「生成AI」作品集
2023年5月長嶋洋一
「基礎演習E」の選択課題レポートの一つとして、「画像生成AIを使って絵を制作する」というものを取り上げました。 テーマは自由テーマということではなくて、長嶋の電子音響音楽作品「Ogress2」を、スクリーンに投射された草野心平の詩(テキスト)「鬼女」を眺めつつ鑑賞して、そのイメージを生成AIで作る、というものでした。 以下はこの課題を選択した、デザイン学科2回生による作品と解説です。
使用ツール: Bing Image Creator https://www.bing.com/create PC環境:Mac 最終的に与えたキーワード: 水面に映る、紅葉の斑点模様。鬼の女性。激しい飛沫。ぐちゃぐちゃ まずは「鬼の女性」といったワードを中心として、「滝」「紅葉」「日本」「広角」「立つ」といった言葉を用いて状況を描写してもらおうとしたが、「それっぽいもの」は 生成されるものの結局はあまり代わり映えのしない画像ばかりだった。特にカメラからの距離や、細かいポーズの指定が難しい。「滝壺」は「砂漠にある水溜り」 といった画像にされたり、鬼に吐血させながら爆笑させてしまったり、滝から2体目の鬼が生えたり、カメラを水に沈めようとすると鬼が溺れ始めるなど理想通り の画像の生成は困難を極めてた。そこで、「鬼」ではなく「水面」に視点を移した。長嶋先生の電子音響音楽作品で印象的だった、冒頭と最後の静かな水音の イメージだ。キーワードを入力すると、これまでと打って変わって抽象的な画像が生成されるようになった。具体的な滝や鬼の姿こそ見えないものの、雰囲気を 感じ取れるのはこちらだと判断し、この画像を選んだ。 長嶋コメント 提出は1枚だけという条件でしたが、生成AIは4つの作品を生成してしまうようですね。その中でこれを選んだのは、 偶然、中央あたりに「鬼女の顔」が見えてしまって、そうなると絶対にこれは顔だ・・・となったからです。
【生成AIツール】 stablediffusionweb.com https://stablediffusionweb.com/#demo 【自分のPC環境】 Windows10 【キーワード】 A demon woman with horns and fangs washes the blood off her mouth in the river next to a waterfall where a lot of leaves are dancing. autumn midnight reflection 【ブラッシュアップの過程】 大まかな情景は生成出来たので曲のおどろおどろしさや、こだましていて静かな感じを表現しようと思い reflection silent frightening echoなどのキーワード を増やし、いろんな組み合わせで試しました。文が長くなりすぎたため余分なものを消し情報を簡潔にするよう心がけました。 長嶋コメント 条件として与えるキーワードだけでなく、除去するキーワードというのがあるのが不思議でしたが、この出来を 見て納得しました。「盛り込み過ぎ」をいかに避けるか・・・が肝のようですね。
Stable Diffusion(https://stablediffusionweb.com/#demo)Macbook Air(macOS:Ventura13.1)を使用して生成した。 最終的に与えたキーワードは、「ogre/female/ waterfall/Japan/eerie/night/folktale/maple/wind blood」。初めは「ghost」「horns」という単語を入れて いたが、ずっと西洋風のエイリアンのような画像から抜け出すことができなかったため、「角」の要素は諦め、歌詞から連想できた「日本風」「女性」「黒髪」という 要素を入れることにこだわった。そのため、「鬼」と呼べるかは微妙だが、曲から感じた不気味さは表現できたのではと考える。「不気味」「昔話」「暗い」「怖い」など と打ち込んで何とか雰囲気をおどろおどろしい感じに変えようと試みたが、あまり反映されていないように感じた。サイト自体が外国のものであるため、やはりまだ 日本古来の鬼や幽霊のようなデータベースは少ないのではと考える。 長嶋コメント 詩の世界の要素としてはうまく取り上げられたようですが、画像がいかにもクリアで「合成」っぽくなったのは、 全体のトーン/テイストに関する指示が無かったからかもしれません。日本の雰囲気についてはまだまだこれからでしょう
