DVから記録したDVDの「音ずれ」を考える
- コトの発端 (MACS/hmacsにポストした内容) 2003.12.22
SUACの長嶋です。
「情報処理学会音楽情報科学研究会(SIGMUS)・インターカレッジコンピュータ音楽コンサート(IC2003)・メディアアートフェスティバル 2003」においでの皆さん、お世話になりました。無事に終了し、本日どたばたと撤収を終えました。いろいろありましたが、まぁホッとしています。
さて、そのMAF2003ですが、最大の失敗というか問題点となった事について、MACSの皆さんの情報をいただき、お知恵を拝借したいのです。おそらく関係する人もある有効なネタ振りだと思いますので、コメントをお願いします。
今回のMAFの最終日に僕が慌てて印刷配付したものが このプリントです。
研究会の場でも何人かの情報をいただき、「MacOSXはUnixなのでバックグラウンドで走るプロセスの割込みでこうなる。他のプロセスを全てkillしないといけない」「iDVDが駄目だ」「パソコンでは駄目だ。家電のDVDレコーダでは?」「Mac OSX10.3ではどうかなぁ」など、色々です。(^_^;)
もちろん僕が上記作業をしている時に、他のアプリは起動していなかったのですが、わざわざkillというのはしていませんでした。また10.3にしたのは上記作業後だったので、まだ検証していません。だいたい、
(1)DVからFinalCutにキャプチャする時にずれる
(2)FinalCutからQTムービーに保存する時にずれる
(3)iDVDでムービーからDVD化する時にずれる
のどれであるのかも不明で、とても気持ち悪いのです。
最近では教材のために、過去に持っていたHi-8とかの映像をばんばんDVD化していたので、これも実はずれているのか・・・(^_^;)とか、とても不安です。
どうぞ皆さん、関連情報、バグ情報(iMovie3.0はたしか駄目ですよね)、そしてきちんとずれないでDVから上記のような作業でDVD化するためのテクなどを教えていただければ幸いです。これはMACS/hmacs関係者であればけっこう、有益ではないかと思い、お尋ねする次第です。
以上、よろしくお願いいたします。- Webで見つけた情報(1) 2003.12.22 (一部抜粋) オリジナルはこちら
●iDVDで発生する音ずれを修正する
iMovieとiDVDを使ってDVDビデオを作成すると、作成したビデオの末尾の方で映像と音声が合っていない(音ズレ)現象が出ることがあります。ビデオの長さが長いほど、現象は発生しやすくなります。
どの時点で音ズレが発生するか調べたところ、iMovie上ではズレていないが、iMovieから書き出した「iDVD用QuickTimeムービー」で音ズレが発生していることが解りました。つまり、iDVD用QuickTimeムービーを修正してやれば良いことになります。
(以下略)- Webで見つけた情報(2) 2003.12.22 (一部抜粋) オリジナルはこちら
●iMovie3 音ズレ バグ報告
絵と音がずれるのは音のサンプリングレートの問題で、12ビット32KHzという設定のムービーでは音がズレることが解っています。アップルのウェブにも「16bit/48KHzで作成してください」と記されています。ところが、16bit/48KHzで保存したムービー素材をiMovie3に取り込むと、自動的に16bit/32KHzに変換されてしまうのです。これが音ズレの原因です。iMovie3では、読み込む、あるいはドラッグして取り込んだムービーを最適なDV形式に変換してプロジェクトフォルダ内に保存しますが、この動作にバグがあり、ちっとも最適な変換をしていないということになります。
音のズレは長時間ムービーで特に顕著です。短いムービーだと気づきにくいので、問題が起こっていても気づかない人もいるかもしれません。また、iMovieがプロジェクトフォルダ内に自動作成するQuickTimeムービーを再生しても音のズレはありません。DVDに焼くか、あるいはmp4形式に書き出す場合にのみ、音のズレが発現するのです。
(以下略)- 小林さんのコメント (MACS-MLより抜粋) 2003.12.23
小林です
この件はなかなかにリプライを書くのもタフな内容ですが、がんばって書いてみます。
Final Cut Proの公式なサポート情報というと こちらになりますが、この中で今回の件に関係しそうな内容といえば こちらになるでしょうか。しかし、恐らくそのものズバリの情報は無いのではないかと思いますが…。
「他のアプリをkill」とか「reniceでプロセスの優先度を…」という話はよく聞きますが、私自身としては「それなりにちゃんとできたプリエンプティブなカーネルなんだから、基本的にはそうしたことは必要ない」と思います。
しかし、Final Cut Pro以外で大きな負荷がかかるような状態になっていると、何らかの不具合が起きる可能性はあります。一番問題を引き起こしがちなのはアンチウィルス系のソフトですが、そうしたものはお使いですか? こうした件もありますので、まずアンチウィルス系のソフトをお使いであれば、少なくともリアルタイムでのチェック系は外された方が良いと思います。
問題を切り分けていくためには、(1)-(3)のどの段階でおかしくなったのかという情報が非常に重要です。もし、途中の段階も残していらっしゃるのであれば、ご面倒でも確認されると良いと思います。
以下、その情報が無い状態で当てずっぽうで怪しいと思われる項目をピックアップしてみます
●Final Cut Proで取り込みをされる際、テープに対してイン点とアウト点を指定した上で取り込みをされましたか?それとも、「今取り込む」で取り込みをされましたか?「今取り込む」でテープのど頭の不安定な部分から取り込んだりすると、良くないことが起きるかもしれません。
●Final Cut Proのプロジェクトのオーディオサンプリングレートと、DVのサンプリングレートは同じでしたか?通常、48kHzが標準的に使われていることと思いますが、ここに32kHzのクリップが入ったりすると、サンプリングレート変換の誤差でずれてしまうことがあるかもしれません。
●Final Cut Proからムービーを書き出す際、「Final Cut Proムービー」で書き出されましたか?もしそうだとして、その際「独立再生形式で保存」をチェックされましたか?独立再生形式でない場合には、再生時に諸々のファイルを組み合わせて再生することになりますので、トラブルの原因になるかもしれません。Final Cut Proムービー形式であれば独立再生形式、QuickTimeムービー形式であればDVコーデックの48kHzオーディオにして、「定着」させるのが安心かと思います。
…といったあたりが思いつく確認項目ですが、いかがでしょうか?
