第6期「虎の穴」学生レポート集

2001年5月 長嶋洋一

大井手 るな

入学して一ヶ月弱、右も左もフォトショップの使い方も分からないという状況の
中でスタートした企画が第六期虎の穴であった。活動内容として一般公開デーに
おいての「不思議空間」の制作、終わってみて思う事は、CGやシステムへの認
識不足、時間の無さ、自分が持っている作品の理想像と現実に出来る事のギャッ
プを埋める事の難しさ、一つの作品を作り上げる大変さを痛感した事に尽きる。
それと共にまずは一つの企画を「やり終えた」事にも意義がある企画であったと
思う。

<反省と課題>
全体の反省として「不思議空間」という「空間」を完全に作り上げる事が出来て
いなかった(空間としての認識に欠けていたのではないか)、と思う。個人的に
今回の「季幻」の空間に対して、お客さんが部屋に一歩を踏み入れた「瞬間から
日常から非日常への変化」というものを目指していたのだが…実際はそう簡単に
いかなかったという事である。原因として「どのような空間を作るか」というイ
メージの段階での議論の密度が薄かったのではないかと思う。季節の移ろい「季
幻」というテーマはあったもののその具体性に欠けたように感じる。時間が許し
たならばテーマの部分はもう少し掘り下げて議論すべき部分であったのではない
だろうか。又、七人がCGを作成している過程でお互いのCGの批評をし合った
り、テーマの再確認や変更点を議論出来れば良かったと思う(もう少し時間の融
通が利いたならば…)。更に、音(音楽)とCG映像の融合が密接に成されてい
なかったのではないかと思う。音と映像の一体化した空間ではなく、CG映像の
展示に音が流れているという場所になってしまったのかもしれないと私は感じて
いる。音と映像の密接なつながりには、先生と学生が共同で意見を出し合う場が
必要であると思う。今回は先生が御多忙な為にそういった場を設ける事は出来な
かったが、これからは必要になっていくのではないだろうか。

次に、お客さんの立場を常に念頭に置いて部屋の構造を考えることが出来なかっ
たと思う。「季幻」開放中、プロジェクター1の映像に気づいていなかったり、
二つの扉のうちどちらが入り口か分からなかったお客さんが多数いた。これはお
客さんの順路、お客さんが目を向けるであろう方向などを綿密に推測したり、「
お客さんが見易いように」という大事な事を、私は他の作業に夢中で見落として
いとように感じる。作品は見る人、聞く人、体験する人がいて初めて成り立つも
のであるという事、その為には「お客さんの立場」と「制作する側の立場」の意
見を客観的に見られるようにならないといけないのだと痛感した。

このように私が感じた反省と課題は多くあるが、これらを参考にして次のステッ
プに進めるかどうかが一番大切な事ではないだろうか。時間の無い中で皆で作り
上げた「季幻」はこれからの自分達にとって、自分達が進みたいと思う分野の決
定にとっての栄養剤になり得るのではないだろうか、と思うのである。

<最後に>
六虎の六人と長嶋先生には多大な迷惑をお掛けしました。この場を借りてお詫び
と感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。


井畑 理子

<名前について>
 季幻と言う名は、とても気に入っています。私としては、昨年の「森海」に負
けないように、と意気込んでいましたので、掛詞的な要素を持つこのネーミング
はなかなかのものだと思います。季幻は、音読みすると「きげん」で、つまり
は、「起源」というようなイメージがそこに含まれています。・・もしかする
と、時間に追われていた私達にとって「期限」の意味もあったのかもしれませ
ん。ともかく、よい名だったと思います。
 名前の決定が、このプロジェクトのスタートでした。そこで、一番心に残って
いることは、これを決めるために、メンバー全員が様々な意見を言い合ったとい
うことです。きっと、そうでもしなければこの「季幻」という名は思い付かなか
ったでしょう。大学生活や色々なことのスタートの時期に、この「虎の穴」を通
して大切なことを、改めて教えていただきました。

