子どもたちに大人気の絵本
作家・いわいとしおと、メディアアートの第一人者・岩井俊雄。一見、相反する異ジャンルのクリエイターは、実は同一人物だった!子ども時代の発明ノートや
パラパラマンガ、絵本原画やスケッチ、メディアアートの再現展示によって、その多種多様な表現世界の全貌と創作の秘密に迫ります。
作家略歴
いわいとしお/岩井俊雄◉1962年愛知県生まれ。絵本作家であり、メディアアーティスト。子どもの頃に母親から「もうお
もちゃは買いません」と言われ、ものづくりに目覚める。筑波大学大学院修士課程芸術研究科修了。テレビ番組やゲームのソフト制作、電子楽器開発など多岐に
わたる活動を展開し、現代日本美術展大賞、文化庁メディア芸術祭大賞、芸術選奨文部科学大臣賞ほか数多く受賞。娘との手作りおもちゃをきっかけに、
2006年より絵本作家としての活動を開始。2008年刊行の『100かいだてのいえ』は、子どもたちに大人気となり、シリーズ累計発行部数400万部を
数える。現在、絵本を通して、子どもや親子にものづくりの楽しさを伝えるワークショップを多数開催している。
見どころ
※一部変更になることがあります。
『100かいだてのいえ』はこうして生まれた! ― ミリオンセラーの秘密に迫る。
本を縦に開く画期的な絵本『100かいだてのいえ』は、子どもが数字の繰り上がりに悩んでいるのを見たことがヒントとなっ
て生まれました。様々な動物たちが暮らす部屋の細かな描写をはじめ、絵本の構造や印刷の手法にまでこだわりぬいた絵本づくりの過程を、貴重なアイディアス
ケッチや下絵などを通して詳しく紹介します。あわせて子どもたちには、絵本の絵を読み解く力を発揮できる、楽しいクイズをご用意します。
いわいさんちの手作りおもちゃが大集合!
絵本作家として活動を始める前から、作家が子どもと一緒になって作っていた木や紙の手作りおもちゃを一堂に展示します。親子の愛が溢れる、世界でたったひとつの手作りおもちゃをぜひ、この機会に間近でご覧ください。
手作りおもちゃの展示風景 (2018年)
マンガやアニメ好きの少年は、いかにして世界的アーティストになったのか? ― 初公開資料も盛りだくさん!
母親から「もう、おもちゃは買いません」と宣言されたのは、作家が10才の頃。その後、父親の助けを得ながらもの
づくりに没頭し、徐々にその創造性を開花させていきます。本展では、当時の発明ノート『工作ブック』をはじめ、中学時代に手塚治虫に心酔して描いたマンガ
やイラスト、高校時代に制作した油彩画やクロッキーなど、本邦初公開を含む貴重な子ども時代の作品のほか、影響を受けた本やマンガ、本人が使っていた顕微
鏡、ラジカセ、ゲーム機などゆかりの品々を多数展示し、その人物像を浮き彫りにします。
工作ブック(1973年頃)
発明品のアイディアを描きため自作したものには「済」マークを記した
子どもも、大人も楽しめる展示 ― 絵や立体が動き出す!
作家は、子どもの頃にテレビアニメに魅了され、教科書やノートにパラパラマンガをいくつも描いていました。また、筑波大学
在学中はさらに映画やアニメーションの歴史に興味を広げ、19世紀に発明された「驚き盤」や「ゾートロープ」に新たな可能性を見出しました。本展では、小
学生の頃に友人たちを楽しませたパラパラマンガや大学時代の驚き盤などを複製し、実際に来場者が自ら触って体験できるようにします。さらに《立体ゾート
ロープ》(1988年)や《時間層II》(1985年)など、平面から立体へと進化した映像表現への取り組みをご鑑賞いただきます。
子ども時代のパラパラマンガ(1972-74年)
算数や理科のノートの端に描いた
XY PLOTTER FLIPBOOK(1983年)
大学時代にコンピュータで制作
立体ゾートロープ(1988年)
ハンドルを回すと立体が動き出す!
世界を魅了したメディアアート作品がよみがえる!
楽器が弾けなくても、楽譜が読めなくても、音楽を自由に奏でられたらーそんな夢を作家自らかなえたのが、1995
年にドイツで発表され世界中の人々を魅了した《映像装置としてのピアノ》です。映像と音楽と人との一体化をテーマにした作家の代表作ですが、残念ながら
2000年代以降展示する機会は失われていました。本展では、その作品を20数年ぶりによみがえらせる予定です。メディアアートの傑作を直に体験できる貴
重な機会を、お見逃しなく!
映像装置としてのピアノ(1995年)
アートフォーラムコーナー
当館1階のフリースペース(アートフォーラムコーナー)において、本展特別展示及びワークショップスペースが出現します。夏休みの1日を、ご家族そろって美術館でお過ごしください。
だれもが参加できるワークショップスペース「みんなでつなごう!100かいだてのいえ」
自分の描いた絵が、他の人とつながって、どんどん広がっていく面白さを体感しましょう!
特別再現展示《マン・マシン・TV No.8(ビデオカメラ)》(1989年/2022年)
テレビの前でポーズをとって、2コマアニメパフォーマンスに挑戦!メディアアートの楽しさを全身で感じましょう!