インタラクション特講(長嶋)
- 開催案内
「インタラクション特講」のお知らせ 長嶋インスタレーション作品、あるいは科学館のような展示システムでは、 通常のコンピュータの標準インターフェース(キーボード、マウス、 タッチパネル、タブレット)以外のオリジナルな手段(センサ、スイッチ、 コントローラ、LED、モーター等)を使って、人間がシステムとやりとり します。ここには、センサ技術・電子回路技術や、システムがコンピュ ータ内で閉じていないための各種ノウハウがありますが、ある程度の トレーニングによって、この領域(インタラクションデザイン)のコツを 自分のモノにする事は可能で、ここを学ぶことで、新しいデザインの 可能性を拡げられます。
そこで、メディア造形学科3-4回生を対象として、以下の「特講」を 行います。講義科目ではありませんが、自分がきちんと理解してインタ ラクティブなシステムデザイン/作品制作を行いたい学生は、ぜひ参加 して下さい。インスタレーション作品だけでなく、科学館の教育展示とか 実用的なコンテンツの体験展示システムなどにも有効です。
プラットフォームはMax/MSP/jitterを基本としますが、Flashや Processingを使う場合にも有効な解説を行います。また、Arduino等 を使って、PCを使わないでシステムを実現する(スタンドアロン)方法に ついても解説します。なお、2010年4月から、マルチメディア室のMac に入っているFlashもMax/MSP/jitterも、新しいバージョンにしました ので、最初は相当に戸惑います(^_^;)ので、今後、Max/MSP/jitterを 使いたい人は必須となります。
なお、この特講に参加しないのに、今後の総合演習・卒制などで インスタレーション作品等を制作する学生には、これまでのように 困ったからといって学科教員がいちいち手取り足取り支援することは なくなりますので注意して下さい。
・現在の開催予定(場合によっては変更の可能性あり) 2010.04.16(金) 4-5限 「インタラクション特講」(1) 2010.04.23(金) 4-5限 「インタラクション特講」(2) 2010.05.07(金) 4-5限 「インタラクション特講」(3) 2010.05.21(金) 4-5限 「インタラクション特講」(4) 2010.06.11(金) 4-5限 「インタラクション特講」(5) 2010.06.25(金) 4-5限 「インタラクション特講」(6) 2010.07.09(金) 4-5限 「インタラクション特講」(7) これ以降の夏休み期間は個別の希望に対応予定
- 初日 4月16日 4-5限 マルチメディア室
- 場所 マルチメディア室(+電子制御機器制作室)
- 対象 PC内で閉じるコンテンツ(Web/Flash)に限らない、 インタラクティブなシステムの制作を予定している 学生(メディア造形学科3-4回生、院生)
- 定員 最大20名程度(できれば10名以内)
- 制作 単なる講義でなく、それぞれ実際に具体的な作品の 制作を行います。4回生であれば「総合演習II」「卒制」 の作品でもOK。3回生であれば「仮ゼミ」での実験や 自主制作(碧風祭・SUAC展など)でもOK。
- 条件 所属のゼミ/仮ゼミは不問です。 特講は「積み上げ」なので、原則として計3回の欠席で 脱落(習得困難)とし、以降の参加を遠慮いただきます。
- FLASH FLASHを使って、センサ(連続的な値を検出)でなく、 単なるON/OFFの情報だけを外部のスイッチから入手 してインスタレーション作品を制作したい、という学生 については、最初の3回だけでその話題を完結させます ので、「FLASH限定・最初の3回だけで卒業」という パターンはOKです。具体的には、市販の安価なキーボード を分解してスイッチを外部に延長する、という手法です。
- 参加 長嶋までメイルにて「インタラクション特講・参加希望」 と連絡して下さい。参加希望の提出期限は4/15(木)です。
- 受講者 (申込順)
