第22期「虎の穴」学生レポート集

2006年8月 長嶋洋一

山本 達弘

 今回、現場(瞑想空間)のBGM製作に参加させてもらえるということで、
22虎に参加させてもらいました。過去にゲームのBGMを製作したことは
あったのですが、現実の空間に音を付ける作業は経験がなかったので、
今回の22虎でのBGM製作は貴重な経験になりました。提供できた3曲には
満足しています。
 自分の作曲スタイルはビジュアル先行型なので、できれば瞑想空間で
全員の作品を見てから作りたかったです。1曲目は「もやもやしたやつ」と
いうキーワードだけで作ったので、ある意味一番難しかったです。2曲目は
実際に「螢」を見た後で作ったので、個人的には「螢のテーマ」という感じで
作りました。3曲目は、和風が入っている作品があると聞いたので和風を
若干意識して作りましたが、実際曲が和風っぽくなったかどうかは微妙です。
 3曲とも、バカみたいなこだわりを所々つめたので、愛着を持っています。
そういうことも大事だと思って、今まで音作りをしてきましたし、今後も
やっていきたいと思います。今回は何よりテーマを決めた上で作曲ができた
ことに非常に満足しています。このようなチャンスを与えてくれた長嶋先生に
感謝感謝です。
 造形物にもチャレンジしましたが、決して完成度が高いと言えるものでは
なく、7色LED(7色に変化するLED)様様という感じでした。音にしろ物に
しろ、クリエーターを目指すなら、モノに対してもう少しこだわりが必要
だったと思います。反省点は多々ありますが、それゆえ得たものもたくさん
ありました。22虎の皆様、そして長嶋先生、本当にどうもありがとうござい
ました。 

西沢 悠子

 虎の挑戦2回目の今回は、テーマを「“リベンジ”と“木と光の暖かさ”」
と決め取り組みました。最初はコンセプトを〈鳥籠〉として作品作りを考えて
きましたが、一つ一つと全体のまとまりがなかったため、方向を変え、形を
全て立方体に統一しました。しかし方向転換が遅れたため、最後が時間的に
きつくなったり、仕上げが雑になってしまいました。前回の反省点は一番に
プロセスをふんで作業を行なえなかったことだと思います。今回、自分としても
去年よりいいものに出来たと思いますが、反省点が同じようなものになって
しまったことが残念でなりません。しかし技術造形学科はこれから造形を
授業で扱うことが難しくなるので、自主制作で造形を作るいい機会だったと
思います。私は造形(特に木材加工)がとても好きなので、今回の教訓、反省点、
良かった所、学んだ事を活かして向上心をもって、次の作品を作っていきたいです。

山田 麻友美

準備風景(1)   準備風景(2)

 今回自分としては満足いく作品が出来ました。前回のオープンキャンパスでは
手伝いとしての参加で校内での作品展示は今回が初めてで、また前回のインター
カレッジでは作品が動かなかったので…今回は個人的に気合いを入れたつもりです。
 当日3つあるセンサーのうち1つは使えないという状態でしたが、2つでも
自分が表現したかったことを反映させることが出来たと思います。実際に動いて
いる自分の作品を見て、とても嬉しかったです。
 今回はハンダづけやマックスのパッチなど、初めてのことばかりでとても面白
かったです。長嶋先生には全面的にお世話になりました。有難うございました。
 それから、オープンキャンパス当日は色々な先生方や先輩達とお話しすること
が出来て面白かったです。長嶋先生、22虎の皆さん、お疲れ様でした。貴重な
経験を有難うございました。

岡元 千南都

準備風景

 今回22虎の製作にあたって、考えたことは、何か日常にころがっているものを
使って光を取り込もうという事でした。そこで使用したのがガチャガチャの
カプセルです。最初の計画では一辺30cmの立方体をガチャガチャでいっぱいに
し、カプセルの隙間から光がもれるような形にしようと考えていました。しかし
その作品をつくるにあたり、自分が表現したいことに疑問が湧いたので、今回22虎
ではガチャガチャを4つにわけ、それぞれ等間隔で空中に吊るすことにしました。
今回の作品は自分で造った中で一番の作品だと思っています。しかし反省点も
いくつかあるので、その反省点をちゃんと見て、もっとよく計画し、ペース配分を
しっかりたて、自分の納得いくような作品を造っていきたいです。

岩見 亜弥

 今回、虎初参加でいろいろ戸惑うことはありましたが勉強になることが
たくさんありました。
 何より、自発的に参加し、作品を考え制作したということが自分にとって
重要なことだったと思います。瞑想空間というひとつの部屋を使って空間を
表現するということに関しては、自分の作品だけではなく、その空間全体を
見ながら作品を制作・配置しなければならないことがわかりました。
 作品制作に関しては、あまり計画的に作業出来ず、外観や作りが雑になって
しまったのでとても残念です。でも、自分でデザイン・制作し、完璧に納得
できる形ではないにしろ、ある程度自分のイメージを形に出来て良かったです。
今回この22虎で学んだことを今後の作品制作や自主制作等で活かして
いきたいと思います。

嶋田 晃士

はじめに
 今回、瞑想空間、靄夜の展示の手伝いをさせていただき、特定の空間の中で
作品をどの様に演出するかということを、知ることができました。

靄夜の設置
 僕は今年初めて静岡文化芸術大学に来たのですが、それ以前から、長嶋先生の
ホームページでその空間の写真など拝見させていただいていました。しかし、
実際にその空間に足を踏み入れた時、そこは、自分が抱いていた印象とはちがう
ものでした。天井が高く、非常に音が反響し、ライトを消せば映画館の様に
真っ暗になる、あまり日常的ではない空間でした。
 その空間に、60以上の発光物をぶら下げ、アンビエント風の音がつく、と
いうものでしたが、今回は実験として、光りを反射する物を両サイドの壁に
ぶら下げ空間をより広く見せよう、ということで、大量のアルミホイルを壁に
たらすことになりました。地道に発光物をつけ、暗闇の中で点灯させると、
僕の頭の中のイメージとは違うものでした。無数の発光物が強弱したり、
消えたりついたり、一見ランダムかと思えるように光が複雑に変化し、日常の
光ではあまり目にしないものでした。真っ暗な空間の中、場所の立体感が
掴めない中、発光物だけが奥行きを現わしているのですが、それすらも、
高さがバラバラで揃わないようにしているため、近いのか遠いのかわからない
錯覚をおぼえました。しかし、アルミホイルは、上手く光りを反射できず、
思った様にはいきませんでした。そしてオープンキャンパス時には、虎の
学生の作品が置かれ、アルミホイルはなしでおこなわれました。

まとめ
 今回、設置の段階からこのプロジェクトに参加させていただき、空間を演出
する場合、頭の中で描いているイメ−ジと、実際にその場で事を起こした時の
現実は、必ずしも一致するものではない、という事を、あらためて感じました。
特にメディアアートでは、こういった事がつねに付きまとい、できるだけ
イメージを具現化しよう、もしくは良い方向に展開させようと、失敗を重ね
ながらも努力している事がわかりました。おそらく最初にこの靄夜のプロジェクト
が行われた時は、今回僕が関わらせて頂いた時よりもより多くの苦労がなされて
いたであろうことが、容易に想像できます。そして、こういったことを実際に
体験し経験できた事が、今回のプロジェクトに参加させていただき、得られた
ものです。