第7期「虎の穴」学生レポート集2001年10月 長嶋洋一
●手虎 大山真澄 加藤美咲 石野愛子 北嶋めぐみ 林文恵 ●メ四ンパン 高木慶子 竹森由香 田森聖乃 鈴木飛鳥 ●生技の見方 川崎真澄 鈴木紘美 上野佳代 服部江里 樋口啓代 ●アマノミク 渋谷美樹 山内麻里 鈴木亜矢子 松下訓子 東堂のぞみ ●核虎 高野結花 小島瞳 豊原美晴 早川暢子 水谷昌代 大山真澄 加藤美咲 ●音虎 加藤奏子 池谷綾香 本園千佐子 深津佐知子 高野結花
川崎真澄ほんの一年半余り前に始まった第1期「虎の穴」も、今回で7期目。時間が経 つのは本当に早いです。『大学生になったら単位を取得するだけの生活はしたく ない!』と決めていた私にとって、虎の穴は願ってもない出会いでした。周りの メンバーの実力に圧倒されながらも、自分なりのペースを保ちながら活動を続け てきたつもりです。 第7期とは言っても、私の「虎の穴」での活動は、正確には今期で5回目とな ります。ほぼ特定されたメンバー達とのコラボレーション活動が多かった1・ 2・3期、そして前回第4期の時には個人的な制作をしてきましたが、今回はサ ウンドデザイン・現代芸術論履修学生の中から手の挙がったメンバーとの共同制 作ということになりました。「虎の穴」の大幅な規模拡大に戸惑いつつも、メデ ィアアートフェスティバルという、作品発表をするには非常に貴重な機会を逃し まいと、私も早速インスタチーム参加に手を挙げました。結局集まったメンバー はほとんどが技術造形のメンバーで、チーム分けの結果、生産造形の学生1人と 技術造形の学生4人合せて5人による制作となりました。また私は、ただ漠然と 新たな作品に打ち込むだけでなく、4回に渡る虎の穴での活動で得たこと・学ん だことを生かしつつ制作していきたいという思いがあったので、今回はチームの 代表に立たせてもらいました。 私たち「生技の見方」インスタチームは、最終的に“箱”という一つのテーマ にたどり着いたわけですが、アイディア段階では様々な考えが錯綜し、一人一人 の作品に対するイメージが十人十色という状態でした。果たして「5人で一つの 作品」が本当にできるのだろうかと、チームの代表として初っ端から不安に駆ら れました。このような体験は、虎の穴に参加して以来初めて遭遇したことだった ので、5回目の活動ながらも非常に新鮮な思いでした。五つの箱をテーマとした 私たちは、普段の生活のなかで感じる“幸せ”を、その限られた空間の中に閉じ 込めて表現しようというコンセプトを立て、他のチームにだいぶ遅れをとった 中、ようやく制作作業に移りました。 五つの箱の中にはそれぞれ、お菓子・笑い声・万華鏡・映像・暗闇を中心課題 とした作品に仕上げました。箱の中間辺りに網を敷き、大量のお菓子を入れて下 から電球でライトアップすることによって、強烈な見た目と刺激的な香りを味わ ってもらうことをねらいとしたものが一つ目の箱。穴に接着させたガラスのコッ プに耳をあてると、大勢の笑い声が聞こえてきて、それにつられて聞いている人 にも笑ってもらうことをねらいとした二つ目の箱。手作りの万華鏡は、片方から 一人が覗く方法と、二人で両側から覗くことにで、奇妙な目の大群が見える不 思議な三つ目の箱。他学部・他学科の学生に協力してもらって、普段自分が感じ る幸せの発言集ビデオを箱の中に固定し、それを覗いた人にも幸せを感じ取って もらうことをねらいとした四つ目の箱。そして最後に、覗こうとすると箱の中の 明かりが消えてしまい、見ようと思っても簡単には見れない五つ目の箱。これら が私たちの作品の内容です。 フォトショップやイラストレーターなどで作品をつくることの多かったこれま でに比べて、今期はデジタルな作業よりも自分たちで箱を作ったり、はんだ付 け・コイル巻きをしたりと、技術造形学科という名前にふさわしいアナログ作業 が中心でした。クリック一つで様々な色が瞬時にのせられ、気軽に保存しておく ことができるデジタル処理に対して、ネジ一つしめるにも一人の力では難しく、 作品の保管だけでも苦労の絶えないアナログ作業は、チーム全員の協力なしには できません。しかし、けがをしたり疲労感を味わった時、チームのみんなで真剣 に制作していた時肌で感じ取った、“正に今、制作している”という気持ちは、 デジタル作業の時とはまた違った興奮でした。だからといって、デジタル作業が よくないのではなく、デジタルの便利さ・手作業を知る大切さなど、今まで分か らなかった様々なことが見えてきて、デジタル・アナログそれぞれに魅力がある ことを知り、授業では学べないことを教えてくれる、虎の穴の魅力も改めて痛感 しました。 当日は、思った以上に人が講堂を訪れてくれました。しゃがみこんで箱を覗 き、時折聞こえてくる歓喜の声や驚きの声、万華鏡を知らない人同士がたまたま 両側から覗き込んで、相手の目にびっくりしている姿はねらい通りであり、作品 の成功を実感する瞬間でした。ただ、知らないうちに笑い声の再生が止まってし まい、ただの箱だけになっていたり、耳をあてるはずのコップを必死に覗いてい る人など、思い通りにいかないことも多々ありました。話すことのできない作品 から、作者のメッセージを伝えるのは非常に難しいことです。この失敗は、今回 の作品においての不十分だったところや欠点を発見し、反省するよい材料になっ たと思います。 私にとってはインスタ参加募集からインパクトのあった第7期「虎の穴」。い つもとは何か違うと感じつつこの活動を終えたわけですが、やはり今回は、作品 制作によって得たこと、展示によって反省したことなど、非常に多岐に渡る吸収 がありました。前回第4期「虎の穴」での反省点だった、「計画性のある制作日 数と活動」を、私は今期のインスタで一つの目標として活動し、それなりの満足 を得ることができました。しかし一方で、「どれだけ多くの人々に作品の意図や メッセージを伝えられるか」という新たな反省点が出てきたのも事実です。今後 の作品制作において、これまで成功してきたことは十分に生かし、失敗・反省し たことは次の大きな目標として、常に内容の濃い活動を展開していこうと思いま す。
大山真澄核虎と創虎ということで、「二足のわらじをはいたが為に大変なことになった」とい うのがフェスティバルを終えての一番の感想です。そのため、インスタレーションは 満足のいく作品に仕上がらなかった事を後悔しています。 核虎については、大きな収穫となった事は間違いありません。作品の創作出典ばか りだった虎の穴の活動で唯一の運営の仕事であり、なにより「人の為に動く」という 私には経験の薄かった仕事であったからです。フェスティバル自体の把握だけでなく、 参加する方々、他のメンバーの動きにまで気をまわす必要があり、体力面での疲労よ りも精神面での疲労感が大きく、しかし大変な充実感がありました。 当日は核虎に専念し、手虎の他のメンバーに作品を押し付ける形になってしまい、 申し訳なく思っています。また核虎としての不手際も目立ち、多くの方に迷惑をおか けした事も確かで、満足な仕事ぶりとはというてい言えない結果になってしまいまし た。しかし、この経験は確実に私の物になっており、それが竹虎でも充分生かされた と思っています。 しかしやはり後悔が残るのは手虎です。始めに計画した作品にさえ到達しなかった 事、充分な時間を避けなかった事は大変残念です。この作品に関しては十分改良する 点がありますので、今回で終わらせる事無く制作を続けていきたいと考えています。
深津佐知子今回の虎に関わったのは、どのようなことするのか興味があったからです。 メディアアートフェスティバルの参加もそのためです。ただ一つ言うとした ら、不安があった。私は、別に機械に詳しいわけでもない。音楽も元々あまり 聴かないし、歌うことも全くと言って良いほど歌うとう事が無いのです。では 何故興味を惹かれたのか。多分今まで私の思っていた音楽の概念を吹き飛ばし てくれるような勢いだったからではないかと思います。唯一、管楽器には興味 があって、それを生の音で聴けると言う楽しみと、それがコンピューターミュ ージックとして行ったらどのような世界になるのか?そして、本番のリハでの 演奏者たちの意気込み等を見たっかたからです。リハも本番さながらで、どれ も凄いものです。笙や琴の良かったのですが、一番興味を惹かれたのは岡本久 さんの演奏でした。テルミンの音とは違うけれども、手や足の位置・振り加減 でこんなにも楽しく魅せる演奏があるのだな。と関心してしまいました。 話は変わるのですが、メディアアートも始める際の音響・スタジオをきれいに (?)魅せるのは大変なのだと実感しました。普段何気なくしか見ていない物 も、試行錯誤していると思うと驚きです。あまり詳しくはやりませんでしたが、 微妙な音の調節をしている先生を見たときは本当に凄いの一言です。 最後に、最終的には音楽の楽しさ機械に興味をもてました。 大学の講義や、 将来に役立つかは定かではないですが、貴重な体験をさせて頂いた夏だと思い、 レポートを終わらせて頂きます。
