1999年10月25日 (3)

午前一番のセッションが終わり、いま午前二番の時間に なっています(11:10)が、デモとドリンクカウンターの あるゲストルームの片隅のソファーに座って、バッテリに 充電しながら、発表を一つパスして(^_^;)書いています。 このセッションでは3件目が片寄さんなので、まぁ十数分 だけです。

例年のICMCでは、ペーパーと並んでコンサートについても、 曲ごとに、作曲家ごとに感想を書いてきたのですが、 どうも今年はこれはナシになりそうです。その理由を 含めて、今年のコンサートの傾向を書きたいと思います。 これは昨夜のコンサートの帰り道にも片寄さんと話していた ことと重なりますが、僕は片寄さんとは若干、意見も 立場も、当然ですが異なります。

まず最大のことですが、ペーパーの中でパラレルは あるとしてもペーパーとコンサートのセッションは重ならない、 つまりペーパーとコンサートは希望する人は両方参加できる、 という建て前が崩れている、という大きな問題があります。 ペーパー会場とコンサート会場は、バスに乗れば大渋滞で 20分ぐらい、そして歩いても20-30分という距離です。 そして、昼食を挟んで、スケジュール表の上では ペーパーが終わるのが12:30でコンサート開始が13:00、 コンサート終了が14:00でペーパー開始が14:00です。 ここに、昼食会場(コンサート会場から歩いて5分ほど)まで の移動とその時間を見ると、どうしてもどちらかを排他的に 選択することになります。 実際、移動バスは「昼のコンサートを捨ててペーパーに 出る人」と「ペーパーは捨ててコンサートに出る人」 とで、1時間違いの二つが用意されています。つまり、 建て前を外見上は保ちつつ、実際にはペーパーと昼の コンサートは立派にパラレルなのです。(^_^;)

そこで、後述する二つの理由により、僕は全ての昼の コンサートをパスする、と決意しました。長嶋にしては 珍しい、と片寄さんが驚いたようですが、コンサートに 入れ込むとまるでペーパーがお留守になります。

その理由の一つは、例年と違って、いま僕が作曲中の フェーズにある、というのも(重い方の理由ではありませんが) あります。例年はジーベックとかでの新作発表が終わっていて、 当面は新作の作曲を抱えていないので、他の作家の作品を とても興味深く聴けるのですが、いま途中の状態のものを 抱えていると、あまのりヘンに影響されるのも嫌ですし、 なんか分析的な聞き方ができません。それで、テープ ばかりの昼のコンサートはパスでもいいや、という気分に なっています。まぁ、テープコンサートは全てパスした ICMCは過去にもありますので、そう思えばいいのです。

そしてもう一つは、「質的」な問題です。実はこれは ペーパーでもあるという印象なのですが、コンサートに ついては、はっきり、今年はレベルが低いようです。 つまり、悪名高い香港ICMCの連中が組織した、という ことで、どうせ今年の北京ICMCも悲惨なことになる、 と、今年のICMCをパスして次のベルリンに備えている 有力な常連が多数、いるのです。
中国ではコンピュータや機材もかなり準備は厳しい だろう、と誰もが思っていました。事実、コンサート への作品募集で、ICMC99自身が「ライブものの 機材は用意できないので、やりたければ自分で全て 持って来い。なるべくテープ作品に中国の伝統楽器 を使ってね」と言っていました。(^_^;)

そこで今年は、極端にライブもの、特にインタラクティブ ものが少ないです。そういう作家は今年は敬遠している のです。そこで、応募作品がかなり減り、その分、 「なんでこんなのが通るの?」というものが多いという 印象です。(^_^;)
これはペーパーでもあります。そして、せっかくの機会と いうことで、中国の作曲家の作品や中国の音楽家の ペーパーが、普通なら「?????」なのに入っています。