- 中谷 亘 (3回生)
- 山本 ひとみ (3回生)
- 見崎 央佳 (M1)
- 樋口 雄基 (3回生)
- 石田 麻衣 (4回生)
- 今村 モモ (4回生)
- 片桐 美和 (4回生)
- 伊熊 千晶 (4回生)
- 田畑 綾佳 (4回生)
- 大塚 理絵 (4回生)
- 小畑 志織 (3回生)
- 花澤先生 (空間造形)
- 金子 冴子 (4回生)
テキスト (適宜、加筆補足していきます)
- 1回目(2010.04.16)
- 本日のテーマ「インタラクション・デザイン実現の概論」
- インタラクティブシステムとしてのコンピュータシステムの本質
- スパコン・PC・ケータイ・組込マイコン(リモコン等)まで「コンピュータシステム」は皆んな同じ原理
- コンピュータの構造を確認する (インスタ作家はどこに割り込めるのか)
- 人間とコンピュータ、自然界とコンピュータ、コンピュータとコンピュータ とを繋ぐ
- 人間の「五感」に働きかけるしかない (「脳電極」はタブー)
- 人間とのインターフェース装置(センサ)はホットなテーマ(^_^)
- コンピュータには「プログラム(アルゴリズム)」という疑似脳(人工知能)がある
- 「スケール」の視点 : 時間、速度、力、空間(大きさ)
- 「イベントドリブン」 : システムは裏で足踏みしながら変化を監視(モニタ)している
- エネルギーの本質的な問題
- 「神」は誰なのか?
- 広義の「入力」
- 標準入力装置(キーボード、テンキー、マウス、タブレット、タッチパネル)
- スイッチ
- 各種センサ(物理量)
温度・湿度・気圧・照度・色(RGB)・PH・臭い・音圧・重力・圧力・速度・加速度・角速度・角加速度・ 曲げ・引張り・圧縮・タッチ・近接・ビーム遮断・反射(赤外線・超音波)・移動・距離・角度・振動・衝突・衝撃・etc- 画像認識
- 環境音検出
- ネットワーク/インターネットからの情報
- 時間の経過
- 広義の「アルゴリズム」(関係性のプログラミング)
- 自動で何かしている
- 入力があると反応して出力が変化する
- 時間とともに変化する
- 複数の条件の組み合わせにより結果が異なってくる
- 人間の「振る舞い」「ジェスチャー」「意図」を認識する
- ランダムな要素
- システムの対応性能が学習により成長する
- ユーザごとの個性に対応する
- 人間と相互作用/セッション/バトル/競争する
- 他のシステムとも繋がる
- いわゆる「ゲーム」
- 広義の「出力」
- 標準出力装置(モニタ、スピーカ)
- 大型ディスプレイ(2D/3D)
- プロジェクタ(2D/3D)
- 音響PA装置(2ch/5.1ch/multi)
- ネットワーク/インターネットへの情報出力 (ネットへの自動配信は既に15年以上の歴史)
- いろいろな光を発する「仕掛け」
- いろいろな音を発する「仕掛け」
- いろいろに動く「仕掛け」
- 動画/音響を生成する
- PCがクラッシュする/停止する
- インスタレーション作品に実例を見よう
- オリジナルのインターフェースへ
- システムデザインの2極「ニーズ指向」「シーズ指向」
- センサそのものをオリジナル開発するのは事実上不可能
- 「企業が量産するなら出来る」「開発費用が1億円あれば出来る」というネタが毎年、出てくる
- 既存のセンサ/モジュール/キット/装置をいかに使うか
- スイッチなら導電ゴムシートとすずメッキ線/プリント基板で多数自作できる(^_^)
- 検出したいモノをいかに変換して容易に検出するか
- 人間との接点なので「造形」が重要
- 連続展示でも壊れない耐久性
- 現場のノイズに負けない信頼性
- 万一の場合に取り替えできるか
- スマートか、美的か、魅力的か
- 宿題 次回までの準備
- 「分解改造するためのPCキーボード」を用意する
- USBキーボードであること(PS/2キーボードの場合にはUSBアダプタ付属)
- WindowsでもMacでもUnixでもOK
- なるべく古いものの方が良い(中古大歓迎、一部キーが無くてもOK)
