Raspberry Pi 日記 (part3)

長嶋 洋一


2013年8月1日(木)

どたばたと過ぎた7月も終わり、8月に突入である。 初旬はオープンキャンパスと「41虎」、月末から2週間の渡欧、といういつもの夏休みであり、ここでの時間的余裕で何かが創れるか、が来年に繋がる重要な時期である。 朝4時半に目覚めると、ハムスターが飼育ケージから脱出して見当たらず、台所でプラ用ゴミ箱に落下してゴソゴソする音で発見された・・・という肝を冷やす事件があったりしたが(^_^;)、いつものように朝6時半からの研究室である。 ここでいくつか、この1週間ほど書く余裕の無かったトピック(広い意味では「Raspberry Pi日記」と同じ文脈のスケッチング/物理コンピューティングに関係すること)を記しておこう。

今年は韓国でのNIMEへの参加をパスしたが、NIME関係者のMLで「新しいキーボードをKickStarterで公開した」というニュースが飛び込んできた。 上の写真の これ である。 この TouchKeys であるが、音楽キーボードの白鍵と黒鍵のそれぞれの上に、タッチセンサのシートを全て貼って、その「指触り」の情報をコンピュータに取り込んで、通常の鍵盤演奏に加えて、ビブラートとかベンドとかモジュレーションとかの表現を拡張する、というものである。 まさに、NIME(New Interface for Musical Expression)そのものの王道の研究であり、 この動画 はうまくそのメリットをアピールしている(^_^)。 ただし、30000ポンドの到達目標に対してまだ7000ポンドであり、出足が遅い。 やはり「新楽器」というのは一般性は無いのかなぁ。 これを駆使するには、まず普通のキーボード演奏者として十分なレベルが必要なので、予測としては、到達しないような気がする。

そしてSketching関係者のMLでは、UCSDのJan Borchersが、こんなフリーのArduinoテキストを作ったよ、という案内が届いた。 PDFでコンパクトにまとまった ここ にある これ である。 UCSDでは、これをテキストに、コンピュータサイエンスの学生に対して、以下のメニューで5時間のワークショップによってArduinoをマスターさせているという。 これは面白い。まだテーマが決まっていない「41虎」に提案してみたい。 必要最小限のことがコンパクトに書かれているので、英語の勉強も兼ねて、メンバーそれぞれがスタンドアロンの「何か」を新しく生み出す、というプロジェクトの題材としては格好の材料である。

Time Topic Book Chapter
1000 Warmup, welcome
1015 Lab overview
1030 Intro, use in research 1
1040 Installation
1050 Blink 2
1100 9v battery 3
1110 LED 4
1120 Resistor, breadboard 5
1140 Button 6
1200 Lunch
1300 Pullups 7
1310 Force sensor 8
1330 Serial 9
1350 PWM 10
1410 Servos 11
1430 Shields 12
1450 Next steps 13
1500 Wrap up, official end
1510 Open Dorkbot-style show and tell
1700 End

7月28日(日)のところで、「業者に これ を発注」と書いていたが、こちらはまだ届いていない。 ただしDigi-Keyなど海外からの調達でなく、既に在庫があったとのことなので、やはり、Raspberry Piからbeaglebone blackの方向に 進んでいる国内の研究者もいるのだろう。 そして同じ日に発注していたブツが、昨日、届いていたので、さっそく開けてみる事にした。 まずは、久しぶりに1106の風景であるが、ちょっと怪しさが出て来ている(^_^;)。

ダブルリングの新楽器(制作 : 2009年)は、本格的修理に時間がかかるので今年は展示を断念した「風見屏風」に代わって、オープンキャンパスで展示することにしたものである。 そして机上の砲台がなんともソソラレル(^_^;)が、まずは小さなモバイルWiFi-LANルータからである。 つまりはAirMacのペースステーションのようなものであり、LANに接続してWiFiで飛ばす、というものだが、なんと「上海問屋」ではこれが1000円台だったので、砲台(こちらがメイン)のついでに購入したのである。

そして10分もしないうちに、上のように無事に稼働した。 設定は「パスワード無しの素通しDHCP」というもので(^_^;)、考えてみればこれを使うケースは、研究室や講義室など学内(SUACネットのファイアウォールの内側)と、出張中のホテル等の室内(他の部屋にも全て素通しのLANが来ている)だけで、別にこのWiFiルータを盗聴・悪用される事を想定されないケースに限るので、これでいいのだ。

ただしこのルータをRaspberry Piに繋げば、Raspberry Piをサーバとして外部からWiFiで繋ぐ、という、つまりはSketching2013で見た このロボット のような使い方への発展が見込めることになる。 この中国製のWiFiルータが、Raspberry Piのライブラリとして対応されているかは甚だ心もとないが(^_^;)、可能性としては面白い。

その後、昼前の1時間ほど悪戦苦闘して、「砲台」の結果は、上の写真にあるように このような悲しいこと になってしまった。 まぁ、Macは10数台ある1106研究室にWindowsパソコンはたった5台(Windows95とWindows98が各1台、あと3台がXP)ということで、超古いものなので動作が付いていかない、という可能性もあるが、CDROMのインストーラ自体にバグがあって複数メソッドが必ず起動しては警告される(^_^;)という代物なので、これは諦めるしかない。 USB接続のWebカメラで照準を合わせて、モータを制御してBB弾を発射する、というのはとても面白いのだが、起動すらしてくれないのでは、分解して解析することも出来ない。 久しぶりに「安物買いの銭失い」をやってもーた。(^_^;)

そして3限はゼミで、いよいよ後期から正式に長嶋ゼミとなる土佐谷さんと森川さん、M1のリュ君とで夏休み前の情報交換ミーティングを行った。 それぞれ、テーマと目標を高く掲げて成長して欲しいと思う。

5限に41虎が集まる、というアポが確定した15時あたりには、なんと上のように、遂にbeaglebone blackが納品されてしまった。 なかなかに可愛いが、これはRaspberry Piの時と同じように、また最初から取り組まないといけないので、かなり根性が必要である。 まだドキュメントもまったく集めていない。 Raspberry Piが未消化なのにさらに発展系に取り組む、というのは、吉と出るか凶と出るか微妙である。 とりあえず今週末のオープンキャンパスを乗り越えつつ、どういう作戦で行くか、合間に考えていくことにしよう。


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