第13期「虎の穴」学生レポート集

2002年8月 長嶋洋一

加藤 美咲

靄夜に関しては、同時期に別のインスタレーション作品を製作していたことも
あって、あまり「自分達の作品」という意識がもてなかったというのが正直な
ところです。
人数が多すぎるというので初期のミーティングで3つのグループに分け、日に
ちごとに展示という形をとったのですが、そのせいで他の班の進み具合も殆ど
分からなくなってしまったというのもありました。
松組の製作では、私は音を担当しました。今までは単発音ばかり作ってきたの
でBGM的なものを作ろうと思っていたのですが、自分で設けたハードルにして
は少し低すぎたなというのが印象です。私はMAXで作品を作るときいつも綱渡
りのような気分になります。良くも悪くも自由度の高いMAXは、あてずっぽう
に作っていっても何とか様になるので、自分なりのパッチの組み上げ方という
のが確立できていないせいかもしれません。
松組の作品は、現場のセッティングの段階でようやく形になりました。特殊な
空間を使ったインスタなので仕方のない事ですが、机上の構想を超える部分が
多々あり、軌道修正しているうちにコンセプトその他が当初よりずれてしまい
ました。入り口を閉じるとほぼ真っ暗、不気味な音と明滅が延々繰り返される
という・・・しかしこれはこれで面白いのでいいじゃないかと内心の満足もあり
ます。
靄夜で一番心残りなのは、円筒形の造形に改良が加えられなかったことです。
LEDのキツイ光量をエアクッションで和らげ、包装紙で巻いて淡い色をつけた
あの造形は好きなのですが、2度目ともなると新鮮味にかけますし、何より耐
久性に乏しすぎます。あれに変わる造形も色々と考えてはいたのですが、実行
に移す時間が足らず、材料だけが残ってしまいました。次の靄夜には恐らく参
加できないでしょうが、次があるなら後輩達にはがんばって欲しいとおもいます。

大山 真澄

 靄夜に関しては、あまり目新しい事がなかったので感想といってもたいしたことが
ないのですが、やはり吊るされた造形は他に新しい造形を作ってみたかったかなとい
うのが感想です。カナコさんの作っていた試作品もそのままになってしまいましたし、
コース演習室の私の机の上にも、その造形を作ろうとしていた材料が山を作っていま
す。勿体なかったな、という感じです。現在の造形はかなり悲惨な状態ですので、次
回は新しい丈夫で壊れなく落ちてくる事もなく長もちのする造形に、メンバーはチャ
レンジして欲しいです。

コアのみなさん、スタッフの方々お疲れ様でした。靄夜のメンバー、いきあたりばっ
たりな私の指示に従ってくれてありがとうございます。そして先生、御迷惑おかけし
ました。ありがとうございます。お疲れ様でした。

池谷 綾香

今回の靄夜は、日程的にインスタレーションの方の製作と重なってしまい、8月
に入ってからの夏休みもインスタ製作優先となってしまったため、梅組としての
作品がとてもおろそかになってしまいました。本当は、様々な金属を使って梅の
枝を作りたかったのですが、時間の関係で、考えていた展示物とは全く違うもの
になってしまいました。しかし、たまたまあった針金で、とりあえず試しに作っ
てみた枝が意外と綺麗に仕上げることができて、新しい発見となりました。針金
でとてもいい具合に枝ができたので、やはり、金属を使って枝を作れなかったこ
とがとても心残りです。造形物の配置に関しても、全体的なバランスもあまりよ
くなく、ちんまりと殺風景になってしまいました。

天井からぶら下げていた蛍の造形物に関しても、何だかんだ言って、結局、靄夜
Iの時と同じ造形物を使用することになってしまったので・・・。IからIIにス
テップアップしたように、人数も増えて、アイディアは豊富になっていたはずな
ので、個人的には造形物を変えたかったというのが本音です。

今回の経験で、靄夜とインスタのような同じ時期の製作の両立はよくないという
ことをとても痛感しました。1年生や3年生はそれぞれ結構がんばっていたよう
なので、同じ靄夜メンバーの一員として申し訳ないような感じです。個人的に、
今回の靄夜は、決して満足のいくものではなく、後味の悪い、心残りの残るもの
となってしまいました。