そんなこんなで、まぁ予想通りなのですが、今年のテープ コンサートについては、パスでもあまり惜しくない、と いう気分です。ペーパーは可能な限り出て、コンサートは 晩の方に賭けて(ただし今夜のトランペットは、体力の 状況によってはパスで寝たいです。かなりしんどいです) いくという戦略です。 例年に比べてかなりコンサートに軽いレポートになります が、そういうわけで御容赦下さい。(^_^;)


さて、そういうことで25日のペーパーから追いかけます。 セッション会場での内職です。(^_^;)

9:30		A Digital Version of the Photosonic Instrument 
		Arfib Daniel, Dudon Jacques 
裏で「ダブル平賀」の発表があるのでいきなりパスしました。 同心円状にバーコードみたいなものを印刷した円盤を回して 光学的にセンスするオルゴールをVR的に作った、というもの。

9:55		Reed Instruments Modular Representation and their Interactive 
		Real Time Simulation CORDIS-ANIMA 
		Florens Jean-Loup, Germond J. 
リード楽器の物理モデル。

★ 10:20		From Song of Birds to Extended Virtual Reed Instruments - 
		Physical Modelling of Birds' Vocal Tracks and Application to a 
		New King of Sound Sustain Virtual Instruments 
		Cadoz Claude, Florens Jean-Loup, Gubian Sylvain 
さすがIRCAMというか。鳥の鳴き声を生成する実際の声道モデルを 調べて、それをエミュレーションする物理モデルによって、 バーチャルに鳥を歌わせよう(^_^)、というものです。 最後のデモサウンドだけ聴けたのでずか、確かに鳥のような 鳴き声ですが、いったい誰が「ちょっと違う」とか言えるの でしょうか。(^_^;)

★ 9:30		Content-Based Retrieval and Indexing Methods for Music Databases 
		Hiraga Yuzuru 
英語ペラペーラの平賀さんによる、音楽の特徴抽出や分類や類似度 判定などのテーマです。詳しくは、元bit別冊の「コンピュータと 音楽の世界」を読みましょう。表紙が新しくなって単行本になった そうです。(^_^)

★ 9:55		A Computer-Assisted Music Analysis System: Daphne 
		Liu Jianli, Hiraga Rumi, Igarashi Shigeru 
筑波大の五十嵐研の「ダフネ」の発表です。中身は音楽情報科学研究会 の夏シンポとほぼ同じです。無事に済みました。ご苦労さまでした。(^_^)

★		VMCI, An Interface to Control Csound in Real-Time Under Windows 
		Maldonado Gabriel  
CsoundのGUIですが、Windows上ということで、僕はソソラレ ません。でも、グラニュラとかでいいデモサウンドを 鳴らしていました。

★ Room 1		MidiShare Joins the open Source Softwares 
		Fober Dominique, Letz Stephane, Orlarey Yann 
MIDIに特化したOSであるMidiShareをオープンソース化した、と いうことのようです。でも昨今、Linuxでも色々とサウンドできる ので、ちょっと多数とはならないのでは。(^_^;)

★ Room 2   	A Comparison of Feed Forward Neural Network Architectures for 
		Piano Music Transcription 
		Marolt Matija 
ピアノの採譜にフィードフォワード型のニラルネットを使う 場合の、タイプによる性能比較。

★ Room 3		Using Relative Interval Slope in Music Information Retrieval 
		Lemstrm Kjell, Laine Pauli, Perttu Sami 
メロディーの分析に相対的なインターバルの傾きを使う、というもの。 平賀さんの研究とかなり近いところがあるなぁ、と思ったのですが、 聞いてみたら平賀さんもそう思う、よく知っている人なので話を してみる(ちょうど同時だったのでお互いに聞けなかった)、という ことでした。こういう、同じテーマの研究者同士の交流こそ、 ICMCの醍醐味です。(^_^)

11:00		Banded Waveguides: Towards Physical Modeling of Bowed Bar 
		Percussion Instruments 
		Essl Georg, Cook Perry  
帯域制限したウェーブガイドによって、擦弦楽器や打楽器の 物理モデルを行う、というもの。