また、既に10.3にされたのであれば、最新版である4.1にアップデートされると良いかと思います。今回の件とは直接関係しないかもしれませんが。
(以下略)- 杉山先生のコメント (hmacs-MLより抜粋) 2003.12.23
お世話になります、静岡大杉山です。
僕自身も気になっています。音ずれしない取り込みの確実な方法があれば教えて欲しいです。
うちの場合ですが、DV->DVDについて、「経験的に」ですが、(1)の取り込みの段階でもう音と映像が合っていないことが多いです。(2)は今までこちらでは音ずれの経験はありません。(3)は使ったことないのでわかりません。使用しているのはDVDStudioProです。この工程での音ずれは経験していません。
(1)での取り込み時の音がずれる原因として、外部ハードディスクの接続の関係、ネットワークの共有、空き容量、連続領域に書き込んでいないなど、いろいろと考えられますが、あり得そうな原因をできるだけとりのぞいて取り込むようにしています。ずれた場合は、あきらめて、取り込み直しします。
また、こちらは確認していないのですが、学生によると、FinalCutProで音声だけを切り離して別の形式に書き出して、改めてもってくると音ずれが直ったということです。
あと、撮影時に、音ずれに関して注意していることは、音声は16bitで録音する、LPモードにしないぐらいですね。12bitで録音した方のものがよく音ずれを起こします。LPモードは音ずれとはあまり関係ないかも知れません。
(以下略)- 中村(ふ)先生のコメント (hmacs-MLより抜粋) 2003.12.23
中村@東京大学です
こちら の、コマ落ちのチェック、自動同期の設定、あたりはチェック済みでしょうか。
(↓)- そこで見つけたWeb情報(3) 2003.12.23 (一部抜粋) オリジナルはこちら
■「取込時のコマ落ち」による同期喪失
取込(キャプチャー)時にコマ落ちがあるクリップは、同期がずれる可能性がある、とあります。キャプチャーの時に何らかの理由でコマ落ちが起きている場合、停止中はタイミングが合っているクリップでも再生中(特に長い時間になるほど顕著)にずれていく、と書かれています。
■「出力時のコマ落ち」による同期喪失
出力時にコマ落ちが発生している場合にも同期がずれる可能性がある、とあります。取込みの時にコマ落ちしておらず、ファイルとしてはきちんと同期している場合はこちらの可能性があります。
TIL「フレーム落ちとオーディオ同期が失われること」の「出力時のフレーム落ちにより同期が失われる 」ケースの1つ目「RTオーディミキシングの数が多すぎる」とともに、2つ目の「ムービーの自動同期」についてもよく理解しておく必要があるようです。要はQTの基準である32KHzまたは48KHz以外の微妙に異なる(48.0258KHzなどの)サンプリングレートのファイルに対してクリップのサンプル数をカウントし、補正することで、基準と異なるサンプリングレートによって長時間再生中に徐々に同期がずれていくのを防止する機能です。デフォルトではこの自動同期はオンになっていますが、いくつかポイントを上げてみますと、「1. DV以外のクリップの編集では使用しない」「2. タイムコードの途切れがあるクリップでは使用しない」「3. TILによれば、(特定の)Canon製DVカメラで特に有効(つまり特定のCanon製カメラでは必ず基準からずれたサンプリングレートで記録されてしまうため、これを補正する)な機能であること」といったことを知っておく必要があります。
(以下略)- そこに続くWeb情報(4) 2003.12.23 (一部抜粋) オリジナルはこちら
■コマ落ちとオーディオ同期ずれの原因/対策
(1)「一番問題が起こるのはやはり古いファイルや初期設定」「アップグレード後、 直ぐにFCP2関連やFCP1.2.5関連(残っていれば)を除去」。
(2)「キャプチャー時にデスクトップにミラーリング」 をOFF …「編集」→「オーディオ/ビデオ設定」→「外部ビデオ」
(3)「再生時にデスクトップにミラーリング」をOFF …「編集」→「オーディオ/ビデオ設定」→「外部ビデオ」
(4)「キャプチャーカードが取り込みと再生を同時 に行える」をOFFにする …「編集」→「オーディオ/ビデオ設定」→ 「取り込みプリセット」(セットをコピーして編集)
(5)最初の数秒は捨てデータとして余分に取り込む。「コマ落ち時にキャプチャー中止」はしない設定にします。
(6)ウィンドウサイズが合っていないとき。具体的には、スクロールバーが見えている状態の時は、再生がスムーズに行えません。
(以下略)- 回答と検証実験(1) 2003.12.23
小林さんの書かれたように、これはとんでもなくヘヴィーな話題だったようですが、 せっかくですので徹底的に調べてみることにしました。(^_^;) まずはいくつかの質問に対する回答です。 小林さん: >一番問題を引き起こしがちなのはアンチウィルス系のソフトですが、 >そうしたものはお使いですか? この編集マシンはネットにも繋がないので、使っていませんでした。 >問題を切り分けていくためには、これらのどの段階でおかしくなったのかという >情報が非常に重要です。もし、途中の段階も残していらっしゃるのであれば、ご >面倒でも確認されると良いと思います。 既に各作家から受け取ったDVテープはIC会議の時にそれぞれの担当教員に返却してしまい、手元にありません。 それぞれのDVからキャプチャしたムービーはありますが、元々、映像にBGMが入るようなタイプの作品では、 作家本人でなければ、同期ずれというのはなかなか気付かないものだと痛感しました。 そこで、今回、気合いを入れてちゃんとした実験用の、時間ずれが明確に判るDVテープから作成して 実験することにしました。 ただし、今回のMAF2003のDVD作成作業が完了したあとで、購入していたMacOS10.3(Panther)に アップグレードしてしまったので、完全な再現実験は不可能となっています。FCP4.1はダウンロード しただけで、まだインストールしていない状態です。 >・Final Cut Proで取り込みをされる際、テープに対してイン点とアウト点を指 >定した上で取り込みをされましたか?それとも、「今取り込む」で取り込みをさ >れましたか?