加藤 奏子

今回、靄夜に関してはインスタレーション作品の制作との掛け持ち状態であった
ので、100%の力を注ぐことができず、チームの造形物においても前回の応用
の作品しか作る事ができなかったことが非常に悔やまれる結果になった。

当初、私はグループの作品とは別にパフォーマンスのための個人の作品も作る予
定でいた。しかし、日が経つにつれてそれが無理だと気づき始め、更に日が経つ
につれてグループの作品ができるかどうかも危ういのではないかということにも
気づいた。インスタと同様、最後の最後までアワアワとしていた感じだったが、
ほとんど即興で作った造形物にしてはかなりきれいにできたと思う。しかも意識
して一生懸命作った造形物よりも、作っている過程でたまたまできてしまった、
いわば偶然の産物的なものの方がなぜかうまい具合に光っていた。うれしいんだ
か悲しいんだかという複雑な気分だったが、何事も試してみるもんだなあと実感
した。試作品をできるだけ多く作る事、そして物事は早め早めからコツコツやる
べきだということが、今回のグループ作品の制作で学んだことだ。

パフォーマンスに関しては、造形物が倒れてしまうなどハプニングもあり、本番
中は本当にハラハラドキドキして凍りついていた事が強く印象に残っている。あ
の状況で全てを演技として見せてしまった川村さんのパフォーマンスもすばらし
いと思ったが、観客の方々の態度がとても良かったことにも感動した。あれだけ
の人数がいて私語も一切聞こえず、携帯の音も一度も鳴らなかったことに対し、
いいお客さん達に巡り合えた事を感謝した。

欲を言えば、グループ作品の展示の日にもう少し一般のお客さんに来てほしかっ
たというのが本音だ。自分達の自己満足で終わらないためにも、もっとたくさん
の人達に見てもらいtかった。今回の全体的な教訓を、今後の様々な場で生かし
ていけたらいいと思う。

平岡 輝子

とにかく靄夜には後悔の念が付きまといます。最初のミーティングの時に人数が多すぎてまと
まらないだろうなぁと思った予感が見事に的中した気がします。少人数のグループに分かれて
も足並みが揃わないことを感じました。
4月から竹について話をしていきましたが、はっきりいって8月になってもまとまりませんで
した。
どどどどどどーすんだ。
と、半ば投げやり状態になったのも事実。
とにかく何とかしなければいけない、という状況に追い詰められました。そこで斉藤さんから
の提案
「針金で竹をつくったら…」
東堂先輩に針金と、それを巻くための筒を用意していただき、ある意味やっつけ仕事のような
作業をし、竹完成。
…これでいいんだろうか?
と感じつつ、疑問を抱いてる場合でもないので竹完成、ということにしました。
現場にて。
どこにどう吊るして、どう展示すればいいんだろう?…と頭を抱えていると、先生の的確な指
示。(長嶋先生ありがとうございました。)そのとき本当に希望の光が差し込んできたような
気がしました。
なんとかなる、と。
実際、針金に懐中電灯の明かりが当たると綺麗でした。靄夜の光り方もまたボゥっとした感じ
なので、空間演出的にはいいものができたと思います。(経過はどうであれ)
こういう作品もありなんだと思いました。
多くのことを学んだ夏でした。

有ケ谷 千佳子

    私は靄夜の月組の映像上映という形で今回のイベントに参加させていただきまし
た。メディアアートフェスティバルというイベントは失礼ながら大学に入る前は知り
ませんでした。入学した頃に長嶋先生の研究室を訪問しなかったら今も知らなかった
かもしれません。

    靄夜という作品は十人程度とやや少人数ではありましたが、人と協力して一つの
作品を作るという貴重な体験を私にさせてくれました。天井からつるした発光ダイ
オードの作品『蛍』をとりつける作業は大変でした。でもそういった作業の中であま
り話したこともない先輩方と話したりできたのはとてもいい経験になりました。

     瞑想空間という空間はとても変わった空間でした。扉を閉めてしまえば外界の
音や光を遮断された空間になり、音も響くし、小さな光の変化でも見分けがつく。
『蛍』という作品はあの空間にとてもあっていると思います。それにあの空間の利点
を最大に引き出していると思います。7月の始めにサウンドボルテージという演奏会
を行い私はその手伝いをしたのですが、その時もあの空間のすばらしさに感銘しまし
た。あの空間はもっといろんなことに利用していくべきだと思います。長嶋先生が22
日に開いたイベント(コンサート?)も幻想的で川村さんのパフォーマンスも素敵で
した。瞑想空間は淡い光の微妙な変化を楽しむことができるのがいいです。

