ICMC1997レポート
長嶋洋一
ICMC1997Thessalonikiのレポート第一弾です。(別に第二弾という
のはないと思いますが。(^_^;))
何らかの参考となるところがあれば幸いです。(^_^)
なお最初にお断りしておきますが、ペーパーの発表とかは現場で
Proceedingsをちらほら眺めながら口頭発表を聞いてのメモ、という
のを基にしています。
当然ですが、僕のつたない英語力ですので、中身はまったく外して
いたり、嘘を平気で書いている可能性も多いです。(^_^;) 僕は
こう感じて受け取った、というだけの私的報告ですので、正確には
ICMAからProceedingsを入手して確認して下さい。
たいていの文章は現地のホテルで同時進行でぽちぽちと打っていた
のですが、とりあえず文体としては日本に帰ってからアップする時点を
想定して過去形で書いてみましょう。打っている最中は現在形なものを
こうやって書く、というのはなかなか新鮮です。(^_^;)
さて、まずは「テッサロニキへの道」です。なんせこの記事を打って
いるのはICMC初日の朝9/25で、まだ会議そのものは始まっていない
(午後からいよいよスタート)ので、中身は書けません。あまり役に
立たない旅行記ですが、何か参考になるでしょうか。
ICMCギリシャの会場となったテッサロニキは、ギリシャと言っても
北部マケドニア地方にあります。ウイーンとかから鉄道で行くことも
できるのですが、この場合は途中でボスニア・ヘルツェゴビナなどを
もろに縦断しないといけないのでちょっと危ないです。(^_^;)
そこで僕は関空からアリタリア航空を利用しました。9/22の夜に
大阪に行き、翌朝に関空に行って11時過ぎに出発の12時間半の
フライトでまずミラノに着き(着いた時に現地時間で17時頃)、
さらに待機1時間+1時間ほどのフライトでアテネに(19時過ぎ)。
ここで1泊です。アテネの先さらにギリシャ国内線のオリンピック
航空に乗り継ぐには、どこかで1泊しないといけないので効率は
よくありませんでした。HISのホテルクーポンに書いてあった
8,000リラの有料リムジンバスというのは大嘘で(^_^;)、あやうく
200,000リラ以上のタクシーのおっちゃんに拉致されかけましたが、
なんとか7,000リラの電車に乗れました。初めてのアテネ、それも
市内ど真ん中に乗り入れてのホテルなのですが、時間帯としては
ただ泊まるだけとなりました。まぁ僕はICMCでは観光しないのが
常なので、こんなものですが。
そして翌朝、再び電車で(サマータイムなので朝7:00前だとほとんど
夜という暗さです)ローマ空港に行ってみると、なんと遂にというか
ICMC参加の日本人と出会いました。3時間ほど後のフライトで
アテネに向かう、早稲田の澤田さんたち3人で、なんと香港経由で
宿泊せずにローマに到着してそのままアテネに、というフライト
だそうです。こんなのHIS浜松は教えてくれなかったぞぉ。(^_^;)
そして、ローマからさらにアリタリア航空で2時間(時差があるので
時計では3時間)で、上空どこから見てもこれは確かにエーゲ海の
真珠だ、というアテネに着きました。地中海の青さ、そして海岸に
点在する白い建物は、絵はがきみたいなもんです。まぁ絵はがきは
この風景を写真にしているので当然か。(^_^;)
アテネ空港では「地球の歩き方」に書いてあったのであわてずに
空港の反対側のオリンピック航空のターミナルにぐるりとバスで
移動してみると、なるほど独占的に国内線を占有しているという
ローカルさに溢れた雰囲気で、もう「駐車違反」という言葉が
ここには無いようです。駐車した者勝ち、という文化のよう
でした。
そこで搭乗手続きをしてしまって、さぁあと1時間ほどぶらぶら
するか、とギリシャの風景を撮影しておこうとビデオを回しつつ
歩き出したところ、いきなりそのファインダの視界にどこかで見た
日本人が....、と思ったら、なんと早稲田の後藤さんでした。(^_^)
後藤さんとは、コペンハーゲン空港までたどりついたらそこで
国内線のストで乗り継ぎが飛ばないどころか空港が休業状態に
なっていた(^_^;)、というICMC94でも、その空港でばったりと
出会ったのです。因縁かなぁ。後藤さんは、もともと今回のICMC
に参加できる旅費のスポンサーとなっているある研究助成金の
ネタで大きく関係してくれていて、ギリシャでは一度奢るという
約束だったので、早くも会ったのでしょうか。
ちなみに後藤さんは、バンコク経由のこれもホテル泊を省略した
便ですが、途中で乗り継ぎに8時間も待ったそうです。(^_^;)
そしてアテネで1泊してフルに観光してきたそうです。アテネは
すぐ近くにいろいろと遺跡があるので、たった1日でも十分に
堪能できるという事です。
(さらに翌日以降に判明した情報として、平賀夫妻はロンドン
経由でアテネ入り、さらに平野さんはモスクワ経由で直接に
テッサロニキに入るという究極の便(^_^;)でした。これは10万
しない最安値ですが、モスクワのホテルからは一歩も出られない
という少し怪しいものだそうです(^_^;))
後藤さんもチェックインして、それでは軽く食べましょうか、と
ターミナル向かいのレストラン(ギリシャのレストランは室内と
室外と両方で食べられるところが多いです)に行くと、今度は
モントリオールのICMC91でお世話になって以来、なんどもICMC
で会っている、イチロー・フジナガさんとまた再会しました。
イチローさんは現在はアメリカ東海岸の大学?(忘れた(^_^;))で
教えているそうです。一緒にいたのが、あの「Interactive
Music 」を書いたロバート・ロウエさん。発表のために、
重い重い重い1500WのトランスとかシンセのラックとかMac
とかを全て持参してました。(^_^;)
搭乗時刻になってゲートに行ってみると、ぼちぼちさすがに
「ICMCらしい顔」がぞろぞろといました。この時期に地方の
テッサロニキに行くフライトがこんな異常な外見の連中に占領
されれば、まぁ目立ちます。(^_^;)
僕は初めてオリンピック航空で知ったのですが、飛行機の運転
(操縦というより運転です)にも荒い運転というのがあるのですね。
メイン滑走路に入る前からびんびんにとばして、メインに入る
カーブでめいっぱい「横Gをかける」なんてのは初めてでした。
無事に着陸した瞬間に拍手とブラボーが出ました。(^_^;)
ギリシャギリシャしたアテネからさらに地中海を大陸の方に
飛んで、テッサロニキ空港はとてもローカルな雰囲気でした。
同じメトロポリタンホテルに一緒のイチローさんとそのお友達
と僕の3人と、別のホテルの後藤さんとロバートロウさんともう
一人とでそれぞれタクシーで市内に向かいました。いやーギリシャ
の運転は凄いですね。「なにわ」ナンバーの世界だと思えば、
ほぼそんなものです。(^_^;)
ちなみにギリシャでは、タクシーに最初に乗ったお客はちょっと
待たされます。タクシーはうろうろと走って、さらに止めた客で
同一方向の人を乗せつつ行くのです。最初の客からはメーター
通り、そして後の客からはそれぞれ概算して自分の懐に行く、
という、運転手にとってのみ効率的なシステムです。(^_^;)
ホテルにチェックインするとこの日は何もないので、とりあえず
ホテルの前の大通りをICMC会場であるEXPO(見本市会場)に
向かって一人で歩いてみました。ICMAからのメイルでは「会場
まで歩いて20分」とありましたが、けっこうこの数字がアテに
ならないので。実際には25分以上かかりました。(^_^;)
ギリシャは午後ほぼ一杯、多くの店が閉めてしまうということで
閑散とした街を歩いてEXPO付近まで行くと、なんと目の前に
海がドカーン!と開けました。テッサロニキは海に面していて、
海岸のところの岸壁はずーーーーっと公園のようになっている
のです。色々なアーティストの作品(大がかりな彫刻とかインスタ
など)が展示されていたり、あやしげなパフォーマンスをしている
集団がいたり、と色々です。すぐ近くに「ホワイトタワー」と
いう遺跡もありました。
そしてEXPO会場に入って、どれどれICMC会場はどれかな、と
見回していると、今度は向こうからどこかで見たような姿...、と
思うと、わがイメージラボ関係者、和歌山大/イメージラボの片寄
さんと、阪大・井口研の上符クンでした。
彼らは関空からウイーンに入って1泊して来たところで、それでは
とりあえずエントリー登録できるかどうか判らないけど会場に
行ってみよう、と探しました。すると、いるわいるわ、ICMC会場
はブース展示の準備の連中、そして朝からICMAのボス達の会議が
あったということで早稲田の橋本先生、などなどもう完全にICMC
は始まっていました。(^_^)
無事にオリジナルのナップサック一式をもらって、しばし片寄
さんと翌日からの作戦会議を立てました。今回のICMCでは、例年
と違ってペーパーセッション(研究発表)がシングルとなって
パラレルではないので、基本的には全ての発表を確実に聞ける
のですが、実はこれと平行してポスターセッションとデモセッ
ションがあり、やっぱり作戦を立ててやらないと駄目なのです。
僕はイタリアまでの機内で飲みながら寝ながらの数時間(^_^;)、
ずっとこれをしていました。この会議室にも以前に紹介した、
ペーパー等の発表とコンサート内容のリストのプリントアウト
を初めてじっくりと眺め、全てのタイトルから中身を想像して
コメントを書き込み、プライオリティの印をつけてタイムテーブル
を作ってみました。そして、どうしてもバッティングしている
時間とかを片寄さんにお任せしたりして、ほぼ作戦ができました。
そこにイチローさんたちが来て、さらにIRCAMのコートリッペ
が「Fishのうまい店があるが、行かないか」ということになり、
方向が逆なので片寄さんと上符クンは別れて、結局イチローと
お友達、あとリッペとイスラエルのITAIさん、そして僕の5人
で岸壁のレストランに行きました。ICMC93に来ていることも
ありますが、彼らはよく日本のことを知っています。「KAWAI
はちっともcuteじゃないぞ」(「はじめての旅行者のための
ニホンゴ」というような手帳サイズの辞書には「カワイイは
cuteのこと」と載っている)とか、「cherry bloosomのサクラ
は、身内の水増し入場者であるサクラとどう関係あるのか」
など、返答に困った質問が続出しました。リッペが、ウォッカ
のように強い地元のお酒(焼酎みたいもの)を注ぎながら、
「ショーチューをショーショー」(^_^;)(^_^;)などとダジャレ
していたことも、ここで紹介しておきましょう。とてもbitの
記事としては書けませんから。(^_^;) ITAIさんは浜松で
ヤマハとローランドにも行ったそうですし、なんと藤森さんにも
とてもお世話になったので、ぜひよろしくお伝え下さい、と
言っていました。(^_^)
ということでホテルに戻ったのは24時頃です。この頃になると、
街も活気を取り戻してにぎやかです。いったいどーなっている
のか、午後は昼寝して英気を養って、深夜に騒ぐようです。
これでテッサロニキに到着、いよいよICMCがスタートという
ことになりました。翌朝9/25の起床は6:30と、ほぼ時差ボケ
も取れました(前日ローマでは午前4時にはどうしても起きて
しまった(^_^;))。さていよいよ、クレイジーな日々のスタート
です。
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/25の初日から
です。
朝6:30に起床してみると、まだサマータイムなので薄暗い状態でした。
ここから長い一日の始まりです。とりあえず前日までの記事を書いて、
この日だけはセッションが午後からなので(「モーニングコンサート」
ということで、テープ作品はペーパーセッションの裏で同時に時々
隣の部屋で行われたのですが、事前のスケジュールでまったく詳細
が知らされていなかったので、機内での予習の際に考慮できなかった
今回は完全にパスしてしまいました(^_^;))、とりあえず10時頃にホテル
を出て、海岸伝いに遠回りで会場を目指しました。
ちなみに、まったく僕が今回のICMCではパスさせていただいた、この
テープコンサートで発表した作曲家の方々は以下の通りです。(^_^;)
Stollery, Garro, Pavan, Rimmer, Fritts, Normandeau,
Constantinou, Harnas, Guigue, Gomez, Lo,
Aquiar, McGregor, Mailey, Piche, Karpen, Wascha, Koonce,
Adam, Moore, Kosima, Vaughan, Harley,
Cheng, Kreger, Thompson, Barret, Helms, Bruuce, Verandi,
Sikias, Dubois, Kunath, Vasiliades,
Doyle, Lotis, Bargar, Takenaka, Middleton, Theodorou,
Field, Kolberg, Hedelin, Castle, Juzbasic,
Barnhart, Wingate, Batchelor, Walsh, Lyon, Miksch,
Jongchul, Kosk, Ruzicka, Di Scipio, Geers,
Suttor, Miller, Dunkelman, Simoni, Dapelo, Penrose,
Johnson, Frengel, Newcomb, Drummond, Giomi,
Takasuki, Hedelin.