★ 11:25		Physical Modeling by Directly Solving Wave PDE 
		Palumbi Marco, Seno Lorenzo  
偏微分方程式をじかに解いて物理モデル音源を実現する、という もの。デモで鳴らした「バイオリン風」のサウンドなどは あまり似ていないとも言えたのですが、その後が納得でした。 さすがイタリア! 、というところです。
実際の作品に適用した例だ、ということでいくつかの作品の サウンドが紹介されましたが、なるほど、Computer Musicの 音素材としては、現実の楽器に似ていなくてもいいのです。 むしろ、擦弦とかのニュアンスがデフォルメされることで、 多くの可能性を創出するように思いました。これは僕には 発見でした。(^_^)

★ 11:50		Applying STRAIGHT toward Music Systems - Accurate F0 Estimation 
		and Application for Data-driven Synthesis - 
		Katayose Haruhiro, Kawahara Hideki  
北京の空気の悪さに、ずっとマスクをしている怪しい風体の 片寄さんの発表です。和歌山大の河原先生の音声領域の研究と 合体した、日本の楽音合成関係の研究としては「新しい風」 です。(^_^)
STRAIGHTというこの方式では、ピッチシフト、ボコーダ、 タイムストレッチ、フィルタ、ディレイなどの効果がかかる ようで、これをサイバー尺八IIとして、音源にしていく、 という作戦のようです。マシンパワーの必要なホストには、 パソコンでなく「プレステ2を使う予定でSONYと交渉して いるが、今のところゲーム以外は駄目ということなので、 帰国したらさらに根回しする予定」と言っていました。 プレステ2、というだけで外人も判るところが凄い です。実際、プレステ2のDSP能力を越えるパソコンは 電気メーカからは出てきそうもありませんね。


さて、上記の片寄さん発表のあと、サササーッとデモと ポスターをチェックしてすぐにビルの出口に行き、 バスに乗り込みました。ちょっと意外といえば意外 なのですが、あれだけ混雑している道路だし、配られた 予定表の時間近くになってもバスの運転手たちは集まって 博打をしていて、話しかけても通じないので、バスに 乗ろうときたICMC常連の欧米人は、サッサと諦めて 歩き始めます。僕は重たいProceedingsとパソコンを 背負っているので歩くのはキツイので待っている のですが、なんと、時間になるとバスに3-4人しか 乗っていなくても、ちゃんと出発して、途中で歩いて いる連中を追い越します。このあたり、まぁチャーター バスなのでしっかりしているのでしょうが、けっこう 安定な移動手段として使えるようです。(^_^)

そして、1時間遅い、つまりペーパーの最後までいた、 というバスで昼食会場に着き、1時間早い、つまりペーパー 優先で先に来ていた人のためのバスでペーパー会場に 戻る、というテクを発見しました。欧米人のように 昼からビールを飲んで歓談しての1時間もの昼食、 なんてのはもともと習慣にないので、僕にはこれで 十分です。この日は一人ぼっち(なんで日本人は 全然、いないんだろう(^_^;))で丸テーブルで いつもの中華バイキングをかき込み、さらにまだ 時間があったので、コンサートホールで3曲ほど テープ音楽にうたた寝して(^_^;)、またまたペーパー 会場へのバスに乗りました。このパターンは、明日 も使えそうです。

...ということで、以下は、またまた午後のペーパーセッション を聞きながらの内職です。


11:00		A Theoretical Framework for Electro-Acoustic Music 
		Simoni Mary, Broening Benjamin, Rozell Christopher, Meek Colin, 
		Wakefield Gregory  
「お話」モノのようなのでパスしました。でも、論文を 見るとちゃんとやっているみたいです。 まぁ、分析関係は僕はパス系ですので。(^_^;)

11:25		Segmentation and Interpretation in Atonal Music 
		Doerksen John 
これも分析関係。平賀さんとかは関係しますね。