    映像を作ることは私の大学に入ってからやろうと思っていたことです。大学に
入ってさっそく映像が作れ。しかも、発表の場までできて私はついていると思いま
す。しかし、今回はもう映像を作るということしか頭になくて瞑想空間という空間と
『蛍』の作り出す雰囲気というものをまったく無視してしまい映像とその場の雰囲気
がちぐはぐになってしまいまして、映像を見てくれた方にもそこの所を指摘されてし
まいました。今度からは自分の映像とその場の雰囲気にあった作品を作りたいです。
そして、もっと自分らしい味のある映像を作れるようになりたいです。

    今回の虎でいろんな人に迷惑もかけました。(迷惑かけてすみませんでした!
!)しかし、私はいろいろと貴重な体験をさせてもらいました。全て皆さんのおかげ
です。本当にありがとうございました。

藤田 義雄

 自分で『何か』をしたい、という気持ちから虎に参加し、この活動を通し授業から
は得られないような貴重な経験をしました。今思えば参加してよかったと思います。

MAF2002「瞑想空間」特別企画「靄夜II」月組企画映像作り

映像作りには1106長嶋研究室にあるDV-7は使わず主にAdobe Premiere5.0を使って制
作しました。制作には素材を集めるため実家の近くの山の中を半日ほどデジカメを
持ってさまよい歩いたり、そのあとの編集も1週間ほどひたすらパソコンに向かっ
て、真夏の暑い中いつパソコンが止まるやも知れない状況のなかで必死でした・・・。
実をいえば編集作業はすべて自宅でやっていて、冷房器具は扇風機のみという環境、
ちないにその扇風機は常にパソコンを向いている状況。暑かった・・・AthlonのCPU
だったら危険な環境だった^^;

編集中一番苦労したのがIEEE1394からキャプチャーしたAVIファイルがAVI-Type1形式
のAVIでこれをどうPremiere5.0で編集しようかで、Premiere6.0ならDV対応していて
入出力も気にしないで編集が出来るようでしたが、5.0では編集もDV機器への出力も
出来ませんでした。解決策としていろいろなコーデックを使って圧縮形式を変換して
みたり、フレームを静止画として連続BMPに変換したり(無謀)、しかし何とか編集
するまでには至ることが出来ました。出力はPremiere5.0で作った無圧縮AVIファイル
をMPEG-1圧縮のAVIファイルに変換してデジカメのフレームサイズを合わせれば出力
もいけるだろうと思いフリーソフトなどを集め出力も何とか出来るまで漕ぎ着けるこ
とが出来ましたが、Windowsにおいてファイルサイズの制限のせいなのかAVIファイル
変換が2Gを超えたところで止まってしまいました・・・。結果としてDVテープへの出
力は作品の途中までしか出力できず、MAF2002展示日ではノートパソコンから ビデオ
プロジェクタに繋いで投射という形になりました。いろいろ苦労した点はあったけど
いい勉強になりました。

MAF2002「瞑想空間」特別企画「靄夜II」松組「松籟」

月組と掛け持ちできつかったけれども、床置造形物のスポットを使った松明を作りま
した。松明のイメージは瞑想空間で初めて吊るされたホタルを見たときの思いつきで
す。ファンによる風で紙をひらひらと炎に見たてた仕組みも最初のイメージ通りの物
ができました。ただ、あまり時間がなくかなり安上がりな素材でもっと素材を選んで
作れたらなぁ、というのが反省点です。あとリハまでに完成できなかったのも反省す
べきところです。

最後に今回は月組展示のときにアンケートをとったのですが、その内容にMAF2002に
対する意見がちらほらあり、今後のMAFの参考として取り上げます。
 『どこ何があるのか分からない、案内がいない、説明不足。』
 『MAFはやっているのかやっていないのか一般からみてよくわからない。』
 『テーマが分からない。』
運営側にも直すところがあるかも知れません。特に案内とか校内での道しるべは今後
考慮しなければと思いました。