樋口啓代今回の、メディアアートフェスティバルは私にとっては、初めての経験がたくさ んあって多くのことを学べたよい経験をしたと思っています。大勢で一つの作品 を制作することそして制作した作品を展示して、見られる、評価される立場に あったということです。また今回は、他の人の様々な作品を見ることもでき、イ ンスタレーション作品だけでなく映像作品、CG作品などの同じ立場の人たちの 活躍も多く見れて楽しかったです。 私たち生技の味方は5人チームで、幸せの○というだいで5つの箱を作ってそれ ぞれに私たちが考える幸せの形を表現しました。はじめは、5人それぞれの意見 が食い違ったり、意見がですぎて、またそれをみんながみんな受け入れたために 意見を絞り込めずにいました。しかし、ようやく5人の考えがまとまって1つの コンセプトに向かって作品制作にとりかかることができました。5つの箱の中は 私たちくらいの同世代の女のこが”幸せ”という言葉から想像できるものをやろ うと決めました。1つめの箱の中身は、私たちのような女の子なら誰でも大好き なお菓子をテーマにし、箱を除くと本物のお菓子が下からの電球でライトアップ されて、目にも鮮やかなお菓子とその甘いにおいを体感できるようにし、目にも 鼻にも幸せさを訴えかけるような箱を作ることができたと思います。2つめの箱 の中身は笑い声をテーマにして見ました。私たちの笑い声を録音して長嶋先生に 編集してもらい、その声が箱の中からかすかに聞こえるようにし、それをDVD プレイヤーでエンドレスに流すようにしました。また、隣の壁から聞こえる話し 声を聞くのに、よくコップをお耳に当てて聞くシチュエーションからそのどきど き間を表現するために、箱の穴の上にコップを接着して、そのコップに耳を当て てお客さんに聞いてもらうようにしました。3つめの箱は、万華鏡です。小さな ころなんのへんてつもない筒を除くと、そこには色のきれいな模様の世界が広が っていて感動したのを覚えています。そこで、箱に合わせた大きなサイズの万華 鏡を作製してあえて中身は何も入れずその筒を覗き合ったり、人がそこを通過す ると中の模様が変化するといった、その時々に一度限りしか表現できない形を作 ろうと考えました。万華鏡は見た目に見合わず構造が大変簡単でそれにもかかわ らず複雑な模様の表現をいくつも無限に創り出すことができ、またそこに、ちょ っとした景色がきれいだとか、朝起きた時の空気が美味しいだとかほんの少しの ところでも目を向ければ幸せなことが日常にはありふれていて、特別幸せとは日 常から遠いものではないと感じました。4つめの箱は、映像作品です。私達と同 世代の人たちが”幸せだと感じる瞬間”をメッセージとして残してもらいそれを 編集してエンドレスにその映像を流しました。5詰めの箱は唯一センサを使った もので、人体感知センサが付いており、遠くでは何か見えるけれど、見ようとす ると見れないというもどかしさ、また見ないほうがいい幸せ、見たくても見えな いというものを表現しました。 それぞれの箱の中には、いろいろな考えで私達が感じる幸せの形を表現しまし た。この箱を覗いた人たちが私達の”幸せ”ということについての表現の形に気 付いてくれたかどうかは分かりません。しかし、私達の作品を見て、自分達の幸 せについて何か少しでも感じたり、考えたりするところがあったら嬉しいと思い ました。
上野佳代私は、今回の第七期「虎の穴」で初めてインスタに参加しました。インスタレ ーションの意味も良く分からないままに、とりあえず面白そうだから参加してみ よう!と思い参加したわけですが、初めての経験ということもあり、わからない ことだらけでかなり苦労しました。しかし、そのおかげで、いろいろと勉強にな り、いい経験ができたと思っています。 メディアアートフェスティバルにおいて、私が参加した「生技の見方」では、 五つの箱を使ったインスタレーションを制作しました。タイトルは『幸せの○』 です。これは、○(覗き穴)のあいた箱を、講堂の入り口に五つ配置し、中を覗い たお客さんに、私たちが「幸せ」と思うものを見てもらおう、というものです。 それと同時に、お客さんも幸せな気持ちになり、そこに幸せな空間ができれば、 と思っていました。 箱の構想・制作にあたり、苦労した点は本当にもう多々ありました。講堂とい う場所を生かすようなインスタにするにはどうしたらよいか、コンセプトはどう するか、など、最初の話し合いの段階で苦戦し、なかなか先が見えなかったので すが、メンバー全員の、早く「作りたい」「制作がしたい」という一心で毎日話 し合いをした結果、制作にこぎつけることができました。 一つ目の箱のテーマは「お菓子」です。お菓子を一杯に入れて下からライトで 照らし、上から覗けるようにしました。本物のお菓子を入れたため、見た目もそ のまま、においもそのままで、思わず手を伸ばして食べてしまいたくなるよう な、そんな箱にしました。 二つ目の箱のテーマは「笑い声」です。「生技の見方」メンバーの笑い声を録 音し、編集したCDを、箱の中で再生しました。覗き穴にはガラスのコップを取 り付けて、そこに耳をあてると、中の笑い声が響いて聞こえるようにしました。 三つ目の箱のテーマは「万華鏡」です。箱の両端に穴をあけ、そこに筒状の万 華鏡を通しました。両端から覗けるようにしてあります。両端から覗いて写った 目を見てびっくりしている人が多くいました。 四つ目の箱のテーマは「小さな幸せ」です。中にパソコンを入れ、エンドレス で流れている映像を覗いてもらう、というものです。「小さな幸せ」を感じるの はどういう時かを皆にきいて、答えてもらった映像や、私たちが考える小さな幸 せを文字にした映像を流しました。 五つ目の箱のテーマは、「見えない幸せ」です。これはセンサーを使うことに より、覗こうと近づくと中が見えなくなり、遠ざかると見えるような仕組みにし ました。当初は穴を覗こうとすると、シャッターが下りるような仕組みを考えて いたのですが、時間的なこともあり、実現できませんでした。その代わりに、電 球を使い、近づくと暗くなって、中の文字が見えなくなるような仕組みにしまし た。これにより、見えない幸せ、見えなくてもいい幸せ、見えないほうがいい幸 せというのもあるんだ、ということを表現しました。 インスタレーションに参加したことにより、数々の失敗や、試行錯誤がありま したが、全部含めて、自分の中ではかなりのプラスになったと思います。共同作 業の難しさ、楽しさなど、貴重な経験ができました。 そして私たちのインスタによって、幸せを共感してくれた人がいれば嬉しく思 います。