CanvaのText to Imageという機能を使って生成 Windows 11 Home キーワード:「秋角の生えた長髪の鬼女が滝のそばにいる恐い不気味な日本画」 まず最初に聴いたとき古典的な雰囲気を感じたので『日本画』を使用したところ、「女」と入力しただけで和服の女性がでてくるなど自分が受けた印象をうまく出せる ようになった。キーワードごとに入力しても文章で入力しても出力されるものの完成度に影響はなかった。「血」というキーワードは不快なコンテンツ生成の可能性が あるからと、やり直しを求められた。「口から赤いよだれ」も不可だった。 長嶋コメント なるほど「日本画」というのはジャンルとして確立しているのですね。「血」だけで止められるとなると、「赤」とか「紅」 とか言いたくなるのですが、「赤いよだれ」で駄目というのは困りました。日本語/言語のテストのようですね
使用したサービス:Bing Image Creator (https://www.bing.com/images/create?FORM=GENILP) 使用したデバイス:iPhone SE キーワード:黒い空間にある血の海の中にいる美しい鬼女。不気味、痩せている、白い肌、口の周りに血。髪の毛は黒、白装束を血で汚している。 過程:2つのサービスを試しました。(stable diffusion online、Bing Image Creator)3枚ほど候補が出来て、1番イメージに近いと思ったものを提出しました。 最終的に使用したサービスは日本語入力が出来たので、指示しやすかったです。課題の音楽を聴いて、ホラー味があると思ったので、「黒」、「血」、「不気味」など の単語を入れてホラー映像になるようにしました。また、「美しい」を入れることで、化け物すぎる容姿にならないようにしました。 長嶋コメント これは直球で主人公の姿を描いたものですね。これがスマホで出来たとは驚きです
キーワードは、[ woman demon red dark river Japan illustration gold ]で生成しました。このキーワードの中では特に”Japan”と”illustration”を加えた 時に予想に近い画像を作ることができました。また、『鬼女』の中で「金とべにとの」という文が繰り返されていたため、赤と金をメインに作成しました。今回は「鬼」 「不気味」などのイメージの画像だったのであまり強い違和感はありませんが、体のバランスが破綻したものが多くまだ使い所は限られていると思います。生成AIを 使用したのは初めてでしたが、同じキーワードで生成を繰り返しても毎回全く違う画像が生成されるため、細かい修正には向かないものの幅広いアイデアを複数 出したい時にはかなり有効だと感じました。 長嶋コメント 草野心平の詩の中で「金とべにとの」は一つの重要なテーマで繰り返されているので、これもアリだと思います。 よく見ると身体のシルエットは破綻している部分もあるのですが、それもまた「生成AIの味」という気もしてきました
使用したツール:Microsoft Bing Image Creator (url:https://www.bing.com/images/create?FORM=GENILP) 環境:私有のWindowsノートpc 最終的なキーワード:「滝のそばに角を持つ着物を着た鬼のような血糊のついた顔の女がうずくまっている 紅葉の葉っぱが舞う 浮世絵風」 Image Creatorのページトップにある作例から、浮世絵風のプロンプトが有効であるとわかったので、末尾に「浮世絵風」をつけ、その他のワードは詩の中からイメージ しやすい部分を抜粋し文章化しました。使用した感想として、予想よりも期待に応えてくれるツールであると感じました。 長嶋コメント 「浮世絵風」というのが発見ですね。他のツールだとコンテンツとして許容されないようなところまで表現して いるので、単に「画像生成AI」というだけでなく、得意な表現/許容される表現、という条件でのツール選択も必要なようです
