楽は普通に良質なデスメタルでしたね。prompt「dark orchestra, stoner metal, deathstep, breakdowns, future trap, melancholic melody, dark electropop, dissonant, darksynth, dark gothic, dark metal, scream, dark horror」はデスメタ常連のタームばかりなので不協和音にはなりません。他の学生の例も参考にしてみましょう
- ★ ダークファンタジーの世界観や力強いドラム、ドラマチックなストリングスを意識してプロンプトを作成しました。 イントロだけでも曲の雰囲気が伝わることが面白いと感じました → 思わず続きを聞きたくなるイントロになりましたね。prompt「Dark fantasy intro, powerful drums, dramatic strings, heavy orchestral percussion, epic atmosphere, cinematic, instrumental only, no vocals, no singing, no choir, no spoken words」の冒頭の3フレーズは確かに「かっこいいイントロ」を導いてくれていると思います
- 曲調、ギター、ドラムのサウンドはイメージ通りでしたが、入れてほしいと指定した和太鼓や銅鑼が入っていなかったのは少し残念でした → サウンドはまったく普通のロックでしたね。prompt「Key: G minor. Tempo: 180 BPM. Create only the intro of a powerful hard rock song. The intro must be between 25 and 30 seconds long―this requirement must be strictly followed. Use the Komuro chord progression as the harmonic foundation. Feature heavy, driving drums along with a wide variety of percussion, including Japanese taiko drums and a large gong, creating a grand, intense atmosphere. The lead guitar should have aggressive high-gain distortion combined with a wah-wah effect, delivering an energetic and expressive performance. Build a dramatic, epic opening with strong momentum and impact. Include a short reverse playback section somewhere in the middle of the intro for a unique and unexpected transition, then return smoothly to the main groove. The overall sound should be bold, explosive, cinematic, and memorable, with a modern, polished hard rock production」に対して、果たしてsunoが「Komuro chord progression」に反応するかは微妙です。「including Japanese taiko drums and a large gong」と書いているものの、prompt全体には「和」のテイストはほとんど感じられないので、これを無視したのも納得できます。sunoのプロンプトでは「大事なことは先に書く」というのがあるので、promptの冒頭に「Japanese Rock」とか書いたら結果が変わってくるかもしれません
- ★ 曲は最初が肝心ということを学んだので、できるだけ尖ったイントロにしたかったが、なかなか頭に残るフレーズを作るのは難しく、試行錯誤した。その中で反復するシンセフレーズと展開を意識し、少ない音数にすることで得られる期待感があるというのを知れた → 生成条件「日本のオルタナティブ・エレクトロニックを意識した、4つ打ちとアナログシンセ主体の楽曲。