<準備について>
 まず、なにをしたらいいのか初めは少しも分かりませんでした。ですが、長嶋
先生と、佐藤先生の助言もあり、皆のイメージが徐々に形になっていく様子は、
とても楽しかったです。中でも、釘で柱を打ち付ける作業は得意分野だったせい
か、人一倍張り切ってしまいました。しかしながら、反省すべき点もあります。
それは、自分の体力のなさです。皆で準備をしていても、一番始めにリタイアす
るのは私ですし、あまりに疲れて現場で寝たりもしてしまいました。デザイナー
にも並々ならぬ体力が必要なのだと、改めて実感いたしました。

<フォトショップについて>
 私は、この虎の穴に参加するまで、絵に関係するパソコンを触ったことがあり
ませんでした。と、言うよりフォトショップ自体何なのかあまりよく把握してい
ませんでした。そんな私が、メンバーの一員としてCGの作品を出せたというこ
とは、大変な進歩だったと思います。反省すべき点は、まず、少し思い付きで作
品を作ってしまったということです。上手にできたのも中にはありますが、やは
り今一歩というものもありました。時間がなかった、といえばいいわけになって
しまいますが、次回からは構想を練ること、推敲することを大切に作品作りをし
ていきたいです。次に、皆の作品に比べてあまり素材集から手を入れていない、
というのが私の特徴だったように思います。これの、大きな原因はフォトショッ
プの性能をあまり理解していなかったことにあります。ですから、これから自分
で時間を見つけてフォトショップなどのソフトの勉強を徐々にしていきたいと思
います。しかしながら、初めにも述べたように今回の作品作りは私にとって大変
な進歩です。これも、色々教えてくださった先生や、メンバーたちのおかげだと
思います。

<季幻全体について>
 人の働きかけによって、何かが起こる、という当初の目的を達成できたこと
は、一番の成果だと思います。通り抜けることや、触ることなどでCGが変わり
音がなり、なかなか面白い展示になったではないでしょうか。周りを暗くしたこ
ともあって、幻想的な世界、まさに不思議空間だったと思います。CGも個性的
で、一度入った人でも何度も楽しめることがよかったと思います。ただ気になっ
たことは、じっくり見てくれる人や、興味関心を持ってくれる人はセンサーに何
度も働きかけてくれるのですが、ただ通りかかって簡単に見ていかれる人にとっ
ては数個の作品を見ただけということになってしまうことです。難しい問題です
が、せっかく多くのCG作品があるのにそれではもったいないなという気がしま
した。私が見ていた中では、大人よりもむしろ子どものほうが純粋にセンサーで
変わるCGの面白さに興味を示してくれたようです。それから、中には、何回も
何回も見に来てくださった方もいるらしくとても嬉しく思いました。反省すべき
点もありますが、不思議空間をやりとげたという大きな実感があり、なんとか虎
の穴としての責務を果たすことができたなと思います。

<チラシについて>
 ほとんど、洒落で描いたような松原先生のイラストが季幻のチラシになってし
まうとは思ってもみませんでした。いま見返すと、文字や背景などもう少しじっ
くりやればよかったかもしれません。しかし、当日「季幻」に訪れてくださっ
た、松原先生ご本人とその御一行様にとても好評(?)でしたし、なによりその
ときの松原先生の笑顔がとても印象的でしたのでよしとします。

<感想>
 大変でした。しかし、とても楽しかったです。そして、とてもいい勉強になり
ました。これを機に、自分の中の次の課題も見えてきましたし、今やるべきこと
もおぼろげに見えてきたように思います。このような機会がありましたら、また
次もぜひ参加したいと思います。その時には、今回の反省点を大いに活かせると
よいと思います。最後に、長嶋先生をはじめ多くの先生方、そして第六期虎の穴
のメンバーの皆様、どうもありがとうございました。