		InSpect and ReSpect: Spectral Modeling, Analysis and Real-Time 
		Synthesis Software Tools for Researchers and Composers 
		Marchand Sylvain, Strandh Robert 
要するに分析・合成というもののようです。詳細不明。(^_^;)

Room 1		Applications of Principal Differential Analysis to Data Reduction 
		and Extraction of Musical Features of Sound 
		Winsberg Suzanne, Depalle Philippe 
このポスターだけ、なんか見逃していたようです。差分解析で 何をしているのかなぁ。

★ Room 2   	Analysis and Resynthesis of Percussion Sounds: Two Methods 
		Compared 
		Beauchamp James 
ビショップ先生、いつもはlong paperの常連なのですが、 今年はポスターでした。パーカッション音を分析合成方式 で楽音合成する手法の比較です。何か新しいネタを発掘する ときと、こういうふうに複数の手法を比較検証するときと、 研究というのは繰り返すようです。

★ Room 3		Spectral Envelope Estimation and Representation for Sound 
		Analysis-Synthesis 
		Schwarz Diemo, Rodet Xavier 
パワフルおじさんのロデさんが、またもIRCAMパワーを 見せつけていました。スペクトルエンベロープの処理が 上手いのか、合成している歌声がなかなか良かったです。

14:00		Modeling Wind Instrument Sound Radiation using Digital Waveguide  
		Scavone Gary 
午後のセッション、この時間はなんと楽音合成関係の方が少ない という異色の枠。こちらはパス組です。管楽器の物理モデルでは、 これまでは内部の気柱のモデルが多かったのですが、こちらは 共鳴した音響が外部に放出される部分をウェーブガイドで合成 する、というもののようです。でも、結局はPAシステムに依存 というか制約されるように思うのですが。

14:25		Audibility of Inharmonicity in String Instrument Sounds, and 
		Implications to Digital Sound Synthesis  
		Jarvelainen Hanna, Valimaki Vesa, Karjalainen Matti  
弦楽器のインハーモニシティを楽音合成に適用、というもの です。さすがフィンランド、視点がちょっと違う。(^_^;)

★◎ 14:00		The SensOrg: Time-complexity and the Design of a Musical 
		Cyberinstrument 
		Ungvary Tamas, Vertegaal Roel  
最後のデモビデオの時にちらっと見ただけですが、判りました。 「ICMA1991ビデオ」の中で、ノブ型のコンサローラの先端を 指先でうにうにと触り、これをパラメータとして音声合成が アオアオ言っている(^_^;)、という不気味なおじさんがいた のですが、その人でした。そのセンサというかコントローラを 発展させたもので、巨大テンキーみたいなパッドにこのうにうに センサも仕込み、これをずらっとリックウェイクマンのように 並べて、とっっっても怪しいパフォーマンスをして いました。凄いパワーです。(^_^;)

★ 14:25		Conductor Following With Artificial Neural Networks 
		Ilmonen Tommi, Takala Tapio 
これもヘルシンキです。フィンランド軍団は新しい勢力ですね。 指揮のセンシングというのは、光学的な指揮棒も曲げセンサを 服に仕込むのも、かなり出涸らした印象があるのですが、冒頭 のデモがなかなか見せてくれました。燕尾服を着た指揮者の指揮 に従って、向こうのスクリーンには4人の演奏者(当然、指揮に 従ってテンポとか音量が追従)が3次元CGとなっているのです が、いかにもOpen-GLという風情でその空間を移動していける のです。そして、ググーーーッと遠くにズームアウトすると、 周囲にはホールの壁面が出てくるとともに深いリバーブが かかり、そこから高速でズームインしていくと、ちゃんと ドップラー効果で演奏全体のピッチが変動しました。(^_^;)
研究の個別要素とかについてはあまり目新しくなくても、 こういう風にデモの受けによって新規参入するという手が ある、という好例かもしれません。

