1999年10月25日 (2)
さて、今は8:40です。ホテル前のバスに乗り込んで、続きです。
筑波大の五十嵐先生が到着されたようで、今朝にレジストレーション
だそうです。発表の日に登場、というのは、いかにも指導教授
らしくていいですね。(^_^)
どうせ渋滞して1時間ぐらいかかるだろう、とフンで、ここで
続きを書くことにしました。
ただし、このバス最後部座席はひどく揺れる、といま平賀さんに
言われました。どうなることやら。
Room 1 ComeXos: A Networked Sound Manipulation Primer
Yong Louisa
Webベースでサウンドファイルをアクセスするというネタ。
教育関係なのかなぁ。
Room 2 Antialiasing for Nonlinearities: Acoustic Modeling and Synthesis
Applications
Thornburg Harvey
非線形変換テーブルによる楽音合成のためにエイリアスノイズの除去を検討。
Room 3 Sound of China: Computer Music
Yu Ying
ご当地紹介モノ(^_^;)です。
14:00 Second-order Recursive Oscillators for Musical Additive Synthesis
Applications on SIMD and VLIW Processors
Freed Adrian, Hodes Todd
加算合成と2次の再帰オシレータでの楽音合成。インテルの
IA-64プロセッサを想定しているようです。
◎ 14:25 Spectral Line Broadening with Transform Domain Additive
Synthesis
Freed Adrian
「ノイズ」をキーワードとした新しい楽音合成の可能性があるのかも、と
個人的には要チェックという第一印象です。こういうのは翌年に
消えていることも多いのですが。(^_^;)
14:50 Generating Pitches in Transients by a Percussive Excitation
Fourcade Patrick, Mangiarotti Sylvain, Cadoz Claude
物理音源でパーカッシブなサウンドを対象としています。
14:00 The Design and Implementation of a Processing System of Qin Score
(Jianzipu) QinS(1.0)
Li Sixin
中国の「お琴」の音楽情報処理ネタ。坪井さん、松島さん、志村さん
などにもろ関連ですね。(^_^)
14:25 Voice Creation and the Chinese Folk Music
Liu Shuiling, Gong Junping
タイトルだけ見るととてもソソラレルのですが、ヤマハのMIDI
音源で中国の歌声や中国の楽器「風の」サウンドを出すための
ノウハウ集、ということでした。
Applications of the Processor Enhanced Memory Module for Music
Signal Processing
Trautmann Steven, Cheung Ngai-Man, Poletto Christopher
常連のTI社の発表。ボード上にTMS320C6201 DSPと32MB*2+16MB*2
のメモリを積んだボードを多数使ってパイプラインする、というシステム
のお話。まぁ、こういうのはKymaと同じようなものなのですが、肝心の
DSPアルゴリズム、さらに全体を楽音合成として統合する上流階層の
ソフトが命なので、DSPスペックでKymaに勝つとしても、
Computer Musicのシステムとしては絶対に勝てない、と思います。(^_^;)
Room 1 Feeping Creatures
Berry Rodney
SGI O2内ののVRワールドのお話。
Room 2 Creating Three-Dimensional Computer Animations Using Spectral
Data and OpenGL
Kreger Tim
これは、ふーみんは必見の論文でしょうか。この日はコンサートの
関係で、午後のセッションに出られなかったので、見ていません。
Open-GLとスペクトルデータで、3次元CGをリアルタイム生成
する、というもののようです。ふーみん、帰国したら論文を
お貸ししますね。こういう路線もアリなので、来年の
ICMCでは挑戦してみて下さい。(^_^)
Room 3 Heightening Access and Cohesion within the Worlds of
Electroacoustic Music: The Promotion of Triangulation in
Creativity, Development and Scholarship
Landy Leigh
難しい問題ですが、こういう発表は音楽情報科学研究会では
ありませんね。(^_^;)
15:30 Modalys in jMax: Real-Time Modal-Synthesis
Iovino Francisco, Lartillot Olivier, Schnell Norbert
jMaxのためのモーダル合成のパッケージ。
15:55 An Approach to Sound Morphing based on Physical Modeling
Hikichi Takafumi, Osaka Naotoshi
小坂さんのモーフィングのねたですが、今回はNTT研の
引地さんが発表したようです。
16:20 Sound Modeling of Transient and Sustained Musical Sounds
Ystad Solvi, Guillemain Philippe, Kronland-Martinet Richard
連続しているサウンドの変化(モーフィングもこの一つ)を
どう捉えるてモデル化するか、というネタ。SourceとWaveGuideの
Resonatorとの両方にコントロールが必要だ、という能書きは
判りますが。(^_^;)
