パソコンの選び方・買い方について

                     (2001年5月 長嶋洋一)

    1. イントロダクション

      1. 技術造形学科を中心に、何人もの新入生から「パソコンは何を買ったらいいのですか?」という質問を 受ける季節となりました。インターネット時代、人並み以上にパソコンを使えるようになりたいとか、 同級生で既に自宅のパソコンを活用している人に煽られたりとか、その気持ちはよく分かります。

      2. ただし、まず最初に言えることは、「慌てることはありません」と いうことです。新入生は前期必修共通科目「情報処理I」で、SUACでのパソコン環境で生活するための 基礎を全員、ちゃんとみっちり学びます。

      3. また、技術造形学科では、学生が作品制作などで使うための専用パソコンを準備していますし、 教員研究室などでのパソコン利用環境を提供したり、個別に指導しています。これをまずは活用して、 充分に「選ぶ視点」を養ってからでも遅くはありません。

      4. また、新学期の「今」というタイミングは、パソコンを新しく購入する時期としては、ベストでは ありません。というよりもメーカがこの時期に儲けるということは、お客である皆さんは損をする時期 です。この意味でも、じっくり冷静に考えることが重要です。

      5. ここでは、このような背景を受けての情報提供を試みますが、あくまで技術造形学科学生のための 内容ですので、他学科では事情が変わります。また、あくまで長嶋の私感ですので、それをきちんと 理解しておいて下さい。せっかくパソコンを買ったのにメーカが消えた、どうしてくれる、などと後で 言われても責任を負いかねます。全ては自己責任です。(^_^;)

    2. 望月先生からのアドバイス

      	望月です
      
      	新入生が、早急に、コンピュータを購入するよりも、まず、学内のコンピュータを利
      	用することをお勧めします。また、昨年度の学長研究で、技術造形学科の学生が自由
      	に利用できるコンピュータを用意してあります(11階の会議室に設置してある)。ま
      	ずは、それらを使用し、また、2年生の中で、コンピュータを購入した人もいますの
      	で、先輩の意見も聞かせてあげてください。
      	教員の意見が先に出ますと、影響力が大きいと思います。
      
      	コンピュータを選ぶのも、勉強になります。
      	何度も、パソコンショップに行くことも、初めての人には勉強になります。
      	なるべく、学生に考えさせ、先輩に相談し、学校のコンピュータを利用し、その後
      	で、相談に応じたほうが、学生本人のためになると思います。
      
      	この指導法は、先の学校の方法ですが、非常に有効でした。高価なものを買うときに
      	は、まず、市場調査から、それから、学校のコンピュータを使い切る、先輩に相談す
      	る、それでも購入に不安なときは、先生や専門家に相談する。そして、決定は自分で
      	行う。そうすれば、ものを大切に使用すると思います。
      
      	ご参考までに
      

    3. 基礎知識

      1. パソコンには、もっとも大きく形状で分けると、「デスクトップ型」と「ノート型」という種別が あります。

      2. デスクトップ型というのは

        というように、パソコン本体とディスプレイが分かれている、あるいはブラウン管と一体化された もので、基本的にはその名の通りに、デスクの上に常置するものです。電源はコンセントから取ります。

      3. ノート型というのは

        というように、折り畳みできる携帯型パソコンで、必要に応じて 持ち歩きできるものです。バッテリを利用して機内・車中などでも使えます。 また、ちょっと大きめの場合には「ラップトップ(膝上)型」と言って、普段は 机の上で開いて使用して、使わない時には畳んで本棚に立てることもできる、 という収納性をメリットとしたものもあります。

      4. 次に、ソフトウェアのシステムとしては、「Windows」「MacOS」「Unix」という3種類が 現在のところ生き残っています。これらは基本的には互換性が無い ので、例えばMacOSのパソコンでは、基本的にはUnixのソフトは使えません。Unixは当面、初心者 の対象外ですので、初めてパソコンを買う場合には、WindowsにするのかMacにするのか、という 「究極の選択」を、充分に理解して自己責任で判断しなければなりません。