(順不同)
テッサロニキの南側はずっと海に面した岸壁で、ここがずーーーっと
公園になっています。沖合いには有名な「ギリシャ船籍の船たち」と
いうのが停泊し、カモメが飛んでのどかな雰囲気。そして、ぽつぽつ
と若手作家の作品なのか、造形物が展示されたりしています。歴史的
な遺跡であるホワイトタワーにちらっと上って展望したり、家族から
プレッシャーをかけられている「お土産!」(^_^;)を少し早くも仕入
れて片づけたりして、いよいよ昼からの会議開始に向けてエキスポ
会場に向かいました。
エキスポ会場は、まぁ晴海とかインテックス大阪とか幕張メッセ
みたいなイメージの、大きな建物が並ぶ会場です。ICMC直後の
「ハイテクフェア」の準備で閑散としていました。日本で言えば
エレショーみたいなものでしょう。そしてICMCは、8号館だけを
使用して細々とやっている、という目立たないものでした。ただし
来場者の風貌はとっても目立っています。(^_^;)
まず最初に、芸大の岩崎さんのインスタレーション作品を展示して
いる専用の部屋で、さっそく作品を拝見しました。正面の壁には
紙かなにかででこぼこした造形物を左右に置いてあり、これを
スクリーンとして投射するとなかなか面白い立体感がありました。
プロジェクタでなくなんと4台?のスライド投射機が並び、これが
音楽の演奏と同期してカシャカシャとせわしなくスライドを自動
交換したり、スライドの電球の明るさがなめらかにフェイドイン/
アウトする、というものです。音響部分はあらかじめテープとして
作られた、いわゆる電子音楽の音で、なかなかいい雰囲気の美しい
音でした。映像は岩石とか木肌などのアップ映像で、これが凸凹
したスクリーンで交互になめらかに切り替わりました。
あとで岩崎さんに仕掛けを聞いたら、スライドを自動制御する
専用のコントローラがあるそうで、その制御電圧のトラックに
サウンドも入れてしまっての同期(^_^;)、ということで、いわゆる
シーケンサとかMIDIとかは無い、なかなか面白くてシンプルな
システムでした。
そして、いよいよ同じフロアのペーパーセッション会場に入りました。
今回はパラレルでないので、なかなか大勢が入っていました。会場
の様子はいずれbitのレポート記事あたりに写真が載ると思います
(このため専用に、白黒の使い捨てカメラを買いました)ので、それ
を見て下さい。初日のセッションは「音楽と脳」というタイトル
で特に集められたもの特集です。会場となったテッサロニキ大学
はこの分野で有名らしいためのようです。たぶん日本で言えば音知
学会みたいなものだろうな、という事前の予想はモロに当たりました。
"Music and Emotion, the brain neglected side",
Isabelle Peretz
これはモロに音知学会みたいなものでスタートでした。脳に障害を
持っている患者が音楽の要素をどう知覚するかを実験してみる、と
いう報告で、ちょっと普通のICMCのネタというよりは浮いて
いました。(^_^;)
"Perspectives on the contributions of timbre to the
perception of musical structure",
Steven McAdams
これも音楽心理学の実験ネタ。プロアマそれぞれ40人でトレーニング
する実験で、音楽情報処理のための「2次元の音色空間」とかを
想定して実験していますが、まぁICMPCとかでは普通のものです。
"Rhythm and Contour in Music and Poetry",
Fred Lerdahl
レダール・ジャッケンドフのあのレダールってどんな人なのかなぁ、
と期待していたのですが、なんとこの発表はキャンセルになりました。
今回のICMCでは流石ギリシャというのか(^_^;)、キャンセルがどこにも
掲示されていなくて、その会場で座長から言われるまで判明しない
というひどいものでした。
"Psychophysiology of Musical Emotions",
Carol Krumhansl
これも、もろ音知研みたいなもので、色々な音楽を聞かせて(わざわざ
クラシックのマイナーの曲をメジャーにアレンジしたりして(^_^;))、
そこで励起される感情を皮膚温度や皮膚抵抗などの生体情報として
実験してみよう、というものでした。目新しいことはナシ。
"Rhythmic Paradoxes and Illusions: A Musical Illustration",
Jean-Claude Risset
大御所のリセ、そしてちょっと興味ある「錯覚ネタ」ということで
期待しましたが、まぁ半分は満たされたというところです。いきなり
エッシャーの騙し絵をOHPで出したと思ったら、次々とサンプル
音響をテープで聞かせました。
皆さんは以下の音響を想像できますか。そして、作れますか。
シーケンサと普通のMIDI音源だけでも作れますよ。
(1)永久にピッチが下がり続け、同時に永久にテンポが遅くなり
続けるという、連打され続けるバースト状の電子音
(2) 永久にテンポが早くなり続ける、連打される打楽器的サウンド
音楽知覚の世界で古典的な「無限に上がり続ける音」「その逆」
というアレを、さらにビートの錯覚まで仕込んだというもので、
なかなかよく出来ていました。仕掛けを知っている人はにやにや
して聞いていました。(^_^)
ところでリセは作曲家なので、これでは終わりません。実際に
現代音楽の作品として生身の音楽家に演奏してもらう楽譜に、
この理屈を組み込んだ作品をいくつか紹介していました。ただし
生の演奏の録音テープでは、どうもこの仕掛けがうまく聴こえない
のがご愛敬というところでした。(^_^;)
"Preliminary results on spectral shape perception and
discrimination of musical sounds by normal hearing
subjects and cochlear implantees",
Thomas Stainsby
どうもこれは補聴器?のネタで、音色スペクトルの補正みたいな
ネタのようなのですが、ICMCのネタとしてはあまり例がない
ためか、途中でどんどん人が会場から去っていきました。(^_^;)
...ここで午後前半のセッションが終わりですが、実は僕は途中で
2度抜け出して、下のフロア(2階)のポスターとデモのセッション
もチェックしていました。以下のものです。時間的にやや前後
しますが、まとめてここで紹介します。
DEMO
"Modelling Chinese Musical Instruments in Csound",
Andrew Horner
香港のICMC1996を開催したホストの二人の発表で、多種の
中国の楽器をずらりと並べていました。中国の楽器の音響をFFT
分析して(当然、静止した音でなくそれぞれのスペクトルのハーモ
ニックエンベロープを全て抽出)、これをCsoundのAdditive機能
でパラメータチューニングして生成する、というシステムでした。
たとえばシーケンス情報とかビブラート情報とかを与えて、
なかなかそれっぽい音を作っていました。ちょっと元々の楽器音
に比べてキレイすぎるのはAdditiveの宿命ですが。(^_^;)
"A physical piano model for music performance",
Gianpaolo Borin
物理モデル音源としてはなかなか厳しいピアノについて、ちゃんと
ハンマーの剛体運動/振動、複数弦の振動/共鳴モード、そして響板
による共鳴/拡散の様子を偏微分方程式にして、まともなディジタル
フィルタとして実現しよう、という(完成度は別として(^_^;))研究
でした。ブースではAptiva上のNetscape上で、出来上がっている
ビアノ音のサンプルを聞かせていました。まだPC上では、楽音合成
部分はリアルタイムにデモれるほど簡単ではないようです。
"Flexible Sound Effects", Lonce Wyse
物理モデルシンセ、WaveTableシンセ、そしてサンプリング音源
との間で、なかなかキレイなGUIでスライダーを使ってなめらかに
補間してモーフィングできる、というものです。中身はほぼ
ミキシングのようなものだと思うのですが、PC上でこういうのが
軽く走るというのは時代を感じさせました。
デモと並んで、今回はポスターセッションもパラレル無しで
シングルとして行われました。デモもポスターも、料金を払って
ブースを確保しているエキジビションコーナーの一角のブース
なのであまり目立たないのですが、僕には来場者にとっては
じっくり聞けていいようなシステムにも思えました。
今回はペーパーが少ないので、落とされたくなかったらポスターで
もいいのでは、という主催者の脅し(^_^;)によって、日本人発表者
も多くがポスターで発表しました。それぞれ写真は撮ったのです
が、どれが「bit」の誌面に選ばれるかは判りません。(^_^;)
POSTER
"Wavetable Acceleration Using Intermediate Buffering
and Loop Trimming", Steven Trautmann
WaveTable楽音合成(パソコンの音源のような単なるPCMデータの
再生でなく、ピッチやアンプリチュードやフィルタのLFOなどまで
ちゃんとマトモにやるタイプ)の計算処理量を低減するための
テクニックという、これもなかなか本格的なものでした。元と
なる波形データを一端「エンジン」と呼ぶ別メモリに転送して
処理するあたりがポイントのようで、この処理に際して色々な
補間のためにディレイループを使うので、ディジタルフィルタ
部分をこれと共用することで非常にシンプルになる、というのが
新しいアイデアでした。
話をしてみると発表者はなんとTIの人、それも筑波の研究所で
仕事している、その内容そのものをここで発表していたという
のがサスガだと思いました。僕はかつてギョーカイにいた時にも
ICMCで発表していますが、お仕事とはまったく別の裏仕事モード
のねたですから、だいぶ環境は違いますね。(^_^;)
国内の楽器メーカの人がICMCでその仕事内容そのものを発表
しない理由は、
・実際の仕事内容はICMCレベルに程遠いほど低い(^_^;)
・特許とかカスタムLSIの関係で秘密にしておきたい
・大学や他の研究機関との共同研究などを求めず孤立したい
・密かにICMCで発表されたネタを利用しているので避けたい
・ICMCに目をつぶれば国内の研究状況は大したことがない
の、どれなのでしょう。海外では、このTIでもSGIでもSunでも
E-muでも、皆んなICMCで技術を紹介して興味のある人との
コンタクト(共同研究、共同開発、大学のアイデアを製品化など)
を求めていますし、優秀な学生などの獲得にも貢献しているよう
なのですが。
"Synthesis of the trumpet tone based on physical
models", Riccardo Di Federico
これは他の発表を聞いている時間とバッティングしたので、
残念ながらパスしました。(^_^;)
"Influence of sensory interactions between vision
and audition on the perceptual characterization of
room acoustics", Crysanthy Nathanael
立体視メガネをかけて「ステージのかぶりつき」「ホール
中央」「ホールの奥のあたり」などの映像を見せつつ、それぞれ
に対応した/対応していないリバーブのかかった音響を聞かせて
の心理実験みたいなねた。視覚と聴覚との情報が一致している
方がより評価が高いとか、の当然の結果だったようですが。(^_^;)
"The Diphone Synthesis Control Program: New Features,
New Synthesis Engines and Experience of Musical Use",
Xavier Rodet
これは参りました。僕には三重丸です。(^_^)
去年、ホンコンのICMCでバージョン0.9を紹介していて、今回は
2.0だということだったのですが、DiphoneというMac上のシンセ
の紹介でした。去年のProceedingsだけは持っているのですが、
やはり参加しないとチェックから漏れます。1年もこれを知らな
かったというのは後悔すべきものでした。
(ただし、片寄さんの評価は高くありません。来年は和歌山大で
もっと凄いのをこういう方向で出すそうです)
Diphonesとは、これまでIRCAMを中心にずーーーーーっと
進められていた路線の延長であり、むしろ色々な研究の統合
され結実したもの、という気がします。「コンピュータに歌わ
せる」というものです。先日ヤマハが出した、カラオケ用の
「歌う音源」とコンセプト的には似ているのですが、まぁ中身
はサンプリング再生とシンセサイズ合成との違い、雲泥の違い
です。これまでのボコーダ、Chant、FOF、そしてリアルタイム
Additiveなどの技術を統合し、なかなかスマートなGUIで
シンセシスできます。それぞれの音素の結合のさせ方、多数の
パラメータごとのモーフィングやシーケンシングができます。
イメージとしては、たとえば誰かの「えふみぃでぃ!」という
声のサンプリングデータの一つもあれば十分です。これを
元に、ピッチ、フォルマント、エンベロープ、そして個々の
音素が結合してフレーズとなる具合(タンギングとか発音の結合
度みたいなもの)も自在です。途中でたとえばサックスの音に
なめらかにモーフィングしてまた戻ってくる、なんてのも
マウスで即刻さくさくです。ちょっと言葉で表現できない
のですが、これはIRCAMユーザーグループにだけ公開する
ということなので、個人で年間ウン万円は痛いのですが、
これだけ欲しさにでも入ろうかなぁ、と思いました。(^_^)
ポスターセッションはものによっては閑散としているのです
が、パワフルなRodetおじさんのデモには黒山の人だかりで、
最前列の僕もまったく釘付けで30分間、みっちり聞きました。
来年は、これを使った作品が間違いなく登場してくることに
なるでしょう。
3階のたまり場の一角にはIBMのパソコンが置かれ、ここには誰
でもメイルが使えるようにネットワーク接続されてtelnetが用意
されていました。そこで僕は今回も、ここからNiftyにログイン
して(192.47.24.133でログインして、SVCというコマンドを
入れれば、もうあとはいつものNifty接続です(^_^))、自宅のFAX
にFAXメイルを出しました。ちょうど15時、自宅は21時でなん
とか深夜迷惑FAX(^_^;)にならないギリギリのところです。
ただしカナダのバンフのICMC会場からやった時と同じで、会場
のパソコンは当然ですが海外仕様なので、画面ではNiftyの
日本語のメッセージは全て化け化けの状態です。勘で打つしか
ありません。(^_^;)
まぁNiftyのメイルでは「smail」して、ぐじゃぐじゃ出た
メッセージ(300行以内とかいうやつですね)を無視して本文を
ローマ字で(^_^;)打って、最後に「/e」して、あとは画面の
化け化けを無視して「2」「1」 でいいわけなので、まぁなんとか
なるのです。
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/25の午後の
後半からです。
"Modeling Piano Performance: Physics and Cognition
of a Virtual Pianist", Richard Parncutt
ヒアノ演奏者のモデルということでかなり認知科学的な方向。
前ふりの基本的なサーベイが多くて中身はどうかな、と心配して
いたら、「フィンガリングの物理的なモデル」というのがウリに
なっていました。つまり、シーケンサでピアノを打ち込む人には
ピンと来にくいですが、ピアニストは常に「指使い」という
物理的な課題と直面している、というのをしっかりと調べてみた
ようです。あるフレーズをどの指使いで弾くか、という自然さ
とか難易度みたいなものを定量化して、これと音楽演奏における
緊張感みたいなものとを比較したようです。具体的には、一つ
一つの音の連なりに対して、可能な全ての指使いシーケンスの
組み合わせ(かなり多量になることは想像できるでしょう(^_^;))
を全て用意して、実際の演奏と緊張感と難易度とを比較して
みる、という研究です。いろんな「物理モデル」があるもんです。
"Perception and Critique: Ecological Acoustics, Critical
Theory and Music,Sheffield UK", Eric Clark
「Ecological Acoustics」という言葉がなんとも正体不明で
興味があったのですが、要するに「自然な音楽には、素材として
自然の音響を利用した方がいい」(^_^;)(^_^;)(^_^;)みたいな事を
言っていたようで、なんだかよく判らなかったです。
"Converging Explorations in Cognitive Neuroscience of
Music", Jamshed Barucha
これは顰蹙の「論文集にペーパーが無い」という発表でした。
カメラレディの提出が間に合わなかったのでしょうが、僕のように
英語のヒアリングが非常に苦しい(年に一度のICMCが最大の
チャンスで、滞在している後半になると、ようやく英語で思考
できるようになる(^_^;))人間には、これはもうパスに近いもの
でした。まぁ内容はニューラルネットの利用に関するもので、
あまり大したことはなかったようです。途中で早々に抜け出して
デモとポスターに行くことにしました。
"A Neural Network Model of Metric Perception and
Cognition in the Audition of Functional Tonal Music",
Jonathan Berger
これも、日本でも数年前あたりをピークに終わりかけている
ネタです。機能和声の分析をニューラルネットでやる、という
もので、問題は入力される音楽をどう拍節構造に自動分解(認識)
することができるか、にあるので、最初から小節にコードが割り
当ててあるというのは反則なのです。案の定、あからさまに
一人また一人、とどんどん、会場から去っていきました。(^_^;)
"Harmonizing melodies in real time: the connectionist
approach", Dan Gang
上記と同じグループがもう1件、こちらはさらに終わっている
ネタです。「音楽と脳」という特別セッションでなかったら、
絶対に通っていないです。ニューラルネットでメロディーを
自動生成するというもので、拍節構造とか和声要素とかが与え
られていれば、「何かを必ず出力する」ニューラルネットが
メロディーを自動生成するのはまったく当然のことです。本来、
自動作曲ネタというのは「どうしてこういう出力を出すのか」
「その出力はどれほど音楽的に受け入れられるものか」という
あたりが議論の対象なのですが、ニューラルネットというのは
「中身はよくわかりませんが、とにかく学習させてみたら、
こんなん、出ました。あとはブラックボックスなので知りません」
というのが本質なので(^_^;)、どうしても行きづまるのです。
"Influence of Phase Effects on Roughness Modeling
and Control", Daniel Pressnitzer
「ラフネス」というのは、音響を聞いたときに感じるざらつき感
みたいなものの事なのでしょうか。20-200Hzあたりの音響と
して知覚されるこのパラメータ(実際にはamplitudeのばらつき)
を、位相の面からかなり詳細に検討したもののようです。これは
日本なら、音響学会音楽音響研究会(MA研)のネタそのものです。
これで、初日のペーパーセッションは終わりです。この日だけ
は「18:00からのafternoon concert」(^_^;)(^_^;)が無いので、
日本人がぞろぞろと夕食に行きました。ギリシャというのは
午後2時から午後5時頃までは、法律で普通のお店が閉まってしまう
ので、「午後」というのは18:00頃をいうのです。
平賀さんが本で調べたレストラン(ギリシャのレストランは、食い物
の店なのに「タベルナ」といいます(^_^;))がまだ開いていないの
で、結局、スブラキを皆んなで食べました。これは焼き鳥みたいな