丸山 幸恵

私は、「大学に入ったからには何かをやらなければ」と高校時代から思っていま
した。しかし、その「何か」は全く具体的なものではありませんでした。「何か
をしたいが、何をすればいいのか分からない」という状態で、ただ、気が焦るば
かりでした。
ある日の技術造形論で、長嶋先生のプリントが配られ、『虎の穴』についての部
分を見た時に「少し気になるなぁ…」と思い、研究室に訪問したことが、『私の
6虎』の始まりでした。「今の自分に何ができるだろうか…」「インスタレーシ
ョンアートって一体何なんだろう…」と思いながら、名簿に名前と連絡先を書き
ました。
参考までにと、去年の不思議空間のCGやらレポートなどを見てみると…「どう
してこんな短い間でここまでのことができるのだろうか…今年はうまくいかない
のでは…?!」と、心配になりました。入学したばかりで、『6虎』メンバーの
顔も名前も全然わからないのに…「この先大丈夫なのか…?」と不安に思いまし
た。
私がフォトショップに触ったのは、これが初めてで、(友人の家でイタズラ程度
に触ったことはあったけれども…)何がなんだかわからない状態でスタートしま
した。「こんな状態でCGを12枚も作ることができるのか…」思い出すこと
は、不安がっていたことばかりです…。
ところが、考えなければならないことは、CGのことだけではなく、教室という
空間をどう使うか…?ということまでも…。
ミーティングを重ね、大体の方向が決まり、6虎メンバーはセンサー担当の『長
嶋先生組』と部屋の造形物(?)担当の『佐藤先生組』とに分かれ、何とかなりそ
うだと思い始めていたとき…佐藤先生が麻疹で入院…という予想外のアクシデン
ト…。「本当に今年はうまくいかないのでは…」それでも、公開デー待ってくれ
るわけもなく、時間はあっという間に過ぎていきました。「後は自分達で何とか
するしかない…」という状況に陥りました。
それでもなんとか、遅くまで残って作業したかいもあり、予定通りとは言えない
ものの、予定に近いものを作ることができました。
少ない人数で、大きな目標に向かい作業をする、というのはとても忙しく、家に
帰るのが12時近くの日々でしたが、私は「忙しい方が楽しい」と思う人間なの
で、充実した毎日が過ごすことができ、大学にきてよかった…と思いました。
公開デー当日…あいにくの天気で、沢山の人が来る、ということはなく、「なん
だか地味な公開デーになってしまったなぁ…」と思いながら来場してくれたお客
さんの反応を見ると…「一体何が起こっているのかわからない…」といった感じ
で…。去年の公開デーと同じような失敗はしないようにと、来場した人が体感で
きるタッチセンサーまで用意したのに…気がついてもらえない状態。「…インス
タレーションって難しい…」と思い知らされました。
しかし、大人は気がつかなかったりする点に、子供は気がつくようで、おもしろ
がって何度も入ってくれたりしたことが、何よりもうれしかったです。来てくれ
た人達全員に「凄いなぁ、不思議だなぁ」という感動を与えられたら、どんなに
やりがいを感じる表現だろう…と、思いました。
私は、CGをやりたくて技術造形学科に入ったわけですが、CGだけに捕らわれ
ず、もっと視野を広げて、様々な表現を勉強してみたい、と考えるようになりま
した。理由は単純なことで、タッチセンサーに使われたオブジェ(正確にはオブ
ジェではなく、金工の授業で作った銅の入れ物…のはず)が、以外にも6虎メン
バーの間で好評(?!)だったので…。一つのことにこだわることもいいことか
もしれないけれど、せっかく大学に来ることができたのだから、自分の視野を広
げるいいチャンスにしたいと思います。
6虎のインスタレーションは成功した…とは言えないかもしれませんが、色々と
勉強になった、ということは言えます。成功しなくてよかったよかったのかもし
れない、と私は思います。(もし、『成功した!』と思っている人がいたらごめ
んなさい…)これで終わりにするのではなく、これを始まりにして、これからも
いろんなことに挑戦したいと思っています。