★ 14:50		Virtual Conducting Practice Environment 
		Garnett Guy, Malvar-Ruiz Fernando, Stoltzfus Fred 
冒頭に「時間が押しているから簡潔に行こう。何か質問は?」と やって会場を笑わせました。そうか、こういう手もあったか。(^_^;)
こちらは、指揮でパフォーマンスというのでなく、指揮の 練習をするための応用ということのようです。以前に早稲田 でやったものの一つと通じるかと思います。会場には、次の セッションで発表ということで、橋本先生も早稲田の皆んな もいましたが(今年は早稲田組が毎日いますね。松島さんの 時代とは変わりました(^_^;))、いずれコメントを 聞きたいです。

★		Gestural Control of a Real-Time Physical Model of a Bowed String 
		Instrument 
		Serafin Stefania, Rodet Xavier, Dudas Richard, Wanderley Marcelo 
ワコム社のパソコン用タブレットをMAX/MSPに入れて、擦弦楽器 の「弓」のように使って物理モデルで楽音合成をする、というIRCAMの デモでした。なかなかそれっぽかったですが、これで習熟するのと、 バイオリンを習熟するのと、どっちが楽しいかなぁ。(^_^;)

★ Room 1		A Parametric Model of Expressiveness in Musical Performance Based 
		on Perceptual and Acoustic Analyses 
		Canazza Sergio, Rod Antonio, Orio Nicola 
感性パラメータを音楽心理学的なモデルから...という路線で、 僕は避けてきているものです。これは井口研がチェックというところ かな。

★ Room 2		Modelling the Motivic Process of Melodies with Markov Chains 
		Hothker Karin, Hornel Dominik 
メロディーをマルコフ過程で、というのは僕には眉唾です。 ところで、この論文、僕のProceedingsではまったく欠落しています。 困ったもんだ。(^_^;)

★ Room 3		Formalizing the Concept of Sound 
		Kaper Hans, Tipei Sever 
かなり本質的な(とても無理では...)テーマです。 ところで、この論文、僕のProceedingsではまったく欠落しています。 ブースの別なプレプリントをもらってきましたが、困ったもんだ。(^_^;)


そして、今はもうホテルです。上記のセッションのあと、レジストレーション デスクで、まるまる8ページ欠落したProceedingsのコピーを頼みました。 そして、下記の最後のセッションに出たあとで、発表の終わった橋本研の 皆さんと小坂さんなどと一緒にタクシーでホテルに戻ったところです。
これからあと1時間ほどでロビーに集合して、食事に出ます。早稲田 グループはその後で確信犯的に遅刻してコンサートに行くのですが、 僕は睡眠不足もあるので、今日の晩のコンサートはパスして 休む、と宣言しました。明日のComposers' Concertと、明後日の マルチメディアコンサート(上原先生出演)は、行きます。

ということで、ロビーで皆んなと別れてからホテルの売店に 行って、今、燕京Beerとプリングルスで先にちょっとやって います。ぼちぼち慣れてきた、というところでしょうか。(^_^;)


15:30		The Timbre Space of the Classical Guitar and its Relationship 
		with the Plucking Techniques 
		Orio Nicola 
早稲田の発表のセッションに、ということで、こちらの 楽音合成セッションは行けませんでした。これは物理モデルで ギター音を合成するパラメータとして演奏の表情を表現する ために、まずはクラシックギターの演奏法とサウンドとから パラメータを抽出する、という「もろ分析」の研究の ようです。合成をしたい人が、そのためのパラメータが 十分に無い場合に、ええい、とまず分析からするというのは、 ちょうどLaTeXをクヌース先生が作ったのと同じですね。(^_^)

15:55		Using Advanced GUIDO as a Notation Interchange Format 
		Hoos Holger, Hamel Keith, Renz Kai  
GUIDOという、内輪で閉じた世界があるのですが、それを汎用 サウンドファイルフォーマットのコンバータに使う、ということで 擦り寄ったものです。これじゃ衰退するのでは。(^_^;)