もので、頼むと小さなピザみたいな丸いパンに挟んでくれます。
基本的に僕の毎日は、ホテルのbreakfast(パンとチーズとハム)、
昼食は時間がないのでマクド、そして晩も時間に押されてスブラキ
を立ち食いでかっこむ、というなかなか貧弱なものになりました。
そしていよいよ、最初のコンサートが始まりました。
9:00pm, Ceremonies Hall
"ICMC97 Commission/Keynote Event",
XENAKIS Iannis, GREECE, 8 minutes -
(The composer will introduce his work)
会場でアナウンスがあったのは、「クセナキスは健康上の都合で
参加できない。代打としてロジャー・レイノルズがスピーチして、
あとクセナキスの新作のテープ作品をかける」というものでした。
もともとクセナキスは、ICMC1993の時にも基調講演をお願い
する予定だったのですが、同じく遠方の日本まで行けない、と
いうことでチャウニング博士に変更した経緯があります。
ギリシャ出身といってもたぶんフランスにいるので、サロニカ
まで来るのは大変なのでしょう。
ちなみに作品ですが、僕はクセナキスは好きなのとイマイチ
な作品にまったく二分されるのですが、今回は残念ながら後者
でした。(^_^;) 夕食のビール効果もあって、うとうとモード
でした。
"Shouyoh-san 2",
UEHARA Kazuo, JAPAN, 17 minutes
(Ryo Noda)
さて、次は我らがJACOMの親分、大阪芸大の上原先生です。今回
はライブで演奏者(野田さん)の映像を撮らず、以前のコンサートの
映像を使いました。あの巨大なイアーハープの持ち込みもなく、
サウンドビームのみの上原先生の「演奏」も、いつもの手慣れた
もの。途中に出てくるMacのspeechの声は、今回の僕の新作で
も使っているので、ちょっとドキッとしました。(^_^;)
韓国公演、そして先日の大阪での野田さんのコンサートと、
同じ曲を形を変えながらやっていたので、安心して聞いて
いられました。(^_^)
"Hilbert's Caverns",
THEODORE Michael, USA, 9 minutes
(David Shively)
打楽器とSGI版のDSP-MAX(FTS)との組み合わせ。僕は、ライブ
でISPWでなくIndyによるDSP-MAXを実際に使っているのは
初めて見ました。画面はIndyなのにMAX。僕も欲しいです。
最初の一撃から強烈に音が大きくて、皆んな耳を塞いで聞くという
のは久しぶりのことでした。直後に「too loud!」という声が
出ました。(^_^;) あとで聞いたところによると、会場のPAは
ロックコンサート用のものらしいです。(^_^;)
さすがIRCAM、本来変わらない打楽器の音が滑らかにピッチが
下がり続けたりすると、なかなかいい雰囲気になりました。力作
だと思います。堪能しました。
休憩を挟んで後半は、ギリシャ側で用意した室内楽のアンサンブル
をフューチャーした作品が二つ。
"Incipits",
FERNEYHOUGH Brian, UK, 11 minutes
(SurPlus)
こちらはまったく古典的な現代音楽で、電子的な音は一切ナシ、と
いうまったくの室内楽。作曲の過程で確率計算などにコンピュータ
を使った、という50年前のComputer Musicのスタイルです。
最初はほぼ固定的なものが、次第に演奏の選択肢として複数から
自由にその場で選ぶ、みたいな展開をするものらしく、終了の
しかたは何通りもある、というものです。
"Music for Nine and Computer",
BASSET Rick, USA, 17 minutes
(SurPlus)
テープと室内楽の曲。聞き易いポップ。(^_^;)
こういうのもICMCでは別にアリですよ、という意味では、最近に
なってICMCに参加した人もホッとしたかもしれません。(^_^;)
ただし、テープ部分との切り替えノイズは気になるし、どうも
中途半端な「電子音+生アンサンブル」というのが残念でした。
これなら、室内楽だけでも十分によかった、と思われたら負け
ですよね。(^_^;)
21時に開始予定のこのコンサート、終演してみるともう24時
近く。タクシーもつかまらないのでホテルまで25分ほどかけて
歩いて帰り、シャワーをあびてバタンキューしたのが2時頃。
初日から歩き回って足がパンパンでした。(^_^;)
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/26の午前
からです。
前夜が遅かったので、7時頃に起床してこのレポート(既に遅れて前々日
の分(^_^;))を書いて、この日はギリギリに会場に着くような体制と
なりました。朝はやや冷気が気持ちいい初秋のギリシャですが、
25分も気合いを入れて歩いていると、会場に着いた時には汗だくと
なります。ただし湿度が低いのか、じきに汗が乾くのが救いでした。
事前のチェックで、この日は午後のペーパーがスタジオレポートと
美学/批評ネタのセッションだったので、最初から「午後は唯一の
観光の日(^_^)」と決めていました。そこで午前のセッションは
気合いを入れて臨みました。
"Sinusoidal and Residual Decomposition and Residual
Modeling of Musical Tones Using the QUASAR Signal
Model", Yinong Ding
QUASARというのは確か音声の方の用語だよなぁ、という程度の
予備知識でしたが、やはりタームはLPCとか音声関係のものでした。
これまでは音声認識や音声合成という、いわゆる発話音声の研究
(「通信」という背景の下で、究極には、外国の相手とそれぞれ
自国語で話しながら、通信システムがリアルタイムに自動翻訳を
する、という大目標あり)と、Computer Musicの分野(遊んでいる
と見られる(^_^;))とは、ちょっと距離がありました。ところが
ソフトウェアの進展とコンピュータの処理能力の向上もあって、
この両者はICMCの場ではかなり交流してきているように思います。
まだ日本ではNTTの小坂さんぐらいで、これからですが。
片寄さんが和歌山大で音声の先生と組むみたいなので、期待したい
と思います。(^_^)
"Statistical Modeling of Sound Aperiodicities",
Shlomo Dubnov
実際の発表は、前日にもインパクトびしばしだった、IRCAMの
Xavier Rodetさんでした。いったいこのおっちゃん、Diphoneは
やるわ、こういうのもやるわ、とどんなパワーなのでしょう。
さすがにIRCAMですね。(^_^;)
2次元の統計的な空間を利用して、オリジナルの音響の特徴を
Additiveシンセの枠組みで分析/再合成するのに、残差成分を
利用しよう、というもののようです。従来のショートタイムFFT
では、立ち上がりのノイズ成分などは落ちてしまったのですが、
こちらではかなりよく追従していて、残差成分はかなり情報量と
して少なくていいような印象でした。あまり個人的にはこれは
深入りしそうもないのですが、楽器メーカなど(というより、今後
はソフトウェアシンセを開発するソフトハウス)は注目していい
技術だと思います。
"Analysis and Regularization of Inharmonic Sounds
via Pitch-Synchronous Frequency Warped Wavelets",
Gianpaolo Evangelista
「Frequency Warped Wavelets」というのはどういうもの
かな、と予習でチェックしていたのですが、Waveletは実装上
のもので、要するになめらかにピッチを補間しつつワープ
させる、というものでした。面白い音はするのですが、これだけ
だと結構、飽きるのも早いので(^_^;)、むしろピッチの微小な
ワープの方のデモ(複数のピッチ体系によるアンサンブル)の方が
面白かったです。
"About this Phasiness Business", Jean Laroche
タイトルだけの予習では、Phasinessとビジネスと、いったい
どういうことかいな、と思っていましたが、E-muの人のびしばし
ディジタル音源の話でした。(^_^;)
位相ボコーダから正攻法で攻めて、悪い意味の「ボコーダらしさ」
(いずれも同じような音になる、音質が貧弱、等)を改善するために
短時間窓に伴う問題点を整理して、ループやピークのフェーズ
ロックによって解決する手法を提案していました。まだ実際には
これから、というところのようです。こちらでもまたボコーダ関連
ということで、どうやら「ボコーダの復権」が一つのトレンドの
ようです。
そして、この時間帯とパラレルの階下のデモとポスターも、以下
のものを覗きました。
DEMO
"Recent Work around Modalys and Modal Synthesis",
Francisco Iovino
ブースに行ってみると「IRCAMのブースに行け」(^_^;)と張り紙が
あり、要するにIRCAMの最近の研究成果の展示みたいものでした。
実際にこれが顰蹙なく許されるのはIRCAMぐらいでしょうか。(^_^;)
POSTER
"Structural Recognition of Music by Pattern Matching",
Yuzuru Hiraga
図書館情報大、現在は音楽情報科学研究会の主査である平賀さん
もポスターに逃げました。(^_^;) 英語びしばしでうらやましい。
bitのための写真を撮っただけであまり中身は聞かなかったのです
が(^_^;)、上符クンや後藤さんもちゃんとサクラっていました。
そして、以下の発表については、最近美学ネタにも目覚めている
という(^_^;)片寄さんなどに任せて、一気にエキスポ会場から
テッサロニキ大学の方角に北上して会場を後にしました。(^_^;)
以下のリストでは、ペーパーが論文集に載っていないなど
キャンセルっぽいのは、一部除外してあります。
"On Acoustic Ecology and Integral Art", Thomas Gerwin
"Towards a critical theory of (music) technology.
Computer music as a potential attitude of subversive
rationalization", Agostino Di Scipio
"Impact of MIDI on Electroacoustic Art Music:
Worldwide Survey", Alex Igoudin
"Computer Music Compositional Style Variation
Between Genders", Karen Eliot-Kahn
"Issues in Computer Music Aesthetics", Paschall de Paor
"Web.La.Radia--Social, Economic, and Political
Aspects of Media Art and Art Technology", Stephen Pope
"Music, Media and Technology at McGill University:
A Studio Report", Bruce Pennycook
"The Current State of the International Digital
ElectroAcoustic Music Archive IDEAMA", Thomas Gerwin
"DIEM - The Danish Institute of Electroacoustic
Music", Wayne Siegel
"Activities of the Computer Music Dept. of CNUCE/C.N.R.
- Pisa, Italy", Leonello Tarabella
"Computer Music in China: History, Current Situation
and Projects", Gong Zhenxiong
DEMO
"A Web interface for a sound database and processing
system", Ramon Loureiro
POSTER
"Musical Pattern Generator Using Mutually
Inhibited Artificial Neurons", Pauli Laine
"A Neural Organist improvising baroque-style
melodic variations", Dominik Hornel
"A New connectionist Model for Associative
Retrieval of Harmonic Tunes", Seong-Won Yeo
"Influence of timbre, tonality and musical training
on the perception of musical tension and relaxation",
Stella Paraskeva
秋風がたまに吹くとはいっても、そこは地中海に面したギリシャ、
ちょっと歩くと気持ちいい汗をかいてしまいます。はるか遠くに
見えるマケドニア時代の城壁まで登るのはあっさり断念して、
市内に点在するビザンチン時代、とかいう寺院を巡りつつ、18時
のコンサートて会場であるオリンピックシアターを目指しました。
テッサロニキはギリシャ第二の都市なので、市内は凄い交通渋滞
と駐車の山(二重駐車は当たり前、交差点とかでは三重駐車を
あちこちで目撃しました(^_^;))、歩行者は信号とかに関係なく
自分でクルマの流れを見て渡るという大阪方式(^_^;)です。
その雑然とした町中に、当然にビザンチン時代の煉瓦の古い
寺院が出現する、というのがとっても新鮮で面白い体験でした。
ガイドブックの地図にある、ギリシャ最大の寺院とか全部で
数カ所を巡りました。いやー、いいですね。ギリシャ正教。
町中を、あの黒い帽子と黒装束の神職のおじさん達も闊歩
しています。日本人とはまったく出会わないのもいいです。
アテネは多いのですが、さすが地方都市です。ガイドにぞろぞろ
ついていくのは、全てヨーロッパ人のツアーです。(^_^;)
約半日の時間を確保したとはいえ、実際には重いProceedings、
さらにビデオカメラまで背負ってそんなに歩けません。ジグザグ
に市内を巡っても、シアターのあるアリストテレス広場には15時
には着いてしまいました。もう足は棒のようで動けません。
そこで、すぐ目と鼻の先の岸壁からの心地良い風、上空からの
暖かい日差しのもとで、広場のベンチで昼寝と決めました。(^_^)
ちなみに広場では晩にコンサートがあるらしくステージが組んで
あり、多くの人々となにやらライブDJみたいなことをしていて、
なかなかに騒々しい環境でした。ここでうとうととして、気付いて
みると17時。なんと2時間ほども昼寝してしまいました。(^_^;)
ちょっと体力を復活させたので、ここから近くの市場に行って
またまたお土産を仕入れて、そしてコンサート会場に戻りました。
ホールの前はカフェになっていて、皆んな外のテーブルで昼間
っからビールです。日中にお店を閉めるわ、昼から飲んで深夜
まで騒ぐわ、いったいギリシャの人たちはどうやって生活を
支えているのか、よく判りません。(^_^;)
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/26のコンサート
からです。
今回のICMCでは、基本的にテープ作品は全てmorning concert
に押し込んでしまって(^_^;)、コンサートホールではなんらかの
Performanceを伴うものを集めたようです。
6:00pm, OLIMPION --- Works for piano and tape
Performed by Aleck Karris(Piano)
"Catch the Tiger",
KAPUSCINSKI Jaroslaw, POLAND, 9 minutes
(piano, video and tape)
外見としては、テープとビデオの映像(黒い背景の中で最初は数字
が並ぶだけ、というようなシンプルなアニメーション)が流れて、
これに合わせてピアニストが弾く、というもの。一般的には
だいたい予想がつくものなのですが、これが大外れで(^_^;)、
とーーーーっても楽しめました。(^_^)
ピアノは首尾一貫してシンプル。子供が弾いているような単純
なものです。最初は画面の数字が、その曲の指使いのように
「1535...」となっているのですが、ふと油断すると「..345678..」
と進んでオッとなります。さらに2進数ぽく「10100011」などと
なるうちに、ある桁のゼロが小さくなります。あれっ??と思うと
この桁だけアルファベットになり(^_^;)、さらに色々と展開して
いく、という、とにかく画面に引き込まれる作品でした。
基本的にピアニストが上手い、という一言に尽きました。(^_^)
"Reflections",
BABBIT Milton, USA, 10 minutes
同じピアニストが、今度は大きくて分厚い楽譜をもって登場
しました。まったく古典的な電子音楽風の電子音響(短いサウンド
がぱらぱらと点在する空間)のテープとピアノがシリアスに掛け
合うのですが、緊張感のある演奏でした。楽譜は背景音響のテープ
部分も詳細に記載されているらしく、ピアニストはちょっと弾く
たびにページを繰っていました。これまたピアニストの力量
ですが、インタラクティブな仕掛けはないのにテープのパート
とピアノが素晴らしくシンクロし、僕の記憶ではこれまでの
ICMCでもっとも良かった「テープとピアノの作品」となり
ました。うーーむ、これは逆立ちしてもまだ書けない。(^_^;)
"Tombeau de Messiaen",
HARVEY Jonathan, UK, 10 minutes
IRCAMらしく、12台の仮想的なピアノと生のピアノの掛け合い
ということで、それぞれ微妙にマイクロチューニングとピッチ
をいじったピアノ群の唸りが快感でした。亡くなったメシアンに
捧げる? というだけあって、音楽的にはリズムとかテンポ
の要素を極力排除して、ピッチと音色とで織りなす素晴らしい
音響空間を構築していました。これまた僕の記憶ではこれまでの
ICMCでもっとも良かった「テープとピアノの作品」の一つとなり
ました。うーーむ、これもまだ書けない世界です。(^_^;)
"Twittering Machine", MAY Andrew, USA, 8 minutes
後半の2曲はフルートとテープという作品でした。この曲は
Elizabeth McNuttという、この晩のPerformer のために書いた
曲ということでした。Performerはフットスイッチを使って
テープパート(パソコンかなにかでサウンドファイルのスタート
とストップでも制御?)をコントロールしていました。
ただし作品としては、ちょっと中途半端というのか、いまいち
響いてきませんでした。電子音響ナシの現代曲として、という
方がよかったと思うのですが。(^_^;)
"Jupiter", MANOURY Phillipe, FRANCE, 28 minutes
こちらは、フルートにマイクを仕込んだ上でシステムがトラッ
キング(楽譜データとリアルタイムにマッチングをとって、今どこに
いるかをシステムが判定して伴奏パートを進行させるので、演奏者
は自分の好きなテンポとかの展開が可能)するものでした。
ただし!! 28分は長い。(^_^;)(^_^;)
音楽としては前のものよりずっと好きだったのですが、限度を
越えて長いと聞いている方は持たなくなってくる、というのを
身にしみて感じました。(^_^;)
アリストテレス広場から、エクスポ会場の北隣のテッサロニキ
大学のメモリアルホールの次の会場までは、歩くと結構あります。
この日は初めての「夜の岸壁」を楽しもうと、ライトアップされた
ホワイトタワーを目指しました。夜の8時といえばもう、そこら
中のカフェは外にテーブルを出して盛り上がり大会で(^_^;)、
歩道をまともに歩くのが難しいという街でした。
途中でスブラキを腹に仕込んでの約1時間の散歩です。(^_^)
9:00pm, Ceremonies Hall --- Works for soloists and computer.