平岡 輝子

 6虎を終えて、5月中はただただ我武者羅に準備や、ホトショップを使ったC
G作品を作っていたように思う。そして、今6虎でやったインスタレーションを
思い返すと、「なんだかなぁ」と正直ながら思ってしまいます。どうも後悔する
ところが多かったのです。まずは展示方法について。
 これは去年とほぼ同じだ…マンネリ化しているかも…と、気がついたのが遅す
ぎました。それと自分に何の知識もなかったことから、当初の展示イメージと現
実の展示とのギャップにショックを受けました。ギャラリーと体感(?)展示が
ごちゃごちゃに交わって、なんか中途半端な感じがしました。「季幻」という。
個人的にはとても気に入っているテーマを表現しきれなかった気がします。それ
に対しても、知識と技術のなさを痛感しました。(むむう、後悔した事ばかり書
いていますがもうちょっとお付き合いください。)
 センサーを使ったことは面白かったです。私自身が展示という形でセンサーに
触れたことが初めてだったので、興味をもてました。センサーの中に超音波距離
センサーや静電気タッチセンサーなどいろいろと種類があるんだなぁと思いまし
た。当日まで一週間を迎えた放課後タッチセンサーを使おうという意見が出て、
簡単に使えるとは思いもよりませんでした。センサーも奥が深い。また何かに使
ってみたいと思いました。ただ、使った超音波センサーやタッチセンサーがこの
展示にとって意義があったというか、何というか…センサーに頼りすぎたのか
も?と思ったりもしました。でもセンサーはおもしろい。
  自分のCG作品に関しては、初めてさわるホトショップに四苦八苦し、予定枚数
の12枚にもとどきませんでした。しかし、あの作品は作品と呼んでいいものかど
うか・・・たしかにホトショップになれるという点ではいい経験になったのです
が、自分の作品を作ること、作品として考えることを学んだ気がしました。個人
的に気に入っている物もあるので、これがCGへの第一歩だと思ってこれからも頑
張っていこうと思います。今度は素材集を加工するだけではなく手書きのものを
くわえたり、自分で作った素材集を使ってみたいと思います。
今回は後悔したり、反省したりすることがたくさんありました。でもいいことも
たくさんありました。友達もでき、仲間との共同製作がとても楽しかったです。
個人製作もいいものですが仲間と作り上げていく、というのもいいものです。講
義中の筆談や放課後の話し合い、遅くまで残った展示準備、6虎ではいい体験を
させていただけました。本当にやってよかったです。また、こういう機会があっ
たら参加したいと思います。


高野 結花

 この6虎を通して、いい経験ができた。限られた時間の中で、できる限りの事
はしたし、何回も問題にぶつかりながらも、マイナスの要因を少しでもプラスの
方向に変えようとする力を感じる事ができた。しかし、本当にこれでよかったの
であろうか。果たして「季幻(Origin)」は表現できたのか、センサーに頼りす
ぎではないか、CGはあれでよかったのであろうか・・・・、自問自問するばかり
である。

1. 「季幻(Origin)」は表現できたのか
   結論から言うと、季幻はほとんど表現できていないと思う。タッチセンサー
を触るとCGが映ったり消えたりすることによって、その事ばかりに注目してし
まう事や、その他にも季幻を感じることを妨げる要因(音、造形など)が多すぎ
たのではないかと思う。とは言うものの、私もタッチセンサーを使う事や、和風
な造形や、音を流す事も賛成であったわけなので、ここに矛盾が生じる。
  問題は「“何を表現し何を感じてほしいのか”と“何が起きるのか”のバラン
ス」だと思う。今回私は「この空間の中で何が起きるのか」という事ばかりに気
をとられていた。センサーで絵が変わるだけでは寂しいから音も付けて、それで
も物足りないからタッチセンサーを付けてプロジェクターも付けてライトアップ
もして・・・みたいな感じで、何を表現し何を感じてほしいのかよりも、いかに
空間をゴージャスにするかという方に目が行っていたと思う。つまり今回は“何
が起きるのか”の比重が大きかったのだ。もし、今度こういう機会があったら
「“何を表現し何を感じてほしいのか”と“何が起きるのか”」のバランスをよ
く考えて空間作りをしたい。