15秒以内に印象的なシンセフックへ展開し、都会的でミステリアスな雰囲気にする」という方針で「Japanese alternative electronic with a driving four-on-the-floor pulse, hypnotic sequencers, deep analog synths, shimmering pads, filtered bass, and punchy electronic drums. The song begins immediately with an unforgettable repeating analog synth hook that grabs attention within the first second. The intro rapidly builds toward an explosive hook within 15 seconds while maintaining a sleek, mysterious urban-night atmosphere. Use minimal but powerful layering, subtle glitch textures, dramatic filter sweeps, and brief moments of space to increase tension. The melody should be catchy, iconic, and instantly memorable, centered around one repeating synth phrase. High-end production, stylish, emotional, deep, minimal, hypnotic, electronic」というpromptをぶっ込んだのは立派です
- ★ イントロを強調する指示を入れたことで、イントロで曲の雰囲気がわかるような曲ができました。また現代の音楽っぽくもなったので、いかに現代の音楽がイントロを重視しているかを実感しました → promptに日本語で「トランペットでインパクトのあるイントロにして希望と愛を込めたメロディーの西海岸のレゲェな曲」と与えただけでこんな出来になったとは驚きでした。レゲエは歴史あるので豊富に学習していると思います
- ★ 同じリフが繰り返される中で、新しい楽器が少しずつ重なっていく構成を作ろうとしました。なかなか自分のイメージしていた雰囲気にならず、何度も試行錯誤を重ねたことで、プロンプト指定の重要性を実感しました → prompt「Acoustic Pop, Indie Folk, Bright, Uplifting, Repeating Guitar Riff, Gradual Build, Layered Instrumentation, Summer Vibes, Organic Band Sound, no vocal, Instrumental only」は工夫したと思います。「Repeating Guitar Riff」と「Gradual Build」が効いています。音楽の一つの基本は「繰り返し」なので、sunoも得意です
- ギターソロからの盛り上がりは再現できたが、意図しない歓声が入ることがあり、指示文の工夫が必要だと感じた → 歓声とか合いの手のシャウトとか、sunoは気をきかせて余計なお世話のボイスSEを加えてくることも多いですね
- ★ 思いのほかアニソンのような曲調になりました。イントロだけでもどんな曲か想像がついて面白いです。生成した曲が全て似たような感じで、得意なのかなと思いまし た → あなたの与えたprompt「インパクトのある始まり、エレキギター、力強いドラム、徐々に盛り上がる展開、疾走感、続きが気になる終わり方」というちょっと漠然とした司令に、sunoが困りつつもこれまで多く生成してきたアニソン方面を出力させてきた感じがします
- ★ 今回、sunoにかっこいい曲を作ってもらうためにロックやバンドというワードを入れ、誰もが想像しやすく一番身近にかっこいい曲のイメージがあるのではないかと考え生成してもらいました → あなたの与えた「かっこいい、ロック、バンド、bpmはやい、起承転結」という質素なpromptであれば、どんな曲をsunoが生成してもたぶんあなたは満足すると思います。それでいいのであれば、それで結構です
- ★ Experimentalで印象的なイントロを狙いJazz hopやOld popで協和感を、Polyrhythmic beatsで矛盾や緊張感を加え奥行きのある雰囲気を意識した → 狙い通りに成功しています。prompt「Experimental, Contemporary R&B, Melancholic, Love, Bittersweet, Jazz hop, Old pop, Polyrhythmic beats」は上手い手で、一見ちょっと同居させたら矛盾しそうなジャンルを併記することで何か新しい可能性が出てくる気がします。僕もいま、実験しているところです
- 290BPMほどの速いイントロを目指しましたが、290BPM指定ではイントロらしさが薄れ、145BPMの音数を詰める指定では、想定より遅くなり、プロンプトへの理解をもっと深める必要があると感じました → 290BPMというのは音楽としては無理ゲーなので当然です。これを半分の145BPMにすると、いくら音を詰めようとしても音楽としては普通の快適なポップテンポになってしまいましたね。1082文字、158単語という長大なpromptをいくら突っ込んでも、狙った超絶ハイテンポ音楽にはならなかった、というのは逆に収穫でしょうか。「音楽のテンポ感とビート感」について、深く考察する材料になると思います