"Contre Nature",
RISSET Jean-Claude, FRANCE, 10 minutes
(FA)
こちらのコンサートはsoloとコンピュータ、ということで、木村
まりさんを始めとして、僕のもっとも興味あるテーマなので注目
していました。
最初はリセの作品で、なんと前日にリセがペーパーで発表した
「リズムの錯覚」を利用した作品の公演なのでした。ICMCでは
ペーパーとコンサートの両方にこうやって発表する人もいるのが
凄いところです。
「同じテンポなのにだんだん無限に加速する」というやつですが、
僕はペーパーを聞いていて仕掛けも見えていたので、パーカッション
の兄ちゃんが叩いてこれをやっているのがよーーーく判ったのです
が、おそらく大多数の聴衆には、プログラムノートにリセが
「この曲はリズムの錯覚を利用している」という記述だけでは
判らなかったでしょうし、それすら読まない人にはたぶんかなり
退屈な音楽ではなかったか(^_^;)、と思いました。このあたり、研究
を応用した「理屈の音楽」の難しいところです。
逆に言えば、電子音としては十分に効果があっても、生の楽器との
掛け合いではだいぶその構想が見えなくなってしまうのです。
天下のリセでも、これです。いい教訓になりました。(^_^;)
"Neuromante",
CECCARELLI Luigi, ITALY, 13 minutes
(S. Duke)
サックス奏者のおっちゃんが痙攣したような凄い身ぶりで
延々と吹きまくる(^_^;)、というのに圧倒されました。こういう
の、好きです。ちゃんとマイクで拾って処理していたようです。
"Aca Amaron",
RESINA Eduardo, SPAIN, 11 minutes
(E. Resina)
フラメンコギターをフューチャーした曲。これがこの晩の
ベスト演奏となりました(カーテンコールが最多の3回)。
で、どうしているかというと、作曲者本人が素晴らしい
ギター奏者なのです。そこでテープ音響も自分のもの、
ギターのアドリブまで完全に自分の支配下なので、それは
当然なのですが、実にしっくりと掛け合うわけです。
これを、演奏できない作曲家は「反則」と呼んだり
します(ウソ(^_^;))が、もっともいいスタイルでしょう。
バッハやモーツァルトと一緒というわけです。
"Carrefour (crossroads)",
KIMURA Mari, Japan/USA/France, 7 minutes
(M. Kimura)
同じスタイルで、木村まりさんも自分の作品を自分の
バイオリンで素晴らしく演奏しました。最初にPAから音が
出なくてヒヤリとさせますが、そこは世界中で演奏している
まりさん、あわてず騒がず笑顔で再開しました。(^_^)
今回の作品は、個人的にはちょっと気楽にアプローチした
作品らしくて、少しだけ軽い後味だと思いました。
木村まりさんは(Japan/France/USA)とプログラムに
書かれるように国際的に活躍しています。結婚されて今は
ニースに住んでいるとかで、ちょっとふくよかになっていま
した。でも相変わらず丁寧で熱心で、僕は大ファンです。
"BluesAx, in seven movements",
AUSTIN Larry, USA, 19 minutes
(S. Duke)
最後は再びサックスのおっちゃんが出てきて、ブールジュで
グランプリになったという作品を演奏しました。まさにアメリカン
でブルースそのもののいい音楽なのですが、ちょっと19分は
長かったと思います。疲れました。(^_^;)
これでコンサートは終わり。23時というのは、まあまあです。
さてホテルに帰ろうかな、というところで橋本先生に呼び止めら
れました。中国から参加して僕と同じメトロポリタンホテルに
泊まっている「さい」女史が、帰り方が判らないので一緒に
連れていって、ということでした。そう、ICMC1999は中国
に決まったのです。(^_^)
(最初はここに「北京」と書いたのですが、その後の情報では
まだ都市は最終決定でないらしいので「中国」とします)
お互いにカタコトの英語の日本人と中国人は、ICMC1999北京
の話をしながらホテルに向かいました。彼女はなんとか教授と
ともに、ICMC1999開催のために今回、参加しているのです。
みちみち、僕も東京のICMCの裏方をして苦労したこととか、
日本のComputer Musicコミュニティが協力しますよ、という
ような話をして行きました。皆さんも、一緒に北京に行きたい
ですね。(^_^)
そういえばこの日はロビーで、ICMAのICMC担当のアーノルドさん
と橋本先生と、中国の何人かがずーーーーーっと話し込んで
いたのでした。どうも、中国ではパソコン等の用意とかで大変な
ようです。386マシン「長城」では、MAXもなにもできません
からね。(^_^;)
聞いた話では、アメリカから中国に「気象用途」に輸出された
Unixマシンがミサイル制御用に転用されてアメリカに戻ったり
ということがあるそうで、とても今回のようにICMCのために
SGIが協力してずらりと現地にO2やOctaneが待っている、と
いうことにはなりそうもありません。たぶんアップルが協力して
Macを手配する、ということすら無理らしいです。コンサート
等で使う場合には、全て楽器の一部として自分で持参することに
なるのでしょうか。まぁ3月の韓国公演でも僕はPowerBookと
音源とセンサ類を持参して、空港のにいちゃんと掛け合ったので
こういうものだとは知っていますが。(^_^;)
ICMC1999の情報は、これからもここで紹介していく予定です。
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/27の朝
からです。
この日は前夜がそこそこ早かった(就寝は24時頃。これでも日頃の僕
からすると異常な夜更かしではあるのですが)ので、朝食も早めに
取って前日のレポートなどを打ち込み、さらに会場に早く着いて
おもむろに会議場の机でPowerBookを開いて続きを打っていました。
PowerBook2400cのバッテリは増設できなくて、いいとこ2時間程度
でギブアップしてしまうのが玉に瑕です。この日はACアダプタを持参
しなかったので、会議の途中で内職モード(^_^;)で前日のコンサート
のレポート部分まで打ち込んだところで終了となってしまいました。
その後、バッテリの切れたパソコンをずっとデイバッグの中に背負
っているのはちょっと苦痛でした。(^_^;)
この日は「提案」だけでその後続かない(誰も採用しない)(^_^;)という
ことも少なくない、データ表現関係のセッションからです。
"The Downloadable Sounds Level 1 Specification",
James Wright
まず最初からいきなり、Web上でのサウンド/音楽データには
サンプリングされたサウンドとMIDIファイルがある、と「解説」
してくれた(^_^;)発表からです。ここではデータの特性によって
データ長や音質やインタラクティブ性などを自動判定して切り
替えられるようなヘッダ情報をつける、という提案がありました。
しかしこんなのは、ISOでもIEEEでも(もちろんマイクロソフト
でも(^_^;))、あちこちでさんざん検討・提案されているので、
誰もこの発表を聞いて「よーし、では皆んなはこれからこの方式
に統一しよう」とは実行しません。(^_^;)
たしか藤森さんもIEEEかなんかの検討委員会でこういうのに
接していた筈ですが、果たしてどういう方向に行くのでしょう。
"A Novel Representation of Rhythmic Structure",
Vijay Iyer
いきなり冒頭のテープでGroove しまくりのファンク、アフリカンの
ビートなど聞き易いテープをかけてスタート。特にアフリカとか
アフリカン・アメリカの音楽に重点を置いて、リズムがジャスト
ビートから「ノリ」「クイ」「タメ」などで遷移している、という
部分をきちんと音楽情報表現に組み込もう、というものでした。
西洋音楽の枠組みからは「ずれ」「誤差」のように扱われるこれら
の情報("feel")をきちんとリズム情報にパラメータとして規定し、
CNMATの「リズムエンジン」というオリジナルのMAXオブジェクト
によって扱う、というなかなか本筋を行く研究です。いくつかの
デモを聞いた感じでは、だいたいこの手のずれは20msecオーダ
であるようで、たぶん一般の大多数の人には聞き取れないか気付か
ないギリギリのところだと思います。「感じる」ことが大切なので
それでいいわけですが。
これで終わりかと思ったら、最後のビデオのデモでは、実際の
ライブパフォーマンスで、この体系のシステムを身ぶりセンサ
のお姉ちゃんがコントロールしていて、ちゃんとGROOVEして
いました。さすがCNMAT。(^_^)
"OpenSynth Control: A New Protocol for Communicating
with Sound Synthesizers", Matthew Wright
LANとかIEEEバスとかインターネットとか、色々なインターフェース
プロトコルのプラットフォーム上で共通なシンセ制御のプロトコル
を「提案」する、というものでした。タイトルから「ZIPIを越える
何かが提案されるのか?」と期待していたのですが、見事にハズレ
でした。(^_^;) 言うだけなら誰でもできますが、後藤さんのRMCP
のように、アプリケーションまで示して始めて研究発表といえる
のではないか、とあらためて実感しました。
"Multimodal Environment for Sound Database System",
Hai Qi
早稲田の橋本研究室の発表でした。これは国内でも音楽情報科学
研究会や情報処理学会全国大会などで聞いていたものです。多数の
音響データベースを効率的に検索するためにインタラクティブな
センサ等を利用する、というものですが、ちょっと会場の反応は
冷淡でした。デモで見せたサンプルがいまいちだったのと、元々
ICMCはこういうデータベースねたはあまりウケない、という
のがあるようでした。会場からの早口英語の質問には、橋本先生
が会場内からフォローしていました。(^_^;)
"Composition of Data and Process Models: a Paralogical
Approach to Human/Computer Interaction",
Michael Hamman
作曲支援というかオーサリング環境の話で、イベント等をオブジ
ェクトとしてパッキングしてOOPS環境でGUIに載せる、というもの
で、概念としては僕たちのところで一昨年のICMC等に発表したような
ものです。ただし、これはあちこちのシステムで搭載されている
ものなので、GUIだけいまさら言われても、という困惑はありました。
いちおうデータフローのように並列処理をする、というところが
新しいようです。この発表の途中で席を立って(^_^;)、階下のデモ
とポスターに向かいました。
DEMO
"An Object Oriented Visual Environment For Musical
Composition", Gerard Assayag
IRCAMの「OpenMusic」というソフトの、文字通りのデモでした。
内部的にはどうなっているのか、判る人ならMAXで作ることの
できる統合的な作曲支援環境をキレイに並べて完備している、と
いうようなものでした。
POSTER
"Musical Informatics: Curriculum or a New Area of
Musicology?", Yuri Bekhtin
ちらっとしか覗けなかったのですが、統合的な音楽教育システム
の提案モノ、のようでした。(^_^;)
ここから再び3階の会議室に移動してペーパーセッションに合流
です。毎日毎日、これの繰り返しです。
"Analysis-by-Synthesis of the Expressive Intentions
of Music Performance", Sergio Canazza
午後はいわゆる「分析ネタ」で、僕としてはいわば義理チェック
に近いものです。分析というのは、ノンリアルタイムでは民俗音楽
のデータ統計と特徴抽出やデータベース等で、さらにリアルタイム
では演奏者の演奏情報をコンピュータが取り込んでこれに応対する
というところで重要な技術です。日本でも、伴奏ネタの皆さんは
重点チェックをしていますし、認知関係の平賀さんもびしっと
待機していました。(^_^)
最初のこの発表などはモロに音知学会の雰囲気で、音楽演奏の表現
パラメータを抽出して、さらにこれを元に再合成というか、これを
反映した自動演奏に関係したものでした。国内で「芸術的自動演奏」
というネタで研究している皆さんは、ここらあたりをしっかりと
サーベイして、実のある研究をして欲しいといつも思っています。
"A Structural Analysis Tool for Expressive Performance",
Uwabu Yuichi
我らがイメージラボ/阪大グループで唯一のペーパー発表、上符クン
の発表でした。キャラクタとしてちょっと押しが弱いのと、音楽分析
のよく知られた理論の紹介の部分に時間がかかったので、ちょっと
会場の反応は覚めていたような気がしました。(^_^;)
国内では十分に先頭を行っている研究なのですが、ICMCという場
だとちょっと今後このままでは苦しいのかもしれません。ICMPCの
方がいいように思いました。
最初に聞かせたデモテープで、これが分析結果を利用した芸術的な
自動演奏だ、というクラシック曲の演奏も、ちょっとデフォルメ
がキツいというか、ICMCレベルでは大げさというか、やや不自然
でした。(^_^;)
"A Computational Mechanism for Paradigmatic Analysis",
Christina Anagnostopoulou
音楽パラメータのクラス分けにニューラルネットを使う、という
のは内容としてよくあるものなのですが、ちょっと新しい概念を
知って収穫でした。GNG(Growing Neural Gas)というタイプの
ニューラルネットで、通常のNNと違って自分自身の構成を自己成長
させる、というものです。ちょっとこのアイデアは使えそうなので、
僕なりの切り口を考えてみたいと思っています。(^_^)
まずはリファレンスにあった、MITプレスの原論文を入手しないと
いけないのですねぇ。大変だ。(^_^;)
"Time series and neural net architectures in modeling
compositional syntax: prediction, continuity, and
perception", Yayoi Uno
発表者本人が不在で、いきなりOHPを見せながら本人の声の録音
テープをかけ始めた、という僕はICMCで初めて見た顰蹙の発表
です。(^_^;) ダンネンバーグなどもあからさまな不快の表明
としてスグに席を立ちました。僕もテープのヒアリング30分は
かなわないので、荷物を畳んで階下にすぐ移動しました。(^_^;)
内容は、ミニマル音楽の作曲家のデータに対象を絞ってNNで分析
する、というもののようでした。
DEMO
"Evolutionary Based Algorithmic Composition: A
Demonstration of Recent Developments in GeNotator",
Kurt Thywissen
タイトルからちょっと興味があったのですが、要するにPC上の
GUIに凝ったシーケンサでした。シーケンサには興味ナシです。(^_^;)
POSTER
"RMCP: Remote Music Control Protocol -- Design and
Applications --",
Masataka Goto
出た!! という感じで、ついに早稲田の後藤さんのRMCPの発表
でした。ブースに行ってみると黒山の人だかりで、ずっとこの中で
まるまる1時間、後藤さんは熱演していたようです。(^_^)
ちゃんとbit用の写真を撮りました。ただし採用されるかどうかは
bit編集部の只野さん任せです。
"Networking Music Education. The utilisation of WWW
in studying aural musical procedures in music education:
a praxial perspective", Lauri Vakeva
通りがかりにちらっと見ただけですが、いわゆる「能書き発表」
のようでした。(^_^;)
ここで一旦、エキスポ会場の外に出て昼食です。どうも午後から夜
まで、まともに食べられる余裕はないような気がしていました。
だいぶギリシャの街のテンポにも慣れてきて、一人でカフェに入って
まったく英語の表示も会話も無い状況で、ショーウインドー内の
サンドイッチ(中身は食べてみてのお楽しみ(^_^;))を指さして買い、
店内でなくトレイを外のテーブルに持っていって青空の下で食べて
町並みを眺める、などというリッチな一時を楽しみました。
"Two Highly Integrated Real-Time Music and Graphics
Performance Systems", Robert Rowe
いよいよこの時間帯は、阪大グループも早稲田グループも注目
している、センサとインタラクティブもののセッションです。
最初はあの重い重いトランスを持参したロバートロウさんで、
後藤さんのシンディと似たようななかなか楽しいCGとのリンク
を見せてくれました。
また、人間が指揮センサで制御した自動演奏にインタラクティブ
に反応して「歌う」というCGの声楽家とかもあったのですが、
中身を知っている我々は凄いと思っても、一般の人にとっては
もっとスムースにリンクしたアニメのような非インタラクティブ
でより優れたマルチメディアが多いために、ちょっと考え込んで
しまいました。
ちなみにCGはペーパーではちらっとVRMLで、と書いてあった
のですが、後藤さんによるとまだOpen-GLの筈だ、ということ
です。ゲームなどと違って、リアルタイムにワイヤフレームで
3D-CGを作って、ここにレンダリングとかテクスチャマッピング
をしている、というものです。中身は凄いんだけどなぁ。(^_^;)
"A Gesture Interface Controlled by the Oral Cavity",
Nicola Orio
「口腔で制御」ということで、これはジミヘンだと期待していた
(^_^;)発表です。さすがイタリアの連中は発想が凄いです。冒頭、
「キーボードやギターの演奏をする時にさらに制御するには、口
が余っているので着目した」とは正直な着想です。(^_^)
要するに実際に口の中にホワイトノイズを鳴らして口腔の形状
で音色を変形させます。ジミヘンと違って楽器の原音をフルパワー
で鳴らすわけではないので、発狂するリスクは少ないようです。
これを口腔内のマイクで拾って音色特性のパラメータをまともに
LPCとかで抽出して、複数のパラメータの中から直交するものを