加藤奏子今回、私は音響スタッフという全く足を踏み入れたことのない領域に無謀にも踏 み込んでしまいました。頭初は「虎のメンバーに入ればきっとCGのやり方を教 えてもらえるに違いない。」という浅はかな下心をときめかせつつ長嶋研究室の ドアを叩いたわけですが、どうも話を聞いている内に、今回の音虎は私が期待し ていたような内容の仕事はしないという事が分かってきました。正直「なあん だ。」という残念な気持ちも少々沸きつつ、それと同時に日本の伝統的な楽器と 最新のコンピューターとを組み合わせて奏でるという音楽にも非常に興味をそそ られ、今回の参加を改めて決意しました。 私は機械に疎く、しかも物覚えも悪くて更に動きがトロイという正に三拍子そろ った人間なので、スタッフとしてちゃんとやっていけるのかという所が非常に不 安でした。実際今振り返ってみても、本当に役に立っていたのだろうかと疑問が 残る今日このごろです。しかし、今回音虎として働かさせてもらったことによっ て、音楽に対しての視野が一気に広がり、また、音とグラフィックを非常に近い 関係として見る事ができるようになりました。 また、このコンサート全体を通して、プロの方々の演奏にも非常に感動させてい ただいたのですが、その中でも特に印象に残っていることがあります。それはリ ハーサルの最中に、能管を担当されていた一噌幸弘さんが突然、持っていたペッ トボトルを使って演奏をし始めたことです。しかもちゃんと譜面通りに吹いてい るので周りにいた私達素人軍団は非常におったまげた訳ですが、後でそのことを 思い返してみた時、はっとしたことがありました。私は今まで、「この楽器はこ う弾かなければいけない。」「あの楽器は古風な感じで、この楽器は若々しい感 じ。」など、全く無意識の内に音楽に対して様々な境界線を引いていたような気 がしました。しかし、「音を鳴らすことを楽しむ」という事、「楽器と呼ばれて いないものでも、美しい音を奏でればそれは楽器になる」という事。そんな当り 前のような事を、一噌さんとペットボトルの爽健美茶に教えられたような気がし ました。 二ヶ月以上経った今でも、つい最近の事のようにこのコンサートの事を思い出せ るのは、それだけ自分の中でも貴重な経験と出会いをしたと実感しているからだ と思います。これからもこのようなイベントがあれば、またあまり役には立てな いかもしれませんが、ぜひスタッフとしてお手伝いできたらと思っています。本 当にお疲れ様でした。
池谷綾香今回、音虎スタッフとして、メディアアートフェスティバルに参加することが でき、大変良い経験をすることができたと思っています。 私が、この第7期「虎の穴」に参加してみようと思ったきっかけは、「学校に 来て、ただみんなと同じように授業を受けるだけじゃもったいない!せっかく大 学に入ることができたんだから、授業以外にも、もっと色々なことにチャレンジ してみよう!!」という単純な好奇心からでした。やってみようと決心はしたも のの、コンピュータミュージックというものを、見るのも聞くのも初めで、その 上、コンサートで使われるような機材に対しても、全く無知識だったので、最初 は、本当に私に音虎スタッフが務まるのかとても不安でした。実際、私がどれだ け、スタッフとして役立ったかは分かりませんが・・・。しかし、リハーサル、 そして本番、すべてが無事に終了した時は、何とも言えない感動が心の中に残り ました。 8/4・5と2日間で12作品のコンピュータミュージックを見てきて、コン ピュータミュージックというものは、私が今まで見てきた音楽とは全く違った新 しい音楽でした。楽器とコンピュータの融合、楽器とCGの融合、コンピュータだ けを使ってなされる音楽・・・、見るものすべてが新鮮で、驚きの連続でした。 そんな中で、私が特に惹かれたのは、CGの映象が盛り込まれていたステージで す。私はCGをやりたくてこの大学に来たので、CG作品が盛り込まれたステー ジには特に見入ってしまいました。次第に、いつか私もこのようなCG作品を作っ てみたいという意欲がわいてきました。 また、私がコンピュータにふれるようになったのは、今年の春、大学に入学し てからだったのでまだまだ全然コンピュータにというものについて分かっていま せん。そんな中見た今回のコンサートは、コンピュータがふんだんに使われてい て、私にとっては、とても遠い未来のライブコンサートを見ているようでした。 今の世の中は、もうこんなことまでできてしまうんだなあとしみじみ感じてしま いましたました。 今回は、スタッフとしてこのコンサートをみてきたわけですが、この経験によ って、今、コンピュータミュージックにすごい惹かれている私がいます。この機 会がなければ、コンピュータミュージックについて全く知らずに終わってしまっ ていたかもしれません。CGと音楽の融合・・・などの新しい発見があったり と、本当に充実した「虎の穴」でした。私が、これからCGを勉強していく上 で、多大なる影響力を及ぼしてくれたことは間違いありません。またこのような 機会があったら、「虎の穴」に参加できれば・・と思っています。次回は是非、 制作で!!
小島瞳コア虎としてメディアアートフェスティバルに参加して、パンフレットの製作、 プログラム決めや、時にはネームプレート作りのような事務作業まで、さまざま な経験ができた。今、思い出すと大変なことも多かったが、自分としてはとても 充実したものだったたと思う。インスタレーション作家の人たちとも知り合えて 楽しかった。他の作家に対する評価や意見も聞けた。出品されたインスタレーシ ョン作品を見ていて同じインスタレーションとは言っても、さまざまな形態・タ イプがあるのだと思った。個人的にはあの幽風箱が好きだった。あの地味っぷり というか、何となく寂しい感じがとても気に入っていた。SUAC学生が出展し た作品も他の作家陣の中に置いても見劣りしていなかったと思う。特にメ四パン の蜂の造形には感動した。蜂を見ていてシステム等も大切、けれど造形も大切な のだと感じた。 今回のメディアアートフェスティバルで一番思ったのは、人を使うということの 難しさということ。他人に頼むより自分でやってしまうほうが、作業は大変でも 自分の意図したとおりになるから・・・と指示をしなければならない立場であっ たにもかかわらず、作業に集中してしまいとても反省した。自分の立場を理解し て動くことが、大切なのだと実感した。
山内麻里インスタレーション制作は初めての事でかなり大変だったが、あの階段に釣り下 げられて動いた時は感動した。造形、電子回路ともに学ばねば出来ない製作で、 さらに芸術的感性も必要とされてくるので、アイディアの発想は大変困難なもの だった。私たちはあくまでもデザイン学部。造形美表現は怠れない。だから最終 的には、見ていても作っていても触っていても楽しい”モノ”にこだわった。初 めはあの階段の中間にぶら下げるなど夢のような話でなかなか実感がわかなかっ たけれど、メンバーの惜しみない活躍によってそれは実現へと近づいていった。 展示前日などには学校で深夜まで製作を続け、最後にはスタッフや友人達の力に も支えられ、”ショッキング”は無事(?)ぶら下げられ、形となる。”MAX” など、音や映像の分野まで手が回らず、先生の手をお借りしたことについては非 常に感謝している。 このイベントによって得たものは非常に多いと思っている。チームワークが乱れ たり、自分の無力さを思い知ったりなど苦々しい状態の時もあったけれど、人と 人が関わりあって完成したものの存在はとても大きい。この作品に関わることで 非常に貴重な体験をしたと思っている。また、製作のために手を動かすことによ り、造形の楽しさを思い出した。自分の手で、デザインしたものを形にすること はすごく楽しい。これから自分が何をするべきか考えさせられた気がした。
東堂のぞみ私は天野未久のメンバーの一員として、第七回虎の穴に参加した。今回の“ト ラ”は八月の頭に開催されたメディアアートフェスティバルに、作家として作品 を出品するというものだったが、それまでインスタレーション作品とはどんなも のかもよく解っていなかったし、それぞれに方向性の違うものを目指していた五 人でできたチームだけに、数ヵ月後、どんなものが出来上がっているのか想像も つかなかった。 私達の作品制作は展示の場所取りから始まったといっても良いと思う。その場の 思いつきと、SUACの学生であるが故のわがままで、通常のギャラリー前の広々と したスペースを使えることになったのである。ただ、その場所は図書館へと続く階 段の下でもあり、吉とでるか凶とでるか少しの不安もあった。そこで、私達はど うせならこの場所を活かしたものを作ろうと、空間から作品のカタチを考え出し た。 製作の過程では、意見がまとまらず投げやりになったり、みんなで音採りの名目 のもとごはんを食べたり、お金の心配なく(?)買出しに行ったり、はんだ付けを してうれしくなってみたり、ほんとうにいろいろなことが経験できたと思う。私 個人としていろいろな発見とか反省もあり、苦い部分も含めて、共同制作ならで はの味を存分にあじわえた。 出来上がった作品は、「shocking」というタイトルで、頭上から垂れ下がったコ ードを引っ張ると、食べ物に関する音と共に、スクリーンに映し出された、食べ 物に関する画像が変わっていく、というものだった。私達の誰もが大好きな“食 べること”“食”をテーマににしたのである。仕組みとしては、“引っ張り“を 感知するためにスイッチを使い、MAXで音と画像のコンとロールをするだけのシ ンプルなものだったのだけれども、(と言えるのは、センサー部分の制作に先生 の影の努力があったからだと思われるが。)それにもかかわらず、お客さんの “手応え”はかなり良いほうであったのではないかと思い込んでいる。 そういえば私は今回一応チームのリーダーということになっていた。さらに思 い返してみると、同時進行で八虎にも参加していたのである。どちらもたいした ことをしたわけではないが、根性なしの私としてはとりあえず自分を誉めてあげ てもいいかも、と思う。