- ★ 結果的に自分の好きな雰囲気のかっこいいイントロになったが、指示の中にあるガラスの音やハンドガンの音はなくて少し心残りです。かっこいいの定義が分からなくて高い音がいいのか低い音がいいのか悩みました。また、自分から聞いたらかっこよくても誰かが聞いたら不協和音なのではないかと不安です → かっこいいイントロだと思います。かっこいいとか好き嫌いというのは主観ですので、自分が自分の感性で「かっこいい」と思えば胸を張ってOKです。prompt「Piano, high pitch sound, synthesizer, technology sound, handgun sound, glass sound」ですが、楽器音(ガラスの音やハンドガンの音)を指定してもsunoは反応しない事も多いので、さらにそういう音が出てくるイメージなり状況なりをpromptに加えることが重要です
- 自分の思い通りのイントロを作れて満足しま した → 「かっこいい男性アイドルの曲みたいなイントロ30秒考えて」というpromptを与えてsunoから出てきた音楽に、たぶんどんなものが出てきてもあなたは無条件に満足するのでしょう。それでいいのであればOKです
- ★ 短いイントロでも、楽器の重ね方や盛り上がりによって強い印象を与えられることが分かった。Promptを少し変えるだけで雰囲気が大きく変わり、とても面白かった → あなたは3週連続で、「感想」だけで全くpromptを課題提出の中に書いていませんね(毎回大幅減点)。こんな面白い音楽を生成しているpromptを他の学生と共有したいものです
- ★ 徐々に音が重なっていくイントロをイメージして考えた。間を作りたくて、関連語を入れたら間延びしすぎて盛り上がりに入るまでに30秒以上かかってしまい、結局秒数指定に落ち着いた → sunoは秒数を指定しても音楽生成の勢いを重視して、秒数指定はたいてい無視されます。prompt「cinematic alternative, intro opens in near silence with single instrument tone, sparse and minimal for first 15 seconds, single handclap accent punctuates the silence, one layer added every few seconds, massive sound explosion at exactly 20 seconds as verse kicks in, extreme dynamic contrast, punchy short intro build, everything drops hard into verse」はまずまず成功していると思います
- sunoを使用する際、3-4分ほどの曲がほとんど生成されるため、トリミングをするときにどこで切るかが難しかったです。曲を生成する際は、不協和音、イントロ、30秒のこの3単語を必ず入れて不協和音を中心に30秒程度のイントロを生成してくださいと入力しました。ですが、3分ほどの曲しか生成されませんでした → あなたは第1週・第2週と欠席(課題未提出)して今回初めて提出しましたが、ボーカルが入っていてがっかりしました。第1週・第2週のテキストを全てしっかり読んで理解して下さい。今回の感想の残念なところも、これまでのテキストと長嶋コメントの中で解説されていて、いまさら「不協和音、イントロ、30秒のこの3単語を必ず入れて不協和音を中心に30秒程度のイントロを生成してください」なんて駄目駄目なpromptを与える人はいません
- ★ エイス・オブ・ベイス風のキャッチーなイントロを目指した。「憂鬱」や「ミステリアス」といった人間の感覚を表す言葉を並べたことで、目指したイントロの響きに近づいていき、とても驚いた → これは詳細なprompt「1993 scandinavian eurodance, slow reggae beat, melancholy minor key, muted synth pluck riff, deep bassline, 90s digital reverb, minimalist pop intro, 90s dance pop, euro reggae, mid-tempo 95bpm, dark but catchy synth pizzicato riff, spacious reverb, mysterious but upbeat, short instrumental intro, instrumental only」が成功した例ですね。「euro reggae」というのはなかなか「通」ですね
- ★ 今までの傾向的に始めの方に書いた条件ほど反映されやすいようだったので、イントロに関する条件からプロンプトを書きました。一気に曲の世界観に引き込んでくれるようなイントロを目指して制作しました → これはもう「お見事」としか言えません。素晴らしい。prompt「An intro that symbolizes the song's atmosphere, An intro that builds excitement, 8-bar intro, Upbeat J-pop song, Happy, Hope, Refreshing, Bright piano, Powerful brass, Lively electric guitar, Duration is 3minutes」も成功しています