成田 佳寿美




酒井 香

何か自分の力で作品を完成させたい。そう思って私は虎13に参加しました。
自分が一番興味のある、映像を扱う月組に参加し、初めての映像編集機器に触れ、
得られたものはとても大きいと思います。

何より、自分が何もやりたいことを実現する力や技術を持っていない、その事を
知ったことが一番大きいのではないかと思います。
締め切りに追われてしまって最後まで納得する作品を作ることができず、自信を
持って作品上映ができませんでした。
また、和というテーマにこだわるあまりに、瞑想空間という場所を活かすところ
まで考えが達しなかったのが残念です。
それでも、他の月組のふたりの映像に感化されたり、一般のお客様に見ていただ
いて感想をもらえたりしたこの体験はすごく意義深かったと思います。

ほんとうに自分の力量や計画性のなさを思い知らされました。これからはもっと
最後まで気を抜かずに自分の仕事をすべて出し尽くしたような作品を作り上げた
いです。

斉藤 真理子

    最初はどうなることかと不安でしたが、なんとか竹組の展示を行うことがで
きました。話し合いでは「竹」のイメージということでアイデアはでてくるの
ですが、瞑想空間という特別の場所のことを考えるとどれも実際につくれるか
どうかと言うと少し難しいことばかりでした。学年も違うので話し合う時間も
多くとれず苦労しました。
    もしかしたらこのまま展示はできないのかと本気で思いました。やっと夏休
みに入り、話し合いの時間もでき、針金を使い竹のイメージをつくることに決定
しました。試作品をつくる時間もなく本番前のリハーサルでの調整になってしまい、
不安でした。リハーサルでは先生の助言と現場での思い付きアイデアのおかげで
思っていた以上の出来に安心しました。懐中電灯の光が針金のコイルの部分に
あたり、光の柱のようになりました。瞑想空間という場所を少しでも生かし、
なお且つ綺麗な作品になりました。欲をいうと上空の靄との関係を工夫したかった
です。切羽詰まって急いでつくった感じなので、そこは反省したいです。ど
うにか無事に終わってよかったです。
    期限までに作品をつくることの難しさを知りました。これからはしっかりと
計画を立てられるようにしたいです。

東堂 のぞみ

 13虎、別称靄夜IIでは、私は今回の靄夜?からの合流組だった上に、3人いる3年生
のうち、“元祖虎”ともいえる2人に対し、ただ一人、MAXその他についてほとんど素
人だったことで、最初はなんとなく戸惑いながらのスタートだったように記憶しています。

 靄夜IIでは幾つかのグループにわかれて日替わり展示をすることになり、成り行きで、
私達は、1年2年3年、技術造形学科、生産造形学科にまたがる4名からなる、「竹組」を
結成することになりました。てんでかち合わない4人の都合が合うのは、週1回か2回
の昼休みだけで、それすらも前の授業と次の授業のために、4人そろってまともに話
し合う時間はほとんど無かったように思います。メンバーそれぞれが、靄夜の他にも
仕事や制作を抱えていたことも、少なからず影響を与えていたかもしれません。

 当初、“竹やぶを造りたい”という壮大な夢を持って寄り集まった私達は、竹やぶ
案を断念した後も“竹”にこだわり続け、そのような厳しい状況の中、一途に竹のこ
とだけを考え、悩み、苦しみ続けました。様々な案が浮かんでは消えていく中で、や
はり4人が集まるきっかけとなった“竹”という要素を入れたいと思い、最終的に、
針金をらせん状に巻いたもので竹を表現することになりました。靄夜で恐いのは試行
錯誤ができないことで、見ただけでは何の変哲も無いただのコイルが、はたして竹に
見えるのか、そもそも設置自体が本当に可能なのか、という不安に駆られながら、リ
ハーサルを迎えました。

 結果は、良い意味で想像を裏切られたと思います。現場でのアイデアで、コイルの
真下に懐中電灯をくくりつけ、上に向かって照らしたところ、なんとも幻想的な光の
柱が浮かび上がり、まるで空中に光る竹が浮いているようにも見えました。欲を言え
ば、蛍たちと連動して明滅できたらよかったのですが……。

 本番の展示が、インターンシップと重なってしまって見ることができなかったのが
心残りですが、とにかく、なんとか形になってほっとしました。