選んで複数の制御に利用する、というのは正攻法だと思いました。
なお、この研究は身体障害の人が機器を制御する、というような
福祉関係の展開がある、という意味でも面白いものです。
システムのリアルタイム性は100msecほどでした。
"TEMA: A Gesture Controlled Music Performance System",
Ioannis Zannos
久しぶりにヤニさんと再会できると思って期待していたのですが、
残念ながら本人も現れず、キャンセルでした。(^_^;)
"Statistical Pattern Recognition for Prediction of
Solo Piano Performance", Chris Chafe
これは認知関係の平賀さんとか分析関係の片寄さんが
チェックするものとして(^_^;)パスして、発表の終わった後藤
さんとメシを食いつつコンサートに向かおう、とここで
会場を出ました。この後にある、とされていた以下の国立の発表
は30日に移動していたのですが、代わりにここに入った
発表がけっこう失望モノだったそうなので、ラッキーな選択
となりました。
"The interactive multi-media computer system using
SGI and NeXT/ISPW computers", Osamu Takashiro
また、ペーパーの時間帯にときどきスキップして、以下のデモと
ポスターもちらっとチェックを入れました。
DEMO
"Integrated Development Environment For Computer
Music Composition", Jon Drummond
SGI上のGUIとして、イベントエディタ、パッチビルダ、エンベ
ロープエディタなどを配置したオーサリング環境です。本当は
ラボでもここらまで作る筈だったのですが、他にベクトルが
向いてしまって、カタチとして行っていなかったところです。
POSTER
"Networks - challenges and solutions for music
education in remote areas", Lauri Vakeva
ブースに行ってみたら、これはキャンセルでした。(^_^;)
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/27のコンサート
からです。
後藤さんとさぶろさんと3人で、とりあえずコンサート会場の
オリピックシアターのあるアリストテレス広場に向かいました。徒歩
で30分ほどの散歩です。(^_^)
僕の手持ちのドラクマが少なくなったので、トラベラーズチェックから
両替しようとエクスチェンジオフィスを探したのですが、そこはそれ
休みまくりのギリシャ(^_^;)、皆んな閉まっていて駄目でした。そこで
昨日のそぞろ歩きの経験から、市場と安いお土産屋のある通りに行った
のですが、なんと全部、閉まっています。どうやら昨日、僕が歩いた
時間帯はかろうじて開いていたものの、お休み時間帯に突入して
しまったようです。この時間帯、僕は広場のベンチで昼寝していた
わけです。
そこで閑散とした市場の通りを歩いていると、なにやら騒々しい一角が
ありました。そこのカフェだけはやっているようで、地元の人が例に
よって店外のテーブルで飲んでいます。そしてそこに、ジプシー系の
人たちがフォルクローレというのか、リズミックな音楽を盛大に演奏
しているのでした。ギリシャの市内はジプシー系(トルコとか?)の人は
そこら中でテッシュや花を売ったり物乞いをしています。
そこで3人で呆然と眺めていると、近くのテーブルのおっさんが
「こっちへこい」と手招きして、いきなり新しいコップにビールを
注いで僕たちに差し出しました。なんかボラれるかな、と一瞬躊躇した
のですが、結果としては軽いノリで奢ってくれたらしく、僕たちは
店内のテーブルで早い夕食ということになりました。
まったく適当に魚と海老のフライと「肉」とだけ頼んだのです
が、なかなか美味しかったです。ビールもワインも旨かった。これ
ではこれから3連発のコンサートはどうなるのだろう...と思いつつ
コンサート会場に向かいました。(^_^;)
6:00pm, OLIMPION
--- Works for computer and video
--- Works for interactive sound/movement technologies
このコンサートはタイトルの通り、ビデオを交えた、というより
モロに「ビデオ作品(音楽付き)」なものもあり、またインタラクティブ
にライブで映像が動くものあり、となかなか雑多なものでした。
"Wireless", TARABELLA Leonello, ITALY, 11 minutes
最初はイタリアのグループで、いわばセンサの展示デモ、という
作品で、はっきり言って音楽作品としてはイマイチどころか
イマジュー(^_^;)ぐらいでした。
能書きとしては、このグループはPerformerとは非接触で音楽
を制御したい、というコンセプトで統一して、つまるところ
CCDカメラと超音波を使っていました。
まず最初に、紫色に光った蛍光灯ランプみたいなものを持った
Performerがこれをグルグルすると、CCDカメラからの映像から
音響とCGが生成される、というもので、まぁPCベースで簡単に
できるような「次々と直線が描かれていく」という、スクリーン
セーバのようなCGでした。
これが終わると、今度は映像ナシで「ツインビーム」という
テーブルのようなセンサで、ここから左右の上空に超音波を出した
のを両手でそれぞれ遮ってこれをセンシングする、というもの。
ただしこれはちょっと反則で、遮る状態で完全に音楽要素を
生成しているのでなく、ある種のトリガであらかじめ作ってある
音列を生成する、という常套テクニックをうまく使っていました。
そして次のシーンでは両手の白い軍手の裏表に赤、緑、青などの
マルが付けてあるものでCCDの前に立って、この軌跡に応じた
音響と映像を生成しました。何年か前に僕と由良さんとで
作った"Muromachi"とかなり似ているものでした。
それぞれを何の脈絡もなく一通りデモッたところでなしくずし
的に終了。ちょっと聴衆も動揺していました。(^_^;)
"Birdship", NILSSON Per Anders, SWEDEN, 6 minutes
"Galileo's First Glimpse", HARRIS Craig, USA, 7 minutes
この2作品は、コンピュータで作った音響と3D-CGとの合体作品
で、形式としてはアニメーションのビデオのようなものでした。
感想は、まぁこんなものかな、というところです。(^_^;)
"Concrete Net", RUDI Joran, NORWAY, 12 minutes
これも同じスタイルの作品ですが、サウンドもSGIらしいCGも
クオリティが高く、明らかに聴衆の反応も好評でした。
このあたり、ICMCは作品の評価が最後の拍手で明確に判ると
いうのが素晴らしいというか恐ろしいところです。(^_^;)
"Rolling Stone", CHOI Insook, USA, 15 minutes
ステージ上の1台のSGI Octaneと3台のO2、そしてCHOIさんの
履いた白いスキーブーツのようなフットプレッシャーセンサ、
さらにぞろぞろとプログラムノートに名を連ねるそうそうたる
スタッフ、という強烈な物量作戦でのデモとなりました。イタリア
組とのシステム規模の競争には圧勝ということですが、作品と
しては同様にイマイチ以下でした。(^_^;)
Octaneはリアルタイムにセンサからの情報をファジイによって
処理しつつ3D-CG生成を行い(どこから見てもOpen-GL)、
3台のO2はそれぞれが物理モデルシンセとして3チャンネルの
発音を担当していました。SGIの協賛がないと不可能です。
ただし、どうにも巨大なプロジェクトで開発と実験が直前まで
続いていたのか、とても作品としてまとまるところまで行って
いませんでした。
"These Roads", FICARRA Evelyn, BOHSE Suse, UK, 8 minutes
モノクロの印象的なフィルム作品と古典的な手法のサウンドトラック
なのですが、作品として初めて(^_^;)素晴らしくまとまったビデオ
作品で、これは会場もブラボーものでした。(^_^)
"Lizzard Point", LUDGER Brummer, Germany, 18minutes
ICMCの委嘱作品ということで、なかなか力の入った映像と音響を
楽しめましたが、後半には同じ映像の使い回しが続いたりして、
ちょっと18分という時間には負けたようにも思いました。
9:00pm, Ceremonies Hall
--- Performed by Ensemble FA
「アフタヌーン」コンサートが20時30分頃に終わり(^_^;)、そこから
21時に始まる「イブニング」コンサート会場までさくさくと歩くだけ
で他に何もできません。街はぼちぼち、この時間になるとようやく
活気が出てきます。さすが、昼間は休みにして充電していたのです
から当然です。僕はさきほどの飲み屋のワインが効くこともなく
映像作品を堪能したのですが、どうもここらで急激に眠くなって
きました。このコンサートは古典的なアンサンブルなので、間違い
なく熟睡タイムとなるのを覚悟しつつ、向かいました。深夜の
キャバレー会場へのチャーターバスはここから出るので、ホテルに
戻って休憩して、などというのは不可能なのです。(^_^;)
"Paradigms",
FINEBERG Joshua, FRANCE, 11 minutes
"Allegories",
MURAIL Tristan, FRANCE, 17 minutes
"Chamber Concerto for Ensemble and electronic sounds",
FURMAN Pablo, ARGENTINA, 12 minutes
"Virtual Encounters: Reflection, Transformation",
BOULANGER Richard, USA, 13 minutes
"The voice within a Hammer",
BERGER Jonathan, USA, 12 minutes
果たして、僕は開演前も休憩時間も含めて、深夜のコンサートに
備えて眠る、と決め込んでみっちり、よく寝れました。(^_^;)
上記の5曲は、順序も違っているかもしれませんが、メモも
しなかったので不明です。唯一、覚えているのは、
・最初の曲の終わりで、キーボードの音が鳴り続けて止まらなかった
・次の曲では、マシューズ先生のラジオバトンを使っていた
という程度です。(^_^;)
そして、お約束のように押しに押したコンサートは23時30分頃に
終わりました。ホールの前の道路には、ICMAが用意した3台のバス
が待っています。普通のICMCの深夜コンサートは本当にクレイジー
な連中がぼつぼつと集まるのですが、今回はこのシステムで、何も
判らない人までドッと拉致された格好になりました。(^_^;)
12 midnight, MILOS Jazz Bar
24時から始まる深夜のキャバレーの会場は、ちょっと離れたところ、
テッサロニキ駅に近いところのミロスバーというところでした。
バーと言っても、バスを降りてぞろぞろと近づいてみると、いるわ
いるわこの深夜にどれだけの市民が飲んでいるのか(^_^;)、凄い
人だかりでまだまだ来る人が続くという凄い巨大なバーでした。
店内よりも皆んな中庭のテープルで盛り上がっている中をぞろぞろ
と抜けてコンサート会場のライブハウスに行くと、そこはもう
超満員。そこで後藤さんと最前列に行き、井口先生とか片寄さん
もここに合流しました。ライブは最前列が鉄則です。(^_^;)
"Lema I": Transcontinental graphics/music jam
by G. Lewis, M. Puckette, R. Steiger.
この作品を期待していたのです。ISDNでサンディエゴと結んで、
演奏の音と映像をそれぞれ交換してセッションする、これを通じて
ネットワークの遅延を体験する、という触れ込みだったのです。
ところがどうもネットワークは駄目だったようで(^_^;)、
ジョージルイス(だいぶ以前にこの会議室で書きましたが、ICMCの
ワークショップで僕の目から何枚か鱗を落としてくれた音楽家・
研究者で、凄いトロンボーンです(^_^))とドラマーのインプロの
掛け合いでした。PucketteのPureDataによるインタラクティブ
な映像も、夕方のコンサートのどれよりも素晴らしく、そして
なにより二人の即興は凄かったです。
面白かったのは、二人とも指先とか手首に超小型のCCDカメラを
取り付けて、この映像もスクリーンで投射してこれを見ながら即興
したところです。僕の10月の作品でも、3台の固定CCDカメラで
演奏者の姿を使うのですが、これはイタダキだな(^_^)と思いました。
ぐるぐるして、とってもキました。
"Between the Sheets" by Chris Chaffe and Fred Malouf
"Angels and Ladders" by S. Horenstein
"Lamentations for Jerusalem" By D. Oppenheim
最初の演奏のインパクトで強烈に盛り上がった深夜のコンサート
ですが、これに続く上の3曲は、相対的にはちょっとクールダウン
でした。(^_^;)
いずれも同じサックス奏者が登場し、あとは「骨だけのチェロ」
のセンサとかギター、そしてライブでDMIXなどがありましたが、
騒々しい場内で静かな部分がしらけたり、とちょっと可哀想な
ところもありました。
しかし、ICMC恒例のクレイジーな深夜コンサートは、いつもとは
段違いの多数の聴衆を楽しませてくれました。翌日もコートリッペ
とザックセットルの掛け合い(^_^;)というのがあって、チェック
しないわけにはいきません。
何はともあれ、ライブが終わったのが26時頃。バスの運転手の
おっちゃんがメトロポリタンホテルに向かう交差点を一つ間違えて
ぐるーっともう一周するオマケまでついて、この晩は寝たのが
深夜3時になりました。うーーーむ、しんどいぞ。(^_^;)
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/28の朝
からです。
前夜、というよりほんの数時間前のコンサートから帰って泥のよう
に眠りましたが、なんというか朝型の僕の身体は殊勝にも朝の7時
過ぎには目覚めてしまいます。身体全体がボキボキに痛く、これは
過去の経験から風邪に引き続き過労性の髄膜炎になった時と似ている
なぁ(^_^;)、などと思いつつ朝食をとってシャワーを浴びて、ちらっと
このレポートを書きかけるともう時間です。片寄さんは今日のペーパー
は最後のPureDataまでパスする、と宣言していましたが、とりあえず
僕は音源ネタなので会場に向かいました。背筋が痛い痛い。(^_^;)
もう呆然とさまよいながらの一日だったので、あまりヨタ話もなく
ひたすら発表タイトルの紹介とコメントです。
さすがに会場の人数はかなり少ない状態からスタートしましたが、
ICMCの王道である音源ネタであるためか、途中でもぞろぞろと
人は増えて、かなりのものとなりました。皆んなタフですね。(^_^;)
"Integrating Complementary Spectral Models in the
Design of a Musical Synthesizer", Xavier Serra
加算方式の楽音合成システムで色々なスペクトル合成の体系を統合
したシステムのお話で、それほど目新しいものは無いのですが、
現場でパソコン(Windows95)のデモをしたので判りやすかった
というところでしょうか。ただし、Visual C++ なのでとっても
遅く(^_^;)、新しいパラメータで再合成するたびに延々とバーグラフ
を眺めることになりました。もっとも昔は、このパソコンで十数秒
の信号処理をするために、TSSの大型計算機のCPUタイムを独占
して一晩とかかけていたわけですから、凄いといえば凄いのです。
"Modeling Methods for Sound Synthesis. Network
Combinations and Complex Models for Physical Modeling:
Applications to Modes Clustering", Eric Incerti
タイトルからちらっと期待していたのですが、これはキャンセル
でした。(^_^;)
"Transient Modeling Synthesis: a flexible analysis/synthesis
tool for transient signals", Tony Verma
タイトルから新しい方式の楽音合成かな?と思っていたのですが、
サイン合成の成分と、トランジェント成分と、ノイズ成分とで
わけて分析し合成する、というようなもので、イマイチの部類の
ような印象でした。もっとも同時に内職(^_^;)で前日のレポート
を打ちつつですし、だいいちかなり脳が麻痺しかけている状況
なので、大切な情報を聞き落としている可能性も少なくありません。
"Singing Voice Analysis and Synthesis System through
Glottal Excited Formant Resonators", Andrea Paladin
イタリア組らしくMARSをプラットフォームとして、ここにオリジナル
の音声合成のアルゴリズムを実現した研究です。中身は音声合成の
世界ではお馴染みのLPCで、それほど目新しいものではありません。
最後のデモでは、合成した女声のコーラスを鳴らしていましたが、
けっこうそれっぽくなりました。僕はヤマハの音声合成ボードの
音を聞いたことがないのですが、さぶろさんの話ではけっこう
イケてるらしいので、そのうち聞いて比較してみたいです。
DEMO
"A Continuous Music Keyboard Controlling Polyphonic
Morphing Using Bandwidth-Enhanced Oscillators", Lippold Haken
ゴム膜を張った、幅25cmぐらい長さ1.5m以上の箱で、ここを触ったり
押したりするとその情報が取れる、というセンサです。これを利用して
DSP音源のパラメータにマッピングする、というものでした。
"A survey of agents based real-time interactive systems",
Peter Beyls
CAとかALだと思うのですが、まぁサーベイに付き合っても仕方ない
ので(^_^;)、ここは行けませんでした。
POSTER
"Physical Modeling Simulation of the Ancient
Greek "Elgin" Avlos",
Kostas Tsaxalinas
ギリシャの民族楽器らしい笛について、指穴の計測とかの分析データ
をもとに物理モデル音源でシミュレートする、というアプローチ
でした。