      5. 「デスクトップ型」と「ノート型」という種別は形状だけですので、例えば、Windowsのノート パソコンとWindowsのデスクトップパソコンとの間には、基本的にはデータの互換性があります。SUACの 情報システムは、マルチメディア室(Macだけ)を除いて、全てWindowsの環境ですので、大学の パソコンで扱うデータを自宅に持ち帰って続きをする、という場合には、基本的にはWindowsの方が スムースである、という事になります。

      6. ただし技術造形学科の場合には、CGを制作するPhotoshopというソフトはWindows版もMac版も あるので、CGデータはどちらであっても互換で制作できます。その一方で、デスクトップ機と ノート機で、補助記憶メディア(フロッピー、CD-R、HD、MO、DVD-RAM、ICカード等)やインターフェース (RS232C、セントロニクス、SCSI、USB、IEEE1394、イーサネット、PCMCIA等)の種類が異なっている ために、情報としては互換でもデータが移動できない、という場合もあります。この意味で、製品や ソフトだけでなく、自分がどのような環境でパソコンを活用するのか、という周囲の状況をよく理解 しないうちは、慌てて購入しても「ろくに使えない」という事もあるので注意が必要です。

      7. 「Mac」(Macintosh)とは、現在はアップル社だけが製造しているマッキントッシュコンピュータ の一群のことです。基本ソフトウェアは「MacOS」という専用のもので、Macはハードとソフトの 両方から、閉じた独自の世界を構築しています。デザイナー等ではMac支持者が多いのですが、 世界的にはパソコン全体の10%を切るシェアのために苦戦しています。

      8. 「Windows」というのは、MacOSともUnixとも異なる基本ソフトウェアのことで、マイクロソフト 社がソフトウェアを開発しています。それではWindowsの走るパソコン(ハードウェア)は何か、と 言えば、事実上、「Mac以外は全部」(^_^;)です。つまりアップル社以外の全てのパソコンメーカが、 全て、現在のところはWindowsパソコンのメーカ、ということです。同じWindowsが走る、という ことは、A社でもB社でもC社でもいいのだ、という事になりますから、当然、熾烈な価格競争と 性能競争が繰り広げられています。脱落して業界から消えた企業も数知れません。つまり、Windows を使う(全世界の90%以上、ビジネスの領域ではほぼ100%)ということであれば、パソコンは何で あってもいいのです。ただし中古の場合には性能が不足する事があるので、初心者はいくら安くても 中古Windowsパソコンは買わないようにしましょう。

      9. 「Mac」と「Windows」と並んで、もう一つ「Unix」という基本ソフトウェアの世界があります。 これは今後、Unixの一種である「Linux」が世界を制覇していくと言われ、いずれWindowsやMacが 地球上から消えた時に残っているものの最有力候補です。Linuxは、MacパソコンでもWindowsパソコン でも、どちらでもない(^_^;)パソコンでも走ります。ただし現在のところはまだ専門家の世界なので、 初心者はLinuxという名前だけ覚えて、まだ手を出すのはやめましょう。

      10. よく「インターネットできるパソコンをください」などと言ってショップの店員を喜ばせる人が いますが、「パソコンで *** をしたい」というのは、基本的には上記の分類とは関係ありません。 以下は、現在、新品のパソコンを買った場合には、どんな組み合わせでも必ずできる事です。 ただし、それぞれのソフトは異なる場合がありますので、それぞれのデータは互換とは言えません。

        • 電子メイル(e-mail)を出す、電子メイルを読む
        • インターネットをアクセスする(ホームページを見る[ネットサーフィン])
        • 文書(レポート、日記、論文、等)を書く
        • ホームページを作る
        • お絵描き(CG)をする
        • 音楽データ(MIDI、MP3)を聞く
        • パソコン作曲(DTM)をする
        • ムービーを見る
        • 図面を作る
        • パソコンゲームをする
        • プログラミング(の演習)をする
        • インターネットショッピングをする(クレジットカードを持つ必要あり)
        • デジカメのデータを取り込む
        • デジカメ写真や自分の描いた絵に効果をかけて編集する
        • 年賀状や暑中見舞いや名刺を印刷する
        • データ集計や家計簿をつける(表計算)