使用したAIツール : Bing Image Creator (https://www.bing.com/create) 使用した端末(バージョン) : iPhone13 (iOS 16.4.1) キーワード : 鬼女 和装 血の飛沫 黒髪 顔を覆う髪 白い肌 うつ伏せ 滝の麓 紅葉 血の海 ブラッシュアップの過程 : 初めに、「鬼女 滝 黒い髪 白い肌 薄ら笑い 紅葉」という詞に乗っ取ったキーワードを打ち込んだ。すると、滝を背景として、西洋風の女性の アップの画像が生成された。私は詞や曲から日本風の不気味な印象を感じていたので、「和装」というキーワードを追加した。また、曲の「ちゃぷちゃぷ」という効果音から、 滝の麓を歩く音と、血の滴る音を想像した。しかし、「滝」というキーワードだけでは、滝を背景として女性が腰より上で描写されてしまい、滝の麓の様子が分からなかった。 だから、「滝の麓 血の海」のキーワードを追加し、効果音からの連想を表現した。最後に、模索する中で、「薄ら笑い」というキーワードをつけて口元の描写を生成するよりも、 「顔を覆う髪」というキーワードで口元を隠し、血が滴り薄ら笑いをする様子を想像させる方が不気味さが際立つと感じたので、このキーワードを追加した。 長嶋コメント なかなかリアルに、写真のような仕上がりに驚きました。あちこち細かい破綻があるのも画像生成AIの特徴のようですが、 これはこれでアリでしょう。個人的には、もっと霞とか靄とかがかかっていて薄暗い方が好みなのですが、それがAIに生成させる側の センスになってくるのだと思います
使用したAIツール→お絵描きばりぐっとくん https://liff.line.me/1645278921-kWRPP32q/?accountId=oekaki 環境→iPhoneSE LINEアプリ 与えたキーワード→鬼の女性 滝 紅葉 血 ホラー 夜 紹介のあった2つのサイトでは「紅葉」「滝」と入力したすると同じような色味、構図の画像ばかりが生成されてしまったが、「お絵描きばりぐっとくん」は上記の2つよりオリジナリティ のある1枚絵としての完成度が高いと感じたためこちらを採用した。詩、曲のイメージを元に最初はただ単語を入力していったが、入力順とは別に反映されやすい要素とされにくい 要素があるとわかってきて順番を調整した。ポーズの指定もしたかったが求めているものと違ったり、鬼女がアップの構図になりすぎてしまったりしたため、ポーズ制御技術を追加 で使用することも必要だと思った。夜と指定していても空が明るく、滝は白飛びしすぎていることが多かったため、ホラーな雰囲気にするためには手動での調整が必要だと思う。 長嶋コメント 最初のあたりの作品は「風景」が描かれているものの、どうもその後の作品では強烈な人物ばかりに注目が行っていて、 もしかすると僕の元作品を鑑賞してというより「詩」から生成しているようなものが並んでいましたが、久しぶりに「風景」を描いてくれた 作品で安心しました。生成AIとのやりとりは「言葉」を介するので、デザイナであればポーズなどを直接指定できるのに、思ったように なってくれないもどかしさもあるようですね
使用したAIツール : Stable Diffusion Online (stablediffusionweb.com) 環境 : 自身のパソコンを使って作りました 与えたキーワード : 「japaneses horror painting a woman in red kimono squatting by the watterfall」 Stable Diffusionは英語入力でした。初めは「鬼女」と入力していましたが、鬼でも女性でもない絵ができていたので「女性」と指定するようにしました。また「日本の女性」と 入力するだけだと曲のイメージに合わない現代風の女性が出てきました。そのため「着物の女性」と入力しました。ほかにもどのような雰囲気か(例:ホラー、恐ろしいなど)を 入力することで理想に近い絵が出てきました。具体的に指定しても、その通りに出てこないことが多く難しかったです。 長嶋コメント 「和」な感じというよりも「中華」な感じになったのが逆に面白いです。草野心平は中国の広東嶺南大学に留学した頃に 詩作を開始していて、広大な中国の自然を表現した詩も多いので、テイストとして繋がったのかな、と思いました
同じテーマで新たに作成した「生成AI」作品集
冒頭にあるようなテーマで、新たに「生成AI」作品の制作を歓迎します。 皆んなで一緒に、生成AIについて考えていければ面白いと思います。 ツール、与えたキーワード、作成過程で気付いたこと、などの情報も添えてくれると嬉しいです。 作家名(ペンネームOK)まで出したい場合にはその旨を明記して下さい。 なお、こちらには長嶋コメントは付記いたしません。