- 自分はエレキギターを弾いており、長嶋先生の「イントロ」の考察のページでlayraやpurple hazeなどといった有名な曲名を見てプロンプトに入れてみようなどとかなり個人的に楽しく見れました → 今週から合流してくれましたが、あなたの提出したイントロmp3はduration=12秒と短い(これはまぁOK)なのに、mp3ファイルサイズが2.3MBと異常に大きく(普通は1MB未満です)、さらに一般的な「mp3プレーヤ」の中に再生できないものがある、という初めてのケースとなりました。ちょっとmp3の書き出し条件を一般的なものに設定してくれると嬉しいです
- ★ かっこよさを条件として入力することが意外と難しく、かっこいい曲の定義もわからなくなった。かっこいいイントロを作るためには曲の雰囲気や使用する音を具体的にイメージして指示を出すことが重要だと感じた → かっこいいは人それぞれなのでsunoに求めても駄目でしょう。あなたのprompt「シネマティックロック、エレクトロニック、静かなシンセから始まり、徐々に楽器を増やして最後に盛り上がる展開、壮大で緊張感がある」に合致しているという感じでもないです。それよりあなたの曲をここで紹介したのは皆んなに聞いて欲しい気になるポイントがあったからです。この曲の10秒から17秒あたりのサウンドを聞いてみて下さい。何か異常に「余計な音が加わって濁っている」と感じないでしょうか。これこそ、sunoが「音響の連鎖として音楽を生成している証拠」だと思います。DTMの感覚からすれば、この余計な雑音のトラックは想像できないのですが、sunoは何故かこのような音響を生成する事もある、と知りましょう (この問題点に気付く「耳」を鍛えましょう)
- ★ サイバーパンク風の重低音シンセと機械的なビートを意識して制作しました。イントロだけで近未来的な世界観や緊張感を表現する難しさと面白さを感じました → 面白いと思いました。prompt「Cyberpunk, Deep bass & heavy synth, Dark futuristic atmosphere, instrumental only」の中で「Dark futuristic atmosphere」が成功したのでしょう
- ★ 感情や雰囲気を表す言葉を中心にプロンプトを作成したところ、印象的なイントロが生成された。音楽理論用語よりも雰囲気を伝える言葉が効果的だと感じた → その通りです。「続きが聞きたい」イントロになりましたね。prompt「Instrumental, Dark cinematic intro, mysterious atmosphere, slow build, deep percussion, Epic orchestral with powerful drums and dramatic string」が成功しています
- ★ 段々と大きくなる音や重圧感、壮大さがカッコイイ要素になると考え、それを意識した単語を入力した。開幕をイメージし、これから始まるドキドキ感が表現できたと思 う → prompt「Explosive opening, cinematic orchestra, powerful drums, deep bass, intense brass, dramatic strings, massive impact, energetic, major key, instrumental」が成功しています。sunoは「cinematic」と入れるとかなり壮大に盛り上げてくれる気がします
- 不協和音には歴史があり、聖歌から始まっていることを知り聖歌にも少し興味が湧きました。聞いてみようと思います → 聖歌、西洋建築の石の空間に響く宗教音楽は「響き」を重要視しました。日本の音楽は木と紙の空間なので「残響」に乏しいです。次週には響く空間で長嶋が歌った宗教音楽YouTubeも紹介します
- ★ かっこいいイントロを作るということだったので、重厚なギターリフとダークな空気感を軸に、90年代オルタナ風の疾走感を出力できるような早さとダークな雰囲気を意識したプロンプトにしました → ベタにいい感じですね。prompt「短いイントロ、クイックスタート、ヘ ビーギターリフ、ロック、エネルギッシュ、速いテンポ、ダークイントロ、90年代オルタナティブロック」でこれが生成されるとは・・・
- ★ 簡単な例を示すだけで、かなり質の高い曲が作られるのは不思議なことだと思います。将来的には、AIだけで多くの曲が生成される時代が来るのではないかと思います → もうそういう時代になってしまっています。prompt「ナルトのシルエットやsome like hotみたいなイントロが良い曲を作って」というのはちょっと反則です。既存の楽曲を「○○○○みたいに」と指示するのは禁じ手とは言えないにしても、音楽専攻の学生には推奨できません