      11. 「Mac」と「Windows」と「Unix」の違いにまったく関係しない代表的な技術としては、 「ホームページの記述」があります。これは、基本システムやハードウェアの違いに関係なく、 現在はまだ存在していない、将来出てくるコンピュータの世界でも継承されるべく規定 されている文化です。つまり、現在、どのパソコンで作ったホームページも、どのパソコンでも ほぼ同じように見え、さらに将来、今の パソコンが消滅しても、データさえインターネット上に置かれていれば同じように見える、 という継承性を持っています。これは、過去にパソコンや基本ソフトが消えるとその関連の 文化が消滅した(^_^;)、という苦い経験から生まれたものです。

    4. 「Mac」にするか「Windows」にするか

      1. デザイン学部技術造形学科でない学生から問い合わせを受けた場合には、私(長嶋)は 迷うことなく「Windowsにした方がいいよ」と勧めます。その理由は、大多数の人が使って いること、就職したらその会社で使うのはWindowsである確率が95%以上だからです。

      2. ただし以下の理由により、基本的にWindowsはセキュリティ的に 問題があるという自覚を持って、自己責任でこれを回避する努力が常に必要です。 この自覚はWindowsを使う全ての人に必要なものです。

        • メジャーなために愉快犯が続々とWindows対応ウイルスを開発して流布させている
        • Windowsの基本設計思想により、ウイルス感染拡大等のリスクは永遠に消えない
        • マイクロソフト社のセキュリティポリシー(全てのトラブルの責任は利用規定を許諾した ユーザにありメーカは免責)により、本質的にリスクがある
        • Unixのようなオープンソースと異なり、バグによる弱点の情報が公開されず秘匿される
        • 常時接続時代となり、本質的な弱点を突いて乗っ取られる被害が爆発的に増大している
        • ユーザ個人のプライバシーをいろいろなルートで収集する仕組みを隠し持っている

      3. デザイン学部技術造形学科の学生で、作品制作というよりはメイル、ネットサーフィン、 レポート作成、演習でのプレゼンなど事務的なツールとして使いたいという場合には、 迷うことなく「Windowsにした方がいいよ」と勧めます。その理由は、上記と同様です。

      4. デザイン学部技術造形学科の学生で、特にCGやアニメーション等のグラフィクスを中心に 自分のパソコンでも作品制作したいという場合には、「WindowsでもMacでもいいよ」と答えます。 その理由は、最近ではWindowsでも、かつてMacだけであったソフトが同様に移植開発され、 ほぼ環境として同等以上になっているからです。

      5. デザイン学部技術造形学科の学生で、特に打込み音楽(DTM)とかMP3サウンド系を中心に 自分のパソコンでも作品制作したいという場合には、「WindowsでもMacでもいいよ」と答えます。 その理由は、最近ではWindowsでも、かつてMacだけであったソフトが同様に移植開発され、 ほぼ環境として同等以上になっているからです。

      6. デザイン学部技術造形学科の学生で、音楽の創作にこだわり、特にセンサもの、 インタラクティブもの、等にこだわる場合には、迷うことなく「Macだぜ」と勧めます。その理由は、 Max/MSP はMacでしか使えないからです。 1106研究室には現在、以下のようなコンピュータがありますが、Macが多数あるのは これが最大かつほぼ唯一の理由です。

        • SGI Indy (IRIX) 7台
        • 東芝 DynaBook (Windowsノート) 2台
        • 東芝 Libretto (Windowsノート) 1台
        • EPSON Windowsノート 1台
        • IBM PC110 (MSDOSノート) 1台
        • NEC PC9801NS/A (MSDOSノート) 1台
        • iMac (デスクトップ) 1台
        • PowerBook145B 1台
        • PowerBook520c 2台
        • PowerBook2400c 3台
        • G3PowerBook 3台
        • AKI-80/AKI-H8組込機器 数知れず(^_^;)