水谷昌代デザイン学部でも芸術文化学科でもない私が、メディアアートフェスティバルにコ アスタッフとして参加しようと思った理由は次の2点です。 まず、大学で1年間過ごしてみて、「あまりデザイン学部の学生や先生のことを知 らないなぁ」と感じていたためです。こんなに小さい大学ながら、ものを創り出すデ ザイン学部とその作品を受け入れる地域や社会の勉強をしている文化政策学部の2学 部がある意味を考えたとき、両学部が協力し合ってイベントを体験する絶好の機会で はないか?と思ったからです。もう1点は、メディアアートとはどんなものなのか、 そしてその作品を制作し発表しようと集ってくる作家さんたちとはどんな人なのか、 興味があったためです。 実際に長嶋研究室でのミーティングが始まってみると、既にフェスティバルの内 容、構成など骨格は先生の頭の中で完成していました。コアスタッフはそれを現実の 形にするために、詳細をつめ、作業をこなし、当日の運営全般を担いました。 この催しの特徴は、1週間の間に、コンサート、ギャラリー、シアターそして音楽 情報科学研究会のシンポジウムなどが次々に行われることです。そのために、全体で 100人近くの学生スタッフが必要となり、その手配と運営にかなりの労力がさかれま した。これだけ大規模で複雑な催しを成功させるために長嶋先生の使った戦略は、非 常に合理的な方法でした。まずコアスタッフという全体を見る組織をつくり、さらに 各小イベントごとの専門スタッフを配置するという2段階の組織づくりです。実行委 員会のような組織づくりは、自分にとって非常に興味深くよい勉強になりました。特 に、ウェブとメールを使った連絡とスタッフごとのスケジュール用紙作成というデジ タル・アナログを組み合わせた人の動かし方は、私を思わずうならせるものでした。 私は都合によりライブコンサートのあった2日間しか参加していません。おそらく 一番大変だったと思われる準備、片付けが行えなかったことは大変申し訳ないと思っ ています。また、私は作家としての創作や、舞台の照明、音響などの技術的な参加は していませんが、インスタギャラリーの受け付けをしながら、出品した作家さんたち と話す時間が持てたことに大変満足しています。SUACチームの出品作を見て、荒削り ながら開学2年目の作品とは思えない出来映えに驚きました。最後に、春からずっと コアメンバーの皆と一緒に長嶋研究室で時間を過ごせたことは、私にとって何よりの 成果だったと思います。どうもありがとうございます。
豊原美晴私にとって何かをやり遂げることは、いつも自分を考え直すことに繋がっていると 思う。今回の核虎も例外ではなく、例によって例の如く落ち込んだり調子に乗った り、色々とやらかしていた。いつも気付くのは自分の不甲斐無さであったり、方向性 であったりするのだけれど、それに加えてこのイベントでは自分以外の人々のやり方 みたいなものにも気付けたように思う。いい悪いは別として、物事をやる方法はひと つではないことや、人それぞれの考えとそれに沿った手段があることを、共に活動し た沢山の人たちから学べた気がする。 普段はサークルで音響や照明を、アマチュア劇団でも技術スタッフをやっている。 バイトでプロのいる現場に入ることもあるが、そういう時周りにいるのは、ある程度 以上の専門知識を持った人々で、困ったことがあれば助けて貰えるという環境にあ る。ほとんど素人でしかない自分が先頭に立つことはなかったといっていい。しかし 今回はそういうわけにもいかず、プロの手も借りずにやるということで、かなりの不 安があった。コンサートのスタッフといってもPAは苦手だし、人手も足りない。そ ういう技術的な面を抜きにして、制作や運営を考えてみても、イベントをひとつ行う には、ステージマネージャーとしての私も、他の音響や照明、ステージスタッフの学 生もあまりに未熟すぎると思った。私の在籍する芸術文化学科はアートマネージメン トを学んでいるといっても、所詮は理論が中心であり、現場を知る機会は滅多にな い。本当に出来るのか、自信はほとんどなかった。やらなくては終わらないのだから という、半ば逃げ腰の状態だった。 それでもなんとか終えることが出来たのは、コンサートに参加した各作家の方々 や、一緒にスタッフで来ていた学生の人々、一生懸命だったスタッフのおかげだと思 う。訳もわからず、行き当たりばったりともいえる状況の中で、本当に色々な人に助 けられたし、そのことを通じて、普段講義では絶対に分からないことにも気付くこと が出来た。自分がどの程度のものであるのか見極めるきっかけにであった。それに、 決して今現在も状況に甘んじていてはいけないのだという戒めにもなった。通常の講 義でなく、こういったイベントに参加する機会を与えてくれた長嶋先生や、力を貸し てくれた人には、今とても感謝している。加えて、コンサートに出演した作家の方々 からは、メディアアートというものへの先入観を無くすほどの刺激的な作品を体験さ せていただくことが出来、本当に嬉しいと思う。 私はこれからも、こういったイベントに関わる仕事を続けていきたい。いくつもの 経験を重ねて、その先になにかしらの到達点があるとすれば、このコンサートは確実 にそのうちのひとつの段階を越えるためのものであったのではないだろうか。技術面 は勿論、様々な立場の人や、色々な考えを持った人、そしてその作品に出合うことが 出来たという意味でも、今回のイベントはとても有意義であったと思う。
鈴木亜矢子インスタレーションという言葉を聞くことはあっても、インスタレーションと はどういうものかすら初めは知りませんでした。初めのころ、インスタレーショ ンの作品を調べることに時間を費やしていました。どうやら、客が触れてもいい 芸術作品らしいことがわかり、どうやったらお客さんを楽しませることができる のか。という課題ができました。最初の案の到底実現ができないようなテーマパ ークのアトラクションのような考えから、実現可能な現在の「ひもを引っ張ると 音と映像が変わる」という案に落ち着きました。案は出たもののそれをどのよう に実現すればよいのかさっぱり見当もつかずメカニックな部分は長嶋先生に指導 をしてもらい、造形的な問題点は佐藤先生に助言をいただきました。 制作の上で、順序立てができずなかなか制作は進みませんでした。まず、どの ような材料を仕入れてよいのかすらわからず、全員集まってもただ集まって終わ りという日が続き、日が迫っていても緊迫感のない状況でした。どうにか進めよ うとまず材料だけ買いに出掛け思い付く限りの材料を仕入れました。材料を買っ たことで自分たちのビジョンが見え始め制作も順調に進みましたが、ひとつ問題 点が生じました。ひもを引っ張ってスイッチを入れるのですがスイッチが小さす ぎて強く引っ張ると壊れる危険性があるのです。スイッチの壊れない構造が必要 となりました。グループで考えてもだれもいい案が思い付かず、佐藤先生の助け を得てようやくスイッチ部分が完成したのです。 いちおう完成し、ひもを引っ張ると音と映像が出ましたが、私は満足してませ ん。作る過程で四苦八苦し、自分たちの個性を入れるまでには至らなかったから です。インスタレーションは観客が触れる芸術表現です。私たちの作ったものは まだ、インスタレーションと呼べません。今度、作る機械があったら今回の反省 を生かしもっと芸術度の高い作品を作りたいです。