「今取り込む」でテープのど頭の不安定な部分から取り込んだりす >ると、良くないことが起きるかもしれません。 「今取り込む」ですが、ド頭の部分は避けて、DV出力が安定するだけ待って取り込みました。 >・Final Cut Proのプロジェクトのオーディオサンプリングレートと、DVのサン >プリングレートは同じでしたか?通常、48kHzが標準的に使われていることと思 >いますが、ここに32kHzのクリップが入ったりすると、サンプリングレート変換 >の誤差でずれてしまうことがあるかもしれません。 これをまず、今回、実験してみようと思いました。 >・Final Cut Proからムービーを書き出す際、「Final Cut Proムービー」で書き >出されましたか?もしそうだとして、その際「独立再生形式で保存」をチェック >されましたか?独立再生形式でない場合には、再生時に諸々のファイルを組み合 >わせて再生することになりますので、トラブルの原因になるかもしれません。 >Final Cut Proムービー形式であれば独立再生形式、QuickTimeムービー形式であ >ればDVコーデックの48kHzオーディオにして、「定着」させるのが安心かと思い >ます。 「QuickTimeムービー形式」の独立再生形式、defaultのままで書き出しました。 >iMovieに関する公式な情報はこちらですが、 iMovieはまったく使っていない(今後も使わない)ので、今回は問題としては切り離します。 杉山先生: >うちの場合ですが、DV->DVDについて、経験的に ですが、 >(1)の取り込みの段階でもう音と映像が合っていないことが多いです。 >(2)は今までこちらでは音ずれの経験はありません。 ・・・ >あと、撮影時に、音ずれに関して注意していることは、 >音声は16bitで録音する、LPモードにしないぐらいですね。 >12bitで録音した方のものがよく音ずれを起こします。 >LPモードは音ずれとはあまり関係ないかも知れません。 これを受けて、とりあえず実験として、DVの記録を ・SPモードとLPモードの2種類 ・音声は16ビットと12ビットの2種類 という、計4種類を作成して、まずはキャプチャしてみました。 これは後述します。 中村先生: >http://www.macdtv.com/fcp/fcplab_audiogap.html >の、コマ落ちのチェック、自動同期の設定、あたりは >チェック済みでしょうか。 コマ落ちすると警告するようになっていましたが、作業中はこれは出ませんでした。 自動同期についてはdefaultのままです。 ■検証実験(1)■ ずれている事がハッキリ客観的にわかり、十分な長さのムービーがまず必要だ、ということで、以下のように 4種類のDVテープを作成しました。 (1)G3PowerBookのS-video出力とオーディオ出力をSony DVビデオカメラをデッキモード(電源はバッテリで なくACアダプタ)で録画してDVテープ化した。 (2)ムービーはこのようなMaxの画面を使った。Maxパッチ(テキスト形式)はこれ。 (3)画面は250msecごとに塗りつぶしアニメーションが進み、4拍子、つまり1秒ごとに真っ黒→クリアと明確に タイミングが判る。同時にQuickTime音源のリムショット音が1秒ごとに同時に鳴るので、ずれてくるとスグに判る。 (4)同期してディジタル時計が表示され、15分が経過すると別のパーカッションが裏拍で加わって録画終了。 (5)この、前後を入れて15分30秒ほどのムービーを、DVビデオカメラの録画モードの設定で、 ・SPモード、音声16ビット ・SPモード、音声12ビット ・LPモード、音声16ビット ・LPモード、音声12ビット の4種類としてそれぞれ録画した、4種類のDVテープを作成した。 (6)他にアプリがまったく走っていないiMacで、まずはFinalCutPro4.0.1を起動して、DVデッキからのこの 4本のテープをそれぞれキャプチャしてみた。 (7)すると、驚くべき結果が(^_^;)。結論から言えば、 ・SPモード、音声16ビット 全体(15分)で2秒ほど音声が伸びた(^_^;) 音ズレまくり ・SPモード、音声12ビット ぴったしOK ・LPモード、音声16ビット ぴったしOK ・LPモード、音声12ビット ぴったしOK (8)これらそれぞれのキャプチャ結果をそれぞれ「QuickTimeムービー形式」の独立再生形式、defaultの ままで書き出してQuickTime Playerで調べたところ、キャプチャした状態(プレビュー)とまったく結果は 同一で、 ・SPモード、音声16ビット 全体(15分)で2秒ほど音声が伸びた(^_^;) 音ズレまくり ・SPモード、音声12ビット ぴったしOK ・LPモード、音声16ビット ぴったしOK ・LPモード、音声12ビット ぴったしOK (9)そこでこれら4本のムービーをFinalCutPro4.0.1で連結して1本ムービー(13GB)として、これを iDVDでとにかくDVD化してみることにした。これは4時間ほどかかる、ということで、結果は明日の お楽しみ。(^_^;) とりあえず今日は以上です。- 青木さんのコメント (hmacs-MLより抜粋) 2003.12.24
青木です。 Apple関係はここのところ、OSやらアプリの怒濤のアップデート攻撃が来てますよね。この中で関係ありそうなものを上げますと、
"FCP QT Render プラグイン" (4.0.2)
"QuickTime" (6.5)
辺りがDVの扱いに関係がありそうなところです。
また、今回の件とは直接関係がないかもしれませんが、民生DV機器の多くはUnlockedなオーディオの扱いになっていて、画と音の同期の保証が実はありません。実際、安いDVカメラで長回しで撮ると後ろの方は微妙にずれてきます-_-;;
#民生だと細切れで録画されることが多いので、実際にはほとんど問題にならないのですが。
アナログからDVにするとき、民生でLocked AudioでDVにしてくれるものとしてはカノープスのADVC-100とかのシリーズがお手頃かと。
(以下略)- 検証実験(2) 2003.12.24