15:30 Towards Digital "Musical Actions"
Bonardi Alain, Rousseaux Francis
仮想インタラクティブオペラ。3次元迷路をリアルタイムに
体験できるみたいです。
15:55 The Use of Melodic Segmentation for Content-Based Retrieval of
Musical Data
Melucci Massimo, Orio Nicola
音楽フレーズの分類ネタ。なんか、ICMCイタリアっぽいです。つまり、
ちょっとよー判らなくてちょっとアヤシイ。(^_^;)
16:20 Content Analysis and Queries in a Sound and Music Database
Pope Stephen Travis, Orio Nicola, Roy Pierre
元CMJ編集長のPopeだから言える、「音楽データベース」の扱いの
理想的な「お話」のようです。
"SNAP" -Sound Network Agent Project- Multi Agent System using
Csound in the Internet
Ohnaka Fumitake
慶應のネットワークねた。そういえば、この発表が終わって、翌日の昨日
は誰も見かけなかったなぁ。もう観光モードかなぁ。(^_^;)
Room 1 Piano Master Classes via the Internet
Young John, Fujinaga Ichiro
またイチローさんです。インターネットでピアノレッスン(^_^)。
国内と国際とでレイテンシを測定しています。
Room 2 Kinetic Sound Sculptures - Stele and Viola Spezzata
Eckel Gerhard
二つのインスタ作品のメイキング話。
Room 3 ASPEN/EXPLORE: A Multiprocessing Assistant for Electroacoustic
Music Composers
Field Ambrose
インターネットでサウンド素材を探すツール?
ここまでが23日のペーパーです。フト、バスの前方を見ると、まぁ予想通りの
大渋滞。我々を乗せたバスは、クラクションを鳴らしつつ路肩を走行しては
割り込んで(^_^;)、周囲の渋滞よりもかなり速く進んでいます。あと少しで
着きそうです。
ここからは24日です。佐藤さんは朝早く、コンサートのために
アメリカに発ったそうです。凄いなぁ。
★ 9:30 Automatic Capture for Spectrum-Based Instrument Models
Dannenberg Roger, Matsunaga Minoru
ダンネンバーグの正統ネタです。スペクトルに基づく楽音合成(ここでは
トランペット)で表情矢田化に自動演奏するために、人間のライブ演奏から
キッチリと「楽譜に対応した」演奏表現パラメータ(エンベロープ)を
自動で抽出したい。そのためのキッチリとしたリアルタイム分析の
研究、ということです。Computer Musicの研究とはこうあるべきだ、
というお手本ですね。(^_^)
★ 9:55 Inversion of a Physical Model of a Trumpet
Helie Thomas, Vergez Christophe, Levine Jean, Rodet Xavier
さすがCCRMA、という正面からの物理モデル音源。物理モデルの
ペーパーでは微分方程式がいくつも登場するのですが、この論文
は中でもハードな偏微分方程式が満載です。(^_^;)
★ 10:20 SINOLA: A New Analysis/Synthesis Method using Spectrum Peak Shape
Distorsion, Phase and Reassigned Spectrum
Peeters Geoffroy, Rodet Xavier
スペクトルベースの分析/合成方式の改良? IRCAMらしく、
Chantで中国語を歌わせていました。
9:30 The Computer Music Education in the Music Composition &
Engineering Department of Wuhan Conservatory of Music
Tong Zhongliang
中国での音楽教育の報告。
9:55 The Virtual Sound On Line - Computer Music Courses on the
Internet
Bianchini Riccardo, Cipriani Alessandro
インターネットでComputer Musicの教育。GUIが新しいのか、
しかしこれもどーもイタリアです。(^_^;)(^_^;)
★ The Synthesis ToolKit (STK)
Cook Perry, Scavone Gary
CsoundのGUIデモ。PCでした。
★ Room 1 Musically Intelligent Agent for Composition and Interactive
Performance
Hirata Keiji, Aoyagi Tatsuya
「パーピープン」の平田さんによるデモ。人だかりしていました。
Room 2 Evolutionary Strategies for Spontaneous Man-Machine Interaction
Beyls Peter
Proceedingを眺めても、手書きタッチのフォント、というナメたもので、
内容もどうも「お話」っぽかったです。印象ナシ。(^_^;)
★ Room 3 Toward Real-Time Recognition of Acoustic Musical Instruments
Fujinaga Ichiro, Fraser Angela
またまたイチローさん。ミラーパケットのfiddleについて、アタック音での
認識能力を評価したようです。どうも「評価」ネタばっかしだなぁ。(^_^;)
★ 11:00 Granular Synthesis of Sound Textures using Statistical Learning