松下訓子今回、私は、虎の穴に初めて参加した。サウンドデザインの講義で、 長嶋先生から、メディアアートフェスティバルについての説明を聞いた時か ら、参加しようと決めていた。コンピュータ嫌いで、超アナログ人間な私だが、 (なぜ技術造形に在籍しているかも不明)この企画には、興味をそそられた。 それがなぜか、というと、「インスタレーション」という企画だったからだ。 作品を作って、それをお客さん(来場者)に実際に触れてもらい、体験して もらう。楽しんでもらう。そんな作品は絶対、制作して楽しいに決まってい る、と思ったからである。 実際、メンバーを決めるときも、日頃からクラス全体で仲良くしている技術 造形学科、どの友達とチームを組んでも仲良くできるかどうか、という不安は なかった。 チームメンバーが決まって、実際何を作るか、と相談し合ったが、私たちの チーム「アマノミク」は、みんなが遠慮なしにどんどん意見を出し合って、 たくさんの案が出、みんな楽しくなって、盛り上がり、あっという間に一つの 作品へ、みんなの意識が集中した。それが、天井からたくさんのロープをつる し、それを来場者が引っ張ると、スクリーンに映像が出て、同時に音が出る、 というものだった。作品のテーマを決める時も、5人で盛り上がって、あっ という間に、「食」(食べること)に決まった。「食」という意見を出した のが私だったので、私はチームで物事を決める時に、自分の意見が通る、と いう嬉しさを学んだ気がする。そして、その他にもたくさんの意見が随時出 て、私たちのチームは、スランプにはまることなく、いつも何が一番いいか、に ついて悩んでいた気がする。こうしたチーム内のいい雰囲気は、5人に自分の 意見を遠慮なくどんどん言うこと、他人の意見に耳を傾け考慮すること、全体 のバランスを考えて調和をとること、総合すると、「積極性・協調性」を磨い てくれたと思う。 実際制作に入ると、時間だけがどんどん過ぎて、焦る日々が続いた。何を していても、インスタのことが気にかかる。MAXを使った音の操作プログラ ム、みんなが「食」に関して撮ってきた画像を実際にコンピュータに取り込ん で処理する、その行程は、長嶋先生に頼らざるを得なくて、自分たちだけでは、 何も進まなくて、イライラした日もあった。日頃、コンピュータアレルギーの 私だが、考えが変わった気がする。それでも少しづつ、毎日作品が変化してい く、その流れに、なんとも言えない喜びを感じた。手作りで、作品を作る感覚 と同じだった。コンピュータを使った作品も、やっぱりモノ作りなんだなあ、 と嬉しかった。 前日の設置の日、「アマノミク」の「ショッキング〜食王〜」は、図書館の 階段の踊り場からつるすのに、困難を極めて、みんな切れ気味だった。なんと か設置し終わって、実際に自分たちの作品で遊んでみると、愛着がわいている からか、とても楽しいインスタレーションに思えた。 無事にフェスティバルが終わって、私はインスタチームに参加してよかった と改めて思った。作品を作るという喜び、制作途中の緊迫した雰囲気、チーム ワークの大切さ、一つのことを成し遂げた達成感、そしてコンピュータを使用 した作品だって作るとこんなにおもしろいという驚き、(しつこいようだが私 はコンピュータが苦手)、とにかくいろいろ学べた。貴重な体験でした。先 生、ありがとうございました!
林 文恵つぶじろうである。 今回メディアアートフェスティバルで私が参加した作品の名前だ。 私は最初、メディアアートフェスティバルに参加するに当たって 全く別のインスタ作品を考えていた。 それは、電話機を使ったもので、適当にボタンを押してコールした後 受話器に話し掛けると、適当なタイムラグを置いてから、取り込んだ声に コールしたボタンに対応した変成をかけて返し、自分の声の即席異言語(?) が聞こえる「自分と対話できる電話」みたいなものだった。 しかし、機器の製作からプログラムまでやるとなると大層な作業量である。 同時に行われるCG・動画の展示の方へも出展する予定でいた上、 ましてMAX/MSPの勉強からとなると一人ではとても時間が足りないということで 見送ろうかと思っていた。 そのような時、手虎(実際にはその当時まだ名前はなかったが)がインスタ で参加するらしいという話を聞きつけた。 その時点では、テーマは『人間の暖かみ』で、『触る』という感触を 大事にしたものにしたい、ということ以外はあまり決まっていなかった。 そこで自分の考えていたことを話してみたところ、答える、声を変えて出すとい うアイデアが面白いということで、これを取り入れてもらい現在のつぶじろうの原 形に近づいた。 最終的には手のような造形物を触り、話し掛けると、モニター上の顔や スピーカからの音で反応を返す、という形に定まった。 手は「生き物のような感触」「自在に曲げられる」という二点を重視して 素材はシリコンを使うことに決まった。 発声はスピーカを予定していたが、声を取り込んで使うとなると ハウリングを起こす危険があるため、参加者がそれぞれにイヤホンをはめる という形になった。 手への接触はi-cubeに曲げセンサと圧感センサを取り付けて検知し、MIDIで macへ送り、制御はMAXで行い、声の変成などはMSPを使うことを予定していた。 制作は、以前のように講義時間が合わないため、それぞれ分担して行うことになった。 大山が制御、加藤が音を担当し、残りの私と北嶋・石野で材料の手配と、手間のかかる 造形物の作成などの物理的な制作を担当することになった。また、スピーカから イヤホンでの出力に変更になった為、分配アンプが必要になり、その制作も担当する ことになった。 手の造形については、まず粘土で原型を作った。 表面を滑らかに仕上げられるプラスティック粘土を使用しようとしたが 熱しながら加工しなければならず器材がないため、油土を使用し、 当初は左右両方の手を配置する計画だったため、私が右手を、北嶋と石野が左手 を作成した。 次に型取りである。シリコンについての知識がないため扱いには 生産造形の野中先生及び実習指導の奈木先生に教えを請い多大なご助力を頂いた。 型を割るとき割りやすいよう油土の原形に金切板を刺し、周囲をスチレンボードで 囲って箱状にし粘土で目張りして硬化剤を入れたシリコンを流し込み型を取った。 しかしこの時目張りがかなり甘かったらしく、左手の方は型からシリコンが流れ 出してしまった為、後にシリコンを買い足したものの結局は予算が足りなくなって 左手は作ることができなくなってしまった。 型のシリコン硬化後は、ナイフを使って型を割り、油土を取り出し、洗浄後 離型剤を縫って型を戻し、再度シリコンを流し込む。硬化したら完成である。 右手だけになったが、こちらは上手く成形でき、奈木先生にお褒めを頂いた。 分配アンプの方は、アンプの回路を6つ作りそれぞれに出力をつけ、入力を 分配してそれを箱に入れるだけなのだが、はっきり行ってひどい出来だった。 これは私と北嶋が製作を行ったのだが、二人ともハンダ付が兎も角下手糞で泣け た。知識がないこともあってリテイクも何度か。しかしとりあえず音は出た。 顔についてはMAX制御でモニターに絵を出すのだが、これもなぜか大山の書いた 原形をもとに私が動画パターンの部品を書くことになった。 鼻がない淡白な顔だった為描くのは楽なので、部品サイズをそろえ2値のPICTで 20枚ほど描いて用意した。 しかし後にリクエストで変わり種が欲しいといわれ、最初これまでのサイズに入 りきらない 物は出来ないと断ったのだが、画面をクリアして書き換えればよいということで 結局これも描くことになった。 これはやはり後々裏目に出て、サイズの違うこの変わり種の絵がヌケて 他のパターンの下に見えてしまうということになってしまった。 さらに、制御と音を担当していた大山・加藤がメインスタッフを兼任していた為 やはり思うように進まなかったらしく、詳しい事情は分からないが、時間が足り なかったらしくMSPを使っての声の取り込み・変成・出力の部分は全て取り止め になってしまった。 結果として、かなり完成度が低くまた元々スケールの小さいものだけにスケール ダウンしてかなり情けない作品になってしまった。私としては新しく学んだ技術も 多く、色々な制作に手を出すことが出来てよかったとは思うのだが、結果としては 相当悔いの残る作品となってしまったのも事実である。 今回は改めてインスタと共同作業の難しさを思い知らされたような気がする。