研究室に来てみると、DVDが出来上がっていました。さっそく見てみると、 ・SPモード、音声16ビット 全体(15分)で2秒ほど音声が伸びた(^_^;) 音ズレまくり ・SPモード、音声12ビット ぴったしOK ・LPモード、音声16ビット ぴったしOK ・LPモード、音声12ビット ぴったしOK というのはまったくそのままでした。つまり、一般の話題とは別に僕の直面している現象としてはとりあえず、 (1)DVからFinalCutにキャプチャする時にずれる (2)FinalCutからQTムービーに保存する時にずれる (3)iDVDでムービーからDVD化する時にずれる の中では、(1)だけが問題である、という事です。 そしてさらにDVDを最初から早送りしないで検証したところ、青木さんの言われる「だんだんズレが蓄積する」 のではなくて、あるところで映像は進んでいるのにサウンドが途絶して、その遅れが最後までキープされて いる事が判明しました。 この模様をまとめたムービーがこれです。 (Webに置くために500MBのオリジナルをリサイズ、圧縮、粗リサンプリングしていますが現象は見えます) 画面内に表示されているように、冒頭は問題のなかった「SPモード、音声12ビット」のムービー(DVから キャプチャしてファイル書き出ししたものをさらにあとでダイジェスト化した) Test(2) です。 スタートボタンをクリックするとCGとサウンドが同期して始まります。このムービーでは、開始15秒 あたりでスキップして、最後の14分45秒あたりから再開しています。15分ちょうどで、裏拍の音が 加わります。これが正常に15分間、続きます。 この後に続くのが、問題の「SPモード、音声16ビット」の Test(1) です。最初から入っていますが、 トラブルは0分34秒あたりから0分39秒あたりに起きました。サウンドが2回ほど消えていて、さらに 画像も一瞬、荒れています。そして、この時のズレがあとはそのまま15分間、誤差の蓄積なしに キープされているようです。最後の15分のタイミングのサウンドも2秒ぐらい遅れて、全体のサウンド はそれだけズレていました。 もしかしてキャプチャの際に、偶発的ノイズみたいなものでこのテープの時にだけ起きたトラブル かもしれない、と、このテープで2回、FCPであらためてキャプチャしてみましたが、結果は同じ でした。上記の0分36秒あたりでサウンドが一瞬、切れて、これで音声が全体から遅れて、その まま最後まで行きました。ただし、微妙に音の途切れ方が違っているようにも思えました。 そして、それでは元のDVテープではどうなっているか、とモニタにデッキ出力を出して確認したところ、 なんと以下のような状況でした。 ・問題の0分34秒あたりから0分39秒あたりのところで、DVテープでもサウンドが一瞬、消えている ・ただしその部分の音が消えているだけで、あとは映像と音声はきちんと同期したまま最後まで行く ・15分ジャストのところのサウンドも、正常なものと同じで入っている ・DVテープとしては全体の映像と音声は同期していて長さも一致している つまり、DVテープをDVデッキで再生している限り、この一瞬の音消えに気付かなければ、あるいは その瞬間にたまたま無音であれば、このDVテープを再生するとまったく問題が起きないのですが、 実はDVからキャプチャする場合には何かの問題を引き起こすエラーみたいなものが起きたのでは、 という事です。テープは全て新品を開封して別々に使っています。 そこで、再度、同じ「SPモード、音声16ビット」であと2本、まったく同じ条件の記録をしています。 DVカメラへの録画録音の際に起きる偶発的トラブルの可能性の検証です。 それぞれ15分の記録、15分のキャプチャ、と時間のかかる作業ですが、今日はこれからちょっと 外出の予定があるので、続きはまたレポートします。- 検証実験(3) 2003.12.24
外出から帰って、追加の実験でさらに作った2本のDVテープをキャプチャしたムービーを検証しました。 なんと、「2本ともまったく問題ナシ」でした。(^_^;) つまり、たまたま最初の「SPモード、音声16ビット」のDVテープでトラブルがあったのですが、 同一条件で「SPモード、音声16ビット」で2本作ったものは、他の録画モードのものとまったく 同様に、音ズレなくキャプチャされ、ムービーになり、トラブル無しでした。 結論として、DVの記録モードに関係するのではなくて、同じ条件で記録しているDVのテープに、 偶発的トラブルとして「サウンドが途切れる」という現象が起きた、ということのようです。 これはDVテープをDVとして再生していると、たまたまその瞬間に明確なサウンドがあれば 気付くものの、音量が小さい瞬間だったり無音区間であれば気付きません。全体の記録として は時間は延びないで、ちゃんと映像とサウンドは同時に同期して終了します。 ところが、この「傷のある」DVテープをFCPでキャプチャしたところ、その異常部分で 映像トラックはそのまま記録されるのに、音声トラックだけ瞬間的に遅れて、その遅れが 最後までずっと平行移動して引きずられてキャプチャが終了します。それで、出来たムービー の映像とサウンドがズレたということです。 ここからは、マスターDVを返却したインターカレッジ参加校の先生がたにお願いです。 今回、「音ズレした」という作品の学生のマスターテープで、可能であれば検証をお願いします。 (1)そのDVテープから映像編集ソフト(FCPならbest)にキャプチャする。 (2)出来たムービーを再生して詳細に調べて、初めてサウンドの「遅れ」が出現した場所を見い出す。 (3)その場所を、元のDVテープで詳細に調べて、もし音のある区間であれば部分的瞬間的にサウンド が切れていないか? 以上の検証で「YES」があれば、今回SUACで起きた現象については同一のものとして、理由については 解決します。対策はまた別ですが、まずは原因の特定からでしょう。 どうぞ、情報をお寄せ下さい。- 小林さんのコメント (hmacs-MLより抜粋) 2003.12.24
小林です
せっかくここまで試されたのであれば、以下の点に関してもご確認ください。
<既にキャプチャしたムービーに関して確認できること>
まず、Final Cut Proのツールメニューに「ムービーの分析」というのがありますが、これで問題の「SPで48kHz」のムービー(キャプチャしただけの状態のもの)の情報をみると、ビデオとオーディオ、それぞれの長さはどのように表示されますか?