"High-frequency compensation of low sample-rate audio
files: A wavelet-based spectral excitation algorithm",
Corey Cheng
ウェーブレットを使ってオーディオファイルをうまく圧縮しよう、
というもので、これはたぶんどこかでもやっている(^_^;)と思う
のですが、とりあえずペーパーの途中で抜けられなくてパス
しました。
"Applying Root-Locus Techniques to the Analysis of
Coupled-Mode Behavior in Piano Strings", Tim Stilson
Proceedingsではどうも能書き中心だったので、これも同様に
パスしました。もうあまり2階と3階を行き来する体力も無かった
ので。(^_^;)
いよいよ時代のトレンド、物理モデルのセッションです。一年スキップ
したためにとりわけ感じたのは、発表の時にサンプルとして鳴らす
デモ音のクオリティが非常に向上している、という事でした。ヤマハ
やローランドの物理モデルも商品になるぐらいですからそこそこ
ですが、制御の可能性とかになると、ここの研究者たちの偏執的な
パワーに圧倒されるのではないでしょうか。(^_^;)
"Physical Model of the Plucking Process in the Classical
Guitar", Guiseppe Cuzzocoli
クラシックギターでまともに正直に物理モデルしています。(^_^)
PCM音源では別パーシャルとしてノイズを足しますが、あれも弦を
つまびいて発音するモデルで追いかけていました。ちょっとざーとら
しいものの、なかなかソレッポイ演奏音になっていました。
"Comparison of real trumpet playing, rubber model of lips
and computer model: benefits for a real-time computer
instrument", Christophe Vergez
トランペットについて、物理モデルで唇の振動をエミュレートする
だけでなく、以前に橋本先生のところで声帯をやったように、実際
にゴム膜をトランペットに押し当てて鳴らした「本物データ」を
取って比較して性能を上げよう、という気合いの入ったものでした。
"Synthesis of Transients in Guitar Sounds", Cem Duruoz
ギターの駒とかブリッジでの挙動などをしっかりとシミュレーション
して、なかなかこちらもそれっぽいギター音を聞かせていました。
"On Searching the Model Parameters of Digital Waveguide
Filters By Using Error Backpropagation Methods",
Alvin W.Y. Su
いきなりビデオ映像からの発表というまたまた顰蹙モノとなったので、
早々に退散しました。あおりを受けて、以下の2件もパスとなりました。
2階のロビーで柱のコンセントの近くを確保して、PowerBookを充電
しながらこの日のここまでをいそいそとまとめて休憩しました。(^_^;)
"Digital Waveguide Modeling of Flared Acoustic Tubes",
Maarten van Walstijn
"Efficient and Parametric Reverberator for Room Acoustics Modeling",
Riitta Vaananen
ここでしばしの休憩(まるまる20分!という貴重な時間)をして、乏しい
体力を充電して、いよいよ以下のデモをちらっと眺めてから本日最後の
ペーパーセッションです。
DEMO
"Cyberband: A "Hands-On" Music Composition Program",
James Wright
タイトルのみからちょっとだけソソラレていたのですが(^_^;)、
IBMの人の発表で、要するにIBMのパソコン(に限りませんが)上で
MIDIシーケンサとしての機能をなるべくお手軽にした、という
ようなものでした。Band-in-a-BoxをVisionのようにGUIに
した、というようなものです。(^_^;)
"An HTTP Interface to Common Music", Heinrich Taube
CommonLispで書かれたCommon Musicという統合環境にHTTP
対応のGUIというかネットワーク対応化した、ということです。
ただし、最後の質疑でも質問が出なかった(^_^;)ように、だいたい
CMというかCommonLispそのものが最近ではめっきりマイナー
になっているこの御時勢、どうも会場はピンとこなかったよう
です。これが「MAXがネットワーク越しに走る」となったら、
IRCAMのFTSの発表で(たしかデンマークICMCでしたが)凄い
満員になったのとの違いです。(^_^;)
"Siren: Software for Music Composition and Performance
in Squeak", Stephen Pope
CMJの編集長だったPopeの発表で注目しましたが、前の発表と
同じような反応でした。Smalltalkの最新のSqueakSmalltalk
はこんなに凄いよ、といくらPopeが力説してPRしても、どうも
会場はピンときていませんでした。今時、VMなんてのはJavaの
宣伝文句として一般的なので、「実はSmalltalkはずっと前から
VMだぜ」と胸を張っても、「ああそうなの」というしかないので
しょうか。(^_^;)
"A Visual Programming Environment for Composing
Interactive Performance Systems", Bernhard Wagner
けっこう会場を寒い風が吹き抜ける発表が続きます。(^_^;)
呆れて出ていく人もいるのですが、セッションの最後にパケット
のPDの発表があるので、ぼちぼちここから入ってくる人も多く、
皆んな我慢して聞いています。(^_^;)
この発表は、いきなり「MAXのようでMAXでない」(^_^;)などと
自分から宣言して始まりました。MAXライクのOOPSの概念で
箱と箱を線でつないでプログラミングできますが、こちらは
横長の箱の左右に線の接続点があり(^_^;)、画面は横に広がる
配置となります。MAXだと普通は上から下ですよね。
で、MIDIベースとかのオブジェクトだけでなく、シーケンシング、
そして3次元CG(要するにSGI上のOPen-GL)でアニメのオブジェクト
も同等に扱う、というものでした。
能書きと実際のデモ(二つのギアがつながって回転)とのギャップ
に、会場はかなり静かでした。(^_^;)
"The New MARS Workstation", Paolo Andrenacci
イタリアで根強くやっているMARSというDSPエンジンのGUIソフト
の紹介でした。僕はこれまでMARSプロジェクトは半分ペーパー
マシンとして冷淡に見ていたのですが、ちゃんとPCのISAバスの
ボード(CPUとDSPが搭載されている)として立派に出ています。
日本ではカメオが代理店だそうです(^_^;)(^_^;)(^_^;)が、さぶろ
さんによるとまだ誰も買っていないのでは、ということでした。
けっこうポータプルなので、ちょっと導入を検討しようとブース
に行って話を聞きましたが、ステレオアナログ入出力の廉価版I/O
だと、ボードとI/Oとソフトで4500ドルほどだそうです。40万
前後でしょうか。物理モデルのシンセを買うよりは魅力はあります
が、うーーーーーーむ。(^_^;)
DSPとしての機能は、あまりそれほどでもないのです、これが。
製品の紹介発表だったこともあって、質問はゼロでした。(^_^;)
"Pure Data", Miller Puckette
さて、いよいよ注目と垂涎の的、IRCAMのMiller Pucketteが
登場しました。開口一番、「MAXを作って9年が経った。いよいよ
新たなスタートだ」。僕の英語力では間違っているかもしれません
が(^_^;)、そういう意気込みのようです。とりあえず僕が聞き取った
ことを書いておきます。間違いだったら、いずれどこからか訂正
の情報が飛び込むと思いますので、僕の思い入れを割り引いて
冷静に読み流して下さい。(^_^;)
MAXはMIDIレベルの情報をリアルタイムに扱うために基本的に
整数で処理したが、PDはサウンド情報も同等にリアルタイム処理
するので、基本的に浮動小数である。信号の時間軸上でのリアル
タイム処理は簡単だが、周波数軸上でもリアルタイム処理できる。
MAX/FTSではエディタが非実時間側にあったが、PDではこの
切り替えが無い(全てリアルタイム。デモで、線でつなぐと
いきなりDSP処理[dacオブジェクトからの最終出力]からの音が
しました(^_^))。FTSとは互換性は無い。とりあえずSGIとNTで
計画している。
会場はじっと黙って、「欲しいなぁ(^_^;)」という気持ちを込めて
デモに見入っていました。気付いてみるとこの時間帯としては
驚くほど人数が多かったです。さすが。(^_^)
"Real-Time Image and Video Processing in GEM", Mark Danks
パケットのPDの紹介の後で、IRCAMとコラボレーションしている
らしいカリフォルニア大学サンディエゴ校の発表です。昨夜の
深夜コンサート(キャバレー)の凄いグラフィクスもこれらしく、
もうFTSとPDのためのグラフィクスオブジェクトをびしばし
作っている、ということのようです。流石ですね。こういう共同
作業は日本ではまぁ不可能でしょうか。(^_^;)
システムとしてはお約束のSGI上のOpen-GLで、計画としては
インテルとインターグラフも載ってはいました。ビデオデモも、
まさにMAXのノリで実際にSGIのO2上でオブジェクトをさくさく
と接続するとあら不思議(ちっとも不思議でないのですが)、
隣のウインドウの3D-CGがPD編集/実行ウインドウ内の数値
ボックスをクリックしてドラッグするだけで、綺麗にぐりぐり
と3次元空間を回転します。これをMIDIセンサでぐりぐりする
ために実際に苦労している僕などは涙が出るほど簡単です。
色もテクスチャマップもモーフィングもスムース。いいなぁ。
噂だけでここで初めて見たPDに圧倒されつつ、いよいよクレイジー
なコンサートに向かいます。(^_^;)
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/28のコンサート
からです。
ペーパーが終わったのが17時10分過ぎなので、18時のコンサート
には夕食を落ちついて食べる余裕もありません。そこでエクスポ西口
の外にあるマクドナルドでチキンバーガー(ポテトとコークのセット
で1000ドラクマぽっきりです(^_^))をかっこんで、そのまま歩いたら
もう時間でした。身体の痛みもピークで、もうペーパー会場から既に
秘伝の「風邪ツボ必殺指圧」攻撃をずっとかけることになりました。
以前にアメリカに行って風邪をひいた時にも、飛行機の中で数時間に
わたってツボ攻撃によって治したことがあります。(^_^;)
ホールですぐ前の席には、ICMAの親分のアレン・ストレンジ
おじさんが座っていました。確かこの夜の深夜のキャバレーで
作品を発表するのにリハーサルは? と聞いたら、この後の
コンサートも聞いて、皆んなと一緒にバスで会場に行くとの
こと。(^_^;)
うーーーーむ、またまた場当たりライブをやるのかな。(^_^;)
6:00pm, OLIMPION --- Works for piano and tape
"Karabontara",
RUSCHKOWSKI Andre, GERMANY, 11 minutes
いきなりスキンヘッドのピアニストの兄ちゃんが出てきて
どうなることかと思いました。いわゆるアルゴリズムで音楽要素
を数学的に配置した背景音響とピアノが掛け合うのですが、
単純な同じノートをただ叩く、というような理知的なという
のか(^_^;)、そういうあまり面白くない音楽でした。
こころなしか、ピアニストの兄ちゃんもあまり楽しそうに
弾いてはいませんでした。(^_^;)
"Somewhere Submarine",
PRIOR David, UK, 16 minutes
これはもう根はプログレ、そしてJazzの香りのする現代音楽と
いう感じで、僕は好きでした。たぶん全体としては眠かったと
思いますが。(^_^;) ちょっと長いのもプログレには嬉しい
ところで。
ピアニストは、ありがちな電子音響のパートがよく入っていて、
自分で世界に浸りながら弾いていました。
"Around Midnight",
AINGER Marc, USA, 7 minutes
テープ部分はCsoundによる、まぁほとんどランダム12音
みたいなもので、全てピアノの音。ここに本物のピアノも
負けずに(^_^;)同様に掛け合う、ということでずっと行ききった
作品でした。普通はピアノなら背景音響は別種の音色にするの
ですが、敢えて同じにしたようです。
"Something Else Again",
WARREN ALICYN , USA , 14 minutes
小曲の組曲で、具体音の背景音響とピアノの掛け合いで、
こちらの方がロマンティックでした。こちらも寝た人が
いたことでしょう。僕は前夜と違ってまったくアルコールも
入っていないので、まったく眠くなくギンギンに色々と
考えながら聞いていました。ペーパーでは研究ネタを仕入れ、
コンサートでは作曲のアイデアが刺激されて湧いてくる、
本当にICMCというのはいいものです。(^_^)
"PanForm",
MEDINA VILLENA Joaquin, SPAIN, 9 minutes
(J. Medina Villena)
最後だけ曲目が移動になり、作曲家自身が演奏するパンフルートの
曲でした。テープ部分もこの音色を利用した古典的な手法で、
まぁちょっと意外性が乏しかったと思いますが、パンフルート
のいい味を楽しみました。
このコンサートは珍しく押すこともなくそこそこの時間に終わりました。
次のコンサートまで1時間半弱、というのはとても中途半端な時間です。
移動に30分近くかかるので、ヘタに夕食のためにタベルナに入ると
遅刻することになります。今回のICMCのコンサートは一般にも開放
していて、開演15分前からICMC参加者だけ先に入れることで優先
して席が取れる、というシステムなので、場合によっては遅れると
座れない、ということなのです。まぁ満員で座れないなどというのは
前夜のキャバレーだけでしたが。(^_^;)
そこで既に疲れもピークなので、ゆーったりゆーったりと、裏路地
を会場の方角に歩いていくと、裏通りで全て閉まっている店の
ウインドウだけがライトアップされている一角に出ました。そこの
ベンチに一人腰掛けて、ぼーっとしながらツボ指圧。(^_^;)
だいぶ肩が軽くなりました。どうも風邪をひいてしまったような
感じです。
そこで30分ほど休憩してさらに会場にかなり早く(30分前)着いて
みると、またまた階段のところにアレン・ストレンジが座って、
空を見上げていました。声をかけると、「何年か前に亡くした
ワイフを思い出していたよ」と、なかなかセンチなモードに入って
いました。そろそろ活気が出てくる(^_^;)という夜のテッサロニキの
街の灯りは、あの陽気なアレンもセンチにさせたのですね。
9:00pm, Ceremonies Hall
"Six Japanese Gardens",
SAARIAHO Kaija, FINLAND, 9 minutes
(S. Schick)
ステージにずらりと展開された膨大なパーカッション。そこに登場
したのは、前夜のキャバレーでジョージ・ルイスのトロンボーンと
掛け合いでびしばしのフリードラムを叩いていた、同じSchickさん
でした。彼はパーカッショニストであり、ロックやジャズのドラム
「も」余裕で叩けるのでした。(^_^;)
ICMC93の時に日本で録ったサウンドをベースにしたテープ、と
ありましたが、日本人の僕にはとても日本とは思えなかったです。
中国というか韓国というか。もっとも中国人や韓国人が聞いても
同じように言うのでしょうが。(^_^;)
"Mathematica",
CAMPION Edmund, USA, 10 minutes
(Theta)
4CHサウンドのミニマルな打楽器系の音のテープと、フルートが
スタカート中心でこれに掛け合う、というものでした。ちょっと
つまらなかったです。(^_^;)
"Cruelties: A Catalogue Of Grotesque Events With
Real-Life Examples",
WILLCOCK Ian, UK, 17 minutes
(SurPlus)
タイトルをちゃんと見てから聞いたら、心構えができてよかったの
ですが。いきなり2本のクラリネットが非音楽的な強奏で猫のさかり
みたいな音で唸り、バイオリンは弓を押しつけて音をきしませ、
パーカッションは大太鼓に発砲スチロールをごしごしとこすり
つけたりバスドラムのペダルを連打し、ソプラノは地声で叫び、
ここに電子音でさまざまな耳障りな音をぶつけてきます。
僕の前列の人たちはICMCの常連ではなく地元の堅気の衆らしく、
耳を塞ぎ、身悶えしてのたうちまわっていました。(^_^;)(^_^;)
たいていの音はノイズ、きしみ、そして音楽的なビブラート禁止
というルールで登場し、なるべく聴衆の神経を逆なでする、と
いうコンセプトの音楽のようです。現代音楽の一時代、こういうの
ばっかりの時期があった、という意味では正統的なものなのです
が、こういうのが一般から乖離した現在の現代音楽をもたらした
という事もあるので、ちょっと考えさせる機会となりました。
この17分は、かなりキツかったです。(^_^;)
"Watershed III",
REYNOLDS Roger, USA, 30 minutes
(SurPlus with S. Schick soloist)
最後はロジャー・レイノルズの大編成の大曲です。ピアノ、
フルート、クラリネット、トランペット、バイオリン*2、
ビオラ、チェロ、コントラバス、ホルン、サックス、
クラリネット、トロンボーン、指揮者、そこにまたまたメイン
のソリストとしてSchickさんです。そしてこのパーカッション
の一つ一つにマイクがあって、これがミラー・パケット自ら
操作するIndyのFTS(あるいはPD)によって、6チャンネルほど
のPAにそれぞれ個別に空間移動される、という贅沢なもの
です。DSP-MAXをまったく信号処理でなく、単なるディジタル
ミキサ(ほんの一瞬だけリバーブ)に使ったわけです。(^_^;)
アンサンブルもソリストも上手いので楽しめたのですが、
ちょっと30分は長かったです。最後は眠くなりました。
終わったあとの「ブラボー!」は判るのですが、「アンコール!」
というのは皮肉に聞こえました。(^_^;)
12 midnight, MILOS Jazz Bar.