      7. 一般的に言って、「パソコンを使うのにマニュアルなんか読まない」という人にはMacを 勧めて、「パソコンを使う時にマニュアルをちゃんと読む」という人にはWindowsを勧めます。 その理由は、マニュアルを読む人は両方とも使えますが、マニュアルを読まずに使えるのは Macだけだからです。(^_^;)

    5. 「デスクトップ」にするか「ノート」にするか

      1. デスクトップパソコンは、一般には「拡張スロット」という増設用の基板取り付けスロット があり、ここにメモリカードやグラフィクスカード、サウンドカード等の機能拡張カード等を 追加していける、というのが最大のメリットです。しかし最近ではパソコンの性能は充分に高い ので、最初に買う時にメモリをちらっと増設(店員にサービスでやってもらう(^_^;))するぐらいで、 あとはマニアックにこの拡張スロットを使うというケースは減少しています。G4cube(下)などの ようにデザイン的にはデスクトップパソコンなのに拡張スロットも無く何も拡張できない(^_^;)、 というものもあります。

      2. ノートパソコンには、実は「持ち歩くもの」と「片付くもの」という、実際の使い方としては かなり異なる2タイプがあります。一例として、以下の二つのノートパソコンは一見すると同じ ような大きさに見えますが、左のパソコンには内蔵されて、右のパソコンでは外付けしている CDROMドライブの大きさから、大きさがかなり違うことが分かります。

          

      3. 実は上の二つのパソコンのうち、左側は「A4ノートブック」と呼ばれるタイプで、 右側は「B5ノートブック」と呼ばれるタイプです。この写真のモデルの場合、 A4ノートのLCDは14.1型、つまり対角線で14.1インチ(約36センチ)の大きさがありますが、B5ノートの LCDは12.1型、つまり対角線で約31センチの大きさです。ただし重さは、A4が3.0kgに対してB5は1.6kgです。

      4. さらに詳しいスペックとしては、以下をクリックしてよく比較してみましょう。
        A4ノートパソコンのスペック例    B5ノートパソコンのスペック例

      5. つまり、ノートパソコンと言っても、実際にはB5ノートは「持ち歩くもの」ですが、 A4ノートを持ち歩くのはかなり体育会系(^_^;)の人に限られ、A4ノートは実質的にはデスクの上に置いて 使用して、使わない時には「片付くもの」ということになります。ただし、一般的に、「A4ノートの 方がB5ノートより数万円から10万円は安い」(同じスペック、あるいは同じ仕事をする場合)という コストの差があります。「小さくて軽くて高い」(B5)か、「大きくて重くて安い」(A4)か、という 究極の選択です。

      6. また、A4ノートは本体だけでCDROMドライブやフロッピードライブなどの基本的な周辺装置が 内蔵されていますが、B5ノートは付属していても外付けタイプだったり、場合によってはオプション となっています。「持ち歩く時には必要最低限の機能だけでOK」という発想です。そこで、長期の出張 とかで外付けの周辺機器をB5ノートと一緒に持っていくと、全体としてはA4ノートよりも重くて かさばる(^_^;)、というケースもあります。

      7. キーボードについては、一般にノートパソコンではサイズの限界から小型キーボードとなって いるために、ややタイプしにくい、という人もいます。ただし人間の「慣れる力」とは恐ろしい もので、ちょっと打つと違和感がなくなるものですので、あまり気にしなくても大丈夫です。

      8. ポインタ(カーソルを移動させるための入力装置)については、ノートパソコンではシート状、 ボール状、ノブ状、などの専用のポインタが付いていますが、たいていは外付けでマウスとか トラックボールとかタブレットを使うことになるので、 これもあまり気にしなくて大丈夫です。 ちなみに僕は、もっぱら外付けのトラックボールを 愛用しています。一度これに慣れると、もうマウスとか 他のデバイスはかったるくて使えない、という程です。1ドット単位の位置決めも容易で、画面の 端から端まで一気にジャンプするのも簡単です。新幹線の中でノートパソコンを使うのに、わざわざ 持参したトラックボールを使うのは僕ぐらいです(^_^;)。 一度、試してみて下さい。