また、同じくツールメニューに「ロングフレームをマークする」というコマンドがありますが、これを実行して何か報告されますか?エラーが無ければ「該当するフレームが見つからなかった」旨のメッセージが出るはずです。
<改めにキャプチャする際に試してみる価値のあること>
「自動同期についてはdefaultのままです」とのことでしたが、これをオフにした状態でキャプチャするとどうなるでしょうか?
また、「今すぐ」取り込むではなく、あらかじめイン点とアウト点を決めた後で「クリップ」で取り込むとどうでしょうか?後者の場合にはプリロールもかけて準備万端な状態で取り込みを開始しますので、より安定した取り込みができると は思います。
また、「もし」他のDVカメラなりデッキなりがあれば、そちらでもお試しいただくと良いかと思います。
なお、実験の際の条件ですが
・OSのバージョン(例:10.3.2)
・QuickTimeのバージョン(例:6.5.0)
・Final Cut Proのバージョン(例:4.0.1)
・使用したDV機器の正確な型番
を明確にしていただいた方がいいと思います。最後の一桁が変わっても全く違った結果になることが十分あり得ますので、最低限、これらの情報が付記されていないとその情報が無価値になります。
追伸
しかし、SPモードとLPモードで違いが出るというのはよくわかりません(@ @;)。FireWireを経由して流れて来るデータ自体は全く同じはずですので…。
それはともかく、今後こうした作品提出の場合には、DVではなくDVCAMにした方がいいのかもしれませんね。DVCAMであれば音声はlocked audioですし、デッキ自体の信頼性も高いですので、(今回の件と直接の関係が無かったとしても)トラブルの確率を下げることができると思います。
ただ、そうすると「DVCAMデッキを持っていない人が作品を応募できない」という問題が出てきますが、その際には
・三分程度以内であればDVストリームファイルでCD-R
・それ以上であれば同じくDVストリームファイルでDVD-R
という手もあるかと思います。- 竹林先生のコメント (hmacs-MLより抜粋) 2003.12.24
竹林@静大です。
DVDに詳しい友人からの情報です。
DVはストリーム構成上VideoとAudioとを同期させる仕組みがありません。ずれるのが宿命です。 「Locked Audio」をご参考。このADVC-100を使用して、録画した30分のTV番組を20本以上iMovie2や3で取り込んでいましたが、目立ったズレはありませんでした。
つい最近、地元の忘年会&送別会があって、40分ほどの撮影をしました。iMovie3で取り込んだのですが、凝りたくなって、そのファイルをFinalCutPro4に持ってきて処理しましたが、気になるズレは発生しませんでした。1カットあたり平均30秒ほどしかないせいかしら? ソフトウェアはアップデートをして最新の状態でした。カメラはSONYのDCR-VX1000で、Macは4年目になったPowerMac G4 500 DUAL ( Gigabit Eather )です。G5がほしい・・
問題を解決できる情報ではありません。ご容赦ください。 因みに私はBluetoothのAVのWGのリーダをしていて、AVの同期を検討しましたが、まずはビジネス優先ということでペンディングにして、応用システム開発をしました。ワイヤレスでも同期の問題は色々でてきますね。- 回答と検証実験(4) 2003.12.24
その後、フト思い付いて以下の実験をしました。 今回、このようなMaxパッチ(ソースはこれ)で作ったDVテープは計6本です。 ・SPモード、音声16ビット : Test(1) ・SPモード、音声12ビット : Test(2) ・LPモード、音声16ビット : Test(3) ・LPモード、音声12ビット : Test(4) ・SPモード、音声16ビット : Test(5) ・SPモード、音声16ビット : Test(6) このうち、Test(2)からTest(6)までの5本にはまったく何の問題もなく、キャプチャしても何の異常も ありませんでした。異常のあったTest(1)も、中身は正常なTest(5)(6)と同じものです。 そして異常のある(キャプチャすると音ズレが起きる)Test(1)のDVテープも、DVデッキで再生すると 別にその部分で音が瞬間的に消えているものの、全体としては正しく同期されたまま再生できました。 そこで、いつもアナログビデオのDVD化のために使っていた、ソニーのメディアコンバータDVMC-DA2 を使って、このDVデッキ(ソニーWV-DR5)のアナログ出力(S-videoとオーディオR/L)をDV信号として キャプチャしてみました。予想としては、アナログ段階ではその問題の場所で無音があるものの、全体 は最後まで同期しているので、これにより、その部分だけは音が消えても全体の長さは同一のムービー が出来てくれるのでは、というものです。 ・・・結論ですが、予想が外れて、これでも音ズレは発生しました。(^_^;) その部分は無音で1秒ほどサウンドトラックが後ろにずれたような現象ですが、最後にも同じだけの 遅れがあり、要するに前述のトラブルと同じことになりました。うーーーむ。(^_^;) ということで、以下、この合間に届いた、小林さんと竹林先生のリプライにコメントします。 ちょっとコメントの順序が違います。あしからず。 小林さん: >なお、実験の際の条件ですが >・OSのバージョン(例:10.3.2) >・QuickTimeのバージョン(例:6.5.0) >・Final Cut Proのバージョン(例:4.0.1) >・使用したDV機器の正確な型番 >を明確にしていただいた方がいいと思います。最後の一桁が変わっても全く違っ >た結果になることが十分あり得ますので、最低限、これらの情報が付記されてい >ないとその情報が無価値になります。 これですが、申し訳ありませんが、刻々と変化しています。(^_^;) というのも、皆さんからの情報で、いろいろとアップデートすべき情報があり、慌ててこれを インストールしているので、もう、最初のトラブルの時の環境ではありません。 この小林さんと竹林先生のメイルが届く時にもアップデートしていた最中でした。 現在の環境は以下ですので、今後のリプライはこれが前提となります。 