==================================================================== ■■■ 相愛大学音楽研究所 ワークショップ ■■■   レクチャーコンサート「コンピュータ音楽1999 --- 人間回帰」 ●日時 1999年3月20日(土) 15:00-17:30 ●会場 相愛大学内・大ホール      大阪・ニュートラム「ポートタウン東」下車徒歩3分       (なお、来場者は受付で氏名所属を御記入願います) ●講師 長嶋洋一(作曲家、Art & Science Laboratory代表) ●ワークショップ解説  これまで5年にわたって、Computer Musicに関する、センサ、MAX、カオス理論、 アルゴリズム作曲、音響信号処理、などの最新の話題を紹介し、その実例を紹介 するコンサートを行ってきました。今年は「世紀末/新しい時代への胎動」を 意識して「人間回帰」をテーマとし、ワークショップ全体を一つのレクチャー コンサートとして、Computer Musicのさまざまなバラエティを、多数の新作初演 とともに体験していただくイベントとして企画いたしました。  前半のレクチャー部分では、米国で開催された国際会議ICMC1998の最新状況の 報告、コンピュータによる音響信号処理/音響生成のデモ(SuperCollider、MSP、 Kyma等)、そして「コンピュータ音楽のいろいろな形態」として様々なスタイル の可能性に挑戦するComputer Musicの状況を解説しながら、その生きた実例紹介 として、コンサート部分に引き続いていきます。  コンサートとしては、正統的なスタイルの現代音楽作品からコンピュータと 組み合わされた作品、そしてコンピュータの特性を駆使した色々なスタイルの 作品について解説を交えながら、初演7作品を含む8人の作曲家の9作品が競い合う 充実の内容となっています。いずれの作品にもキーワードの「人間回帰」が深く 関係します。コンピュータと対峙する人間の演奏家、そして新しい可能性を模索 しながらも人間に回帰するコンピュータ音楽について考察していきます。 ●プログラム [レクチャー]     1.ICMC1998報告(世界先端の研究状況/創作状況のレポート)       毎年開催されている、コンピュータ音楽国際会議(ICMC)の状況に       ついて、米国ミシガンで開催されたICMC1998の最新の状況を報告       する。先端の研究状況とともに、コンピュータ音楽作品の創作の       傾向、およびインスタレーションという形態の作品について、       ビデオによるレポートを交えて紹介する。     2.コンピュータによる音響生成のデモ(SuperCollider/MSP/Kyma等)       コンピュータ技術の進展とともに発展しているディジタル信号処理       の具体例として、パソコン上で走る音響処理/音響合成ソフトの       実例などについて、簡単なデモンストレーションを交えて紹介する。     3.コンピュータ音楽のいろいろな形態       最近のコンピュータ音楽の色々なアプローチとその作品形態に       ついて、いくつかの特徴とともにその創作の視点から紹介する。       (それぞれの分類記号は、コンサートの部で演奏される作品と        便宜的に対応をつけて、理解の助けとしている)      (A)古典的現代音楽作品         コンピュータ音楽と限らず、いわゆる現代音楽として作曲された         作品。コンセプトや音楽的語法の一部に、カオスやフラクタル等         の概念のコンピュータ・シミュレーションを組み込む場合もある。      (B)電子音響作品         いわゆる「テープ音楽」であり、伝統的な電子音楽にコンピュータ         を活用したもの。手法の大きな柱には、ミュージックコンクレート         (音響データの切り貼り)と音響信号処理、という2大手法がある。      (C)背景電子音響パートと自然楽器との共演         (B)のスタイルとして「非実時間」的に作曲された背景音響パート         をCDやDATとして固定し、この再生音響と人間の演奏家が共演する         というスタイルの作品。      (D)自然楽器の音響に対するリアルタイム信号処理         (B)のスタイルの音響を、演奏の場でリアルタイムに実現していく         という新しいアプローチ。音響信号処理のための強力なシステム         とともに、ライブ性の実現のための手法が駆使される。      (E)MIDIベースの電子楽器/シーケンサとの共演         ポピュラー音楽の世界では一般的な手法。MIDI規格の電子楽器や         サンプラを音源とし、MIDI演奏情報の自動伴奏にシーケンサを利用         する。「アルゴリズム作曲」の手法が活用されることが多い。      (F)音楽とともにグラフィクスも駆動するマルチメディアアート         サウンド関係とともにグラフィクスを扱うのが得意なコンピュータ         の特性を生かして、「単なる背景音響/背景画像の自動再生」を         越えたマルチメディアの対話的処理に重点を置いた作品。      (G)「新楽器」による音楽         コンピュータ技術とセンサ技術とを融合し、広い意味での「人間の         ジェスチャー」を統合的に音楽に反映させるための「新楽器」を         創出し、これを音響操作などに活用して作曲するアプローチ。      (H)セッションと即興性を支援するシステム         人工知能によるコンピュータ内の仮想的な演奏家と人間の演奏家         とのセッションを実現する形態、複数の人間の演奏家のセッション         の即興性をコンピュータが支援する形態などがある。 [コンサート] "EPSIA" for flute solo        作曲:辻井英世 演奏:太田里子  (A) "bit extra issue"        作曲:長嶋洋一  (B) "Arrow of Time" for flute and computer sound        作曲:長嶋洋一 演奏:太田里子  (C)       ----- intermission ----- "Comprovisation #2" 作曲/演奏:宇佐美理+石上和也  (CDH) "∞"        作曲/演奏:堤亜理沙            (A) "Shadows of the sound"        作曲/演奏:吉田靖  (CD) "電子楽器Limber-Rowのための「光の領域」"        作曲/演奏:岡本久  (G) "QCD"   作曲:中村文隆 演奏:秋山明日香+島村徹郎 (EFH) "Voices of Time" for flute and live computer        作曲:長嶋洋一 演奏:太田里子  (D) [質疑・自由討論] ====================================================================