- ★ 不協和音が継続するよう、短2度・長7度・トライトーンなど協和音へ解決しにくい条件を設定した。聞くと耳がキンキンして聞くに耐えないほど不快で、緊張感や不安感を強く与える音楽になったと思う → これは立派です。たいていはホラーになってしまうのですが、prompt「Experimental dark ambient with continuous dissonance. Use atonal piano, dissonant strings, drone synthesizers and industrial noise. Emphasize minor seconds, major sevenths and tritones. Avoid tonal resolution with unresolved harmony. Slow tempo (60 BPM), irregular rhythm, long sustained notes, constant tension, unsettling psychological horror atmosphere. No consonant chords, no melodic resolution, no vocals」が成功しました。冒頭の「Experimental」が重要なキーワードで、第6週で取り上げる「現代音楽」「実験音楽」へと通じる道です
- ★ 曲全体の印象を左右するイントロだからこそ、最初の数秒がとても大切になってくると学んだ。イントロだけ聴くのと、一曲通して聴くのでは印象が違った → このイントロで成功しているのは、「cinematic intro, powerful opening, dynamic」というあまりにシンプルなpromptで、この指示に対応した音楽生成を膨大に学習しているsunoにとってとても容易だったからでしょう
- 暗めでレトロな雰囲気のかっこいいイントロを作りたかったのですが、思っていたよりもポップで明るい曲になってしまいました → それはまぁ当然で、「レトロゲーム風、古いシンセサイザー、電子音やノイズ音、低めのベース。静かに始まって途中で音色が変わって、ドラムやベースで盛り上がっていくような30秒のイントロ」というpromptでは、どこにも「暗め」の要素がありません
- ★ かっこいいイントロは、スタートした直後から心が湧き上がるような感覚になると思い、ピアノを無しにしてギターやドラムをメインに力強い曲を生成させました。自分の中ではかっこいい曲になったと思い、嬉しいです → prompt「Instrumeunts, intro strongly, Elation, welling up, happy, Wake up, No piano, drum and guitar, Sound of knocking or hitting, drum, drum, Short and instantly exciting」の中で、強く「No piano」と指定した事が成功したようです
- ★ 不協和音っぽい音楽をsunoで作ることは思っていたよりはるかに難しく、不協和音の要素をたくさん含んでも不協している感じがわかりませんでした → このサウンドには不協和音はありません。それより面白いのは、バイオリンのように聞こえるメロディーの音色が、最後のあたりではバイオリンとも離れていく事です。sunoはDTMのようにバイオリン音色のトラックを持っているわけではないので、このメロディー音響は「dissonant」→耳障りな音、というように音響生成しているようです
- 不気味な音は再現できたが、何も考えずにピアノを弾いた時のような耳障りさがなかった。不協和音をメインに鳴らしたいのに曲のように盛り上がりなどがついてしまったのが課題だと感じた。音楽理論と結びつけて考えるのは面白かったです → 「Experimental contemporary music・・・」と与えたのに、綺麗に聞こえるクラシックという感じでした。「Use frequent minor second intervals, tritones, chromatic movement, tone clusters, and unresolved harmony」・「Avoid clear tonal resolution and perfect cadences」という指示はさりげに無視されましたね。音楽用語で指定する事の限界かと思われます
- ★ 生成AIは音楽理論よりも感覚的な言葉が重要だと知り、音楽を構造や聴かれ方から考える視点が身についたと感じ た → promptは「BPM160-180くらいでマイナースケール、音を伸ばさず粒立たせる半音多め、高音域のピアノ早弾き」ということですが、このサウンドは生成された音楽の最初からではなくて途中から切り出していると思われます(形式不備)。このpromptではこの冒頭イントロにはならない気がします
- ★ 不快にさせる、危険な感覚、などの印象や感情の部分だけ入力してもあまり効果的にならなかったが、踏切音、アラームの音など具体的な不協和音を発するものを指定すると少しイメージを汲み取ってくれたように感じた → ちょっと面白いので参考にprompt「evokes a sense of intense discomfort and danger; features two melody lines on different scales; lacks a beat, giving a disjointed impression; frequent instances of feedback, dissonance, railroad crossing sounds, and alarm sounds; no vocals」を紹介しました。sunoは普通は時間的にあれこれ埋めてくるサービス精神に富んでいるので、こういう空白を作るのはけっこう難しいです