OS : 10.3.2、セキュリティアップデートもしました QuickTimePro : 6.4だったのを今、6.5にしました Final Cut Pro : いま4.1にしました 青木さんの御指摘の "FCP QT Render プラグイン" (4.0.2) も今、入れました。 DV機器は、今回の実験のためのDVテープを作ったのは、Sony DCR-TRV30で、キャプチャする 時に使ったデッキはSony WV-DR5です。 >まず、Final Cut Proのツールメニューに「ムービーの分析」というのがありま >すが、これで問題の「SPで48kHz」のムービー(キャプチャしただけの状態のも >の)の情報をみると、ビデオとオーディオ、それぞれの長さはどのように表示さ >れますか? キャプチャした当初のデータを捨てていたので、再度このDVテープでキャプチャしたところ、 問題の場所の直後に止まりました。(^_^;) 「テープに問題がありキャプチャを中止しました」 とかのメッセージが出ました。これはバージョンアップした今回、初めて見たメッセージです。 そして、「ムービーの分析」では、中止されたところまでのデータとしては、映像と音声は びったし同じ長さでした。 また、今回MAFに出展した作家で最初にクレームを言ってきた学生のムービーデータなども 調べてみましたが、全て映像トラックとサウンドトラックの長さは一致していました。従って、 やはり問題はキャプチャの段階で起きていたのでは、と考えています。 >また、同じくツールメニューに「ロングフレームをマークする」というコマンド >がありますが、これを実行して何か報告されますか?エラーが無ければ「該当す >るフレームが見つからなかった」旨のメッセージが出るはずです。 何もメッセージが出ないで、ムービー冒頭の場所に2フレームのマークが付きました。 >「自動同期についてはdefaultのままです」とのことでしたが、これをオフにし >た状態でキャプチャするとどうなるでしょうか? やってみました。まったく同じで「テープに問題がありキャプチャを中止しました」で終了です。 >また、「今すぐ」取り込むではなく、あらかじめイン点とアウト点を決めた後で >「クリップ」で取り込むとどうでしょうか?後者の場合にはプリロールもかけて >準備万端な状態で取り込みを開始しますので、より安定した取り込みができると >は思います。 今回の問題は、冒頭部分でなくちゃんとキャプチャがスタートしたあとなので、これはたぶん 関係ないと思います。正常な他の5本は全て同一の条件でキャプチャできています。 >また、「もし」他のDVカメラなりデッキなりがあれば、そちらでもお試しいただ >くと良いかと思います。 これは追ってやってみます。とりあえずこのデッキのヘッドクリーニングをしないと駄目かなぁ、 という気もします。クリーニングテープを注文します。(^_^;) デッキの他に2台のDVカメラがあるので、比較してまた報告します。 なんだか、DV機器によって違うとかいう、超アナログな世界に入りそうですね。(^_^;) >それはともかく、今後こうした作品提出の場合には、DVではなくDVCAMにした方 >がいいのかもしれませんね。 ・・・ >ただ、そうすると「DVCAMデッキを持っていない人が作品を応募できない」とい >う問題が出てきますが、その際には >・三分程度以内であればDVストリームファイルでCD-R >・それ以上であれば同じくDVストリームファイルでDVD-R >という手もあるかと思います。 これは本当にそうですね。今後のインターカレッジでは必須かもしれません。 竹林先生: >DVDに詳しい友人からの情報です。 >DVはストリーム構成上VideoとAudioとを同期させる仕組みがありません。 >ずれるのが宿命です。 自分でアマゾンから購入したVHSテープを、バックアップのために(^_^;)DVD化していたものを 改めて調べてみました。アップデートしていない環境で、VHSデッキの出力を、ソニーのメディア コンバータDVMC-DA2を使ってDV信号化して、最初に問題が起きたのと同じバージョンの環境で FinalCutPro4.0.1でキャプチャしてQT独立形式ムービーとして保存、それをiDVD3.0でそのまま 1本DVD化したものです。 ・・・結果としては、1時間以上の連続ムービーの最後のあたりでも、びったし、俳優の唇と同期 した正確なサウンドが記録されていました。(^_^) 従って、巷で問題になっている、ビットレート変換の誤差の蓄積などの問題については、この環境 ではとりあえず除外していいように思います。これまでDVD化したものが無駄でなさそうで、 ホッとしています。(^_^;)- 小林さんのコメント (hmacs-MLより抜粋) 2003.12.25
小林です
レポート拝見いたしました。確かに、デッキのアナログ的な問題である可能性が出てきましたね。
デッキは家庭用、業務用共に自身でのアナログ再生であれば、かなり強力なエラー補正機能があり、よっぽどのことが無い限り、音を上げずにそれなりに再生を続けてくれます。しかし、FireWire/IEEE1394に出力されるデータは別で、各社各機種でそれぞれに色んなことをしてくれます。
「ロングフレーム」の件に関しては、詳しくはマニュアル(PDF版で検索されるのをお薦めします)を参照していただければと思いますが、それがあるということは、何らかの異常が起きている可能性が高いです。
まずはヘッドのクリーニングで様子を見る、というのが正解だと思います。
(以下略)- 青木さんのコメント (hmacs-MLより抜粋) 2003.12.25
青木@年賀状印刷中 です。
DVのテープ上の記録も結構データ欠落が起こりうるようです。特にminiDV。DVのシステムはある程度データエラーが起こることを前提にしていて、D/Aする段で強力なエラー補正機構が用意されています。
#ヘッドの汚れから始まって、メーカ間のテープの相性やら...-_-; もちろん、各メーカとも自社のテープを推奨していますね。
一方で、1394経由(デジタルデータを垂れ流し)でエラー付きのデータを喰わされるパソコンは、正直に壊れたデータの相手をすることが多く、いろいろな現象が起こるわけです。
#エラーが起きた時にどんなデータを1394に流すか(基本的に修復はしてくれない)が各社各様な訳で...