      9. 最近は周辺機器でも、接続するパソコンがデスクトップであるかノートであるかをほとんど 問わないようになってきたので、周辺機器の条件から選択する、という視点はほぼ不要です。

      10. デスクトップ型の最大のメリットは、CADとか作曲などの作業で、大きなスクリーンが 必要な場合に、デスクトップ型の外付けディスプレイでいくらでも(予算が許せば(^_^;)) 大きなディスプレイが使える、というところです。ただし、これについては下記の 「液晶(LCD)」か「ブラウン管(CRT)」か、というポイントも重要ですので、これも合わせて 検討しましょう。ちなみに、ノートパソコンでも外部ディスプレイを接続すれば同じことは できます。

    6. 「液晶(LCD)」か「ブラウン管(CRT)」か

      ブラウン管ディスプレイ(CRT)を使っていると、眼がどんどんどんどん、 どんどんどんどん、悪くなります。 さらにCRTでは放射線被爆、電磁波被爆の健康被害もあります。ノートパソコンでは、あるいはデスクトップ パソコンに敢えて液晶ディスプレイ(LCD)を使えば、比較するとこの悪影響の被害は相当に小さいです。 ただし同じ予算だと、LCDはCRTよりもずっと小さなものしか買えません。これが比較検討項目の全てです。 自己責任で判断して下さい。

      SUACでは、情報演習室でもメステでも、全て高価なLCDを使っています。そして2001年春には、工房で マルチメディア室とグラフィックWS室に多数のパソコンが入りました。予算には限度があるために、 ここでは「小型のLCDか」「大型のCRTか」という究極の選択が問われました。大きな画素・画面に 重点を置くグラフィックWS室ではCRTを採用しました。あれを90分間、連続して注視するとどうなるか、 どうぞトコトン、試してみて下さい。(^_^;)
      マルチメディア室については、画面の大きさが限定されるデメリットを覚悟した上で、あくまで目に優しい という点を優先して、LCDを選択しました。作品制作において、健康を害してまでCRTを眺めるというのは 耐えられなかったからです。この判断は正しかったと私は確信しています。

    7. パソコンの選び方のポイント

      1. Mac限定で捜す

        前述のように、Apple社のMacintoshの場合には、他に提供しているメーカもなく、パソコンの世界の 中ではまったく独立していますから、選び方もクソもありません(^_^;)。Mac/MSPとかImage/ineとか SuperColliderとか、使いたいソフトがMacにしかないものであれば、 これは迷うことはありません。前述のように、デスクトップならiMacかG4、ノートならiBookかG4PowerBook と、下図のような図式となっています。G4cubeはどうも中途半端なのでここではパス(^_^;)。

        この中から自分の利用環境を考慮して判断するだけです。なお、メモリは最初から少なくとも256MB 程度には増設して積んでおきましょう。予算が許せば512MBあると、いろいろ楽になります。また、デザイン学部 技術造形学科の場合には、初心者であってもスグに「専門家」となる、という事も忘れずに。

      2. Windowsのデスクトップ

        Windowsであれば、どのメーカであっても大差ありません。国内メーカの場合、ブランドは確かに国内の 有名な大手電気メーカですが、実際にはそのメーカで全部製造していることは、まずありません。全て、 OEMと言って、海外(東南アジアが中心)のメーカから心臓部のボードでも 他の部品でも全て買ってきて、現地の工場などで組み立てて、最後にそのメーカのロゴを付けているだけです。 従って、日本のメーカのパソコンと、より安い海外のパソコンメーカとの性能の差はありません。むしろ、 比較して工賃の高い日本のメーカの方が製品の価格は高いので、「同じ価格であれば、国産メーカの ブランドを優先することは、性能的に劣ったものを買う」ということを意味します。

          