服部江里今回初めて虎の穴に参加した。今回のインスタでは本当に様々な事を学ぶことが できた。まずインスタレーションといった芸術表現に出会えたことが私にとって かなり大きかったと思う。「インスタレーション」という言葉は、どこかでなん となく聞いた事があるなぁ…ぐらいで、それがなんなのか全く知らなかった。私 が所属していたインスタチーム「生技の見方」のメンバーもほとんど私と同じ状 態だった。インスタってなんだろう?から私たちはいろいろ試行錯誤し、完成し たのが『幸せの○』。私たちが日常生活で感じ取った小さな幸せを形にした作品 だ。展示場所が他のインスタチームとは異なり、講堂のホールということで、展 示時間も当日行われるコンサートの待ち時間を狙った短い時間だった。しかし、 あえて私たちはその待ち時間にコンサートに訪れるお客さんが少しでも幸せな気 分になってもらえるような作品を制作することにしたのだ。展示された作品をみ てくれた方々の笑顔を見たとき、今回の虎の穴に参加して本当によかったと思っ た。みんなの考えがバラバラになり煮詰まってしまいなかなか進まない状態がか なり続いたこともあった。しかし、それがあったから今回の作品ができたんだな ぁと思うと、チームで何かを制作する難しさを学べたのだと思えるようになっ た。 私は、「生技の見方」で本当にたくさんのことを学んだ。一つのことをみんなで 本気で考え、物事を追求すること、もの作りの難しさ、チームで制作することの 難しさなど、私にとってプラスになることがとても多かった。また、ものを造る っておもしろいと改めて実感した。今回みんなで制作し、経験したことは必ず次 に繋がると思う。
鈴木飛鳥今回のメディアアートフェスティバルでは、メ四パンの一員として初めて「イ ンスタレーション」を制作しました。昨年12月のインターカレッジコンサート で、初めて「インスタレーション」を見て以来、いつか、できるなら作ってみた いと思っていたことが実現できました。 インスタレーションを作ろうと決めたときには、すでにあまり時間が無く、と ても焦りました。それなのに「メ四パン」というチーム名を決めるだけで、皆で 徹夜をしてしまいました。その後、何度か皆でアイデアを持ち寄って話し合いを して、最終的に「ハチ」でいくことになりました。最初に考えていた全体の様子 は、実際に出来上がったものよりかなり大きくて、ハチが上から見下ろしてくる という予定だったのですが(ハチも50〜100匹くらい作ろうとしていました…) 制作時間も限られている上に、土台の木がとても大きくなって重くなってしまい 移動が大変になりそうだったので今の大きさになりました。ハチも最初は一つず つ、ウレタンなどを削って作るつもりだったのですが、発泡ウレタンのことを教 えてもらったのでシリコンで型を取って発泡ウレタンで大量生産することになり ました。発泡ウレタンはなかなかうまく発泡してくれず苦労しましたがいろいろ 試して、そろそろ使えるハチできてくれないと困る時期になってやっとでき始め て何とか間に合わせることができました。中のセンサーのはんだ付けは最初は間 違えたら潰れると聞いてハラハラしましたが、少し慣れてからは楽しんでできま した。あと、モーターは3回も変えました。最終的に使うことになったモーター を取り付けてからハチやハチの巣をなど、モーターに重量がかかるものをすべて 乗せて接着や調整が終わり、スイッチをONにできる状態になったのは展示の初日 だったのですが、無事に動いてくれてよかったです。 今回、インスタレーションを制作してみて、インスタレーションがどんなもの なのかやっと分かった気がしました。今回はいろいろな先生方に協力してもらっ てやっと完成できましたが、これからはなるべく自力でインスタレーションを作 れたらと思います。
高野結花私は、今回のメディアアートフェスティバルで、中心となる核虎、コンサート の音響スタッフの音虎として参加しました。その中で得たこと、また反省したこ とはたくさんありました。 私はいままで、ものを作ることはいろいろとやってきましたが、企画側にまわる 事はほぼ初めてで、とまどいもありました。でも、やってやるぞーと強く思って いたことは確かなのですが、実際のところ、良い経験ができたにしろ、不完全燃 焼で終わってしまったことも事実です。なぜか、どうしてか。きっと私がちっぽ けな人間だったからです。許容力がなくて、受け入れる体制ができていなかった のです。スタッフは全体の流れを見なければなりません。作家さんのこと、そし て一般のスタッフのことまで考えていかにスムーズにフェスティバルを実行でき るか考え、見極めなければなりません。しかし、私は自分のことで精一杯な部分 もあって、受け入れる体制が充分にできていませんでした。 フェスティバル中、毎朝インスタレーションギャラリーの照明を決められた場 所だけ付けるのですが、どこの照明を付けたらいいのか毎朝のように分からず に、いちいち確認しながら付けていました。その時作家さんに「みんながわかり やすいように、どこの照明のスイッチを押したらいいのか書いといたら?」と言 われてしまいました。本来スタッフなら、しかも中心となる核の私なら、作家さ んのやりやすい環境を整えたり、一般スタッフが作業しやすい環境を整えること はあたりまえのことです。このフェスティバルを通して、そしてフェスティバル 後今日10月31日までの間に、やっと本当に気付くことができました。良かっ たことも悪かったこともいろいろとありましたが、このことに気付くことができ て、本当によかったと思います。きっと今度、そういう立場に立った時、また、 立っていなかったとしても、きっと人のことも考えて行動することができると思 います。 そして今回、ポスター、プログラムのデザインも、私のものを選んでいただい てとてもうれしいです。でも、納得していない部分もまだまだあるので、これか らもっといいものを作っていきたいと思います。常に前進、そして進化。
渋谷美樹私は今回、アマノミクとしてメディアアートフェスティバルにインスタレーション 作家として参加しました。インスタはアナログでいく!!という事で集まったメンバー だけに、実に楽しい感じの作品に仕上がったと思います。 アマノミくの話合いはすぐに決まったのですが具体的な大きさが決まらず、やきも きしていた時に展示する場所の事を考えて展示場所の確認に行った結果、図書館から エントランスに降りていく階段の踊場からインスタを吊るそう!!という事にまとまり ました。かなり大胆な場所を、”早いもん勝ち”という言葉を聞いて早急に確保し、 ほっとしたところで製作に入っていきました。 製作の段階では、引っ張るひもを取り付ける木材の形、その木材の取り付け方、吊 るし方の度に相談しに足止めをしましたが、何より足止めをしたのが、メンバーの都 合が合わなかった事でした。アマノミクのインスタは、大掛かりなので1人では製作 が出来ないからでした。私も、絵本製作の課題があって、締め切りの近い絵本の方を 優先していたので製作が進まないのも当然でした。当日に間に合わないと思った事も ありました。とはいえ、買出しで大量の材料を購入してもらったし、自らインスタを やると決めた以上、やらなければなりません。なので、メディアアートフェスティバ ルの前日の製作のスピードは凄いものでした。 メディアアートフェスティバル1日目の午前中も作りつづけ、完成はしたものの最 後の難関は作ったインスタを吊るす事でした。展示をしている(手のあいている)人 たちを集め、悪戦苦闘しながらも何とか吊るし終えて、やっと完成!!下から見ると、 かなりの迫力でした。しかし上から見ると、コードがもじゃもじゃしていてちょっと 見苦しかったと思います。他のインスタ作家さんのアドバイスをもらい、このインス タもまだまだ改良できる事がわかり、インスタレーションの奥深さを知りました。自 分たちが気にしていたところをズバッといわれた時には、さすがにへこみましたが。 なにはともあれ、無事にメディアアートフェスティバルが終われてよかったです。 コンサートにも行ったし。私たちは今回外見のみ製作し、インスタを動かすプログラ ムは先生に全てお任せだったので全てを作ったとは言い切れませんが、初めて自分た ちで考え、製作していくことをやり遂げたのでかなり満足しています。今年の夏は、 いろいろ大変でしたが、メディアアートフェスティバルに参加してよかったと思いま した。
