情報処理学会チュートリアル・テキスト 新・筋電センサ "MiniBioMuse-II" 長嶋 洋一
コラボレータの生体センシング専門家・照岡正樹さんの協力のもと、
新しい筋電センサ「MiniBioMuse-II」を製作してみました。
まずは基礎編として、
こちらもあわせて
ご覧ください。
照岡さんの協力で製作した、初代のMiniBioMuseは、
こういう
ものでした。中身の解説などについては、
ここら
を参考にして下さい。
ケースの穴あけ、とかの ここらの 話はここでは省略ですが、結果として、 こういうものになりました。 MIDIケーブルと同じ大きさのコネクタが出ていますから、ここから 大きさを推定して下さい(10cm * 6cm * 3cm)。 これは、帯電バンドから筋電パルスをp-pで5Vの差動出力にする フロントエンド回路部分のみですが、この大きさで2チャンネル分 を入れています。
内部回路ですが、1点アースなどのセオリーは省略して(^_^;)、極力、 小さく小さく、空中配線にて作りました。ハンダづけに慣れていない 初心者は真似しないようにしましょう。
この回路部分を製作したところで実験してみると、確かに前回よりも だいぶノイズが減りました。まだハムは少し残っているのですが、 筋肉の神経パルスの動きがより鮮明に出てきたような印象です。 このBoxは、2系統4本の帯電バンドへのケーブルを出したことで、 たとえば胸元のポケットに入れておいて、ピアニストの両腕に 左右それぞれ繋ぐ、という使い方を想定しています。右手と 左手の動きの違いがセンシングできれば面白いと思います。
これ
は、左手と右手それぞれに、手首と数センチ離れた位置にそれぞれ
帯電バンドをはめて、実際に出てくる筋電ノイズをレコーディング
した波形の例です。対応するサウンドは、
これ
ですので、合わせて聞いてみて下さい。
そしてこれ
は、左手と右手のそれぞれから、一方の電極プラグを反対の腕に移した
ものです。対応するサウンドは、
これ
ですので、合わせて聞いてみて下さい。
フロントエンドのBoxからちょっと長めのケーブルで伸ばした マスターBoxは、 こう いう感じになりました。まぁ、いつものスタイルです。 この AKI-H8の基板と006Pの電池から、おおよそのサイズは判ると 思いますが、フロントエンドBoxより一回り、大きなもの です。これまでにもこのケースでいくつかセンサを作っています。 内部はいつもの通りですが、 この 部分は、フロントエンドからそのままアナログ出力として 筋電ノイズを出すルートなので、AKI-H8のディジタル系とは 一応、離しています。 また、 これ が、AKI-H8のA/Dコンバータに分岐して入力している部分 ですが、単に抵抗で中点電圧を作るだけ、という、考えられる もっともシンプルなものです。なんと今回のシステムでは、 OPアンプをただの1個も使っていないのです。(^_^;) ちなみに、AKI-H8の部分の回路図はいつもの通りで、 これ だけです。 フロントエンド回路の出力(コンデンサで直流カットされている) の差動出力の一方をGNDに、そしてもう一方を+5VとGNDとの間に 入れた2本の100KΩで分圧した中点に接続して+2.5Vを 中心としてスイングするようにして、AKI-H8の アナログ入力に接続しているだけです。(^_^) 親子の二つのボックスを並べると、 この ように なりました。まずまず、というところでしょう。使い方と しては、フロントエンドBoxはPerformerの胸ポケット あたりに入れて、マスターBoxはちょっと離れたところに ころがしておく、という想定です。 2チャンネルの筋電センサでオーディオとMIDIが出力される ものとしては、おそらく世界最小・最軽量でしょう。(^_^)
AKI-H8のソースプログラムとしては、
この
ようになりました。ちょっと現物合わせをしています
ので、皆さん自分の製作したハードに合わせて修正して
下さい。(^_^;)
MIDI出力としては、いつものようにチャンネルプレッシャーの 15チャンネルと16チャンネルを使っています。 これは 両腕とも脱力している状態のMIDI出力、 これは 左手だけときどき力を入れた状態のMIDI出力、 これは 右手だけときどき力を入れた状態のMIDI出力、 これは 両手に力を入れた状態のMIDI出力です。
これだけでは、ほとんど筋電そのものと変わりませんが、
あとはMAXのパッチで、どのようにも料理できます。今回は、
このパルスを使って音楽系を私が作曲し、またCGは
中村文隆さんが制作しますので、ここであまり加工せず、
このセンサ出力をそのまま中村さんの方にも送って
しまい、それぞれ独自にパターン認識しつつ料理する(^_^)、
というのもいいかな、と思っています。
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