2.  センサーに頼りすぎではないか
  「インスタレーション=センサー」この公式」がいつのまにか私の頭の中に根
付こうとしている今日このごろ。それがとても嫌だ。瞑想空間でも、この6虎の
“季幻”でもセンサーを使い、触れる機会が多かったからであろうか。別にセン
サーが悪いと言っているわけではない。センサーがあることによって人は容易に
起こった事を体感する事ができるし、栄久庵先生が言っているように、もしかし
て無機物の心を引き出そうとする事ができるのかもしれない。しかし、あまりセ
ンサーばかりを使い、頼りすぎるのはよくない。インスタレーションて何??と
聞かれた時に、「センサーを使って・・・」みたいな答え方になってしまい、い
つのまにかセンサーを使う事が前提みたいな感じになっている。結果的に必要に
なったのであればいいが、最初からセンサーを使うことを前提にモノをつくって
いくのは考えものである。今回は少し頼りぎみだったのではないか。

3.  CGはあれでよかったのであろうか
   全然よくない。というかCG作品自体が悪いのではなく、自分が悪いのだ。
素材集とパソコンに頼りすぎていた。素材集はその写真1枚だけでもそれなりの
物だから、パソコンで少し加工すればそれなりの作品になることはほぼ間違いな
い。だからといって私は素材集から写真を取り出しては加工したり合成したりし
て、あたかも自分でつくったような気になっていた。素材集を使わなかった作品
は作品で、これまたパソコンに頼っていた。適当にパソコンをいじっているとそ
れなりの作品が出来上がってしまうのだから。こんなイメージの作品にしたいと
いう構想はほとんどなく、ただ行き当たりばったりで作っていたのだ。つまりこ
れは、パソコンと素材集がつくり上げた作品とも言えるかもしれない。自分で作
った気もしなければ、愛着もわかない。コンピューターを使いこなす事自体が目
的ではない。自分の中から湧き出るイメージを表現し人々に喜びや驚きを提供す
ることが目的で、その手段としてコンピューターがあり、その技術を身に付ける
事が重要になってくるのである。この事を忘れずにコンピューターに向かいた
い。

  このように、一見インスタレーションは成功したかのように見えて、その裏
で、または自分の中で様々な問題が発生した。しかし、これによって考えるきっ
かけが生まれ、1歩後退したが2歩前進し結果1歩進んだ。さらなる前進のため
に、この事実を1つの経験としてしっかりと受け止めたい。


高木 法子

今のままでは授業で教えてもらうまで何も出来ない、何かできるようになれたら
と思い、とりあえず虎に入ってみたのはいいが、自分に何ができるのか分からず
困った。全く知識も無く、経験も無いところから始まったので、失敗しないか、
作品として完成させられるのか不安だった。だが、機械のこと、センサーのこ
と、パソコンのこと、今でもよく分からないことばかりだが、少しは知識も得ら
れ、慣れることができたと思う。

特に、パソコンを使って絵を描くこと。興味はあったが、今までやることができ
なかったので、良い経験になった。しかし、自分が納得できるものが描けたとは
言えない。いろいろなことが出来るのだということが分かったが、全く使いこな
せていないし、まだ試してみたいことが山ほどある。これからも多くのことを学
びたい。以前より、さらに興味が湧いてきた。

自分たちの思い描いていたものが、形になっていくのは楽しかった。そして、や
はり見に来てくれる人のことを考えることは大切だと、デザイナーにとって重要
だと言われたことを改めて実感した。楽しんでもらえたのが分かると、とても嬉
しかった。日を追って忙しくなりとても大変だったが、それ以上にやりがいがあ
り楽しめた。たくさんの人たちにお世話になって、完成させることができたと思
う。感謝したい。機会があり、自分の興味があることと重なったら、また参加し
てみたい。