高木慶子私はこれまで2虎や3虎に参加してきたが、その時はCG制作やパフォーマーとしての 参加だったので、作家として一から作品をつくる虎の穴は初めてだった。今回のチーム は今までの虎をいくつか一緒に経験してきたメンバーで、お互いに慣れていたこともあり、 とてもやりやすかった。メンバーが4人いたこととリーダーが好きなメロンパンをかけて、 チーム名は「メ四ンパン」となった。これに一晩費やした。 作品をつくるにあたって、まず決まったことは「何か造ろう」ということだった。これは 悩みもせず、全員の一致だった。以前にインターカレッジに行ってインスタレーションを 見たりもしたが、私たちには難しいプログラムを考えることもできないし、中身のすごさ よりもとりあえず外見で面白くしたいと思った。 最初の話し合いで決めたコンセプトは「若さ爆発」だった。インターカレッジで見てきた 作品の数々は皆つくり慣れていて、大人っぽさを感じたけれど、私たちは「いかにも」と 思わせていいから、勢いある作品をつくりたかった。最終的な「ハチがこっちを向く」と いう内容に至るまで、とても時間がかかった。そのころ技術造形の授業で動物のおもちゃ をつくっていたこともあり、「何か生き物を造るか」という案がでた。始めのうちは造り たい動物の名前が出てくるだけで、きりがなかった。しかし一匹(一頭?)だけ造るより も数多くいる方がインパクトがあるだろうということで、色々あがっている中で集団で 造れそうなものに絞られた。その中にはハチ以外にも鳩や蚊や亀など、たくさんの小動物 が残っていたが、ハチはハチの巣つきで、集団で人間を上から見下ろし、その目には見て いる人間の姿が映っているという設定がついて、ようやくハチに決まった。ここまでは 本当に長かった。お互い譲れないものが結構あり、相当にもめた。 コンセプトは「ハチが集団でこっちを見下ろす」だったので、背が高い人のことも考えて 見下ろすためには「高さは180センチくらいで、数は100匹ほしいね」と言っていた。 今考えれば、無茶な話だったのがよくわかる。さらにハチたちはそれぞれが違う動きで こっちを見てくると決めたのだが、それも厳しかった。ハチを造るのにも、高梨先生や 佐藤先生に何度も相談を持ち掛け、私たちが全く知らない素材を教えてもらった。まず、 ハチの下の円盤に負担をなるべくかけないように、ハチを軽くするための材料として ウレタンフォームを買った。ハチの巣は、始め何もないところから造る気満々だったが、 高梨先生からハニカムを紹介してもらったので、インターネットで売ってくれる会社を 探して買った。その時は全員自腹覚悟だったが、長嶋先生がお金をだしてくれてとても 助かった。(その節はありがとうございました。)ほかにもハチの羽には塩ビ板にシルク スクリーンで羽脈を印刷したり、プラスチックウッドでハチの頭、胸、腹を削って、 シリコンで型取りをし、ウレタンフォームを入れた、などこれまでやったことのないこと にたくさん挑戦した。ウレタンフォームには、一番悩まされた。なかなか思い通りの形に 固まってくれず、失敗作がいっぱいできた。しかも、一度ついたらとれないという性質を 持つそれのおかげで私のTシャツは一枚駄目になった。ハチの目にふさわしい素材も なかなか見つからず、手芸屋を何件もまわった。一時はハート型の目をしたハチにさえ なりそうだった。100匹から21匹に絞られたハチが完成したのはフェスティバル直前 のことだった。 始めは苦手だったはんだ付けも、一人二個のノルマをやっている間にちょっと楽しく なってきていた。赤外線センサーとしてちゃんと動いたときは感動だった。もっと感動 したのは、センサーに人が反応して実際にモーターが回ったときだ。やっと何となく作品 が見えてきた感じだった。そこにビデオからとったハチの羽音が、スピーカーから流れて きたのを聴いて嬉しかったのを覚えている。作品を置いていた場では音が小さすぎて、 きっと観にきてくれた来てくれた人は気づかなかっただろうということが残念だ。 結果的にはその時では勢いっぱいだった造形も反省すべきことばかりである。結局ハチの 重さに耐えられず、時間が経つにつれ、モーターに誤差が生まれ、ハチはあらぬ方向へ向く ようになってしまった。ハチの目に映った自分の姿に気づいた人は果たしているのだろうか。 一匹お茶目なハチがいたことも。回り方もとてもぎこちなく、私たちの狙ったインパクトは とても弱々しいものになっていた。しかし、実際に造ってみたことによって、想像の世界 だけではわからないことが色々わかったと思う。知らないものにも出会えたし、触れられた し、フェスティバルのほかの作品に対しても見方が変わったような気がする。結果はとも かく、とりあえず自分たちのやりたいことに挑戦できたことはとてもプラスになったと思う。 モノづくりの楽しさを改めて実感した。それをメディアアートフェスティバルという場に出し、 色んな人に観てもらうことができて、とても良かったと思う。
田森聖乃今まで何回か「虎の穴」に参加してきたけれど、この「メディアアートフェス ティバル」への参加は、私にとって一番いろいろなことが学べ、意味のあるもの になりました。やはり見るだけではわからないことが、実際に自分でやってみる とわかってくるのだと思います。今思えば、「メディアアートフェスティバル」 への参加も、なんとなくインスタレーションというものがやってみたいというも のでした。はじめはインスタレーションとはどういうものかなど、さっぱりわか っていませんでした。そんな状態からの作品制作は、困難だらけだったけれど、 完璧ではないにしても完成させることができて本当によかったと思います。グル ープで1つの作品をちゃんとした形で作ることも初めてのことで、グループであ ることでの大変さや、よかった点があり、それもいい経験になりました。 私たち「メ四ンパン」の作品である「ハチ」については、制作はすごくがんば ったけれど、完成した作品は私的には、当然かもしれないけれど、まだまだだと 思ったし思い通りにはできていませんでした。みんなはどうかはわからないけれ ど、出来上がった作品は手作りなかんじがすごくでていて、それがねらいであれ ばよかったのだけど、私的にはもっと本物らしくし、洗練された感じにしたかっ たです。もっと、そのあたりをこだわれれば、もっと良い作品が出来ていたよう に思います。出来上がった「ハチ」は、確かに迫力はあったけれど私の考えてい たねらいとは違っていて、そのへんがちょっと残念でした。これからの課題にし ていきたいと思います。 今回の「メディアアートフェスティバル」では、私たち以外のインスタレーシ ョン作品を多く見れたこともいい勉強になりました。特に私が好きだったのは成 安造形大学の作品と、オルゴールの作品でした。どちらの作品も具体的に何処が 良いとは言い表しづらいけれど、なんだか不思議な感じがして、メディアアート というと技術や表現のしかたのすごさがどうしても目立っているように私は感じ てしまうけれど、そうではなく、技術などより先に作品の表現しようとしている ことが伝わってくるかんじがしました。そして、温かみののようなものを感じれ るところがすごくステキだと思いました。私が、次にインスタレーションで表現 したいことは、まさにそういうものです。あまりコンピュータという存在を感じ させなくて、もっと人に何かを感じさせることが出来る作品をインスタレーショ ンという形で表現してみたいと今は思っています。 今回、「メディアアートフェスティバル」でインスタレーション作品を出品し たことでたくさんの収穫ができたけれど、なかでも一番の収穫は、何よりもイン スタレーションという一つの表現方法を身を持って知ることができたことです。 私は何よりも色々なことを吸収したくて、今まで虎の穴のいろいろなことに参加 してきました。今回もいろいろなことが吸収でき、これからの作品にもきっとい きてくるだろうし、いかしていきたいと思います。