        同じ予算で、もっとも高い性能のデスクトップパソコンをもっとも安く手に入れる方法は、遠藤先生が 1102合同研究室のパソコンで実現してくれたように、メーカでも仕入れて組み立てているだけのボードなどの 部品を自分で選んで組み立ててしまうことです。ただし、初心者はやらないようにしましょう。(^_^;)
        次に安い予算で、高い性能のデスクトップパソコンをもっと安く手に入れる方法は、製造の工賃が安い メーカの製品を選ぶことです。国内メーカよりは米国のメーカ、さらにアジアのメーカ、という順に、基本的 には同じ性能でより安い、ということになります。これより上を行くのは、信者なので工賃がゼロの(^_^;)、 いくつかの新興宗教団体が密かに製造して堂々と販売しているパソコンを買うことですが、ちょっと勇気が 要るのであまりお薦めはしません。
        このページのいちばん下のあたりに、メーカ各社のホームページや販売店のホームページへのリンクを 並べてみました。また、パソコンショップには多数のパソコンが並んでいますので、カタログデータを見比べる 視点を鍛えてみましょう。

      3. Windowsのノート

        デスクトップPCの場合には、たまたま何かの機能が付いていなかった、という場合にはその機能に対応した ボード(カード)を買って、拡張スロットに入れることで性能アップすることが容易ですが、ノートパソコンは 基本的には何も改造・拡張できないという部分が最大の相違点です。つまり、 購入する時に将来の全ての可能性を見切って覚悟する、という必要があります。

          

        前述の「A4かB5か」というのも重要です。デスクトップPCにLCDを使うぐらいならA4ノートを デスクトップに置く方がスマート、という使い方もあります。持ち歩くのは、まぁ絶対にB5でないと 死にます。カタログで見て「たった3kgじゃん、そのくらい持ち歩けるじゃん」と思うのは 素人の浅はかさです。ノートを持ち歩くには、クッションなどを完備した何らかの鞄が必要で、 まずたいていは電源アダプタにそのACコード、さらに普通はモデムケーブルとかも持ちます。この 総合計は軽くプラス1kgになります。肩掛け鞄では背骨が曲がります(^_^;)。

          

        ノートPCには、さらに小型のモバイル用のものもありますが、これは携帯性の追求のために機能的に かなり活用が難しいですので、初心者のうちはいきなり手を出さない方が賢明です。例えば、 これ は、先日、秋葉原で格安で入手した中古のWindowsノートパソコンですが、ここに自分が使いたい ソフトを入れる、ということだけで、「外付けFDDを買う」「イーサネットカードのドライバをFDから HDにインストール」「イーサネットカードを認識させる」「イーサネット経由で必要なソフトをコピー」 「インターフェースドライバのCDROMイメージを設定」「インターフェースカードを認識させる」 「マウスドライバを変更する」という高度なステップを経て、ようやくこのように 使えてきました。これはいい子は真似しないで下さい。(^_^;)

      4. 新品か中古品か新古品か

        パソコンの買い方には、大きく「新品」「中古品」「新古品」という3種類があります。

        新品とはその名の通り、メーカから出荷されたままのものですが、 パソコンの世界では「そのメーカ、そのタイプにおける最新モデル」 という意味があります。 パソコン雑誌に新製品紹介記事が載ったり、大手のパソコンショップのいちばん目立つところに 展示されていて、店員が素人のお客になんといっても勧めるのがコレです。お金持ちの人はこれでも 構いませんが、実は、これを買うというのはあまり賢い方法でもありませんので、個人的にはお薦めしません。(^_^;)

        中古品とは、ショップの店頭展示品、あるいはパソコンショップの 「買い取りコーナー」に持ち込まれて買い取ったパソコンを、「中古」と明示してかなり安く販売 しているもののことです。もちろん、一般的な意味での中古ということであれば、リサイクルショップとか フリーマーケットとか友達に譲ってもらった、というものも含まれますが、ここでは論外とします。つまり、 「パソコンショップで中古として販売しているパソコン」は、ショップが性能などを調査し、場合によっては 修理して、「とりあえずちゃんと動作することを保証」して売っています。ソフマップ などでは中古パソコンでも6ヶ月とか1年の保証書があります。立派なものです。これに対して、単に素人が 不要になったパソコンを売っている場合、程度も中身も不明ですので、絶対に買わないことを勧めます。 これらフリマのノリの中古パソコンは、部品を取るだけとかいう用途でのみ有効です。