芝谷 真名美

第六期の虎のレポートを書くに当たって日を追って書くことにします。
 約1ヶ月前。初めて虎の穴の集まりがありました。まだ具体的なことは決めず、
どんな事をしたいのかを皆で話しあいました。全てはここから始まりました。
 約3,4週間前。虎の穴の集まりはあったものの、公開デイを意識はせずのんびり
とPhotoshopの使い方を学んでいました。
 約2週間前。やっと公開デイが近いことに気づきCGの作成のスピードをあげ
ました。それでもどこかまだ間に合うという甘えがありました。これが後になっ
て後悔することになります。
 約1週間前。連日、夜遅くなりながらCGと造形物の作成。同時進行だったた
めか、かなり大変で、ここに来てもっと前からCGを作成していればと言う後悔
に陥りました。それに重なり佐藤先生の突然の入院。突然、何もない広野に置き
去りにされた気分でした。なぜかと言えば、造形物、つまり衝立と鳥居の設計図
はすべて佐藤先生の頭の中にありました。大まかなことは聞いていましたが、一
番大事な部分を教えてもらっていなかったのです。(例えば衝立の足の部分な
ど)しかも、釘や他の必要な道具を貸してくれる約束だったのです。おかげで小
雨が降る中、濡れながら自転車で金物店に必要な物を買いに行きました。とにか
く造形物は完成したのでよかったです。それにあたって、佐藤先生に替わりご教
授下さった他の先生には多大な迷惑を掛けてしまいました。本当に感謝していま
す。
 前日。朝早くから夜遅くまで小講義室での組立作業。中にある机や椅子を出す
作業から始まりプラズマディスプレイを運ぶ作業など。力がいる作業が多くとて
も疲れました。当日に1人テープカッターで手を切ったというのがありました
が、幸い作業中に大きなけが人がでなくてよかったです。途中、垂れ幕をどうや
って掛ければよいかわからず、焦りでいらいらしてしまい、やけを起こしかけて
いましたが(起こしていたのかもしれない)垂れ幕も無事完成。実はこの曰く付
きの垂れ幕ですが意外に好評だったので驚きです。自分でもやけを起こしかけて
作成したにも関わらず、この垂れ幕は気に入っています。
 当日。また朝早くからの作業。造形物の最終チェック。何とかお客様を迎えら
れるようになり、公開デイが始まりました。しかし始まってからが大変でした。
お客さんが来ない。しかも来てくれても、一番の仕掛けに気づいてくれない。こ
れがなくては意味が無くなってしまう。今思えば一番のピンチだった気がしま
す。四苦八苦しているうちに、なんとかお客様も増え、仕掛けにも気づいてくれ
るようになりました。特に、子供たちは何度も繰り返し仕掛けに喜んでいる姿を
みると、嬉しくてしかたがありませんでした。一時は本当にどうなることかと不
安に思いましたがよかったです。もちろん公開デイが終わった後の片付けも大切
な仕事です。最後の気力を振り絞ってテキパキと片付けました。しかし、どんな
にテキパキと片付けたとしても量が量だけに、他の講義室の片付けに比べ時間が
かかってしまいます。どんどん片付けが終わり帰っていく姿を見ると、とてもう
らやましかったです。片付けけが終わり、この後打ち上げに行きましたが疲れて
いたのによくあんなに元気だったなと思います。詳しくは書きません。けれど打
ち上げが終わってこそ本当の終わりだと思います。(このレポートを除いて)
 第六期の虎の穴を終えて残ったのは満足感と多大な疲れです。けれどその疲れ
は何かをやり遂げた後に来る疲れです。苦痛ではありませんでした。大学に入学
してからすぐ、まだうまく使えないパソコンを相手にCGを作成し、そして造形物
を作りあげ公開デイで発表するという体験はとても貴重なものだったと思いま
す。この貴重な体験をいかし、これからの大学生活を有意義なものとしていきた
いです。