成安造形大学コラボレーション・プロジェクト

アーティストのための汎用センサ自作応援講座

2001年1月 長嶋洋一


第11話

もう残っているのは、あとわずかです。まず、 第1話 で紹介した中の、秋月電子の この、 磁気センサを製作してみることにしました。
ところが、いざキットを開けてみると、なんと このように、 基板がパターンとして出来ていない、普通のユニバーサル基板でした。 ということは、部品を付けて、「参考パターン図」のように、自分で 配線しなければなりません(^_^;)。
仕方ないので、とりあえず このように 部品を付けていきます。ハンダ面は このように なっているだけですので、あとで自分で配線するわけです。 これは、ちょっと初心者には厳しいキットだと思いますので、 製作するには覚悟して下さい。

レンジとして2Vフルスケールとなるように選ぶと、抵抗が2本余って、 このように なります。ハンダ面は このように なりますが、基板がパターンとして出来ていればもうオシマイ なのですが、このキットではここから配線です(^_^;)。
一見するとだいぶ違うようですが(^_^;)、 このように なりました。回路として等価であればいいのです。

そして、006P電池とテスターとをつないで このように 実験してみたのですが、ここで、驚くべき事実に直面しました。 身近な磁力源として、ホワイトボードの磁石を近づけたところ、 いくら至近にしても100mVがいいところ、たいていは数mVとか 10-20mVというものだったのです(^_^;)。
これは、ちゃんとボルトのオーダにするには、相当に強力な 磁石が必要となりますが、そんなものを実験室に持ち込むと、 フロッピとかスピーカとか、磁化されたくないものに悪影響が ありそうです。 いろいろ悩んだのですが、結局、このセンサはお蔵入り、という ことに決断しました。こういう事もあります。(^_^;)


磁気センサの失敗にちょっとヘコんでいたところに、郵便屋さんが来ました。 ふーみんが新京極で仕入れたという、ニンテンドウ64専用の「バイオセンサー」 というものが届きました。 こういうものです。
SEGAならぬ「SETA」というのが、いかにも怪しくていいですね(^_^)。

この構造から、このセンサはクリップの片側は反射板で、もう片側に LEDと、フォトダイオードかフォトトランジスタがある、というものと 推定できます。耳たぶを挟むことで、LEDからの光は耳たぶの血管の血流量 によって通過する光量が変化する、というものです。
そこで、せっかくなので、このセンサを使って、「心拍センサ」の 製作にチャレンジすることにしました。技術的な情報がまったくない 未知のセンサをモノにできるかどうか、という世界ですが、参考にして みて下さい。

このクリップに行っているケーブルは、シールド付きの2芯です。シールドは GNDで共通ですから、1本が発光側の電源供給用、そしてもう1本が受光側の 信号ラインということになります。
そこで、まぁ黒いシールド線はGNDだろうと決めて(実際に基板のパターン からGNDと判ります)、あとは適当な抵抗を経由して電源を2本の線につなげば どちらかでLEDが光るだろう、と思ったのですが、甘かったです(^_^;)。

どちらでも光らないのです。そこで、もしかして、とビデオカメラを覗いて みると、白い芯線の方でLEDが光っているのが見えました。つまりこれは、 赤外線LEDだったわけです。おそらくニンテンドウ64ではずっと点灯させず にダイナミックだと思うのですが、スタティックでもいいので、ここは 220Ωを経由した+5Vで点灯、ということにしました。

そして、あれこれと試行錯誤の末に、 この 回路ということで、無事に心拍をアナログ電圧に変換する回路を 作ることができました(^_^)。
電源を入れて、クリップを耳たぶに挟んでから十数秒して、うりうりと心拍に 同期した信号が出てくると、なかなか嬉しくなりました。

システムの外観は、 この よう ものになりました。これでまた一つ、センサ軍団が増えました。