        新古品というのが、パソコンの世界ではもっともお薦めです。これはクルマ などでも常識の買い方で、「なにがなんでも最新の新品でなきゃイヤ ! 」という人は別ですが、一般にもっとも賢い パソコンの買い方です。メーカから出荷されたまま箱は開けられていない、保証書完備で初期不良の交換を含めて メーカ保証は完璧、という意味では「新品」と同じです。ただし唯一、「そのメーカ、そのタイプにおける 最新モデルではない」というのがその定義です。もっとも、あまり古いものとなれば、性能としてもかなり見劣り してくるので、ここでは「最新の一つ前のモデル、あるいはもう一つ前のモデル」という意味として読んで下さい。 次の「パソコンの買い方のポイント」は、この新古品パソコンの解説と買い方です。(^_^)

    8. パソコンの買い方のポイント

      1. まずは、この図を、よーーーーーーーーーーく眺めて下さい。以下、解説します。

      2. 縦軸は「価格」です。相対的なものですが、同じパソコンも、同じショップであっても、状況により その価格は常に変動しています。

      3. 横軸は「時間」です。基本的には「時間が経過すると」、つまり右に行くほど価格は低下して いきます。すると、同じパソコンのままでは儲けがなくなるので、各メーカはある程度の 期間をおいて、次のモデルを出してきます。モデルチェンジによって目先を変えて、新しい「新価格」 という名で価格を仕切り直すわけです。クルマと同じです。

      4. この図では、横軸の一例として「2001年新学期セール」(つまり、今です(^_^;))、この夏の 「2001年・夏のボーナスシーズン」、今年の年末「2001年・冬のボーナスシーズン」という 区切りをつけてみました。この全てにモデルチェンジをするメーカは無いかもしれませんが、 まぁ全体で言えばこんなものです。

      5. さて、それでは「新学期セール」で、あるメーカのパソコンの新ラインナップが出た、という ことで見てみましょう。これは今(2001.05.05)であれば、パソコンショップの店頭に燦然と 並んでいる新製品です。つまり「新品」です。

      6. 新品の場合、事前にパソコン雑誌などで話題を作り、最初はショップに多量に出回らない時には、 かなり強気の価格で売られています。ソニーのVAIOなど、ブランドイメージの強いパソコンでは 演出された「品不足」により、これがけっこう続きます。しかし、ここで新品をほとんど値引き せずに買う、というのはよほどのお金持ちです。そういう人はこのページは読まなくても結構です。

      7. そして新製品が登場して少し経過すると、どうしてもそれを欲しかった人の購買が一巡し、一方で メーカからの出荷が全ショップに行き渡り、この新製品はショップ間の「価格競争」 の時代に突入します。価格は少しずつ少しずつ、下がっていきます。店員の少ない愛想の 悪いショップはその分、値段もどんどん下げて勝負します。(^_^;)

      8. この期間は、まだこのパソコンは「新品」です。カタログ等でスペックをチェックしつつ、 「いいなぁ、欲しいなぁ」と思っても、買わないという 行動姿勢がここでのポイントです。

      9. やがて、業界は次のシーズンを視野に入れてきます。新学期の次のシーズンといえば、7月の 夏のボーナスが次の山場です。各メーカは、ちょっと前に出したシリーズで、もういい加減、 価格競争に耐えられなくなったラインナップを新たに投入してきます。これは突然にやって くるのではありません。きちんとウォッチしていれば、「店頭から製品がなくなった」という 流れが見えてくるものです。「なくなった」のには理由があり、それは「次のための布石」 なのです。