さて、そしていよいよ深夜のキャバレーの2夜目です。バスで
またまたMILOSバーに向かいます。前夜は土曜日ということで
凄い混みようでしたが、まさか全ての商店が休みの日曜日、そんな
ことは無いだろうと思って行ってみると、またまた盛大に盛り
上がっていました。ギリシャ人はこんなに遊びまくって、いったい
どうやって食っているのでしょうか。(^_^;)
(もっとも、連日深夜まで騒々しい渋谷や新宿を見た外国人も
そう思うのでしょうね。ギリシャ第二の都市ということは、
いわば僕たちは大阪ナンバの道頓堀あたりに行ったようなもの
なのですから)
"House of Mirrors"
by Fernando Lopez-Lezcano
ラジオドラムの独奏で、音源はTG77とVL1でした。物理モデル
シンセの連続音のコントロールにラジオドラムの非接触制御は
見ていて気持ちいいのですが、シーン切り替えとかの指示まで
全てラジオドラムで行うために、音にならないけどあちこち
叩いている、というのがあまりに多く、ちょっとこの部分が
不満でした。他のセンサと共用すればいいのに、というのは
門外漢の感想で、きっと当人はこれで全てできる、という
ところにこだわっているのでしょう。(^_^;)
"Pigra giornata"
by Roberto Doati
「グロテスク」の曲でも出てきたソプラノのおばちゃんが、
ステージ中央の椅子で足を組んでフリージャズで歌い倒して
おしまい(^_^;)でした。どうもテープが出なかったようです。
それでも慌てず騒がず、フリーにジャズって終わってしまう
この人も凄い。
"Improviations"
by Curtis Bahn, Daniel Trueman
エレキパイオリンとエレキベース(ウッドベースの骨だけの
部分にした演奏センサ)の掛け合いでした。それぞれ上手い
ので、なかなか聞けました。
"Greased Lightning"
by Don Buchla
2本のLEDを仕込んだバトンのセンサがBGMパートを「指揮」し、
ジョージルイスのトロンボーンの即興とからみました。でも、
肝心の伴奏部分はあまり面白いものではなく(後半はMIDIの10
チャンネルにして、バトンの位置ごとに打楽器が乱打されるだけ
というもの(^_^;))、ルイスの力量に支えられて聞けた、という
作品でした。最後にキーボード付きのブルースがおまけで
ありました。
"Elemental Vamp"
by Allen Strange
以前のICMCで、ステージ上のジュースの缶を投げたりつぶしたり
したアレンなので期待していたのですが、なんとテープ作品
でした。ここに、ダンサーがフリーに踊る、というもので、
なるほどリハは不要なのでした。なかなかいい感じでした。
"Gandy Bridge XI"
by Cort Lippe, Zack Settel
そしていよいよ、リッペとザックの「コンボリューション・
ブラザース」です。コンサートプログラムには曲目紹介と
それぞれの作曲者のプロフィール(どこで音楽を誰に学んだ、
いまどこで仕事している、どんなコンペに入選した、等々)が
書かれるのですが、この二人のところは異色です。「二人とも
30代の白人のおっさんで、一人はやや太い。二人とも銀行に
ローンを抱え、....」という感じです。(^_^;)(^_^;)(^_^;)
まずは着替えてアロハにサングラスという、ヤンキー風の
リッペが登場し、マイクでザックに呼びかけます。ところが
ザックが出てきません。やがてスクリーンにカメラの映像が
出てきて、ネクタイ姿にオールバックのザックが映り、その
潜んでいたところが煙に包まれて、ズボンをはいていない
ザックがソデから登場します。うーーーむ、このあたり、
最前列で見ていた僕と上符クンと片寄さんと橋本先生は
判るのですが、うまく実況できません。(^_^;)
マシンはリッペの使い慣れたNeXTキューブがステージ前に
置かれています。もう製品としては現存しないものです。
この間も二人のマイクは刻々とステージ中央のISPWで色々に
処理されています。マイクの接触不良のようなノイズをわざと
入れたり、ビットレートを落として不調のラジオみたいに
したり、もちろん各種エフェクトも、二人で掛け合いしながら
それぞれコントロールパネルを色々いじって変えていきます。
そしていよいよ、それぞれのマイクの音をコンボリューション
していきます。カシオのミニキーボード、リッペが首に
かけたオモチャのダックボイスマシン等も使って、とにかく
基本的には二人のマイクからの音を全てアドリブで信号処理
するだけで、圧倒されるような多彩なサウンドが会場に満ち
溢れました。これはもう、今のところ世界中でこの二人でないと
できないジャムです。来場したギリシャの一般客は凄い体験を
できたと思います。(^_^)
とにかく圧倒されまくりのライブが終わってみると深夜の、
というか早朝の26時35分。前夜と違ってちゃんと24時に
スタートしたというのに、2夜目はそのままバタンキューで
寝たのが3時半になりました。どうも会場のもうもうたる
煙(no smokingと書いてあるのにPAスタッフとかもくわえ煙草
で仕事している(^_^;))で喉にきたようで、いよいよ風邪モードを
自覚しながらまたまた泥のように眠りました。
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/29の朝
からです。
目覚めてみると完全な風邪で(^_^;)、鼻水ズルズルくしゃみ続出、
これは困ったなぁと思いつつカッコントウを飲みました。朝食を
かっこんで、とりあえず途中の銀行でようやくTCをドラクマに
両替して、すぐに近くの薬局に飛び込みました。これが日本で
あれば、風邪薬と一緒にユンケルみたいなビタミンのドリンク剤
を飲むところなのですが、どうもギリシャの薬局にはああいう
スタミナドリンクは無いようです。まったく英語が通じない
ので、喉を指さしたり咳やクシャミの真似をして、たぶん風邪薬
だと思われるものを買いました。日本なら1500円ぐらいするので
3000ドラクマぐらいかな、と思ったら430Dでした。これはコーヒー
1杯と同じです。日本の薬って異常に高いのでしょうか。(^_^;)
この日は、朝、ホテルの部屋に中村先生から電話があり、演奏に使う
僕のセンサは問題なく動いているものの、前日のリハでどうも
会場のMacのOMSが一度コケたので、不安だからゲネプロに
一緒に立ち会って欲しい、と依頼されました。これでペーパーの
予定もさらに変更ですが、とにかくうまく行って欲しいものです。
また、この日は最初から遅刻モードを予定(^_^;)していて、以下の
スタジオレポートは全てパスしました。
"Studio Report: Sonology Department Kunitachi
College of Music", Takayuki Rai
"Center for New Music and Audio Technologies (CNMAT):
Studio Report", Richard Andrews
"Studio F at the Czeck Radio in Prague: Studio Report",
Libor Zajicek
"University of Limerick Computer Music Studio",
Paschall de Paor
ペーパーセッションはまたまた物理モデルなのですが、まずは
ちらっと以下のデモとポスターをチェックしておきました。
DEMO
"New Musical Control Structures from Standard
Gestural Controllers", Matthew Wright
CNMATのデモで、タイトルからどんな新しいセンサを使うのかな、
と期待していたのですが、なんと日本のワコム社のペンタプレット
を使っていました。(^_^;) ちゃんとSGIとのインターフェースとか
パターンマッチみたいなことをまともにしています。
これも、僕と由良さんがやった"Muromachi"と同じような
ことになりますね。
POSTER
"A Modal Distribution Study of Violin Vibrato",
Maureen Mellody
簡単なようで難しく、ラボでも深入りを断念したバイオリンの
ビブラートなのですが、ここではモーダル解析を利用して
分析をした紹介ということでした。
また、この日は以下のデモとポスターはパスすることになりました。
物理モデルのセッションがずっと続いたからです。もう、途中で
荷物を畳んで階下に降りて、また上がってくるというのを繰り返す
体力が無くなってきていたためです。(^_^;)
DEMO
"Elody: a Java+MidiShare based Music Composition
Environment", Stephane Letz
POSTER
"Towards the identification of the noise source in the
vocal tract - obtaining data from the electropalatograph",
Alex Bakalakos
"A Frequency-Dependent Bilinear Time-Frequency
Distribution for Improved Event Detection",
Andrew Sterian
さて、そういうわけで物理モデルのセッションです。さすがに
前夜のダメージか(^_^;)、あるいはスタジオレポートから始まる
ということからか、ちょっと前日よりは少ない会場となりました。
調べてみるとこのセッションは、正体の知れないヘルシンキ
の人を除くと、全てCCRMAかIRCAMです。楽音合成の分野では、
世界の先端はこの二つのライバル研究所が、文字通りしのぎを
削っているということですね。ただし、単にライバルというより
も、両方に所属とか行ったり来たりしている人も多いので、
まさに「ともに新しいComputer Musicの可能性を拓く」と
いうことでいい意味のライバルとして進んでいる、という気が
します。日本でこういう文化になるのはいつの事でしょう。
"Efficient models for distance and reverberation
rendering in computer music and virtual audio reality",
Jean-Marc Jot
まずはIRCAM。リバーブというもの全体をいわば物理モデル化して、
応用としてVRを意識しつつ各種のパラメータを「レンダリング」する
というものです。サウンドの世界ではあまりレンダリングとは言わない
ところを逆に利用しています。
"Multirate Extensions for Model-Based Synthesis of
Plucked String Instruments", Vesa Valimaki
ディジタルフィルタによる物理モデル音源についての発表ですが、
フィルタをマルチレートにするぐらいでどうもイマイチだなぁ、と
思って見てみると、これがヘルシンキの研究所でした。(^_^;)
"Coupled Mode Synthesis", Scott Van Duyne
今度はCCRMA。打楽器の物理モデルにこだわり、正直な2次元
メッシュによる方法は処理が大変なので、オールパスフィルタと
ディレイラインを組み合わせた最小構成ディジタルフィルタを
多数、カップリングフィルタに対して並列に接続する、という
アルゴリズムを提案しています。個人的には、膜の打撃と振動の
物理モデルが本当にこのような前提でいいのかどうか、ちょっと
疑問でしたが、デモの音を聞いて感心しました。
最初は色々な打楽器の音の実現例ですが、これはもうPCMの方
が似ているような気がしました。(^_^;)
ところが、物理モデルシンセですから、たとえば最初はタムの
音で、Winパソコン上のソフトシンセでこのディレイを自在
に変えるだけでなく、フィルタのパラメータをいじって高次
倍音を非線形にするとガムランのようになめらかに音が
変形し、さらにドラとか風鈴にもその場で滑らかに変化でき
ました。こうなるともう、完全にPCMではどうにもならない
世界で、物理モデルシンセならではの可能性があると思います。
このソフトシンセ、僕も欲しくなりました。(^_^)
"A Lossless Click-Free Pitchbend-able Delay Line
Loop Interpolation Scheme", Scott Van Duyne
同じ発表者が「Good Morning!」(^_^;)でさらに別ネタで
発表です。サーベイ付きで、ディジタルフィルタを構成する
ディレイラインと補間処理の部分の効率的な結合について検討
したようです。
"A Fractional Delay Application: Time-Varying
Propagation Speed in Waveguides", Stephan Tassart
今度はIRCAM。管楽器の物理モデルで、トロンボーンのように
音圧の強い楽器では、ウェーブガイド方式の前提である線形性
が崩れる、という部分を追いかけたもののようです。デモの
音は不調で聞けませんでした。(^_^;)
"Digital Waveguide Modeling of Woodwind Toneholes",
Gary Scavone
管楽器の物理モデルで、ウェーブガイドフィルタで指穴の付近の
挙動をシミュレートする、というちょっとマニアックなCCRMA
の研究でした。デモでは複数の音からなるパッセージを鳴らした
音を聞かせたのですが、確かに次々に指穴の塞がれ方が変わって
滑らかに推移している(MIDIとかだとそれぞれの新しい音が
単に起動されるだけ)のが判りました。ただし、実際の演奏では
タンギングとかをしているために、けっこうMIDIの単純な
ものでもソレッポイ(^_^;)ということもあり、ちょっと考え
させられるところがありました。
"Nonlinear Commuted Synthesis of Bowed Strings", Julius Smith
音源ネタといえばSmithですから注目したのですが、なんとこれも
ビデオでの出演でした。(^_^;) 僕はそこで退席したのですが、会場
には熱心にビデオ発表を眺める人が多く残っていました。
DEMO
"The 1997 Mathews' Radio Baton: New Hardware and
Improvisational Software", Richard Boulanger
ラジオバトンの新しい紹介、というと何やら期待させますが、
要するにハードというかシステムの部分はあまり変わっていなくて
MAX一発で済むような即興支援ソフトがおまけについてくる(^_^;)
というようなものでした。
POSTER
"The Metabone: An interactive sensory control mechanism
for virtuoso trombone", Marc Alexander Bromwich
特殊なトロンボーンのための特殊なセンサ、というものです。
こうして見ると、ラボで志村さんのサイバー尺八のために作った
センサ群もこういうように見られてしまうのかなぁ、と考え
させられてしまいました。やっている方はけっこう汎用センサ
とかその情報処理とかで苦労しているのですが、マイナーで
あればそう見られる、というのはなかなか大きな壁かもしれません。
そして、中村先生のゲネプロに向かうために、予定変更で以下の
ペーパーもパスということになりました。最後の2件はたぶん後藤
さんもしっかりチェックしている筈なので、あとで聞くことに
しました。(^_^)
"DSP - For Children", Joran Rudi
"MiniMS, Multi-Participant Interactive Music
Services", George M. Robertson
"Distributed Music Rehearsal", Dimitri Konstantas
"Using Java to Stream Audio over ATM", Stephen Malloch
"MIDI Session Over the Network Using Transis Group
Communication System", Dan Gang
そしてゲネプロ会場のオリンピオン・シアターに向かいました。
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/29のコンサート
からです。
中村先生のゲネプロに立ち会うという予定変更のために、15時からの
ペーパーをパスしていたのですが、後から片寄さんや後藤さんから
聞いた話では、「完全にハズしていた」そうで、聞いても意味が
ないほどだったようです。よかったというのか、聞いていただいた
皆さんに悪かったというのか。(^_^;)
中でも、早稲田出身で今はイギリスから毎回ICMCに参加している
板垣さんによると、
"MIDI Session Over the Network Using Transis Group
Communication System"
という、一見すると後藤さんのRMCPと同じようなソソラレル題目
の発表をしたイスラエル人はICMCでは札付きの大ホラ吹き(^_^;)
だそうで、以前にもアイデアのみでまったく実現性の無いのを平気
で発表していたらしいです。「そのアイデアのもとで、どんな実装・
実現をしたのか」どころか、「どんな実験をしてみたのか」と質問
しても、「何も」(^_^;)(^_^;)(^_^;)ということらしいです。でも、
アブストラクトの段階で査読者を騙せる、その英語力が僕は欲しい
と切実に思います。(^_^;)
そしてこのレポートを書きながらコーヒーをすすっていると、葡萄
の一杯入った袋をドカッ! と平賀さんが持ってきました。皆さんで
テッサロニキで有名な朝市に行っていたらしいです。そして、橋本
先生が小さなマンドリンみたいな民族楽器(12弦ギターのように
2本ずつ並んだのが3セットというもので、低音部だけオクターブ
違う太さの弦を張り、チューニングはたとえばC-G-C)を買って
きました。僕も何か欲しくなったので、場所を聞いて、ゲネプロの
途中に寄ることにしました。
まずはその前にマクドナルドで昼食。このところ連日マクドです。
僕は日本ではあの濃い味が嫌いでいつもこういうのの場合には
ロッテリアなのですが、マクドしかないので仕方ありません。
何か腹に入れたところで、再び現地調達した風邪薬を飲みました。
あいかわらず喉が腫れていて痛いです。(^_^;)
そして問題の楽器屋に行ってみて、気付きました。ギリシャの常識
はまだ僕の常識になっていなかったのです。午後3時半にはお店は
閉まっているのでした。(^_^;) 仕方なくホールに向かいました。
6:00pm, OLIMPION
"Kagami for Zephyros and Computer",
NAKAMURA Shigenobu, JAPAN, 14 minutes
(Kiyonori Sogabe)
この曲だけはゲネプロから紹介できます。(^_^)
ゼフィロスという、蘇我部さんがヤマハに特注した、トロンボーン
のようなスライダーのついたトランペットとライブComputer Music
とのセッションの曲です。背景音楽部分は既にCDになっていて、
曽我部さんが僕の作った赤外線ビームセンサ(OMRONの工業用
光ビームスイッチを使い、ビームをよぎる速度を検出してMIDI化)
を前後に置いて吹きながらアクションする、という構成です。
前夜のリハで、一度だけOMSのセッティングから落ちたので心配
だから立ち会って、ということでしたが、特に問題もなく、僕は
音量バランスの調整などで助言しただけでした。とひろが最後に
なって、ソリストから一部だけ背景音響が聞き難い、というリクエスト
が出たため、急遽、僕は2階席のミキサのところでその部分だけ
3箇所、ミキサをライブで操作することとなりました。
シンセならMAXのパッチ上でその場で調整できますが、CDの音量
はあとから変化させるのは不可能ですから。(^_^;)
その場で渡された楽譜を初見で追いかけて、というのはなかなか
スリリングですが、まぁ師匠の見慣れた楽譜なので、なんとか
なりました。
本番もいいバランスでいけたと思います。板垣さんによるとどこか
でハムっていたらしいですが、たぶん曽我部さんのトランペットを
送ったワイヤレスでしょう。なんせコンサートホールなのに、この
ワイヤレスはよくある「講演用」のアレだったのです。(^_^;)
客席の反応もまずまず好評で、成功だったと思います。よかった。
"MYR-S",
VAGGIONE Horacio, FRANCE, 8 minutes
(Theta)
チェロ奏者の音響を素材として加工したテープと、ステージ上の
チェロとの掛け合いという古典的スタイルのものでした。かなり
うまいのですが、PAの特性とかもあってステージ上のチェロ
よりも電子音響の方が妙にリアリティがあったりして、やや
不思議な気分になりました。こういうのは、たいていは「電子
音響よりも、ホラやはり本物の方がいいでしょ」というのが
普通ですから。
"Mist of Rainbow",
IWATAKE Toru, JAPAN, 12 minutes
(Tamami Tono)
岩竹さんの作品で、東野さんの簫の演奏でした。明日から
ヨーロッパの雅楽公演ツアーがあるという東野さんの、凛と
した背筋を伸ばした演奏と簫の音色(岩竹さんの電子音響の
部分も、基本的に簫の音から構成されています)とが、
いい空間を作りました。終わっての会場の反応もブラボー
ものでした。(^_^)
ただし、プログラムノートをあとで読んでみると、これは
阪神大震災に関する鎮魂の曲ということだったのですが、
あとから思い出すとあの重低音の音響が地震だったのか、と
納得もできますが、この曲を予備知識なしに聞いて、そう
いうレクイエム的な印象を持つかというと話は別で、こういう
コンセプトものとComputer Musicの難しいテーマについて
考え込んでしまいました。まぁ全体として平和を祈る、という
雰囲気は確かにありましたが。(簫でフラメンコのような情熱的
な世界を演奏するのはちょっと困難でしょうけど(^_^;))
"Cregg's Pipes",
PENDER Terence , USA, 10 minutes
(Soloists from USA and GREECE)
作曲家本人がマンドリンを弾いての演奏で、なんともプログレ。
僕は好きですが、寝た人も多いでしょう。背景音響も同じ楽器
の音を素材としています。このアコースティックなサウンドは
ツェッペリンのLPにも何曲かあります。(^_^;)
"The Lugubrius game",
HUMMEL Thomas, GERMANY, 11 minutes
(SurPlus)
テープはひたすら、バイオリンによる現代奏法の色々な音響
断片が去来し続け、ステージ上のバイオリニストは楽譜を
黙々と追いかけて、たまーーーにちらっと同じような音を
出そうとしますがスグに止めてまた聞き、そして最後には
まだテープが続いているのに引っ込んでしまいました。(^_^;)
これはいわば、「生の演奏家がテープのバイオリンの音響の
凄さに負けた」という事でも言いたいような演出です。
ところでこのテープにある音響は、実際のバイオリン演奏
から録音して再構成(編集)したのでなく、全て電子的に、
つまり物理モデル方式の手法で合成したのだ、ということ
なのです。どうだ、ここまで物理モデルシンセはきたのだ
ぞ、と言いたいのでしょう。ただし、この音響はあくまで
非実時間でゆっくり合成して再編集したものであり、これを
MIDIシンセのように実時間で出すのは、あと少し時間がかかる
でしょう。もっとも楽器メーカのLSIなどでなく、たとえば
PentiumPro400MHz相当程度の処理能力にパソコンが進化
すれば、全てソフトで楽勝でいくでしょう。あと2年も
かかりませんね。(^_^)
"Shells",
ROWE Robert, USA, 8 minutes
(SurPlus)
タロガトというバスクラリネットのような民族楽器のソロ
とライブComputer Musicの掛け合いで、さすが「Interactive
Music」の著者のロウさん、自分の自慢のサイファーを使って、
ソリストの演奏をトラッキングして伴奏をその場で自動生成
していたようです。
ただし、トラッキングと伴奏生成のためのディレイがはっきり
判るために、だんだん何となく欲求不満になったのは僕だけ
だったでしょうか。(^_^;)
9:00pm, Ceremonies Hall
--- Compositions/Choreographies for
interactive movement/sound systems.
