・この作品は、本シンポジウムにおける講演内容の具体的実例として発表するために新しく企画・作曲した。
・作品形態としては、パフォーマンスを伴ったインタラクティブ・メディアアート作品であり、センサを装着したパフォーマーのダンスにより音楽と映像が駆動される。DTM(打ち込み音楽)のようにあらかじめ固定的に確定した演奏情報を「再生」するのでなく、アルゴリズム作曲の手法で構築したシステムがリアルタイムに音楽情報を生成していく。原理的に同一な演奏は二度とない、一期一会の公演である。
・製作は、作曲・プロデュースの長嶋と、静岡文化芸術大学学生によるコラボレーションであり、以下のプロセスでプロジェクトを進めた。まず最初に、作品コンセプトを統一する意味で、数十冊の詩集から共同で選んだ詩から3つを選び、これを作曲とCG制作とパフォーマンスの共通イメージとして共有した。9名の学生によるCG制作は、「一人5枚の連続したCG画像を制作。最後の1枚を次の人に渡し、次の人はこれをスタートの素材として5枚のCGを制作」という「連画」の手法によって、最終的に45枚のCG画像を創作した。これと並行して長嶋はKymaの音響信号処理/生成アルゴリズム、自然環境音を中心とした音響素材の制作とシステム構築を進め、試作サウンドCDをPerformerに渡してイメージ共有を図った。サウンド系の素材、CG画像が揃ったところで、共同でMax上に実現する全体構成アルゴリズム(パッチ)を修正改訂して作品構成作業を進めた。
・システムは、作曲の一部として長嶋の製作したオリジナルマシン(★印)を含めて、以下のように構成した。Performerの6箇所の関節の曲げをセンシングするMIBURI-sensor★、この情報を受けてシステム全体を制御するMac内のMAXパッチ、その出力を分配するMIDIスルーBox★とMIDIフィルタ★、CGを切り替えるMac内のリアルタイム画像処理ソフトImage/ine、リアルタイム音響信号処理システムKyma、GM音源SC-55、MIDI制御ビデオスイッチャ★、PAとプロジェクタ。
・先入観を強制しないために、ここでイメージコンセプトを記述することは避けるので、タイトルと後掲の「選んだ3つの詩」を自由に参照されたい。なお、CG画像もWebにて
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