Bar-Joseph Ziv, Lischinski Dani, Werman Michael, Dubnov Shlomo,
El-Yaniv Ran
これは毎年恒例の、イスラエルの怪しい発表。タイトルに
グラニュラがあったので、板垣さんも「これはひどい」と
呟きつつ来ていました。中身といえば、まったくグラニュラ
ではなくて、サウンドファイルから切り出したセグメントを
統計的に再配置して、一種のテクノっぽい遊びを行う、と
いうもので、MSPの典型的なサンプルと同じでした。(^_^;)
11:25 Supporting the Sound Description Interchange Format in the
Max/MSP Environment
Wright Matthew, Khoury Sami, Wang Raymond, Zicarelli David, Dudas
Richard
ジッカレリも連名のMSP関連。SDIFに対応したオブジェクト、という
ことのようです。あまりウケませんね。ジッカレリが言っていた
ように、「MP3を再生するオブジェクト」が出来たら、これは
ウケると思うのですが。(^_^;)
11:50 Alteration of the Vibrato of a Recorded Voice
Arfib Daniel, Delprat Nathalie
サンプルサウンドに自然なビブラートをかける、という、まぁ
地味というか判りやすいテーマ。当然ですが、既知のビブラートの
話に紙面が取られていました。
11:00 Learning Models for Interactive Melodic Improvisation
Thom Belinda
セッションで、メロディーのインプロをインタラクティブに学習する
というもの。可変長のツリー、というのがキーのようです。
11:25 Motor Neuron Based Virtual Drummer
Laine Pauli
タイトルから、ニューロ大矢さんをはじめとしてソソラレルの
ですが、実は単なるMAXパッチで、ニューロンモデルを走らせて
ドラムを自動生成する、というもの。期待外れ。
The Musician's Software Mall - A set of Composition and
Performance Oriented Applications for Sound Synthesis
Resina Eduard, Serra Xavier
統合的GUIものをPC上に実現。PCというだけで僕はパス。(^_^;)
Room 1 Avoiding the Fitness "Bottleneck": Using Genetic Algorithms to
Compose Orchestral Music
Waschka Rodney
遺伝アルゴリズムによるリアルタイム自動作曲のボトルネックを
考慮したアルゴリズム作曲ツールと、それによる作品のメイキング。
Room 2 Creating Music in a Machine Age: the Relations between Tools,
Composer, and Music Making Machines
Li Tang-Chun
マシン世代のComputer Music? うーん、よーわからん。(^_^;)
Room 3 Aspects of Stochastic Music
Berhoerster Conrad
いわゆる統計音楽を、マルコフ過程に重点を置いてJavaアプレット、
GUI化。
◎★ 14:00 From Timbre Modulation Method to Research the Relation Between
Electronic Music and Chinese Musical Tradition
Leng Censong
「音色」をstaticな属性と見ないで、音量や周波数と同じように
パラメータと見る、という面白い発想。AMやFMがあるのだから、
TM(Tone Modulation)があってもいいじゃないか、という事かな(^_^;)。
カラフルなサウンドを変化させたい、という中国人ならではの感性か。
ちなみに本人は英語はダメなようで、論文も代打の翻訳、質疑ナシの
棒読みでした。
★ 14:25 Friction and Application to Real-Time Physical Modeling of a
Violin
Serafin Stefania, Rodet Xavier, Vergez Christophe
誤差もの。IRCAMのフランス訛りのお姉さんで、英語なの
でしょうが詳細不明でした。(^_^;)
14:50 Nonlinear Modeling and Synthesis of the Kantele --- a Traditional
Finnish String Instrument
Valimaki Vesa, Karjalainen Matti, Tolonen Tero, Erkut Cumhur
フィンランドの伝統楽器であるKanteleを非線形モデルに
よって合成。うーーむ、部外者には不明ですね。(^_^;)
14:00 Cathedral: An Interactive Work for the Web
De Ritis Anthony
インターネット上でインタラクティブな企画をいろいろ提案。
★ 14:25 Design of a Flute Interface to Control Synthesis Models
Ystad Solvi, Voinier Thierry
フルートにセンサを付けた、サイバー尺八ならぬサイバーフルート。
演奏のデモを見ても、とってもよく似ていました。(^_^;)
◎★ 14:50 BoSSA: The Deconstructed Violin Reconstructed
Trueman Dan, Cook Perry
これが、昨日の連続写真にもあった、今年のベストペーパーの
発表で、ゾロゾロとあっという間に満員御礼になりました。
彼はもうこのテーマで7年間も研究して、これでドクターを
取った総決算みたいなもののようです。
いわゆる「新楽器」なのですが、センサでMIDIを出してオシマイ、