      10. メーカにすれば、ある新製品のラインナップを登場させる時に、同じメーカの旧モデル、 つまり「新古品」が一緒に店頭に並ぶことを嫌います。これはショップにしても同様です。 そこで、新製品の登場するちょっと前、プレス発表とか業界情報で新製品が発表される 半月ほど前から、それまで微減だった価格が、急激に下がってきます。これが 「店頭在庫処分」の時代の到来です。チャンス到来です。(^_^)

      11. そしていよいよ、新モデルが発表・発売されます。ところが、一部のショップでは、価格を 大幅に下げても売れ残る場合があります。こうなるとますます値引きして 「現品限り」などの「投げ売り」状態になります。

      12. そこまで安くなると、なんだか隣の新製品よりもかなり見劣りするように思えて、素人は 手を出しにくくなります。しかし、事前にチェックしていたように、この新古品のスペックは、 出たばかりの新製品と比べても、一つ前のモデルということでほとんど性能に違いはないのです。 未使用、完全保証という意味ではまったくの「新品」ですが、時期がこれを新古品にしただけです。

      13. そこで、このタイミングまで耐えに耐えて買えば、最初の価格の半額ぐらいでゲットできる こともあります。ただし、この時期まで来ると、それを同様に狙っていた 「新古品の達人」に買われてしまう、という事もあります。この時期には、 狙ったショップにほぼ毎日通ってチェック、というような執念が必要です。価格崩壊と 入手タイミングの微妙に交錯する時期です。

      14. この時期はとても短く、無事に新古品は完売し、ショップには新品だけが並び、そこに 出たばかりのボーナスを持った「お客さん」が集まり、新しい価格で新品を買う、という 時期が次の節目まで続きます。

      15. これが「新古品」の買い方です。うまくこのゲームを戦うと、同じ予算でデジカメとか スキャナぐらいは楽勝で買えるぐらいのお買得となります。よーく調査して、挑戦してみて下さい。

    9. モトを取るパソコンの活用法

      これは秘密です(^_^;)。というより、これが判るようになるためには、何度も泣くことが重要です。 ある意味で、僕のホームページは全て、読み方によっては「モトを取るパソコンの活用法」の 生きた、涙なくては語れない実例となっています。皆さんどうぞ、いろいろトライして下さい。

    10. 速報 : iBook について

      1. このページを書いていた2001年5月5日になって、「新しいiBook」の情報を発見しました。
        これまでの

        からイメージ一新して、

        という、チタニウムっぽいものになりました。

      2. 気になるスペックですが、 このようになっています。よく読んでみて下さい。

      3. 詳しい検討はしていませんが、第一印象としては、「これは買いだ ! 」というカンジです(^_^)。 増設メモリが今のところ128MBしかないので、ちょっと待って、サードパーティから256MBが出てきた ところでタイミングを見る、という作戦がいいと思います。チタニウムを買おうと思っていたのですが、 これなら2台、買えますね。(^_^)

      4. ただし、チタニウムでも問題となっていた点ですが、オーディオ・ライン入力という端子が 消えています。これは、Max/MSPをライブ音響信号処理のエフェクタのように使うことができない、 という事を意味します。まぁ信号処理はKymaでやるからいいや、という人はいいのですが、この点は チェックしておいて下さい。

      5. また、チタニウムではPCMCIAカードスロットがあったのですが、この新しいiBookでは これも無くなっています。つまり、Kymaのホストにもならないし、サウンドカードを使うことも できないし、フラッシュメモリカードでデータを移動することもできないし、DataBookのカード インターフェースも接続できない、という事です。このあたりは悩ましいところです。

    11. インターネットからの一般情報

      1. インターネットの世界をちょっとサーフするだけで、多くの人の関心事である 「パソコンの選び方・買い方」の情報は溢れています。以下はそのうちのいくつか です。それぞれのページはそれぞれ好き勝手に書かれています(^_^;)ので、 あくまで自己責任で、参考情報として利用して下さい。

      2. パソコンの選び方・買い方に関するページ

      3. パソコン関連(ハード、ソフト、関連機器など)のメーカのページ

      4. パソコンショップのページ(購入は自己責任)