北嶋めぐみ今回の作品は、「つぶじろう」。 「つぶじろう」は仕組みの分かりやすい作品だった。机の上に一つのモニター が置いてあり、モニターの前には一つの「手」が置いてある。「手」は柔らかく 、指を曲げる事ができる。その手を握る事によってセンサーが反応し、モニター に映っている「顔」に変化し音が出る、というものだ。私が取り組んだのは、そ のセンサーとなる「手」の部分と、分配アンプ作りだった。 「手」を作るのには、シリコンを使った。まず粘土で手の形を作り、それをシ リコンで型をとり、その型にシリコンを流しこんで作成した。最初の案では二本 の「手」を使った作品にしようとしていたため、粘土では左右の手を作った。し かしシリコンで型をとる時、囲いを丈夫なものにしていなかったためにシリコン が流出し、失敗してしまった。予算の関係もあり、結局「手」は一つだけになっ てしまった。 次に行った分配アンプ作りでは、分配アンプの製作キットを購入し、ハンダ付 けをして作った。しかし、慣れていないためかハンダ付けが上手くいかず、一度 回路をつなげ直しをした。 この作品は、まとまった時間が取れなかった上に、メンバーの内二人がコアス タッフだったため、ゴチャゴチャしたままの出展になってしまった。作品につい ても満足の行かない点が多い。しかし新たに得た知識も多いため、反省点も含め てこれからの作品に活かしていきたい。 今回のメディアアートフェスティバルは、多くの作品と出会う良い機会になっ た。それは、他校の作品だけに言える事ではない。今までは学校内では、作品を 発表する機会が少なかった。そのため、今までの同じものを学習してきた同学科 の人たちがどのような作品を作るか、とても興味があった。 「つぶじろう」は後悔の残る作品になってしまったが、様々な作品に出会えた 事は、これからの作品作りにおいて、良い刺激になったと思う。
石野愛子第7期虎の穴参加者と言っても、たまに顔を見せては何となく手伝って帰っていく ような存在だった私でしたが、一応インスタレーションに参加をしたということ で・・・技術面では大して役に立てなかったという後悔がかなり残っています。 自分の力の足りなさに不甲斐なさを感じました。協力すると言いつつ、殆ど協力 など出来ていなかった点が、今回最大の反省点です。 同じ「手虎」内の他メンバーの頑張り、他チームさんの作品の優秀さは、虎の穴に 参加させていただく度思うのですが素晴らしいと思います。専門技術に長けた人達は、 やることが違うものだ・・・と本当に思いました。 感想ばかり述べていてもきりが無いので、手虎について少し述べてみます。センサー とパソコンの画面を連動させるのは、考えとしては基本的な部分に入るのでしょうか。 その基本的な考えに、どう個性を出すかが大事です。手虎では、画面に出る表情を あえて簡単な、可愛らしいものにして、一部にパっと見て笑えるような顔を入れた のが個性と言えるでしょうか。特徴的な面をどんなものにするか、人が見て面白いと 思えるような作品をどう作るか、それらを考える・過程は大事です。その過程を 楽しみつつ、一つの作品を完成まで漕ぎつける事ができ、大満足とまではいかない ものの無事終了させる事ができたことが、今回の最大の収穫と言えると思います。 参加したこと、参加できたことに意義があると思って、今回の体験をこれからの糧 にできるようにしたいです。
加藤美咲第7期は、メディアアートフェスティバルというイベントに向けて、作家チームと運 営スタッフという二面から挑戦することになった。 作家チーム、手虎では、大山とともに名乗りをあげ、林、北嶋、石野らと製作してい くことになったわけだが、大山・林・北嶋とは第1期からの付き合いということもあ り、新しい作品を作るという新鮮味がなかったのが残念なことだ。「以前一緒に何か を製作した」という記憶は連帯感を高めることは出来るが、今回は外的要素が少な かったせいで馴れ合いや意見の偏りが出てしまい、グループワークという感覚が薄れ てしまった。 作業内容については、シリコンを使って「手」を作る製作班と、プログラミングをす る班に分けて作業の能率化を量ったのだが、これもあまり成功したとはいえない。作 業時間・場所の確保にしろ、製作日程にしろ、円滑といいがたい部分も多く、無駄が あったように思う。グループ製作を高校の部活動のように進めていくのも楽しいが、 もう少し組織的に計画立ててやっていきたい。作業効率の悪さというのは虎を終える たびに毎回思うが、これは単に行動予定表を立てるということでは解決できない。個 人の意識や製作に対する意欲が全員で共通できないというのが問題である。その原因 として決定的なのは、私たち全員に共通する、グループワークそのものに対する不慣 れさだが、今回のように馴れ合って真剣に取り組めないというのも要因の一つだ。 しかし、満足とはいかないながらも、自分達の手で一から作品を作り上げたというの は嬉しいことだ。実際の作業では時間がなくて省いたり諦めたりしたところもある が、展示できるくらい完成までこぎつけたのはちょっとした自信になった。むろん周 りのインスタレーション作品を見るとまだまだな部分はたくさんあるが、改善したい ところや次に挑戦したいことなど幾つか出来た。 運営スタッフ、核虎では、今までになかった経験が出来た。これまではイベントとい うと外部から参加するものであり、その場所へ行けばすでにステージが組み立てられ ているのが当然だった。今回はその場を自分達で作り上げるのだ。以前からマネジメ ントには興味があったので、これはいい機会だと思った。 スケジュールの組み立てやプログラムの製作、当日の段取りなど、先生の頭の中では すべて組み上がっている情報だったが、理解できなくて混乱した部分もあった。あれ がこなせないと主催者にはなれないというのなら、世のイベントは運営側の大変な労 力の上に成り立っているのだと思う。 イベント当日は個別のタイムスケジュールに従って進行する。すべての情報が把握で きていたわけではなかったのでこれは大変重宝した。しかし同時に人の上に立って指 示をすることの難しさも身に染みた。学生は上から何かを言われて行動を起こすこと が多い。大学に入る前の大部分の学生はそうだったと思う。このイベントでその立場 にあったのは、私達核虎の下についていた大勢の一般スタッフである。私は彼らに指 示をする立場だった。しかし指示をするためには頭の中に明確な筋書きを持っていな ければならないし、効率的に人を動かすことを考えなければならない。ギャラリーで 各インスタレーションを組み上げるとき、そして一般スタッフを受付に割り振ると き、私がそのように動けた記憶はまったくない。指示を与える側がしっかりしてない と場が散漫になってしまうのも当たり前で、慣れてないなぁと痛烈に感じたのだっ た。 私は下宿が大学に近いこともあって、持ち場のギャラリーの鍵あけを担当した。展示 の時間帯は受付の係に任せて他へ行っていたので詳しくは知らないが、イベント全体 の中でインスタレーションに示される興味はいかほどだろう。恐らく中日などはほと んど客の入らない時もあったに違いない。にもかかわらず、毎朝私の鍵あけを待って セッティングをする作家さん達を見ていると、なんだか切なくなってくるが、インス タの展示はこんなものなのだそうだ。 インスタレーションの作家さんには色々なことを教えてもらった。設置から撤収まで ほぼ毎日のように詰めているので、なんだか同じスタッフのような連帯感が生まれ、 作品に関することだけでなく、イベントの進行に関してのアドバイスなど、ひよっこ スタッフの私達に実践的な知識を授けてくれた。 また、作家さん達だけでなく、普段交流のない他学部の学生と共同作業できたことも いい経験になったと思う。特に学科が違うと、同じ学校に通いながら顔すら合わさな いといったありさまなので、どんな人がいるか今回のイベントでよく分かった。 こういったイベントのマネジメントなどは、芸術文化学科のほうで授業に取り上げら れる題材だろうが、作家として参加することの多いデザイン化の学生と組んで何かを することは想像以上に有意義だった。座学では決して分からない生の経験ができた要 に思う。是非これからも授業の一環としてこのようなイベントがあって欲しいもの だ。
(事務連絡 : レポートを出した人にはドイツのお土産があるので1106に来て下さい)
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