- なるべく大きなキー、ストロークの大きなキーの方が良い(機械的接点はbest)
- 買うならショップ店頭に山積みされている980円ぐらいが良い(要USB確認)
- 2回目(2010.04.23)
- 本日のテーマ「外付キーボードをバラしてスイッチ入力を現実世界まで拡張する」
- エレクトロニクスの基礎の基礎
- キーボード入力は全てのシステムが標準で扱える
- USBキーボードはそれ自体が一つの組込みコンピュータ
- ヘンなことをしてキーボード内のCPUが動かなくなると改造は失敗する
- USBの電源ラインをショートさせるとパソコン本体(マザーボード)を壊す可能性あり
- スイッチマトリクスについて理解する
- マトリクスの交点のスイッチをショートさせればよい
- 「スレショルド(閾値)」「ON抵抗」について理解する
- Max/MSP/jitterでのスイッチのモニタ
- 「key」オブジェクトで一発
- 実際にやってみよう
- Flashでのスイッチのモニタ
- ActionScriptにキーボード入力がある筈
- 実際にやってみよう
- 問題点の検討
- ハンダ不良、接触不良、ショートに注意
- ノイズ
- あまり長くは延ばせない
- 延ばしたいならUSBケーブルの方を延ばす
- パソコン操作そのものが邪魔される
- 3回目(2010.05.07)
- 本日のテーマ「プラットフォームとインターフェースの検討/選択」
- 前回の「外付キーボードをバラしてスイッチ入力を現実世界まで拡張する」についての確認
- プラントーンのお話
- いくつかのインターフェースの実例の紹介デモ
- 連休中に作ったRFIDタグ・リーダ(GAINER)
- 連休中に修理確認した「ピリピリ」
- 返却されてきたArduinoスタンドアロン調光システム
- MIDIストロボ
- インタラクティブシステムのための重要な視点
- 何をしたいのか
- 電源のエネルギーは?
- 有線・無線
- レイテンシ
- フィードバック
- カスタマイズ
- パラメータの学習
- 信頼性と耐久性と修復性
- 展示場所にいるスタッフは?
- プラットフォーム
- Web(Javascript)
- Javaアプレット
- 独立アプリケーション
- Max/MSP/jitter
- Flash
- Processing
- iPhoneアプリ/iPadアプリ
- インターフェース
- USB
- RS232C
- MIDI
- Gainer
- Arduino
- AKI-H8
- 「ドライバ」の必要性
- MacかWinかLinuxか
- 4回目(2010.05.21)
- 本日のテーマ「システムの入力の拡張」
- 標準入力インターフェースからの入力 (Max/MSP/jitter)
- キーボード入力
- マウスポインタの座標
- マウスクリック入力
- Flash/Processingも当然、対応(^_^)
- 拡張入力インターフェースからの入力 (Max/MSP/jitter)
- マイクからのサウンド入力
- 内蔵ビデオカメラからの画像入力
- タブレット入力
- タッチパネル入力
- Flash/Processingはそれぞれ
- Gainerからの入力 (Max/MSP/jitter)
- GainerについてはWindowsもまったく同様
- Gainerのインストール(ドライバとライブラリ) : gainet.cc
- Max/MSP環境への入れ方
- GainerのポートIDの設定について
- Gainerの8つのモード
- Gainerの2つの入力(ディジタル/アナログ)
- ディジタル入力の内部動作に注意
- 2値入力でもアナログ入力の方が使いやすい
- スイッチの入力
- オームの法則
- ボリュームの入力
- 抵抗値変化タイブのセンサ入力
- 電圧出力タイブのセンサ入力
- 静電気タイブのセンサ入力
- 筋電センサ入力
- 電子工作キット/センサキットの出力を繋ぐ
- ディジタル出力のセンサは・・・