16:20		Common Lisp Music update report 
		Pampin Juan, Lopez-Lezcano Fernando  
どうなんでしょ。この時世、CommonLispはもう終わっている、と いう僕の感覚は間違っているのかなぁ。(^_^;)

★ 15:30		The Notation of Interactive Music: Limitations and Solutions 
		Schedel Margaret 
イチローさんが教えているジョン・ホプキンス大学の女性の 研究者の発表で、もろアンケートものでした。たいていの場合、 これはウケないのですが、僕にはウケました。というのも、 インタラクティブComputer Musicを実現するための「楽譜」 について、演奏家と作曲家の両方にアンケートしていたのです。
僕もそういうインタラクティブものでは、楽譜を書いたり 書かなかったりしますが、まぁいつも苦労します。そして、 市販の楽譜ソフトではまったく使えないので、MacDrawで 図形楽譜で書いたりします。そのあたり、フムフムなるほど、 という結果でした。こういうのもICMCでは発表できるのです。

15:55		Interactive Multimodal Mobile Robot for Musical Performance 
		Suzuki Kenji, Ohashi Takeshi, Hashimoto Shuji 
さて、いよいよ早稲田の橋本研、鈴木クンの発表です。G3NoteBook を積んだ(ソフトはMAXで全て作るということ)移動ロボットで、 ロボットはCCDカメラで画像認識して自律的に動きます。けっこう 怪しい台車、というカンジです。(^_^;)
そして「iMOVE」モードでは、台車の前のダンサーの踊りに 対話的に一緒にダンスしていました。なかなか凄い。(^_^)
また、G3PowerBookを手に持ったダンサーがこの台車の上に 乗ってうりうりと動くと、それに応じて台車がうろうろと 移動しました。これも怪しい。
結局、この手の発表ではICMCの常なのですが、質疑と いっても何もなく終わりました。これは、インスタの メイキングみたいな話には、けっこうICMCは冷淡だから、 という事なのです。話をしたのですが、来年は、これを 発展させてインスタ部門で出たらいいと思いました。

★		Armadillo: Real Time and Non-Real Time Analysis of Musical Sounds 
		on a Power Macintosh 
		Madden Timothy, Beauchamp James 
iMacを使って、リアルタイムに音響入力を3D-CG分析表示 できる、というもので、色々な楽器を持った人々が群がって いました。ただし、Unix環境では数年前には終わっている 内容でした。

★ Room 1		Binary Decision Tree Classification of Musical Sounds 
		Jensen Kristoffer, Arnspang Jens 
2進木でサウンドから音楽を分類する、というかなり斬新と いうか無謀なテーマ。うーーむ。(^_^;)

★ Room 2   	Improving Instrumental Sound Synthesis by Modeling the Effects of 
		Performer Gesture 
		Wanderley Marcelo, Depalle Philippe, Warusfel Olivier 
演奏家の姿勢とか周囲の残響によって音楽演奏がどう変化するか、 という計測結果報告ものでした。こういう地道な研究も必要では あるのですが、今年だから通ったのかもしれません。

Room 3		Sound Processing Kit - An Object-Oriented Signal Processing 
		Framework 
		Lassfolk Kai 
誰もお客の来ないところで本人だけ切ない視線を飛ばして くるので、ちょっと恐くて行けませんでした。(^_^;)(^_^;)


ということで、ようやく、ペーパーにこのレポートが追いつきました。 明後日の午前のペーパーはパスして市内観光なので(^_^;)、あとは 明日一日だけです。それなら、あとでメモを思い出してもなんとか なるので、明日は重いパソコンを背負うのはやめようと思います。 既に読んだところは重いだけなのでProceedingを分割していたのは たしか大矢さんですが、僕はこれはしたくないので(^_^;)、 それだけ背負って行きましょう。あとは今夜、少ないですが デジカメ画像をさらに追加する予定です。けっこう今日も 頑張ってしまいました。では、これからこのHTMLまでをアップ して、夕食に出かけます。橋本先生情報では、北京ダックが安い ところがあるそうで。(^o^)(^O^)/