ちなみに、業務用のテープフォーマットであるDVCAMはテープの走行速度等々でテープ上でのエラー発生率の低減をはかってます。
#miniDVの60分テープ相当だと40分しか録れないです。
(以下略)- 小林さんのコメント (hmacs-MLより抜粋) 2003.12.25
小林です
もう一点です。盛り上がっているこの話題ですが、DV-AVIでの修正ツールをリリースしている人もいます。 ★ ★
こういうツールのMac版があると、意外に需要があるのかもしれませんね(笑)。
正直なところ「FCPもそのくらいすりゃあいいのに」と思うんですが、真剣に業務で使う人はDVCAMでしょうから、そうしたこともあって深刻なクレームにはなっていないの「かも」しれません。
(以下略)- 検証実験(5) 2003.12.25
ということで、マルツ電波でMiniDVクリーニングカセットを買ってきました。 ちょうどソニーが品切れで、マクセルのDVM-CL(S)というものです。 ちなみに、前述の実験に使っていた6本のテープは全て同一、Sony DVM60(ME)の新品でした。 いったんクリーニングすると、もう元には戻らないので、慎重に実験しました。(^_^;) ■検証実験(5)■ テープとしては、どうやらTape(2)からTape(6)までの5本は、ちゃんと記録されていて、問題なく キャプチャされている(クリーニング前のデッキでも問題なくキャプチャできる)ので、実験としては 面白くありません。使うのはTape(1)の、異常の起きたものを使いました。おそらくこれは、記録時 に「何か」が入っていて、キャプチャすると悪さをする(そのまま再生しても気付かない)、という 情報が固定されている貴重なサンプルDVテープです。 まず、デッキの確認です。 ・デッキ(1) Sony WV-DR5 DVとVHSのツインデッキ。今回のキャプチャで使ったもの ・デッキ(2) Sony DCR-TRV30 今回の実験用テープ6本を記録したもの(DVカメラ) ・デッキ(3) Sony DCR-PC110 もう1台のDVカメラ デッキ(1)は今回のMAFだけでなく、研究室にあったDVテープを保管用にDVD化するのに相当に使って いますし、今回のMAFの「冥想空間」インスタでも、再生用として終日使っていました。また、 デッキ(2)(3)のDVカメラは、今回のMAFのコンサート記録だけでなく、日常的に多数の学生に 貸し出して、映像素材の撮影、編集した映像のDV書き出し、果てはVJライブの再生機(^_^;)、など に使い倒して駆使しています。従って、現状では3台とも、デッキのヘッドは相当に疲弊している 事が予想されます。 問題は、キャプチャするiMacの方で、OSを10.3.2に、FCPのバージョンを4.1に、QuickTimeを 6.5に、などと上げてしまったことで、■検証実験(1)■で行ったものとは厳密には一致しない、 新たな実験となっているところです。これを頭に置いて下さい。 まず、クリーニングする前に、3台のデッキでTape(1)を再生して、これをキャプチャしてみました。 過去の実験とは日付けも変わり、気温も湿度も違いますので、ヘッドとテープとの関係、という意味 では初めての実験とも言えます。(^_^;) ●実験5-1 Tape(1)をクリーニング前の各デッキで再生してキャプチャする ・デッキ(1) 問題の0分35秒のあたりで、音が止まり画面が止まり、「テープに異常があるのでキャプチャを中止する」 とメッセージが出て止まってしまう(FCP4.1になって出現?)。そこまでのファイルが出来る。ちなみに、 設定で「コマ落ちでキャプチャを中止する」はチェックを外しているので、コマ落ちではない。 ・デッキ(2) キャプチャはまったく何の問題もなく完了、問題の箇所(0分35秒-39秒)でもサウンドは消えることが なかった。取り込んだムービーを調べたところ、問題の箇所の音消え、画像乱れもなく、最後も15分 ピッタシで映像と音声は完全に同期していた。Tape(2)-(6)とまったく同じで問題ナシ。 ・デッキ(3) 上記のデッキ(2)とまったく同様の結果で、Tape(2)-(6)とまったく同じで問題ナシ。 ●実験5-2 Tape(1)をクリーニング前の各デッキで再生してアナログ出力(画像/音声)をチェックする ・デッキ(1) 問題の0分35秒-39秒のあたりで、音が消え画像が乱れる場所が2回ほどある。ただしそれ以降は何も 問題なく、映像と音声は完全に同期して15分まで続く。 ・デッキ(2) 問題の0分35秒-39秒のあたりでもサウンドにも映像にも何も異常はない。Tape(2)-(6)と同じで問題ナシ。 ・デッキ(3) 上記のデッキ(2)とまったく同様の結果で、Tape(2)-(6)とまったく同じで問題ナシ。 ここまでの実験で、デッキ(2)とデッキ(3)はどうも問題がなさそうなので、ここからはデッキ(1)に絞って 実験を進めることにしました。(せっかくなのでクリーニングは行いました(^_^;)) ●実験5-3 Tape(1)をクリーニング(規定の5秒)後のデッキで再生してキャプチャする ・デッキ(1) 問題の0分35秒-39秒のあたりで、音が消え画像が乱れる場所が2回ほどある。ただし実験5-1のように キャプチャが止まることなく最後まで記録できた。取り込んだムービーを調べたところ、問題の箇所で サウンドが1.5秒ほど遅れて、これが最後までそのまま残って音ズレが発生。つまり、このムービーと まったく同じ状況。 ●実験5-4 Tape(1)を実験5-3の後のデッキで再生してアナログ出力(画像/音声)をチェックする ・デッキ(1) 問題の0分35秒-39秒のあたりで、音が消え画像が乱れる場所が2回ほどある。