でなく、正12面体の形状をしたボディの各面にスピーカがあり、
フィンガーボードと弓(いずれもセンサ満載)で演奏した情報
を外部の音源で楽音合成して、それを再び自分から出す、
というものです。このサウンド再生系は聴衆のためでなく、
演奏家のためのものなのです。名前は
Bowed Sensor Speaker Arrow
です。これはいいですねぇ。「新楽器」路線のお手本です。(^_^)
Music Creation from Moving Image and Environmental Sound
Takahashi Shogo, Sawada Hideyuki, Hashimoto Shuji, Suzuki Kenji
早稲田のCCDカメラからのライブ画像による自動生成のデモ。
僕の印象では、MAXパッチに対して音色のランダムを効かせ
過ぎていて、「こう出したい」という意志に対して融通が
きかない、という印象でした。
これは橋本先生ともお話したのですが、相手によって変える
べきものです。子供が遊ぶ、というのなら色々とバラエティが
ある方がいいのですが、演奏家が楽器として使う、という場合
には、ランダム性に対する制約を強くして、意図通りの再現性
が必要となります。
Room 1 Statistical vs. Connectionist Models of Bebop Improvisation
Hornel Dominik, Langnickel Joachim, Sandberger Bastian, Sieling
Borje
ビーバップのインプロを生成するには、統計モデルが
いいのかニューロがいいのか、というかなりマニアックな話。
Room 2 Common Practice Notation View: a Score Representation for the
Construction of Algorithms
O Maidin Donncha
アルゴリズム作曲において、アルゴリズムをどうスコア化するか、
というお話?
Room 3 Feedback in Musical Computer Applications
Laine Pauli, Lassfolk Kai
音楽においてもコンピュータシステムにおいても、「フィードバック」
はあまりに本質的であり、これはどうも。(^_^;)
★ 15:30 Adaptive Additive Synthesis of Sound
Roebel Axel
Additive楽音分析合成で、適応型パーシャルトラッキングを行う、と
いうもの。デモはイマイチでした。(^_^;)
15:55 Structured Additive Synthesis: Towards a Model of Sound Timbre
and Electroacoustic Music Forms
Desainte-Catherine Myriam, Marchand Sylvain
IRCAMでない、フランス(どうも全体的にこれは怪しい系が
あります(^_^;))。Additiveは元々構造的なものなので、どうも
視点そのものに???あり、です。
16:20 Audio Signal Representation and Processing In Time-Frequency
Domain
Wang Ye, Vilermo Miikka
時間周波数表現をノイズキャンセルとモデリングに応用。
これもイマイチっぽい印象。(^_^;)
15:30 Performance Factors in Control of High-Dimensional Spaces
Garnett Guy, Goudeseune Camille
タイトルはいいのですが、ペーパーが「お話」っぽかったので
パスしました。
15:55 MusicSpace: a Constraint-Based Control System for Music
Spatialization
Pachet Francois, Delerue Olivier
GUIで空間音響制御。僕はあまりspatializationに入れ込まない
ので、これもパスしました。
Composing for the Digital Dance Interface
Siegel Wayne, Jacobsen Jens
DIEMのミブリ、遂に販売開始です。デモしながら、価格の入った
パンフを配っていました。これはヤマハの特許に抵触しない
のかなぁ。(^_^;)(^_^;)
Room 1 Dixieland-Gamelan Band? Encounters of an Algorithmic Kind
Harley, James
「ディキシーランド・ガムラン」って何だ? (^_^;)
Room 2 Sonification of Social Data
de Campo Alberto, Egger-de-Campo Marianne
これは発表ブースが無人でした。論文集にだけ出て会議に
来ない、そういうのもたまにあります。(^_^;)
Room 3 SMaTBaM! -Serving Time-Based Media in the Performing Arts
Boehm Carola, Arnold Stephen
ICMAのボスのアーノルドさんが、たった一人のお客と対面で座って
お話していました。きっと地味なテーマなのでしょう。
ということで、昨日10/24の分のペーパーをざっと紹介
しました。大きくハズしている事もありますので、ちゃんと
内容はProceedingsで確認しましょう。(^_^;)
いま、25日の午前のセッションで、目の前で劉さんが発表
しています。冒頭、中国語と英語で自己紹介。夏シンポでは
日本語でした。既に3ヶ国語を駆使しています。夏シンポと
同じ内容ですが、十分な練習の成果で、快調に行っています。
ここで一応、このHTMLは完成ということにします。
まだコンサートの事を書いていませんが、これはまた別に
書きたいと思います。今日のペーパーも、別のファイルに
しましょう。そろそろバッテリーが厳しくなってきたので、どこか
コンセントの近くに座らないといけません。(^_^;)
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