- Gainerは同時に100個ぐらいまで使える
- Flash/Processingも対応あり(^_^)
- MIDIからの入力 (Max/MSP/jitter)
- MIDIインターフェースUM-2
- MIDI入力のセットアップ
- I-Cubeインターフェース
- 長嶋オリジナルインターフェース
- センサ部分はGainerとも共通
- Gainer vs MIDI
- Flash/Processingは無理(^_^;)
- Wiiリモコンからの入力 (Max/MSP/jitter)
- 赤松正行さんのドライバ
- Bluetooth環境のセットアップ
- トラブルシューティング
- Flash/Processingは無理(^_^;)
- センサ等の入力をどう料理するか
- 入力トラフィックの確認
- データの(リ)サンプリング
- 変化だけが欲しいなら「change」
- いったん貯めるには「int」
- 入力データの範囲を確認する
- 最小値、最大値
- 線形変換
- 変化方向
- オフセット
- スケール
- 整数データと浮動小数点データ
- 音楽的ピッチに変換するなら「mtof」
- 指数変換は「pow」
- 「table」での任意変換
- アナログ入力チャンネル数を増やす方法
- ディジタル(スイッチ)入力チャンネル数を増やす方法
- 実際にやってみよう(^_^)
- 今回の提示パッチはこちら
- 5回目(2010.06.11)
- 本日のテーマ「システムの出力の拡張」
- 標準入力インターフェースへの出力 (Max/MSP/jitter)
- 画面出力
- Beep音
- Flash/Processingも当然、対応(^_^)
- Gainerへの出力 (Max/MSP/jitter)
- Gainerの2つの出力(ディジタル/アナログ)
- ディジタル出力は「ほぼ+5V」「ほぼ0V(GND)」
- アナログ出力はPWMなので注意(LED連続量点灯は簡単)
- Gainerは同時に100個ぐらいまで使える
- Flash/Processingも対応あり(^_^)
- MIDIへの出力 (Max/MSP/jitter)
- MIDI出力のセットアップ
- 内蔵音源
- MIDIはもともと電子楽器用
- MIDI制御調光装置 AmericanDJ
- I-Cubeインターフェース
- 長嶋オリジナルインターフェース
- Flash/Processingは無理(^_^;)
- いろいろな出力の例
- LEDを点灯させる
- リレーをON/OFFさせる
- ステッピングモータ制御
- ストロボを光らせる
- ピリピリ(感電)
- 白熱電球を光らせる
- ソレノイドの制御
- バルブの制御
- サウンド生成出力
- グラフィクス生成出力
- アナログ出力チャンネル数を増やす方法
- ディジタル出力チャンネル数を増やす方法
- 実際にやってみよう(^_^)
- LED連続量点灯
- ON-OFFの繰り返し
- 中間の明るさを指定
- スライダーで指定して変化
- 周囲の騒音の大きさで変化
- 時間とともに変化
- じわわーーーーっと点灯させる
- 残像のように余韻を残す
- 「揺らぎ」の演出
- 今回の提示パッチはこちら
- 6回目(2010.06.25)
- 本日のテーマ「マルチ・システム」
- Max/MSP/jitterパッチ同士の通信 - 内部MIDIバス(IAC driver)
- Max/MSP/jitterシステム同士の通信 - MIDI
- Max/MSP/jitterシステム同士の通信 - OSC
- 今回の提示パッチはこちら
- 7回目(2010.07.09)
- 本日は3回生の就職ガイダンスのため4限のみで終了します
- 本日のテーマ「スタンドアロン・システムの実現」(PCを使わないシステム)
- Arduino
- 小林茂さんのArduino本
- Funnel
- AKI-H8
- BasicStamp
- 電子工作キットの活用
- プロジェクトメンバー募集中です
関連資料・リンク