ただしそれ以降は何も 問題なく、映像と音声は完全に同期して15分まで続く。 ●実験5-5 Tape(1)をさらにクリーニング(規定の2倍の10秒)後のデッキで再生してキャプチャする ・デッキ(1) 問題の0分35秒のあたりで、音が止まり画面が止まり、「テープに異常があるのでキャプチャを中止する」 とメッセージが出て止まってしまった。実験5-1に逆戻り。(^_^;) ●実験5-6 Tape(1)をさらにクリーニング(規定の10倍の50秒)後のデッキで再生してキャプチャする ・デッキ(1) 問題の0分35秒-39秒のあたりで、音が消え画像が乱れる場所が2回ほどある。ただしキャプチャが止まる ことなく最後まで記録できた。取り込んだムービーを調べたところ、問題の箇所でサウンドが1.5秒ほど 遅れて、これが最後までそのまま残って音ズレが発生。 ■考察と結論■ (1)実験用のテープを記録したデッキ(2)において、偶発的なエラーにより、6本のうちTape(1)のみに、何らかの 異常が記録された(らしい)。 (2)このエラーは、デッキ(2)およびデッキ(3)においては、エラーとして検出されない。デッキ(1)においては、 再生してアナログ出力する場合には、一瞬の音消えがあるものの、全体としては映像と音のズレは生じない。 もしその瞬間に音が小さいか無音であれば、DV出力をアナログとして視聴する限り、問題にも気付かない。 (3)このTape(1)のエラーは、デッキ(2)およびデッキ(3)を使ってキャプチャした場合には、問題を起こさない。 デッキ(1)においては、問題の0分35秒-39秒のあたりで、音が消え画像が乱れる場所が2回ほどある。 取り込んだムービーを調べたところ、問題の箇所でサウンドが1.5秒-2秒ほど遅れて、これが最後まで そのまま残って音ズレが発生した。これは、誤差蓄積タイプの音ズレではない。 (4)このデッキ(1)でのTape(1)のキャプチャ音ズレの問題は、時には「テープに異常あり」としてキャプチャ そのものが中止されることもある。クリーニングにより状況は若干、改善されたようでもあるが、根本的な 状況としては、「Tape(1)とデッキ(1)」という組み合わせのみでトラブルが起きている。コマ落ちではない。 ということで、対策としてクリーニングすればいい、という事でもないようです。(^_^;)- 続報 2003.12.27
ムービーシアターに関しては、上記のようなところで一応の決着(というかとりあえずストップ)を見たのですが、 その後、このページを作っていて、新たな発見がありましたので報告しておきます。 今後の教材のために、コンサートの記録をムービー化してまとめたDVDを作ろうとしたところ、今度は、懸案の 「LPモード12BITS」がもろにひっかかってきました。 コンサート会場では、2日のコンサートそれぞれの前半と後半を1本ずつ、計4本のDVテープに記録したのですが、 60分のSPモードでは5曲あるパートが尻切れしそうだったので、今回は「LPモード12BITS」としました。これは 学生に記録を任せた過去のMAFではたぶん例のなかったことです。 そしてDVをキャプチャしていたところ、個々の作品ごとにビデオを停止/再開しているのに、テープの後半になると サウンドが途切れたり、プチプチのノイズがモニタで顕著となりました。これは杉山先生の御指摘の現象かも しれません。 そこで慌てて作戦を変更して、DVデッキからのS-videoとRCAのオーディオを、ソニーのメディアコンバータ DVMC-DA2を経由してDV信号化してキャプチャして、音ズレも音途切れもノイズもない、良好なDVDが 完成しました。いわばアナログ化(DVデッキからアナログで出せば補正される)を経由しているわけで、画質 音質は落ちていますが、きちんと記録される事を最優先としました。 前述の実験では、新しいテープ6本それぞれ冒頭15分ぐらいのテストデータを記録したので、この問題は顕在化 しなかったのですが(今回も最初の40分ぐらいはまったく問題ナシ)、どうもLPモードで40分以上の記録をして くると、やはり何か起きるような気もします。これを報告しておきます。- 一つの提案 2003.12.28
・・・ということで、まだ原因も対策も闇の中ですが、ここまでの経験則から、少なくとも僕としては、今後の DVでのデータ募集について、以下のような条件を付けようと決めました。これは次回のICの中村先生も参考に していただければ幸いです。 次回のMAF2004は、NIME04を中核に据えて、2004年5月末から6月上旬に開催予定ですが、 ここでは以下の条件でムービーシアターを募集したいと思います。 ●DVテープでの作品応募についての条件 公演に際して、多数の作品をまとめてDVD化して上演する予定ですが、DVからDVDの変換において、音ズレなどの トラブルが起きることが報告されています。そこで、以下の条件を指定しますので対応して下さい。 (1)DV記録は以下のようなモードに設定する ・SPモード (LPモードは駄目) ・16ビット音声 (12ビットは駄目) ・48KHz音声 (32KHzは駄目) (2)コンピュータからDVにデータを書き出すためのムービー作成する際に、以下のモードを設定する ・NTSC DV ・DVストリーム形式 ・48KHzオーディオ (3)可能であれば、作品の冒頭と末尾のそれぞれに、このようなパートを置くことを強く推奨する。 これは作品としては編集の際にカットするが、これによりキャプチャ作業において、映像と音声とがずれていないこと (作品の冒頭での映像と音声の一致、最後になっても一致していることの確認)が確実にチェックできる。