いよいよ、僕にとっては今回のICMC最後のコンサートとなりました。
ただし、予定では行けない筈の翌日のコンサート作品のうち、
たとえばロバートロウさんの上記のものなど気になっていた
ものがこの日にスライドしていたので、これだけはラッキーでした。
18時のコンサートが終わるとそのまま早足で例の楽器屋に
行ったのですが、どうも電気だけ灯っているので、さっきまで
営業していたみたいです(^_^;)。結局、僕は伝統楽器のショッピング
と縁のないまま、ギリシャを去ることになりました。
このコンサートは、平野さぶろさんのMIBURIもの、そしてダンス
ものが連なっていました。
また、小坂さんの紹介で、さきほどのコンサートで簫を演奏した
東野さんと話をすることができました。彼女は慶応の岩竹さんの
ところでKymaを使っているということで、簫のためのセンサを
いずれ作りましょう、ということで話が決まりました。(^_^)
10月末には、ちょうど僕が東京を通り過ぎる(神戸の講義のあと
浜松を通過してのぞみで東京に、さらに長野新幹線に乗ります)
機会があるので、秋葉原で一緒に部品探しをすることにしました。
まずはとりあえず簫を演奏しながらMIDIトリガを出すスイッチ、
そしていずれは呼気と吸気の両方ある「簫のためのブレスセンサ」
です。前者はAKI-80なら2日仕事ですが、後者はいろいろと
予備実験が必要です。ちょっと楽しみです。(^_^)
照岡さん、またこの件ではいずれ、よろしくお願いします。
"Memory of Absence",
PINKSTON Russell, USA,12.00
語り付きのテープ音楽とダンスで、フロアにはセンサの仕込まれた
マットが2箇所ほど敷かれていました。語りの意味が判らない者に
とっては、ちょっとなんだかよーわからんものでした。まぁこんな
ものでしょう、というところ。(^_^;)
"Movement Study I",
SIEGEL Wayne, DENMARK, 12 minutes
ダンサーがステージ中央でスタンバイした冒頭で、いきなり
ミキシングコンソールのところの作曲者がMacをリブートして
仕切直しをする(^_^;)、という波乱の幕開けでしたが、あとは
無事に行きました。ダンサーはMIBURIの曲げセンサの中に
入っているのと同じような、シート状の曲げセンサを両肘
と両膝と両足首に張り付け、このセンシング情報をワイヤレス
にシステムに送っていたようです。まぁこの手の作品は、
ひとえにダンサーの即興性にかかっている、ということで、
なかなか好評でした。
"Ping-Bang",
SABURO Hirano, JAPAN, 10 minutes
さて、いよいよさぶろさんの作品です。(^_^)
ステージ中央にはスクリーンを背負ってHanachiさんの勇姿。
彼女はMIBURIをヤマハの提供するそのままの形で使うので、
こういうMIBURIそのままサウンドというのは、もしかすると
ICMCとしては初めてになります。映像は伊奈さんのもので、
ライブでエフェクトとかもかけます。サウンドはプログレ。
ひとえにHanachiさんのPerformanceに依存した作品です。
無事に終わったところで「ブラボー」も飛び出し、なかなか
好評でした。ただ、僕は知っているので判るのですが、
MIBURIの演奏から音楽も画像もトリガされて生成されて
いる、というのはなかなかそう見えにくく、たぶんビデオ
映像やバッキング部分はテープを再生しているところに
センサで別の音を出すPerformence、と見た人が多かった
と思います。別にそれだっていいわけですが。(^_^;)
"Vacum",
KAMAROTOS Dimitris, GREECE, 9 minutes
段ボール箱に入ったダンサーがしずしずと登場し、ダンス
というより一人芝居みたいなパフォーマンスをして、最後は
箱から出した電気掃除機でステージを掃除していました。
僕にはなんのこっちゃ、よく判りませんでした。(^_^;)
"cRoSs LiNes",
TZEDAKI Katerina, ANTHIMIDOU Maria, GREECE, 9 minutes
テープとダンスの、まぁこのタイプとしてはもっとも正統的な
スタイルの作品でした。これもダンサーの熱演で、すごい好評
でした。まぁこちらは作曲家もダンサーも地元ギリシャということ
もありますので、アウェイでの健闘ということでは、さぶろさん
も十分に評価を受けたと言っていいと思います。(^_^)
これでコンサートは終了。この日に深夜の部がないのは、翌日
はバンケットなので、この晩には親しい仲間で飲みに出かける
ようにICMAが配慮している(^_^;)からなのですが、僕は風邪のほぼ
ピークにあったので、とにかく睡眠時間の確保のためにホテル
に戻りました。平賀さんと橋本先生と一緒だったので、ここで
初めて市内のバスに乗りました。寝たのはかなり早くて、それ
でも24時過ぎでした。(^_^;)
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ICMC1997Thessalonikiのレポートの続きです。9/30の朝
からです。
さすがに寝不足が続いたので、この日は朝型の僕でも起床は8時
過ぎになりました。(もっとも一度は5時頃に起きましたけど。)
あいかわらず喉は腫れているものの、ピークは過ぎつつあるようで、
またまたカッコントウ(これは食前)、そして朝食を胃に入れてから
地元調達の風邪薬、とクスリのダブル攻撃をかけました。(^_^;)
この日は朝イチのペーパーセッションはスタジオレポートなので
つつしんでパスさせていただき(^_^;)、午後もホテルを出て空港に
向かうということで、
DEMO
"RTcmix -- Using CMIX in Real Time", Brad Garton
というのを見るのと、あとは
POSTER
"A Toolkit for Interactive Digital Art", Haruhiro Katayose
というポスターの片寄さんの写真を撮ることを目的に会場に向かい
ました。もう重いProceedingsもホテルに置いてビデオカメラだけ
肩にかける、という軽いノリです。(^_^;)
途中で、前日閉まっていて入れなかったマケドニアなんとか博物館
というのに入りました。いやはや、本当テッサロニキは紀元前から
長い歴史があるのですね。それも町中のそこらここらに遺跡が
あり、その周囲では道路をびしばしにクルマの洪水が走っています。
なんというか、現代と古代とが凄い共存をしています。(^_^)
会場では、デモの方は黒山の人だかりでとても見えず(外人にこう
立たれると、僕はもうどうしようもないです(^_^;))、一方、片寄
さんの方は日本人相手に熱弁をふるっていました。(^_^;)
ちらっと覗いて、ちょうど発表の終わる直前の平賀瑠美さん(筑波の
五十嵐研究室のスタジオレポートの発表で、平賀譲さんの奥さん)
の写真も撮れました。平賀旦那はかいがいしく、ビデオのオペレータ
でした。(^_^;)
午後には「パフォーマンスシステムとインターフェース」と、
「人工知能と音楽の自動認知」という、いずれもソソラレル
ものがあり、さらにポスターとデモも面白そうなものが
あったのですが、残念ですが全部パスです。ここではタイトルの
列記を省略しますので、少し前にこの会議室で全部紹介して
いますから、そこを見て下さい。また、Proceedingsですが、
ICMAから買えるのですが、ICMCが終わってしばらくは財務の
整理があって、完全にICMCの決算が終わってからICMAに移管
されるまでの期間だけは入手できません。たぶん来年に
入ったら入手可能となりますので、欲しい人はそれまで
お待ち下さい。あと、ICMC1998の発表募集・参加募集の
いつもの小冊子ですが、少しだけですが僕も持って帰った
ので、ただ眺めるだけでなくペーパーか作品かの発表を
考えている人優先ですが、お譲りします。といっても、これは
ICMAに「ICMC1998の参加キットをくれ」とメイルするだけ
で郵送されてきますし、応募用紙はコピーでもOK、さらに
ペーパーのアブストラクトは今回はメイルなので、何もなくても
応募できます。
....と、ここまで同時進行で書いてきて、ここからテッサロニキ
空港に向かいます。「ICMCのまとめ」はアテネへ、さらに
ローマへ、という機内ででもぼちぼち考えて、ローマのホテルか
帰りの機内ででもまとめてしまおう、という作戦です。(^_^)
===========================================
ICMC1997Thessalonikiのレポートの最終回です。
さきほどのレポート(12)をテッサロニキのホテルの部屋で
書いてから空港に行き、アテネへのフライト、さらにアテネ
空港でアリタリアのローマ行きのフライトに乗り継いでローマ
に行って、そこで時間調整の1泊。日本から来た時と同じ
ルートなので、今度はまったく躊躇することなくぴしっと
行動できました。そしてまだ治るという感覚ではない風邪と
共存しながら、いまこれをフライト前のローマ空港で打って
います。カフェの席の後ろにコンセントを発見してチャージ
しながら打っているので、バッテリー切れの心配がなくて
とても快適です。(^_^)
ICMC1997Thessalonikiレポートをまとめて気付いた事
(トレンドなど)を、アトランダムに書いてみたいと思ったの
ですが、この部分は「bit」に書くレポートでも重複する
内容ですので、ここでは見出しだけを考えて並べてみる
ことにします。これを基に、機内ででもbitのレポートを
書いてしまいたいと思います。なお、ここまでの他の記事に
ついてもそうですが、この部分の転載等はしばし(約半年は)
御遠慮ください。
●ペーパーは絞られただけにレベルが高かった
●楽音合成/信号処理関係は相変わらず堅調に進展した
●「ボイス」への注目とボコーダの復権
●シンセねたやGUIねたはPCの性能向上で広く展開された
●プラットフォームはPowerMacかPentiumマシンかSGIのO2へ
●色々な意味で「電子楽器メーカ」と「ソフトシンセのメーカ」
との差がなくなり、楽器メーカの位置がますます低下
●「音声」の領域との接近・重複が始まっている
●物理モデルは、アルゴリズム開発組、実装効率化組、評価組、
演奏アプリケーションなどの分業で加速
●ICMC1998(ミシガン)の情報
●ICMC1999は中国・北京で!
といったところでしょうか。今回は例年になくペーパーの倍率が
厳しくて、参加せずに留守部隊となった国内の研究者も数多く
いました。たしか、ちょうど情報処理学会の全国大会もモロに
この期間に行われた筈ですね。(^_^;)
でも、5回連続参加して、1年スキップして再び参加して思うのは、
応募して通ったら行く、通らなかったら行かない、というのは一般に
国際会議での常なのですが、なんとか自腹で頑張ってでも参加する、
という意義があるのがICMCだなぁ、と再認識しました。国内でどう
頭をひねっても出てこないアイデアやヒントや刺激がそこら中
にぞろぞろあるのがICMCなのです。(^_^)
来年以降も、もちろん参加することに意義があるのでペーパー
も作品も応募したいと思っています。セレクションというのは
どうもその時々でちょっと傾向の波がありますが、その結果と
関係なしに、とにかく基本的にはスケジュールと資金をそのため
にせっせと準備しつつ、また来年のミシガンも、その次の中国も
(どうも中国のICMC開催に関しては、橋本先生とか莱さんの
ところとか、つまり日本の音楽情報科学研究会あたりの関係者
はかなり関わることになりそうな雲行きですが(^_^;))、ぜひとも
参加していきたいな、と改めて決意しました。お仕事モードで
せっせとICMC基金を積み立てていくように頑張らないと。(^_^;)
皆さんも、ICMC1999は実施までの曲折はちょっと一波乱あり
そうですが(^_^;)、中国でのICMCというなかなか面白い組み合わせ
でもありますので、考えてみてはいかがですか。Computer Music
の満漢全席(^_^;)をフルに堪能できると思います。
以上、だらだらとしたレポートでしたが、読んでいただいた方
はご苦労さまでした。これからミラノを経由して、関空に向けて
13時間ほどのフライトです。(^_^)
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